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写真を楽しむ生活

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カテゴリ ‘デジアナ逆十字固め…/上原ゼンジ’ のアーカイブ

上原ゼンジ


Facebookのタイムラインに次のような「近況」が流れてきた。


「所沢市では、市内の小中学生全てに金環日食を観察する機会があります。この取組みを全国に広めたいです。『日食観察会@所沢』」


コメントの主は、天体望遠鏡や顕微鏡などのメーカーであるビクセンの社長の新妻和重さん。ご自身のブログにリンクが張られており、今年の5月21日に見られる金環日食について書かれていた。要旨は金環日食が見られるのは7時30分ぐらい、ちょうど通学時間に当たってしまうため、きちんとした観察会をセッティングして、子供たちに見せてあげられないだろうか、ということだった。


ビクセン本社のある所沢市では、校長会が理解を示してくれ、市内の全小中学校で観察会が開催されることになった。できればこの取組みを全国に広めたいという話だ。今年金環日食があるということは知っていたが、それが通学時間に当たるということは知らなかった。


所沢市はお隣の市だが、残念ながら我がふじみ野市ではこのような動きはない。しかし、うちの今年中学に上がる娘にもぜひ見せてやりたい。当日は彼女の誕生日でもあるので、実現すればいい記念にもなるだろう。そう思うと私はいても立ってもいられなくなり、ふじみ野市役所に乗り込んで市長に直談判をした。


というような行動力は残念ながら持ちあわせていないので、市の広報にメールをしてみた。でもそれではちょっと足りなそうだ。そう言えばふじみ野市の市議会議員さんからFacebookでフォローをされていた。こういう時は議員さんに陳情すればいいのだろうか? と思ってFacebookでメッセージを送ってみた。するとしばらくして、次のようなコメントがタイムラインに流れた。


「全小中学校で『金環日食観察会』を実施したいと思います。みなさまどう思いますか? ぜひ覗いてみてください。」


リンクは仙田さだむ議員のブログにつながっており、市に日食観察会の提案をしてくれたようだ。ありがとう仙田議員! あなたのことは忘れません。そしてマーク・ザッカーバーグさんにも感謝します。


登校途中の子供たちが肉眼で太陽を見てしまうと危険だし、世紀の天体ショーをじっくりと観るためにも、日食観察会が全国に広がっていくことを私も望みます。ビクセンでは社員が日食を見られるように、この日は金環日食休暇にするとのこと。子供ばかりではなく、大人だって見てみたいもんね。


「521金環日食観察会」を広めようという取組みに賛同していただける方は、ぜひ、学校や市や議員さんやマスコミなどに働きかけをしていただければと思います。金環日食休暇にして欲しい人は、社長さんに直談判してみてください。当日は晴れるといいですね。


◇「521金環日食観察会」を全国に広げよう!
http://www.zenji.info/column/eclipse.html


◇日食観察会@所沢/びっくりビクセンBlog
http://ameblo.jp/vixen/entry-11139843487.html


ついに「宙玉レンズ for iPhone」登場か?!


来月の頭にはカメラ関係のイベントである「CP+」と印刷、メディア業界のイベントである「page2012」が開催され、期日がもろにバッティングしている。私は両方とも顔を出そうと思っているのだが、CP+の方では間に合えば「宙玉レンズ for iPhone」の発表をしたい。


これはギズモショップから声をかけて貰って製作中なのだが、試作が上がるのがイベントの前ギリギリになってしまう。だから試作の出来が良ければ手にとってもらえるし、出来が悪ければアクリルケースの中に陳列。人様に見せられるようなものにならなければ、イメージ画の展示、という感じでしょうか。


この宙玉レンズは「ZENJIX」というブランドから出す予定。「ZENJIX」では3カ月に一点ぐらい新製品をリリースして行きたいと、さっきSkype会議でギズモショップの社長が言ってたんだけど、本当にそんな展開になるのでしょうか(笑)


