●なんとも複雑な思いにさせられる新聞広告を見た。「くまもとあか牛」の魅力を、くまモンが伝えるというやつである。とってもやわらか、しかもジューシーだモン! 程よい脂肪でさっぱりヘルシーだモン! これらは肉の写真だからいいとして、牛の写真がつかわれているほうの解説(セールスポイント)はどうかと思う。
のびのび育って、ノンストレスだモン! ママの愛情たっぷりに育ってるモン! だという……。牛たちは阿蘇の清らかな天然の地下水を飲んで、大草原でのびのびと歩き回り、ストレスなくおおらかに育つ。母と仔が一緒に放牧され、自然哺乳で育つ。母乳で育った牛は免疫力が強くなり、健康に育つ。くまもとあか牛は順調に、健康に、育つ、育つ、育つ。
健康に育ったあか牛はその後どうなるのか。ママの愛情たっぷりに育った仔牛はその後どうなるのか。いつまでも幸せに暮らしましたとさ、ってわけないだろう。食べてほしいモン! と訴えるのは商売だからしかたないけど、なぜ食肉製品となる前の、牛が幸せいっぱいに育っていることを語らなければならないのか。
子どもの頃、牛馬が飼い主から引き離される時の悲しみを、物語で読んで泣いた。それが心に残っている。だから、なんという無神経で残酷な広告であろうかと思う。コピーライターはどんな気持ちでこれを書いたんだろう。……なんて思うのはわたしだけだろうか。
新聞で「奥様は魔女」が放映されているのを知った。テレビ東京の平日朝8時からである。いままで気がつかなかったのは当然だ。さっそく録画しておき妻に見せたら、それこそ欣喜雀躍。前々から見たい見たいと騒いでいたテレビ番組が、奇跡のような出現である。このHD録画はとうぶん消せないな。 (柴田)
http://www.tv-tokyo.co.jp/okumajo/
奥様は魔女
●岸勇希氏『コミュニケーションをデザインするための本』を読みかけている。2008年に出版された本で、すでに1万5千部突破している。事例がとても勉強になる。私はWebサイト制作がメインで、どうしてもネットで完結する企画を考えがち。この本はターゲットや予算から企画を取捨選択。そこに至る経緯から、予想しなかった流れや失敗までもが書かれてある。オススメ。
女子大生をターゲットとした商品では、広告入りの裏紙で無料コピーできる『タダコピ』を使い、大学ごとに違う内容にして、コレクション魂をくすぐる。コピー機から出てくる広告を交互に違うものにして、簡易比較。ファッションショーを行い、Webサイトとも連携。うーん、こうやって書くと面白さが伝わらないな。発想のモトから読めるのは面白いよ〜! (hammer.mule)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4885531985/dgcrcom-22/
コミュニケーションをデザインするための本
http://www.tadacopy.com/index.html
タダコピ。テレビ離れ、新聞離れの今はより有効だと思う。