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カテゴリ ‘ところのほんとのところ/所幸則 Tokoro Yukinori’ のアーカイブ

所幸則 Tokoro Yukinori


さて、ゴールデンウィークのとある日に、小さな娘をつれてKaekkoというイベントに行って来た。「Kaekko」とは「替えっこ」のことで、いらない玩具を持って行きそれを子供達がてきとーに(というと語弊があるが、そうとしか思えない)「替えっこポイント」にかえて、他のみんなが持って来た玩具のなかで欲しいものがあれば、それをポイントと引き換えにもらえるというものだ。


[ところ]はまあ有意義なことかもしれないとは思ったし、子供達が玩具の山の中からいろんな物を発見するのもなんかよさそうで、おおむね肯定的である。でも、運営する人は大変そうだなと単純に思った。


書きたかったのはこのイベント自体ではない。このイベントに妻がスタッフで参加していて、ちょっと暇な時に何枚かシャッターを切っておいてくれるとうれしいなとか言うものだから……。こういう写真を撮るのが所幸則という写真家ではないと思うけれども、何枚かシャッターを切ってみた。


うむ、やっぱり何を撮らしても良い写真が撮れてしまう。やっぱり天賦の才というのはあるんだなあ……と[ところ]は勝手に満足していたのだけれど、最後にワークショップもやっていたので、こういうのも撮っておこうかとシャッターを切ろうとした瞬間、「うちの娘を写さないでください!」と一人のおばさまが目の前を遮った。


[ところ]は目が点になった。うーん、その子のアップを撮ろうとしたわけでもなく、斜め後ろぐらいの角度で小さく入っているに過ぎないんだけど。こんなあからさまな拒絶を、自分自身が受けたのは生まれて初めてだった。


そういえば、イベントを撮ってくれるといいなと言われたときも、できれば後ろ姿が多いと嬉しいと一言あったことを思い出した。イベントの記録的広報誌ですら、そんなに気を使ってるのか!! 何なんだこの国は、というか先進諸国みなそうなのか?


以前、広島市の中区でなんとなくカメラを手に散歩していたら、近所のおばさまに「カメラ持ってなにしてんの!」とか言われたことがあったのだった。今時は携帯電話にもカメラが付いている。そんなことを言われた日にゃ、カメラ付き携帯持ってる人みんなに毒づいたらどうだ? と[ところ]は思ったのだけれども。


何なのだろうか。スナップが撮りにくい時代になりつつあるという話はよく聞いていた。いわゆる肖像権の問題、個人情報保護にたいする過敏さ。例えば、ニューヨーク辺りの街角をニュース映像を流す時には顔をぼかしたり、国によってはモザイクかけたりと大変な話である。


ほんの6?7年前にイタリアあたりで写真を撮っていたら、わざわざポーズをとるじじい、いや失敬、おじさまがやたらと多かったのに。世界はどんどんいびつな方向に向かっているのだろうか。


そりゃあ、確かに数年前日本で名を上げたある写真家は、人の油断した変なおもしろ顔をやたらと撮って、そのおもしろさを武器にしていたが、[ところ]が被写体ならあんなふうな写真を友人同士ならまだしも、世界中にバラまかれたらいやだなとは思うけれど。目くじらをたてるほどでもないかな。


自分が体験したこのイベントは、公的団体もからんでいるだけに、クレームがついたらいやなんだろうということはなんとなくわかる。そして、別の話を思い出した。渋谷をスナップショットで表現してる人が言う。


「個展をやりたいのですが、あのメーカー系サロンはスナップでは審査が通りにくいんです。別のメーカー系サロンは大丈夫らしいので、そっちに作品を提出してみようと思っています」


これを聞いて[ところ]は唖然とした。カメラメーカーが写真文化を守ろうとしないでどうするんだよ。[ところ]には信じられない。木村伊兵衛も泣くよなあ。みんなが好きなブレッソンもドアノーも、きっと泣く。もっとも、スナップといっていた有名なキスシーンの写真は、やらせだったらしいからどうでもいいが。