でもこのギズモショップの清家英明社長はいろんなアイディアを持っているので、話していると凄く面白い。最近だとカメラ型のiPhoneケース「iCA」が発売になり、けっこう話題になっている。これはただケースにカメラのデザインがプリントがしてあるわけじゃなくて、レンズ部分(偽物)が本当に出っ張っていたりするので、かさ張って邪魔。だけどストラップを付ければ、首からぶら下げられるようになるという冗談のような製品。


ファインダー部を覗いて撮影できたり、シャッターを押すと本当に写真が撮れるというところがけっこう楽しい。またこれからこのケースに取り付け可能なフィルターやレンズ類がいろいろと登場する予定だが、その中の一つに宙玉レンズもラインナップされており、iCAに宙玉レンズがねじ込み式で装着できるようになるはずだ。


他にも海外の変わったカメラやレンズを扱っているので、CP+に行かれる方はぜひブースを覗いてみてください。もしかしたら、私も商品説明をしているかもしれません。


◇ギズモショップ
http://www.gizmoshop.jp/
◇CP+
http://www.cpplus.jp/


「page2012」は日本印刷技術協会主催で今年25回目を迎える老舗イベント。さまざまなメーカーやベンダー企業が出展する大規模なイベントだが、セミナーでは印刷、DTPの話ばかりではなく、電子書籍やデジタルサイネージの話など、最新のネタもいろいろとある。


私は「電塾+年に一度のJPC合同大勉強会」というオープンイベントで、「個別プロファイル解禁!?日本の印刷は専用プロファイルで上手くいく」という話をさせていただく予定。これは昨年出版された「写真の色補正・加工に強くなる〜レタッチ&カラーマネージメント知っておきたい97の知識と技」という本を印刷した時の、カラーマネージメントワークフローに関する話。


紙質があまり良くない紙の場合、なりゆきで色は沈んでしまうというのが常識ですが、その用紙の個別プロファイルを作成すれば、それなりに色はマッチするよ、という話。無駄な色校正も減るので、コストの削減にもつながります。タダなので、興味のある方はぜひどうぞ。


◇「電塾+年に一度のJPC合同大勉強会」
http://www.jagat.or.jp/PAGE/2012/session/session_detail.asp?sh=5&tr=10&se=45
◇「page2012」
http://www.jagat.or.jp/PAGE/2012/


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com < http://twitter.com/Zenji_Uehara >
上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/ >
Soratama – 宙玉レンズの専門サイト
< http://www.soratama.org/ >
上原ゼンジ写真実験室のFacebookページ
< https://www.facebook.com/zenlabo >

上原ゼンジ


PHOTOGRAPHER HALさんの写真展「Flesh Love」(ギャラリー冬青)を観てきた。同シリーズは、今年の5月にニコンサロンで行われたものも観たが、ニコンサロンでは大判プリントだったのに対し、今回はコンパクトなサイズにプリントして展示を行なっている。同じシリーズでも、サイズの大小で与えるイメージ変わってくるのでなかなか面白い。


「Flesh Love」の撮影はカップルを布団の圧縮袋に入れて空気を抜き、食品の真空パックのようにした状態で行われる。ヌードの場合もあるし、派手な衣装に身を包んでいる場合もある。被写体はある時点から息を留めているので、2〜3回シャッターを切ったら、すぐに袋を開けて解放する、というかなり緊張感のある撮影現場になるとのこと。


この写真の面白いところは、撮影前に服装やポーズなどの打ち合わせはするものの、圧縮することよって変なふうに体が歪み、想定外の状況になってしまうということだ。やっぱり絵コンテを書いてそれをなぞるような写真よりも、偶然の面白さが加わった方が、写真は魅力的になる。またストロボ光がビニールで反射する様子がチープでポップで艶かしい。


同シリーズは写真集にもなっているが、iPad版が出来たということで、帰ってから早速ダウンロードしてみた。このiPad版もなかなかいいです。いい理由はiPadの光沢感のある液晶画面に、作品がマッチしているということ。ビニールのテカリ感は紙に再現するよりも、iPadで観るほうがよりリアルな感じになる。


