●浅田次郎「降霊会の夜」を読む(朝日新聞出版)。信州の別荘地にひとりで住む初老の男が、謎めいた女の誘いでミセス・ジョーンズが開く降霊会に参加する。かつて男と同じ時を過ごした人たちの霊魂が現れ、彼の心の闇の奥深くある記憶の古井戸の蓋を開けて行く。忘れたことにしていた暗い記憶が次第によみがえる。彼が知り得なかった真実が死霊や生霊によって語られる。最初の夜に現れたのは、小学3年生の1学期だけの友達キヨとその家族、知り合いの警察官などだ。彼らの心の内を知ることによって、彼のうちに燻り続けていた悔悟や罪悪感がきれいさっぱり拭われる。
ところが、二日目の夜、招かれざる客が降りて来る。一番会いたいと念じたのは、大学時代に半年つきあって、潮時という身勝手この上ない理由で捨てた百合子だった。しかし、現れたのは……。迷える霊魂の哀切極まる語りは絶品だ。一人語りさせたら、浅田次郎の右に出る者はいない。それにしても苦くて重い話だ。
浅田作品には、娘の霊魂が現れる「鉄道員(ぽっぽや)」がある。主人公の悔悟が救済される、心温まる泣ける話だ。ながやす巧の描いた漫画を持ち出して、一気に読んでまた泣いた(しかも「ラブ・レター」との2本立て)。しかし、「降霊会の夜」の主人公の悔悟や罪悪感は救済されたとは思えない。これからは以前に増して孤独な日々が続くのだろう。もやもやした読後感がいつまでも漂う。わたしは過去を振り返るのがきらいだ。恥ずることの多き一生でした。って、まだおめおめ生きてます。(柴田)
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●カブトムシの幼虫。朝起きた時にフンが増えていて、底にいたらほっとする。フンは作り物のよう。ボトルガムの粒に似ていて、大きさは半分ぐらい。机の上に置いて合間合間にも生存確認をする。さすが自然の無農薬ファームだぜ、焦げ茶(土)と白(幼虫)と青(ジップロックコンテナの蓋)に、緑が加わった。草がひょろひょろ〜と伸びてきたよ。
家人の会社に、クワガタ生育セミプロがいて、カブトムシのケース(コバエの入らないフィルターつき)をもらってしまった。丸いほうがいいらしい。ジップロックコンテナも丸かったぜ。昆虫ショップについても教わる。このセミプロは育てるのが好きで、近所の子供たちにあげたりはするものの、ショップに売ったりはしないそうだ。夜行性のクワガタに合わせて、夜中に取りに行くツアーがあって、場所を覚えさせないために、車の内部にカーテンが吊られているとかいう話も聞いた。うちのマンションには広めの植樹エリアがあるので、カブトムシの幼虫をツガイで育てて、産まれた卵を埋めてやったら自然に育つのだろうか。腐葉土をえさに、成長してからも樹液。国産カブトなら生態系を壊すことはなさそうなんだが。
三日前、ゴキブリが死ぬ時のように土の表面でひっくり返っていた。直視できず、死んでしまったと半泣きで家人に電話していたら音がした。動きはじめた。しかし明らかに弱っている。酸欠なら私の土の管理が悪い。新たに土を買った。環境が変わってはと、古い土からも一部入れようとふるいにかけたら、出てくるわ出てくるわ、フンの山。食料が減っていたのと湿度(醗酵しての酸欠)のせいだろう。土を変えたら、もこもこもこもこと潜っていった。気に入ったようだ。 (hammer.mule)
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