写真文化を愛する写真機材メーカーのベテラン達が、定年を迎えてどんどん退職していき、たんに有名な一流企業だからそのメーカーに入った、という人間が中心になってきたから、お金儲けは上手くなっても文化は大事にしないってことなのだろうか? こんな状況に戦いを挑む人はいないのか? いや、スナップを閉め出してるのはまだ一部のメーカーだけかもしれない。もう少し様子をみていよう。


所幸則「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」


http://cosmos-akasaka.sub.jp/?p=2503
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)日月休
会場:Niiyama’s Gallery and sales Salon(東京都港区)


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

所幸則 Tokoro Yukinori


さて、[ところ]は「東京画」でのNYフォトフェスティバルの準備したり、上海からやって来ているキュレーターに「個園─中日現代美術交流展」に展示するための作品を渡したり、Niiyama’s Gallery and Sales Salonでのヌード作品の個展の準備にかかったり、所塾生との交流会をしたり、盛りだくさんすぎる日々を過ごしている。


もちろん[ところ]のプリント作業がもっとも時間がかかるので、時間をちゃんと確保していたのだが、こういう時に限ってハードディスクが妙な雰囲気になった。これがトラブル第一弾だった。


[ところ]は6台あるHDのうち、2台が認識しなくなって困っている。いや、困っているどころではない、恐怖に支配されているのだ。写真家にとって、いまやデータが命になってしまった。


今月は物入りなのでちょっと苦しい懐事情でもある。月末にはガツンとお金が入ってくるはずなので、それからHDを買いたいところではあるが、この恐怖には勝てない。というか、データの保護が最優先課題であるので仕方がない。


取りあえず、6TBのHDを買いデータをコピーする。これがまた時間がかかる。時間を効率よく使おうと、寝てる間にまとめて3TBほどコピーしようとしたのだが、5時間ほど経ってトイレに行くついでに覗いてみると、壊れているファイルがあったため、コピーが止まっていたりする。


どこまでコピーできたのかはっきりとしないために、結局200GBぐらいずつコピーを繰り返した。あー、もう本当に大変。


コピーがやっと5TBほど進んだので、プリントを開始できたのが3日目の昼からだった。あと2日後には個展用、NY用、なぜかこの3日の間にさっくり売れたヌード作品の、大きいサイズのプリントをやらなければならない。


頑張って4日目の朝方までには9割ほど順調にプリントをしていたのだけれど、最後の一枚という時になって、プリンターが認識しなくなった。エプソンの電話サポートを受け、いろいろいじってみたが復帰しない。


しかも、こういう時に限って大事なカメラを落下させてしまい、メーカーの人と会わないとどうにもならない。カメラを落とした[ところ]が悪いのだけれど、まさに「こういう時に限って」だらけなのだ。


それでもエプソンの人が夕方来てくれて、30分程で問題は解決した。それまでの2時間は生きた心地がしなかったので、一気にグターッとなってしまった。


昔「マーフィーの法則」というのが話題になったけれど、本当にこういう時に限って、起きて欲しくないことが起きるんだなと実感した数日間だった。だけど、こういう問題は解決するたびに達成感があるよね。


エプソンとシグマの方も、真剣に素早く問題解決してくれたし、それと3日前に名前を決めた「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」のメンバーが、いい感じのテーマを見つけそうなのでうれしい。


「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」とは、渋谷という街を個性的なアプローチで表現する写真家の集団で、主宰は[ところ]です。すでにサトウタケヒト、布施有輝、所幸則はそれぞれまったく違うアプローチで写真を撮っているが、そこへ更に違うアプローチの二人が加わった。あと二人もきっと自分のアプローチでやってくるだろう。


渋谷を個性的に撮っていると思う写真家は、ぜひ[ところ]にコンタクトして下さい。共感できたら参加してもらいたいと思っています。興味のある方は、[ところ]のHPからメールください。もしくはFacebookのメッセージでもいいですよ。


秋には第一弾の展示を、アオガエルという渋谷のちいさな電車の中で始めたいと思っています。来年の春にはもっと大きな場所でやる予定。


「東京画」は東京を描き出すプロジェクト。僕も共感し参加しているし、「東京画」が参加するNYフォトフェスティバルにも、日本選抜作家として現地に行ってきます。「東京画」はこれからますます面白い展開になって行くと思うので、とても楽しみです。


