「写真を楽しむ生活」のページ頭です

写真を楽しむ生活

写真が好きなすべての人に役立つ情報クリップ。写真展情報は"日本最強"!

趣味の構造美の巻

2014/02/28コメント

趣味の構造美の巻


齋藤 浩


私において美の基準とは、「機能する、意味のある構造か否か」をさす。さらに“装飾”を持たず、できれば作り手に下心がないことが加わればパーフェクトだ。


そんな構造美を見つける度に撮影していたところ、気がつけばかなりの量になっていた。それらをできるかぎり美しく=構造がわかりやすいようモノクロ表現に統一し、少しずつまとめている。


今回はその中から10年前に撮ったものを中心に何点かご紹介いたします。


由緒正しい木造商店建築。昭和の構造。くどいくらいに「たばこ」を主張する点はとくに評価していない。


001


道路と水路の関係。地形の美学。垂直に交わる道路と水路だが、橋に相当する部分に内輪差を見越した(?)微妙なナナメ面が追加されているところが面白い。水路の脇に無粋なネットやガードレールがない点も高く評価。


002


水とともに暮らす町では、水のありがたさと恐さを親から子へきちんと伝えていくのだ。そうすることにより、代々同じ景観を共有できる。これは素晴らしいこと。


円形の庇と柱。シンプルな美。門司港にて。


003


美トラス! 旭川にて。リベットのパターンも美しいし、なにより力を分散し、バランスをとりあっている様子が視覚的に伝わるところがイイ。
 
004


美灯台! 北海道だったことは間違いないんだけど、どこだったか忘れました。とにかくシンプルな構造と陰影が美しいと思い、シャッターを切りました。


005


風車。旭川から稚内へ向かう途中に立ち寄った風力発電用風車群。旅の途中、時間を変えて二度訪れたのだが、光の違いで印象がまるで異なることに驚いた。


006


ミニマルな構造美。最近はズームレンズを全く使ってなかったけど、こうしてみるといいものだなあ。


タイヤ。群馬県某所。構造美というよりも、無意識の構成美かな。ただ積んであるだけなんだけど、もしここに美しく積もうという意思が介在したら、けっして自然な印象にはならないはずだ。


ゴム臭を思い出しながら現像していたら、かなり濃いめに仕上がった。
 
007


階段。構造が美しいのはもちろんだが、トリミングがうまくいった! と思う。沖縄にて。


008


今回の写真はいずれもエントリー系の一眼レフ+高倍率ズームで撮影したもの。こうしてみると、構図に気持ちを集中していたなあ、と思う。


ここ数年、その緊張感から離れたくてレンジファインダーカメラばかり連れ歩いていたけど、機材が変わると写真も変わるものなのだなあと改めて認識いたした次第。


さて後から気づいたことなのですが、これらはいずれも撮ることを目的として出向いた結果ではなく、カメラを持って歩いていたときにたまたま見つけた物件です。


広告写真なんかは、最終的なイメージに向けて無作為を演じつつ作為的に撮るけど、無作為な構造美は撮影する側も最初から下心を捨てていた方が納得のいく絵が得られるような気がしました。


旅も目的地よりも、その過程のほうが印象に残ったりするものだしね。



『趣味の構造美』の続きです。前回は10年ほど前に撮った写真中心でしたが、今回はここ1〜2年に撮った「装飾を持たず、必然から生まれた構造物のコレクション」を紹介したいと思います。


あの小惑星探査機『はやぶさ』や宇宙帆船『イカロス』等の通信施設としても有名な、臼田宇宙空間観測所のパラボラアンテナ。直径64メートル。はやぶさが行方不明になっていた際、発見の手がかりとなる微弱な電波を受信したのもこの『うすださん』。後姿もたのもしい。


・うすださん


SONY DSC


友人の事務所を訪ねて某ビルの9階に出向いた際、外階段から見下ろした風景がこれ。何世代も前から生きながらえていた木造家屋の瓦屋根が、絶妙なグラフィックパターンを見せてくれた。


