●いつから、「夢」が人生の目標を語ることと、同義となったのだろう。私には強い違和感がある──と書くのは、作家の桐野夏生である。読売新聞のコラム「いやはや語辞典」で読んで、わたしも激しく同意するものである。とはいうものの、今まではちゃんと考えたこともなかったのだが。
「将来の夢は何ですか?」という問いかけに対し「学校の先生」とか「看護士さん」「ケーキ屋さん」などと子どもが答える。よく見られる場面だ。しかし、それは具体的な職業、目標であって、「夢」という語で表すべきものではない。かつてわたしは何と答えたのか。幼児の頃は「昆虫博士」だったか。長じては「本をつくる人」だった。とりあえず目標は叶った人生といえるだろう。だが「夢」といったら?
「『夢』は、もっとほんわかしたイメージに使うのだ。抽象的と言ってもいい。例えば、『あたたかな家庭を築いていきたい』とか『平和な世界を作りたい』とか。そのための方策があるようでいて、どうしたらいいかわからないから、皆で知恵を絞って考えていく、そんな時に使う」と桐野夏生はいう。「甲子園で優勝したい」とか、「金メダルをとりたい」という、練習を積み重ねて努力することは、目標に向かうことであって「夢」に向かうことではないのだ。
辞書では「将来実現させたいと思っている事柄」も意味のひとつにあげられていて、「政治家になるのが━だ」「少年のころの━がかなう」の用例もある(デジタル大辞泉)。また「現実からはなれた空想や楽しい考え」という意味もある。こちらのほうが「夢」の解釈としては楽しい。桐野夏生は「現世と対義ではない目標」としている。現世で実現可能なリアルな目標は「夢」ではない。いい歳してようやくそれがわかった。わたしの「夢のドリーム」(笑)は何か、人から感心されるようなことを考えたい。……なんて俗物なんだ。(柴田)
●私も夢について同じこと考えたことがあった。自分が変なんだろうなぁと思っていたわ。
うちのBD・HDDレコーダーは、おすすめ番組を勝手に録画する。容量がいっぱいになりそうなら、見ていなくても勝手に削除される。いままでの録画傾向や、予め入れておいたキーワードを元に選ばれるようなんだが、最近入っていたものに『朝の時代劇体操』なる番組が。
時代劇専門チャンネルのもので、瀬川瑛子が歌い、真島茂樹が振り付け、ペリー荻野作詞に小杉保夫作曲と、妙に豪華(笑)。『GO! GO! 侍ニッポン』という歌に乗って体操をする。
歌詞は「愛しの土方様 あなたは強い人 走る走る走る走る 夢を求めて ヒジ! カタ! 愛しの土方様〜」で、肘と肩。二番以降は吉宗様と鬼平様。
時代劇専門チャンネルの契約はしておらず、わざわざ無料放送の中からこの番組をピックアップしてきたレコーダーに驚き、瀬川瑛子の特技ってカロリー計算なんだ〜 などとプチ情報を仕入れつつ、この後記を書いている。(hammer.mule)
http://www.jidaigeki.com/forum/taisou/index.html
動画があった