中国で最高の美術大学がある杭州のモダンアートギャラリーで、中国と日本を代表する現代美術家のグループ展が開催され、[ところ]も参加します。
「個園─中日現代美術交流展」
展覧会場:人可芸術中心 Renka Art Center(中国杭州市)
< http://www.renkeart.com/ >
期間:4月21日(土)〜5月20日(日)
日本側アーティスト:草間彌生、荒木経惟、所幸則、端聡、岡部昌生


所幸則個展「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)13:00〜18:30
土12:00〜18:00 日月火休
会場:Niiyama’s Gallery and sales Salon(東京都港区元赤坂1-5-20 ロイヤル赤坂サルーン 709 TEL.03-6447-1500)
http://cosmos-akasaka.sub.jp/


曖昧な人の記憶、現実とは実は曖昧なもの。確かにあったと思っている記憶も現実も「本当にあったように思えてしまう事」なのかもしれない。僕が現実に見て残したいと思って撮った美しいヌード作品を展示します。


◎ミュージックライフ+ 空想レコード美術館 VOL.8 THE WHO
IS ALRIGHT(iphone/ipad用デジタルフリーマガジン)
写真家所幸則が架空のTHE WHOのアルバムを作っています。[ところ]のインタヴューがとても面白いです。音楽と[ところ]と写真を絡めた切り口が斬新です。
ここで簡単な解説がみられます。
http://www.shinko-music.co.jp/musiclifeplus/
ここでダウンロードできます。
< http://itunes.apple.com/jp/app/music-life/id406608067?mt=8 >


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

所幸則 Tokoro Yukinori


ファインアートフォトグラファーって大変。こう書くと、なんが大変なんだろうとみんな思うかもしれない。いや、むしろ今の日本の状況を考えると、このテキストを読んでる人達から、俺達だって大変なんだぞ! と怒られそうです。すいません! [ところ]はとりあえずあやまっておきます。


2008年秋に個展「渋谷1 Second瞬間と永遠」を渋谷で開催して以来、ファインアートで生きていこうと頑張って活動している。しかし、日本ではファインアートフォトの市場はまだ狭く小さい。そこで、欧米やアジアなどにもアピールしようと考えfacebookも始めた。facebookのことは以前も書きました。


現在フレンド数3,090人、ファンページは1,959人。
国別内訳をざっくり書くと
アメリカ:400
フランス:300
イタリア:150
スペイン:150
イギリス:100


その他は各20〜80で、日本、アルゼンチン、ドイツ、メキシコ、ポルトガル、トルコ、カナダ、ベルギー、タイ、ギリシャ、スイス、コロンビア、インドネシア、マレーシア、ブラジル…………そして世界中からメッセージが届く。


今、これを書いている間に、スイスのギャラリーからの難解な英文が来ている。フランス語エリア在住の人のメールの中には、英語のスペルミスも多く、それにともなうストレスも多い。


個展の打診もあれば、オリジナルプリントの値段の問い合わせ、プリントを是非見たいから送ってくれというギャラリーからの依頼もある。だけど、みんな国民性に違いもあるから、対応はひととおりではすまない。


コミュニケーションが上手くいかず何度もやりとりしたり、熱烈なメッセージがあったかと思うと、一か月近くなにも返事がなかったりした例もある。英語をはじめイタリア語、フランス語、スペイン語が話せれば、電話してコミュニケーションを取れるからかなりストレスが減ると思うんだけど、語学に強くない[ところ]は本当に大変。世界中からメールが来るのは、じっさい嬉しいことなんだけどね。


「PARADOX -上海1second-” 所幸則 SoloExhibition」も、個展にこぎつけるまでも本当に大変だった。この分野に専門の日本人が間に入っていてくれたにもかかわらず。中国では時間の流れるスピードも違えば、優先順位も考え方もぜんぜん違った。
http://www.tokoroyukinori.com/exhibition/PARADOX_ShangHai_1second/