それに紙は光らないけど、iPadは光るということも大きい。今後ディスプレイの輝度がさらに上がったり、広色域化したり、解像度が上がったりすることを考えれば、ディスプレイで鑑賞した方が面白い写真というのも増えてくるんだろうなと思わせられた。また、この撮影のメイキング映像なども含まれているのでおすすめです。


今回はちょうどHALさんにも会って説明していただけたので、より面白く観ることができた。在廊予定は冬青社のサイトにアップされるので、できたらご本人の説明を聞きながら鑑賞することをおすすめします。


PHOTOGRAPHER HAL「Flesh Love」
会期:12月2日(金)〜12月24日(土)日月祝休
会場:ギャラリー冬青(東京都中野区)
http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_exhibitions.html


◇Photographer’s File #9(デジカメWatch/HARUKI)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/20111202_495506.html


被災地域のストリートビューが公開


Googleにより、東日本大震災の被災地域のストリートビューが公開された。これはストリートビュー撮影車を使って被災地域を周り、震災の前と後の様子をパノラマ写真によりアーカイブ化し、公開するという試みだ。


◇未来へのキオク
http://www.miraikioku.com/streetview/


私は被災地を訪れていないので、写真や動画でしか被災地の状況に触れていないわけだが、あらためてGoogle Mapでパソコンを操作しながら現地の状況に接してみると、あまりに規模の大きな災害だったことにに驚かされる。


初めにストリートビューで現地のパノラマ写真にアクセスした時は、一見普通の風景にも見えた。しかし、元々家やビルがあった場所に何もなくなり、瓦礫ばかりが積み重ねられている状況に気づくと愕然とさせられた。


そしてその光景が360°つながっているのだから、平面の写真とはまるで臨場感が違う。またすでに道路は開通して車も写っていたりするので日常感もあるのだが、それがかえって恐ろしさを増幅させる。


通常報道写真というのは、撮影者が意図を持って四角いフレームに収めるわけだが、撮影者が自分のイメージに合わせて切り取った非日常的な光景よりも、ストリートビュー車によりオートマティックに撮影されたパノラマ写真の方が、よりリアルに感じさせられる。


震災直後には、海外からたくさんのカメラマンが訪れて震災地の写真を撮っていった。そして、それらの写真が掲載された海外のWEBサイトでは、日本のメディアではあまり見かけないような報道写真が見られた。たぶんあの時期の日本には、世界中の著名報道カメラマン達が集結していたのだろう。


それらの写真を見て、クオリティーの高さにびっくりするとともに、何か違和感を覚えていた。報道カメラマンとしては当たり前のことだと思うが、その場の光を生かし、構図がバッチリ決まった写真はどこかウソ臭く、逆にリアリティーが損なわれているように見えたのだ。


もちろん360°のパノラマ写真によって一瞬を切り取るスチル写真が駆逐されるとは思わないが、閲覧する側が能動的に見たい場所を選び、拡大できる機能というのは非常に魅力的だ。また、とりあえずムービーやパノラマで撮影しておき、後から瞬間や部分を切り取るという手法は一般的になっていくんだろうなと思わせられたのだった。


尾仲浩二「海町」展


尾仲浩二さんの写真展「海町」がギャラリー街道で開催される。これは尾仲さんが20年前から撮影してきた三陸地方の写真をセレクトした展示。キャビネサイズの写真をは一点10,000円で販売し、売り上げの50%を今回の震災で親をなくした子供たちへの一時金、奨学金「あしなが東日本大地震・津波遺児募金」へ寄付されるとのこと。


会期:12月17日(土)/18(日)・23(金)/24(土)/25日(日)
会場:ギャラリー街道(東京都杉並区)
http://www.kaido-onaka.com/これからの展示-upcoming/尾仲浩二-海町/


「第15回写真家達によるチャリティー写真展」への参加


私もチャリティー写真展に参加させていただく。こちらは225名の写真家のオリジナル作品を展示、即売するもの。やはり一点一万円で販売されるが、その場で持ち帰りとなるので、興味のある方は早めのご来場をお勧めします。
http://www.stbears.com/pvj/


