●会社員時代に大変な読書家である同僚がいて、よく「広辞苑なんか間違いだらけだ」と言っていた。浮世離れした坊ちゃんなので、もしかしたら本当に広辞苑を読んでいたのかもしれない。わたしのデスク脇の書棚に昭和44年発行の「広辞苑」第二版がある。わたしの就職祝いに、大学のクラブの後輩たちがお金を出し合って買ってくれたものだ。当時でも3200円と高価だった。かけだし編集者の頃はよく使っていたが、2500ページに迫る厚さと重さに閉口して、やがてコンパクトな新潮や岩波の国語辞典に乗り換えたため、もう何10年もページを開いていない。
「広辞苑によれば」と引用されていれば、その信用度は絶対だったが、いまもその権威、神通力はあるようだ。テレビのクイズ番組で出題の権威付けに「広辞苑によれば」と言っている。広辞苑はたんなる国語辞典ではない。国語辞典兼百科事典である。ところが、その百科事典部分、とくに近現代史の用語にとんでもない罠が仕掛けられている。それは日本悪者論ともいうべき、偏向に満ち満ちた解説のオンパレードなのだ。水野靖夫「『広辞苑』の罠──歪められた近現代史」(祥伝社新書、2013)でその具体例を知った。
岩波書店だからさもあらん。じつは以前もどこかでそんな記事を読んだ覚えがある。この本では筆者が不審に思った点、版を重ねるに従って偏向の度合いを増している点を拾い上げてまとめたもので、ある見出しについて広辞苑の「偏向した解説」を取り上げ、それに対する厳しい批判・反論をしたうえで、「正確にはこう記述すべきであるという解説」をつける構成だ。日本と朝鮮、シナ、ロシア・ソ連、アメリカとの関係史/日本の近代史・戦後の外交関係史の六章にわたり、虚偽の歴史と本当の歴史が対照されていてまことに興味深い。
「従軍慰安婦」という項目が立つ。解説は「日中戦争・太平洋戦争期、日本軍によって将兵の性の対象となることを強いられた女性。植民地・占領地出身の女性も多く含まれていた」と韓国側の言い分をそのまま掲載している。筆者はこう書けという。「日本軍が将兵の性の対象とするため強制連行したといわれた慰安婦のこと。実態は、日本人がでっち上げ、朝日新聞が煽り、政治家が韓国政府との間で政治決着するため認めた事実無根の話」そのとおりだ。
「概して、日本が加害者の場合(真偽が疑われる場合も含めて)は、ことさら強調して記述し、日本が被害者の場合は、その事実自体を無視するか、扱う場合でも、きわめて冷淡である。しかもその傾向は、版を改めるにつれて強くなる」。「東京裁判」については、その不当性については一言も触れていないばかりか、「パール判事」は記載なし。「拉致事件」は記載なし。
広辞苑を権威と思い込んで利用するのは極めて危険で有害である。鵜呑みにしたら洗脳されて、日本が大嫌いになる。第六版刊行にあたり岩波は「今日では1100万人の読者を持つ国民的辞書に育ち、日本語の規範として、ゆるぎない信頼をいただいております。そしてここに、21世紀に入って初めての全面的な大改訂を施した第六版をお届けします」「日本語を私たちの手で守りたい──『広辞苑』は生まれたときからそう希ってきました」と社告で書くが、たしかに日本語を守る点では信頼できるが、日本を守る点では真逆でほとんど売国の機能しかもたない。岩波には正しい記述の第七版を出す義務がある。やるはずがないと思うが。(柴田)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396113501/dgcrcom-22/
「『広辞苑』の罠──歪められた近現代史」
●大嫌いな、退屈な、成果の見えないはずの繰り返し暗記という英単語学習が、『えいぽんたん』では続けられるの。というより、私自身勉強しているつもりがまったくない。
居心地の良いぬくぬくしたベッドで、手軽なアプリで気負うことなく始められて、記録も勝手につけてくれて、正答するたびに褒めてもらえる。時間の無駄のようなイベントがあるけど、それも必要なことなんだなぁと最近では思える。
四択とはいえ、3,000語は正答している。二か月で3,000語って、自習なら絶対達成していないわ。100単語ずつを1レベルにしてあって、95%正解しないと上のレベルの問題には行けない。覚えるまで6回は回せと言われているけれど、6回どころの話じゃない。その上、復習イベントがある。
匿名なので、自ら表明しない限り、年齢なんてわからない。小学生もやっていて、彼らは四択の漢字が読めず、辞書引いて覚えてますって言ってたよ。小学生と社会人が同じ土俵でランキング争いしたりするよ。私に子供がいたらやらせるわ。こんなのが学生時代にあるなんて羨ましいなぁ。英文や音声にも不自由しなくて、それも羨ましい。
『えいぽんたん』の参加者には、英語を使う職業の人や、海外で過ごす人もいる。みんな頑張っているんだなぁと。適度な距離感で人目のあるカフェみたい。
で、単語がわかるようになってきたら、ニュースを読むのも楽になってくるね。あ、これ出題された、何だっけと思える。iPhone Safariだと、わからない単語は長押しして内蔵辞書を表示させられるから、イライラがない。気になる単語は、いくつかの辞書アプリで調べることも。
iPhoneだと横断検索はできないから、サジェスト機能付きのアプリ『MyFind』を使う。起動して入力しはじめると候補が出てくるので、検索先をタップして選ぶと、該当アプリが立ち上がり結果を出してくれる。別のアプリで検索したかったら、MyFindに戻りタップするだけ。
MyFindをインストールして最初に起動すると、既にインストールされている辞書系アプリアイコンが自動的に列記される。入力しはじめるとサジェストが出るので選ぶか、最後まで入力する。確定を押すと、デフォルトではgoogle検索、辞書アイコンを押すとそちらで検索される。無料なのでお試しくだされ。
えいぽんたんにはスペル問題や、穴埋め問題もあることはあるが主流ではない。ここで最高レベルまで行ったら、たまに復習のためにやる程度にして、次は例文や派生語を含めて定着させないといけないだろう。開発者さんたちに感謝。いまだ無課金でごめんなさい! 面白そうなイベントの時に、授業料代わりに課金してみるね。(hammer.mule)