2008年秋に展「渋谷1 Second瞬間と永遠」から一年ぐらいは、日本でいくつか声がかかっただけなので、抱えていた事案は3〜4件だった。その後、2009年9月から一年近く、夢中で世界のあちこちを撮り続けていたからだろうか、いろいろなコミュニケーションエラーに気づく暇もなかった。


日本に戻るとさまざまなことが起っていて、いまその対応に追われている。相手は建設会社、グッズショップ、役所、病院、コンサルティング会社、もういままで直接話したこともない、いろいろな人間とやりとりしている。


“第一期所幸則”の時の相手は、出版社、広告代理店、いろいろな企業の広報室など。多少やり方は違ってはいても、みな同じ業界といってもいいようなもので、喋る言葉も、優先順位もだいたい同じだったので非常にシンプルだった。


今の相手は[ところ]の世界と全く違うのであった。もちろん、それを望んだのは[ところ]自身ではあるんだけれど。そして、想像した以上に評価は高くて個展の依頼もあるのだが、収入より先に支出ばかりで本当にきつい。


アートで生計をたてること自体、普通の家庭に生まれ育った人間には無理だ、そう言われていたことは知っている。かつて、土門拳は著書で貧乏人は写真を撮るなといったようなことを書いている。事実、1909年生まれの彼の時代は、カメラ自体が非常に高額だったということもあるから出た言葉だろう。お金にならないことを職業にしたら不幸だと言ってる、と学生時代の[ところ]は解釈していた。


現代を代表する写真家の一人であるロバート・フランクも、写真でお金にする気もない、というようなことを言っていたとキュレーターから聞いたことがある。彼は1924年生まれ。土門拳の時代より15年もあと、そして日本ではないアメリカだ。当時の日本よりは遥かに裕福な国アメリカでもそうなんだ。


考えてみると、日本で絵描きになる、アーティストになる、と子どもが親に夢を語っても、やはりもう少し地道に生きなさいと言われるのが圧倒的多数だと思う。


そして、それだけ大変な世界だからだろうか、経歴も詐称すれすれのようなプロフィールが少なくない。グループ展と書かずに、フランスのギャラリーで個展をやったかのような表記。


例えば、写真展「◎△◇ photoExhibition ◎△◇」GALERIE ◎ la ◎△◇(日本人が知らない街名・フランス)とかね。お金を出せば誰でも参加できる100人規模の団体展でも。日本じゃわかるはずないから、写真展のタイトルとNYという表記で自分を大きく見せたり、その手のも多い。みんな必死なんだけど、どうにかならないんだろうか。[ところ]が硬いのかな? 正直じゃない表記を見るとやるせない気持ちになってしまう。


それだけファインアートフォトグラファーとして生きるのは難しいことで、それを承知で[ところ]も頑張ってはいるんだけど。どこまでやれるかわからないが、前のめりに生きたい。いい兆しは沢山あるしね。実際きついけど……。


来年の3月には、メールのたびに必ずお天気の話から始めるギャラリストとの個展が決まった。ユナイテッドキングダム(UK)北アイルランドの首都ベルファスト。[ところ]は最初、まったく知らなかった地名なのでどうしようとか思っていた。


いろんな人から聞くと、世界でも最大級の写真の美術館があるだとか、貴重な写真のコレクションをスゴイ量もっているらしいとか、個展を望んでも手続きが大変なんだとか、これは上海のキュレーターに聞いた話だけど。しかも、会期中ベルファストに滞在したいというと、公的機関の助成金を申請して、ほとんど[ところ]に負担なくしてくれるように動いてくれたりもしている。宿泊は知り合いの家に一か月、ホームステイしていいそうだ。


イタリアとはやりとりの真っ最中、中国でも何か所かで個展の企画が進んでいる。アメリカでもそう。外国ばかりかよ、という人のために、安心してください。渋谷でも動きがあります。ハチ公の……ごめんなさい。まだ内緒です。ほんとのところはっきりしてからね!