昔はあたり一面がこんな感じだったのだろう。こういった日本独自の美が失われているのは寂しいかぎり。


・先週水曜の瓦屋根


002-1


U字溝ブロックを並べて車止めにしている。この物件には以前からミニマルな美を感じていたのだが、先日しゃがみ込んで覗いてみたところ、「スターウォーズ」のデススター攻略線的パースペクティブ! な世界だった。


「おお!」とか感嘆の声をあげながらシャッターを切るオレの姿は、さぞ怪しかったことだろう。通報されなくてよかった。


・デススター的


003-1


神楽坂にて発見。人が上り下りするうちに、石がすり減って独自の曲面が生まれるような例は知っていたが、これは左官屋さんがノリで作った印象がある。


そして踏み面すれすれに窓が。窓に合わせて階段ができたのか、階段に合わせて窓ができたのかは不明。


・とろける階段


004-1


尾道にある美しい階段。こんど行くときは、超広角レンズで全体像を記録したいところ。


・扇形階段


SONY DSC


究極のミニマルな美だと思う。この写真を絶賛してくれる人がいる反面、そうでない人も多数。


世代交代による土地の切り売りの影響か、地方都市においてスライスされた木造建築をよく見かける。四半世紀前の東京がそうだったように、この駐車場もほんの少し前までは昭和な佇まいの家屋と庭だったのだろう。


経済主導で風景がなくなるのは嘆かわしいことであるが、この瞬間に限って言うなら、真新しい駐車場のペイントとスライスされた家屋の断面に時代の境界を感じなくもない。まあただの壁と地面と言われちゃあそれまでなのだが。


・尾道の駐車場の壁
 
SONY DSC


同じ駐車場脇の壁ではあるものの、おそらく尾道とは異なるシチュエーションで出現したと思われる。


店舗拡張かなにかで後から駐車場を作ったところ、本来人目にさらす予定のなかった隣家の壁面が公の場に、というパターンだろう。化粧気もなく素朴だが、油絵のタッチのような力強さを感じる美壁。


・軽井沢の駐車場脇の壁


SONY DSC


某公園にて。仲のよい恐竜がみんなで同じ方向を向いてる。面白い彫刻だなあ! と思ったけど、よく見たらそういう訳でもないみたい。


ネタをばらせば、ベンチの骨組みだけ残ったものだが、このような、“作為”とは無縁の立体造形こそ、かえって印象に残ったりする。公園といえば唐突に裸の銅像が立ってたりするけど、オレはこの恐竜の方が好き。


・恐竜×3


008-1


今回の写真は50年前のフィルムカメラで撮ったものもあれば、最近のデジタル一眼レフで撮影したものもあります。


しかし、いずれもあまり考えすぎず、素直にシャッターを切ったものはわりと思いどおりに撮れてるものだなあ、などと思う今日この頃です。


とくにデジタルカメラの場合は撮ってすぐに画像を確認できるので、一枚目を参考に二枚目以降は冷静に構図や露出を微調整してゆくものですが、イイ! と思った感動は後になるほど薄れるらしく、ほとんどの場合一枚目が“当たり”でした。


この『趣味の構造美』、気がつけばけっこうな量になっていたので、日の目を見せるべく某写真コンペに出品してみようかと思います。


無事写真展までこぎつけたあかつきには、皆様のご来場を心よりお待ちしております。オリジナルプリントの販売もできたらいいなあ。夢はおおきく。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

コメントをどうぞ

ご意見お待ちしております!

情報の誤り、リンク切れなどございましたら、お手数ですが、この欄もしくは情報提供フォームからお知らせください。

YouTubeで見つけました!

広告
このページの上部にもどる

アクセス

いろいろな方法でアクセスできます!

Twitter

    Photos

    Kagoshima_1Follow meMy photo世田谷線 松陰神社前駅 TOKYO JAPANFocusHears A Little, Sees A LotBD363805-EE8D-4A2B-8EC4-C547486E9F29346822B2-8953-4130-9E83-D174467445C0