●Apple iPadが採用した電子ブックファイル形式ePubとPDFとの違いは、スクリーンの大きさによってレイアウトを変えることが可能だという。出力デバイスにより、電子ブックの体裁が変わるということか。それでも本と言えるのか。日本印刷技術協会の「プリバリ印」の座談会で、京極夏彦は「実際テキストとフォントの関係、フォントとサイズや書式の関係というのは、思った以上に密接なんですよね。印象がまるで違う。それが、まさに本の面白みなんですよね。このレシピでお召し上がりくださいっていうのが本なんですよ」と語る。そして、本文の内容にあわせたフォント選び、組版のマニアックな話になるとおもしろいったらない。取り上げられた書籍を書店に見にいこうと思う。さて、紙メディアの魅力は「定着感」にあるという。まさしくその通り。本は「完成形」だからいいのだ。集める、並べる楽しさがある。電子書籍にはそれがない。代わりにいいこともたくさんあるが。でも読者の環境で見え方が変わる、定着感がないってのは、つくる側から言ったらどうなんだろう。このレシピでお召し上がりくださいとは言えなくなるのか。本の現物にはかなわないけど、誌面をスキャンして画像とする方法と、PDFにする方法とがある。そっちの方が本好きには抵抗が少ない。日本雑誌協会の「雑誌デジタル配信」実証実験のモニターになった(当選した)。2月いっぱい記事の購買、閲覧ができる。この配信はPDFである。さてどういうものか、週末にでも実験サイト「parara(α)」に行ってみよう。(柴田)
●そ、その不安定な状況を強いられるのがウェブサイトなんですよ。複数の環境、複数のデバイス、あり得ない環境に合わせ、でも美しく、使いやすく、内容が一覧でき、集客し、滞在時間を長くし、コンピューター用と人間用とに最適化し、検索エンジンで上位に表示させ、クリック数まで集計され、ウィルスやアタックに耐え、日進月歩な技術までアップデートしていかなければならない。なのに「誰でも作れる」とか言われたりするもの。ほんま無茶な話でっせ。昨日書こうとしてやめたこと。先日、エディトリアルデザイナーの活躍の場が広がると書いたけれど、新しいエディトリアルデザイナーが生まれ、ウェブデザイナーの活躍の場が生まれるかもと思った。カタログや説明書を作っているようなXMLばりばりの人向きじゃないかと。これも先日書いたけれど、本として保存したくなるもの(体験としての本だったり)と、本の内容そのものだけが欲しいものがあるので、後者は電子書籍向きだと思うし、前者はなくなって欲しくない。後者がほとんどとは思う。/実用書は動画入り電子書籍だと便利。いまDVDつきになっている本。ウェブサイトでの無料公開はと躊躇するようなものでもDRMつき電子書籍ならいいのでは? で、これまたフォーマット勉強不足が……。動画の扱いはどうなるんだっけな。(hammer.mule)