そのかわり、ひとつニュースを! iPhoneのケースに[ところ]の渋谷シリーズが加わりました。死んだ双子の弟の作品も一つだけ出しました。とりあえず3Gと3GS用ですが、他にも色々出します。楽しみにしてくださいね。
http://designgarden.jp/tokoroyukinori/


[ところ]のfacebook
http://www.facebook.com/yukinori.tokoro
[ところ]のfacebookのファンページ
http://www.facebook.com/pages/Yukinori-Tokoro/134631276574216


どちらも[ところ]の作品が好きな人はリクエストしてください。[ところ]のwebサイトリニューアル中、日英中のトリリンガルにします。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

所幸則 Tokoro Yukinori


今年は半分近く海外で過ごしていたような気がするけれど、よく調べてみると3割前後、そんなものだった。外国にいることによるストレスで長く感じていたのか、いつもの渋谷にいるときよりモントリオールやNYや上海の方が印象が強いとか、リラックスできないからというのもあるんだろうか。やっぱり日本が一番であるとしみじみ思う。


とかいいながらも、11月4日から上海に行き、個展の会場であるepSITE Epson Imaging Gallery(中国上海莫干山路50号7号楼106室)の設営を見届けなければならない。


今回の個展は、去年写真雑誌の編集長の石田さんに上海に連れて来てもらって、撮影してみたところから話が始まった。上海のepSITEはあまりメーカーのギャラリーという印象も薄いし、M50(莫干山路50号)というアート村のような所にあるので、アート好きが集まるという話を北京のエプソンの川島さんから聞いていた。行ってみたらとてもいい場所だったので、当時の上海epSITEの館長の王さんに作品を見せたところ即個展が決まった。


随分たくさんの人の力を借りて決まったこの個展。さあ作品も揃ったしいよいよやるぞ、というところであの尖閣の漁船衝突があって、日中間の政治的問題や中国の国内情勢も急展開。できれば個展を止める方向に、という力が動いたこともあったのは事実。


個人なんてちっぽけなものだなーと痛切に感じた。それでもなんとかいろいろな難題を乗り越えて、個展開催にこぎつけたようなので、[ところ]は4日に上海の虹橋空港に到着。税関とか検査とか、この時期は日本人にたいして凄く厳しいのかなーと少なからず危惧していた。今回、渋谷のオリジナルプリントを13枚ほど持ち込んでいたので、スーツケースを開けていろいろ言われたらどうしよう、などと不安だった。


友人へのプレゼントとか、言い訳しようかなとか思ってたけど、事細かに調べられれば、個展やることも作品の値段もわかるだろう。関税33%取られた人の話も聞いたことあるし、小心者の[ところ]としてはビビるビビる。税関の出口に大きなX線の調査マシンが用意してあるし、あーやだなあとか思っていたら、そのまま外に出てよいとの指示。でかい荷物を大量に持ってる人とか、怪しそうな人だけ再度調べられるようで、ほっとした[ところ]でした。


さて、DMもできてないという話なので、ホテルに着いてすぐにoffice339の鳥本くんとギャラリーに向かう。個展の2日前の時点で、ポストカードもリーフレットもできていないというのは日本では考えられない。たぶん、ギリギリまで中止の可能性を考えていて遅らせたのだろう。開催中の展覧会会場には、次回の展示のDMが置いてあるのが普通だ。ミュージシャンまで日本から連れて来て、オープニングパーティをやるのに、これでは人が来ないじゃないか。かなり焦ったが、まあこれで挫けてたら個展なんかできない。


この日は会場で作品の設置スペースなどを決めるために行ったのだが、すでに出来ているはずの額縁がまだなかった(!)。しかも、会場の壁を塗りなおしている真っ最中だった(!)。結局、日本から持ってきたオリジナルプリントにサインをして、額装する業者に渡すだけで帰ることにした。


2日目の11月5日、13時にギャラリーに向かう。明日は13時に来てくれとギャラリー側の責任者に言われたからだが、行ってみると関係者は誰もいない。額縁はすべて揃っていて、それだけは安心した。しかし、中国語しかわからないギャラリーの関係者でもない人達と、黙々と液晶プロジェクターのセッティングをしている専門の業者がいるだけ。13時40分ぐらいに、やっとギャラリーのスタッフがコンビニ袋とか抱えて4人ほど入ってくるが、[ところ]のことは知らない顔して、自分たちだけスタッフルームに入っていく。ちょっと不思議。


