五十嵐翔平写真展「A TOWN FOR SLEEP」
会期:3月17日(火)〜 3月22日(日)
会場:トーテムポールフォトギャラリー(東京都新宿区)
http://tppg.jp
8年前に新潟から上京した私は、東京郊外のベッドタウンで一人暮らしを始めた。街の周緑を歩いてみると、住宅地や高いビル群の中に不釣り合いな田畑が唐突に現れる。それは私が関東に漠然と抱いていたイメージとかけ離れた風景で、振り返ってみれば整然と並ぶ新興住宅。農家の人に話を聞くと、その田畑は土地開発が行われた際の反対運動により保全された場所だという。そこにはこの国における発展と衰退が明確に表出しているように感じた。
変化を続けるコンクリートと緑の広がる街。電車に揺られてお家に帰る。今日はどんな夢を見るのだろう。
宮川和治写真展「Vestige」
会期:3月24日(火)〜 3月29日(日)
会場:トーテムポールフォトギャラリー(東京都新宿区)
http://tppg.jp
養蚕農家の家には屋根に越屋根(こしやね)という換気口の小窓のついた小さな屋根がついている。蚕室内の通気を良くして蚕を健康に育てる。先人たちの知恵である。それはどれも個性的で眺めていて飽きない。しかし、現在越屋根を本来の目的で使っている家はほとんどないだろう。越屋根は、ヒトにとっての尾?(びてい)骨のようなものだ。ヒトの尾?骨は体内にあるので日常目にすることはできないが、越屋根は誇らしげに家の一番高い所に付いている。その姿はかつて国を支え家を助けた威厳と、本来の役目を終えながらも日々の暮らしを少し遠くから見守る親心を感じ、目にするとほんの少し心が温もる。