●「最後の忠臣蔵」の次は、「四十八人目の忠臣」である。諸田玲子の小説だ(毎日新聞社、2011)。歴史に弄ばれながらも己の存在価値を見つけて、雄々しく生き抜く女たちを描くのが筆者のテーマであるという。四十八人目の忠臣は、忠義と恋のはざまで揺れる江戸の一女性である。阿久利(瑤泉院)の奉公人である「きよ」は、阿久利の密偵役として浪士たちの動向を伝え、また主君の無念を晴らす同志として浪士たちと一緒に活動する。討ち入りにより浪士たちの仕事は終わった。しかし遺された女たちには肝心な仕事が残っている。浪士の遺児たちの無罪放免と浅野家再興である。それにより赤穂浅野家の汚名を晴らし、浪士たちの忠義に報いることになる。この物語、じつは全体の4/5ぐらいまではかなり退屈である。きよは討ち入り前に吉良邸に奉公に入り、情報を浪士に伝えるという活躍はする。しかし、この程度で四十八人目の忠臣と呼ぶのかと、ちょっと失望しかけるが、我慢して読み続ける。この本は「討ち入り後」に一気に面白くなった。きよは他家に奉公する。その家の真の忠臣になることで、浅野家も道が開けると信じて。やがて、きよは思いもよらぬところに流されて行く……。絶対にあとがきを先に読まないように。AMAZONで内容紹介や書評なども見ないように。主人公きよの正体(モデル)を知るのは読者だけでいい。(柴田)
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●友人にメール。話の流れから、もし輪廻転生があるなら次も人間に生まれたいと書いた。今と同じ記憶を持ち、今と同じ気質のままで、同じく日本人として。男に生まれたかったけれど、今は女もいいなと思えるようになった。今の人生も楽しいけれど、今度はあれやこれをしたい。もっと賢く頑張りたい。そのメールを送った後、CMを見た。トヨタのReBORNシリーズ。ビートたけしとキムタクが出演しているもの。ハワイアンズ篇での、マツコデラックス扮するお市の方と、たけし扮する秀吉のやり取りがどすん、ときた。「あたし、残る。ここで踊ってく。」「せっかく生まれ変わったんだから、好きなことやんなよ。」もしかしたら、今の私の人生が、その輪廻転生で人間に生まれて来た時なのかもしれないよね。(hammer.mule)
< http://toyota.jp/tvcf/contents/reborn/ > 動画