14時前には鳥本くんも来て、額縁の並べ方を決め始めることにした。だが、液晶プロジェクターの関係者の道具が散らかっていて、そっちのエリアには置くことができない。もうセッティングはほぼ終わっているようなので、14時半ぐらいになって、どかしてくれないかとギャラリーの責任者にお願いしてみる(この人だけ日本語が少し喋れる)。


しかし、20分ぐらいたっても進展がないので、すぐにどかすように言ってくれと催促すると、しばらく待ってくださいと言う。「私は13時から待っている。もう15時になる。あなたが13時に来てくれと言ったのですよ。あなたは13時にはいなかった。14時まで顔も見せなかった。私はもう充分待った。今すぐ行動して下さい」これぐらい主張して初めて相手は動く。国民性の違いだろう。


[ところ]が順番や配置を決め終わった額縁を、13時に来ていて何者かわからなかった人達が、光の出る水準器で壁に線を照射して額縁を設置し始めた。凄く手際がいい。始まるとものの30分足らずで43枚の額縁が壁にかかった。いい仕事だ。彼らもこれで帰れるし、よかったよかった。


途中で「私は空間デザインの勉強をしていますが、この一列に並んでいるパートを4枚セットのブロックにした方が面白いと思うのでやっていいか」と、いままでろくに寄ってこなかった女性が主張してくる。そのパートは[ところ]にとってとくに大事な「渋谷1second」の作品だった。


「この一連のシリーズは、始まりから終りまですべて考え抜かれた順に並んでいる。なにも変えることは許しません」と毅然として答えた。これで終わりだ。大陸の人達は、ただの素人レベルの思いつきでも堂々と主張してくる。対する我々も、しっかり意見を言わないと無茶苦茶にされる場合もあるから気を付けないと。


次の日がオープニングだった。前夜に無事到着した、友人のMystic Floor(近江賢介、深見真帆)によるDJイベントも好評だったようだし、作品を見たお客さんが何人も値段を聞いたり、質問をしてきたりと、忙しい初日になった。[ところ]も鳥本君もホッと一安心。結果としては会場も素晴らしいし、大判のプリントアウトも素晴らしい品質のものを飾れた。いろいろあったが、中国のギャラリースタッフにも大感謝の[ところ]である。


鳥本君について、少しばかり説明をしておきます。上海にギャラリーも持つOffice339は、現代アート中心のアートマネージメントをしている会社で、そこの代表が鳥本君です。[ところ]のアジアでのマネージメントもしてもらうことになりました。今回、個展のDMが一枚も送られていなくても、彼が顧客にメールでオープニングの招待状を送っていたので、なんとかお客さんも来たというわけです。彼がいなかったら、マスコミをはじめ誰にも知られることなく寂しいオープニングになったと思う[ところ]です。


打ち上げでは最高に素敵な夜景スポットに連れて行ってもらいました。
http://tokoroyukinori.com/essay/


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

所幸則 Tokoro Yukinori


モントリオールに二度目の撮影に向かう。前回雨の日が多く、晴れの日の写真が少ないので、晴れた日ももう少し撮ろうというのが[ところ]の意図だ。


はからずも一番安いモントリオール行きのチケットをとったら、今回はNY経由だった。ただの偶然ではあるが少しもったいないので、NYは自費で宿泊代を出して数日泊まることにした。前回はトロントに行ってからモントリオールに入ったが、今回はNYからということになった。


前回のトロント入りは、カナダの都市モントリオールを撮るにおいて、カナダの都市のなかでモントリオールしか知らずしてモントリオールがどういう街かわかるものだろうか? という[ところ]の頭を整理して、納得させるものだった。そして、トロントはカナダのリトルNYと呼ばれているという話もあったので、本物のNYと撮り比べたいという思いもあった。


