●映画「リンカーン/秘密の書」DVDを見る(2012、アメリカ)。スピルバーグ版の「リンカーン」に便乗したおバカB級作品と思って舐めていた。そりゃそうだろう、昼は大統領、夜はヴァンパイア・ハンターという大嘘のトンデモ設定である。この前見たリンカーンは大鎌をふるうゾンビハンターだったが、今度はみごとな斧さばきでヴァンパイアをバッタバッタと征伐する。ほんとにアメリカ大統領って忙しい。
人類とヴァンパイアの戦いは、アメリカの人々を南北戦争に導いていく(ンなアホな)。奴隷解放はヴァンパイアからの解放だった(ンなアホな)。まったくもって荒唐無稽なお話だが、ていねいに作りこんだまともな映画だった。アクションシーンも迫力があり、なかなかいい出来だと思った。それにしても、リンカーンってとても絵になる。どんな役者が演じてもリンカーンになる。
南北戦争は、アメリカが関わった戦争で最大の63万人もの死者を出した。わたし(たち)は、リンカーンの「奴隷解放」と「人民の人民による」云々の美化された歴史しか教わってこなかった(刷り込まれた)が、南北戦争とは北の工業地帯と南の農業地帯の、国家覇権をかけた戦いだったと後で聞いた。正確には知らないが、「奴隷解放」がメインではないことは確かであろう。ましてや、ヴァンパイアやゾンビからの解放でもない。でも、奴隷にとって白人はそんな存在だったのかもしれない。
高山正之の「変見自在」シリーズの「偉人リンカーンは奴隷好き」(新潮社、2010)によれば、教科書でおなじみ「奴隷解放の父」で知られるリンカーンは、国際世論がうるさい黒人奴隷に代わって、格安の中国人苦力をとっくに見つけて使役していたそうだ。奴隷廃止は額面通りではなかった。リンカーンはいかにも人道的な人のような印象だが、奴隷解放宣言と前後して、騎兵隊にダコタ族討伐命令を下し、その処刑まで命じた。メイフラワー号の時代から現在まで、アメリカの所業は人非人そのもの。そんなやつらに、日本の歴史認識について何も言われたくない。(柴田)
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「リンカーン/秘密の書」DVD
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高山正之「偉人リンカーンは奴隷好き」
●続き。相手の動きを読み、受けたり返したり。タッグだとリングの外にいるレスラーの動きも目の端で追う。長時間戦うため、休憩や痛くない攻撃も必要。地味だけど痛い、という技は華やかではないので、それをどう見せるか考えないとお客さんは飽きてしまう。ワンパターンだとつまらない。
いくら力持ちのレスラーたちだって、そう簡単に相手を投げることはできない。だから、投げる時には技を受ける側の協力がいる。それに大技だと危険なので、受け身が下手な相手には使えない。体のできていない相手に技は出せない。
よく八百長とは言うけれど、タイトルがかかっていないものは、最後をどうするかは決まってるような気がする。でもタイトルは、協力プレーをしながらも、立ち上がった後に技を繰り出せるかどうかを基準として、決着が決まるように思う。呼吸を合わせ、とっさに技を出し、受け、形にしつつ、体力と根性がなければ起き上がるな、みたいな。勝負より印象に残る試合をする方が大切みたいだし。(続く)(hammer.mule)