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おかだよういち


前回は「絞り」についての基本的な説明をしました。非常に奥が深いサブジェクトなので、今回も引き続き「絞り」についてもう少し続けます。


絞りの数字は1.4、2、2.8、4、5.6……と1.4の倍数になります。という説明をしましたが、「あれ? 私のカメラ、もっと違う数字が表示されるよ。3.2とか3.5とか6.3とか7.1とか何これ?」
http://flic.kr/p/7DcBTD


確かにこの中途半端な数字だけ見ると、かなりややこしい感じがします。


電子制御される前の機械式のカメラは、シャッターも絞りも一段
階刻みで露出を調節していました。レンズの周りの絞り値の表示
も、1.4→2→2.8→4….と表示されています。これは光量が半分
→その半分→更にその半分….と一段分ずつ変化することを示し
ています。


最近のカメラはコンピュータで制御されているために、絞りの調
整やシャッターの開いている時間が極めて正確にコントロールで
きるようになり、機械式の時よりも細かく設定できるようになっ
ています。機種によって設定できる項目に若干違いはありますが、
1/2段刻みか1/3段刻み(または両方)で露出を制御できるように
なっています。


ということで、先程の中途半端な絞り値の数字は、この1/3段刻みで表示されたものなのです。あくまで基本は1.4→2→2.8→4→5.6→8→11→16→22→32で、デジカメはその間の絞り値が1/3、または1/2刻みで設定できるようになっています。


http://goo.gl/6k5q
こちらに表にしてみました。赤の部分が通常の一段刻みの絞り値の数字。オレンジが1/3刻み。黄色が1/2刻みです。


「絞りはボケをコントロールする」と前回お話しました。絞り値の設定(レンズを通る光の太さを調節)することによって、被写界深度が変化します。絞りを開いた状態(太い光がレンズから入ってくる状態)では絞り値の数字は小さく、フォーカスを合わせたその場所にしかピントが合わず、他はボケた状態になります。


逆に、絞り値の数字を大きくして穴を小さく(光を細くした状態)では、広範囲にピントが合って見えます。これは、目が悪い人が目を細めて見ようとしたり、モザイクの映像を目を細めて見るとなんだかちゃんと見える気がするのと似ています。


ただ、この被写界深度はレンズによって大きく異なります。広角レンズと望遠レンズでは、同じ絞り値に設定してもピントが合って見える範囲は違いますので、どの値であれば○m〜□mと決まっているわけではありません。


広角レンズほど、広範囲にピントが合って見えますし、望遠レンズほど、ボケる量が大きくなります。多くの一眼レフカメラは、レンズの横辺りのボディにプレビューボタンが付いています。そのボタンを押している間、ファインダーの見え方が暗くなり(実際に絞りが効いている状態になり)実際の見え方が確認できます。


では最後に、絞り優先でボケ具合を意識した写真を撮る場合の注意点を3つ。


1)どこにもピントが合ってない写真になる


F1.4など、絞りを開けて被写界深度を浅く、一点にだけピントが合うような写真を撮りたい場合、ほんとにピンポイントでしかピントが合わないため、少し位置がずれるだけで、どこにもピントが合っていない写真になってしまいます。
http://flic.kr/p/7DersV


手持ちの場合は、どんなにしっかり踏ん張っていても、息を止めていても、若干ゆらゆら動いてしまうものなので注意が必要です。特に花など撮影する場合は、少し風が吹いて花が揺れるとピントが合う場所が動いてしまいます。また、マクロレンズで接写をする場合も同様、かなりピント合わせが難しくなります。自分と被写体と両方が揺れているとかなりの確率でピントが合わないので、面倒でも極力三脚を使った方がいいでしょう。


2)周辺光量低下に注意


画面の外側が若干暗く写ってしまうことです。最近トイカメラが流行っていて、トンネル効果を狙ってわざと画面の周囲を暗くする画像処理をしたりしますが、これはトイカメラのレンズがそもそも性能が悪く、画面全体で均一に光が届かないために起こっている現象です。
http://flic.kr/p/7Diedw


一眼レフカメラのレンズでも、絞りを開けた状態で広角レンズになるほど、周辺光量の低下が目立つ場合があります。多くの場合、1〜2段絞ってレンズの中心を使ってやることで、画面全面均一な光量の写真が撮れます。


3)主題を明確に


被写界深度が浅い状態で、どこにピントを合わせるかで、表現したい内容が変わってきます。サンプルの七五三のワンシーンでは、本人にピントを合わせるのか、巫女さんに合わせるのかで意味が違ってきます。
http://flic.kr/p/7DerCr


構図に関してはまた別の機会にしますが、写真はボケを利用することで平面に3次元の奥行きまで表現できますので、ピントを合わせる場所とぼかす場所を上手く使い分けると表現の幅がひろがります。


以上、2回にわたって絞りの解説をしましたが、なんとなく理解していただけたでしょうか? あまり難しく考えず、「Fの値を小さくすると背景はボケて、Fの値を大きくすると全体にピントが合う」程度を覚えておくだけでも最初は充分だと思います。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


AppleからAperture 3が発売されました。最初に発売されたVer.1の時は52,000円もしたのに、3は機能も大幅に進化して19,800円。絞りの解説中にタイムリーでした。

“続・絞りって何だ?”には2 レスポンス

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