もっともNYは初めてというわけではないのだけれども。[ところ]は16年前に、武田真治くんがフェミ男と呼ばれたころに撮影をしにいったことがあるのだ。あの時は真冬だったし、人を撮るフォトグラファーであり、今のように街を撮る写真家でもなかったので、カッコいい街だということは覚えていても、街自体はちゃんと見ていないだろうし、16年もたてば随分と違う街になっている可能性もあるので、もう初めてといってもいいと思う[ところ]です。


以前のNYはタクシーには気をつけようとか、地下鉄はできるだけ乗らない方がいいといわれていたけれど、もう地下鉄はみんなの足として使えるようになったという話だし、タクシーもかなり改善されたと聞いてけれど、やっぱりタクシーの方はまだまだ油断しちゃいけない。


チップ入れても16ドルだった場合16ドル渡せば問題ないけれど、細かいのがない場合20ドル紙幣とか渡すと、チップ多めにくれたんですね? って感じでしらを切られやすい。当然流暢な英語なら問題はないんだけどね。[ところ]はそれで結構ストレスが溜まりました。みなさん気をつけてね。あ、地下鉄がみんな使ってると言っても、日本だってスリぐらいはいるのだから、そういうのは当然気をつけてね。


印象としては、トロントがリトルNYというのはイメージとしてはわかる気がするけれど、リトルリトルと2回つけたほうがいいんじゃないかなと[ところ]が思うぐらい、それぐらいスケールが違う。


ホテルはブロードウェイにあり、広くもなく綺麗でもないけれど28,000円なのでかなりホテル代は高いなー。3泊しかしないので、中心部から外れたとこに泊まってたら、NYを味わえないで終る可能性もあるので仕方ない。


とにかくいろんなところに行く気持ちはまったくない。3泊だから、ホテルの回りを歩いて街の空気を掴むのが目的。写真を撮りまくってもクレームがつくのか? 睨まれるのか? それをまず確かめなければいけない。気になるのは、NYの中心過ぎて世界中の観光客がほとんどといってもいいけれど、それが障害になるのか? というところも気になるところだ。


しかし、そこに働く人はNYの人だ。そして世界中の人が住むのもNYという街の特徴だから、特に違和感はなかった。タイムズスクエアー、渋谷でいうとハチ公前とかアルタ前みたいなものだけど、それでもいい写真にしてみせなきゃいけないな〜って気持ちでいたしね。


さてしばらく撮影をしたあと、デリで買ったブリトーのようなものを食べてその日は就寝。まずくはなかった。次の日はNYに住んでいる友人の友人に、NYスタイルのステーキハウスででかいTボーンステーキを食べに連れていってもらう。2ポンドぐらいの量だったようだが、2人でぺろりと食べてしまった。


じつは[ところ]が6割は食べていた。なるほど、こういう肉なら大量に食える。日本の上位ランクの肉質のステーキは300g以上は飽きてしまうけれど、その倍は食べたことになる。別の食べ物と言ってもいいかもしれない、肉のうまみ、脂身のうまみとよく言われているけれど、本当に納得した。


その日は食事をした後、散歩しながらブライアントパークに行ってゆっくりした。と言っても、写真を撮りながらだけれども。欧米人は本当に日光浴が好きですね。芝生の上は水着姿の人でいっぱい。写真を撮っていてもまったく文句を言われなかった。


回りには木が多く、木陰で好きな飲物やクッキーやアイス、ホットドッグなどをほおばったりして楽しそうだった。公園の周りには安価で(スタバより)お手軽なスタンドがたくさんあって便利、これは暫く滞在したいかも。今度はもっとゆっくり来ようと誓った[ところ]です。


モントリオールに行く途中の経由地であるNY滞在もあと一日、とりあえずタイムズスクエアー回り1kmの周囲だけで撮影をしていたが、一箇所だけどうしても行きたいところがあってタクシーに乗った。


到着したそこは、グッゲンハイム美術館。セントラルパークのすぐ横にある。16年前NYに来たときは時間がなくて、メトロポリタンとMOMAまでしかいけなかった。


グッゲンハイムは、フランク・ロイド・ライトという[ところ]が大好きな建築家が作った美術館。やっぱり素晴らしかった、来てよかった。ホールに進んで上を見上げたとき、螺旋状のループを登って行った一番上から下を見下ろしたとき、本当に美しい。 


ちょうど彫刻と写真をテーマにした写真展を開催していたので、[ところ]もいつかここで個展をしてみたいと切実に思った。相当な数の作品がいるだろうなあ、あっ、もちろん外見も素晴らしかったよ、晴れていたので余計白い螺旋の建築物が青空に映えて眩しかった。建築物それ自体が芸術作品といえるものなので、これを撮ってもなあ、と思いながらつい撮ってしまった。だけどかっこいいNY One Secondになった。かなり嬉しい。


その後ソーホーやNYの原宿っぽい所にも、NYに住んでいる友人の友人に連れていってもらった。これでNYをなんとなく把握したような気もするが、次回は10日以上は滞在したいと思う。


翌朝、早い便でモントリオールに飛んだ。モントリオール空港から市内のホテルに行く場合、どのホテルでもタクシー料金は均一だ。明朗会計で助かる。円高の時期の計算だと3,000円しない。 ホテルは前回よりランクを下げたせいか、部屋が狭いのがちょっと。だけど、フロントにいつも何人かの人もいるし活気がある感じ。信号を渡ればそこには大きなスーパーマーケットがあるし、逆の方向に5分歩くとチャイナタウン。その一角に[ところ]のお気に入りのベトナム料理屋がある。確実に美味しい定番のフォーがある。500円ぐらい。


今年2度目のモントリオールなので地下鉄も把握してるから、路線図なしでモントリオールで一番おいしいベーグル屋さんまで行ける。一個50円から60円で10種類くらいあるんだけど、地下鉄代金がちょっと高いので、少ししか買わないと結局高くつくので、ベーグル屋さんでは8個まとめ買い。NYやボストンのベーグルと違い、わりと軽いのが特徴でぺろっと食べてしまう。一日目は軽く旧市街と新市街を散策、天気が悪い。雨時々曇りという感じだ。


前回、新市街に行ったときに一瞬晴れて夢中でシャッターを切ったので、今回は旧市街をメインに撮ろうと思っていた。とりあえず初日はベーグルと、近くのスーパーで買ったチーズとチキンのグリル(?)で夕食。これがまた、たまらないぐらいうまい。前回まずくて懲りたものは避けてあるので、今回はほとんどまずいものにあたらなかった。


それ以後も毎日雨の日が続く。それも結構な雨量なので少し参った。ベトナム料理屋には二日目にフォーを食べに行ったが、顔を憶えられているようで笑顔で挨拶されて、メニューもいつものとは違うものを頼んだのに、なぜかいつもの定番フォーが出てきた。違うと主張したら相手が恐縮していた。今回は合計3回食べに行った。こういう時にアジア人でよかったなと思う。欧米に行って大抵の大きな街にはベトナム料理屋があって、ハズレはあまりないからだ。


5日目になってもほとんど雨、だいぶ参ってきた。撮りたいポイントはもうほぼ決まってきたのに、せめて薄曇りぐらいにはなってくれないと。もう帰る日が近い。というか明日だ。


とうとう帰国日の朝、ようやく晴れた。フライトが午後ゆっくりだったので、9時頃から旧市街を回る。やっと旧市街を晴れた日に撮ることができた。いいのがなんとか何カットか撮れた。だけど天候だけは思うようにいかないから、一週間以上滞在するのが希望なんだ。


まあ滞在が長いということイコールお金がいるってことだけど。無事13時ぐらいまで撮って空港へ向かう。途中で思いついて、タクシーの中からもずっと写真を撮ってたりする。


それの成果は、ぜひ今開催中の個展でみてください。


所幸則写真展「写真における新しい取り組み」時間の流れへの考察


http://www.tosei-sha.jp/gallery.html
http://www.tokoroyukinori.com/
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)
会場:ギャラリー冬青(東京都中野区)


所幸則写真展「失われて行く渋谷、失われてしまった渋谷」渋谷@BAR AMRTA 時間の流れへの考察、喪失感。


http://www.amrta.co.jp/index_02.htm
http://www.tokoroyukinori.com/
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)
会場:BAR AMRTA(東京都港区)


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

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