「第15回写真家達によるチャリティー写真展」
12月16日(金)〜18日(日)10:00〜19:00
富士フイルムフォトサロン・東京(東京都港区)
http://www.fujifilm.co.jp/photosalon/tokyo/s12/111216012.html


「写真家達によるチャリティー写真展15 Part.2」
会期延長で、12月21日(水)〜25日(日)10:00〜19:00
フレームマン・ギンザ・ショールーム(東京都中央区)
http://www.frameman.co.jp/ginzasalon.html


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com 
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上原ゼンジ


デジカメWatchに『「トイ蛇腹レンズ」を作ってみよう 〜世界でただひとつの描写を手に入れる』というテキストを書いた。この連載を以前から読んでいただいている方はご存知だと思うが、蛇腹レンズというのは、デジクリでテキストを書きながら進化してきたネタだ。


今、デジクリ(写真を楽しむ生活の姉妹メルマガ)のサイトで調べてみたら、最初に蛇腹が登場するのは、2006年8月17日号で「蛇腹一号大失敗」という話を書いている。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20060817140300.html


そうそう、一番初めに作った時はうまくいかなかったんですよ。カッコイイ蛇腹レンズが完成して、いざメラのボディに取り付けようと思ったら、付かなかったんだよね。5年前の文章だけど、すごくフレッシュ感じがするなあ。最近は白髪も増えてきたし、文体も変わってきたようだ。


この後、手ブレ増幅装置だの、宙玉レンズだのを開発し、いろんなことにちょっかいを出してはきたけど、蛇腹に関してはいまだに進化しているし、もうちょっと広がりが出てもいいかなと思っている。


進化した部分で言うと、袋蛇腹というのと、広角レンズというのが加わった。袋蛇腹というのは、まあ袋の蛇腹ですよ。って何の解説にもなってませんねw。写真の方をご覧ください。紙を幾重にも紙を折り畳んでいくんじゃなくて、袋一つで蛇腹代わりにできないかと思って取り組んだ方法だ。


蛇腹を折るという行為には、はっきり言ってハードルがあると思う。やってみると簡単な折り紙レベルなんだけど、「手前のような者が蛇腹を折るなんて、めっそうもございません」というのが、ごく一般的な反応だろう。そこで、誰もが簡単に蛇腹レンズを作ることができないだろうか? と、ずうっと考えていた。


そんなある日のこと、私は池袋のディープな中国料理店で小龍包に舌鼓を打っておりました。ぼんやりと小龍包の形状を見ていた時、ついに閃いたのです。そして「ΕΥΡΗΚΑ」(ヘウレーカ)と叫びながら、皿に盛られていた小龍包をむんずと掴み、持っていた一眼レフの交換レンズをはずしてボディの中にいきなり突っ込みこそしませんでしたが、小龍包の形状を仔細に眺め、設計図を頭に思い描きました。これが、小龍包式袋蛇腹誕生の逸話にございます。


たまに「いろんなことをよく思いつきますね」とか「どういう時に思いつくんですか」とか聞かれるけど、ずーっと、こういうことばっかり考えてるんですよ。後はメシのことと。だから私の頭の中を割ってみると「写真、写真、写真」というのと「メシ、メシ、メシ」というので構成されているということが分かります。


写真のことを一生懸命考えていても、時間がきたらお腹が空きます。そしたら頭の中は一瞬にしてメシにスイッチします。考えごとに集中していて、食事を忘れてしまうということはありえません。身体の欲求に対し、ひじょうに従順な人間であると言えるでしょう。


・袋蛇腹の次は広角化


蛇腹レンズの広角化に成功したのはつい最近のことだ。このトイ蛇腹というのは、レンズを一枚だけ使って写真を撮る、というのがポイントだけど、難点としては、あまり広角にはならないという問題がある。広角レンズっていうのは、焦点距離が短いですよね。だけど、あんまり焦点距離が短いレンズだと、レンズをカメラのボディーの中に入れないとピントは合わない。


凹レンズを使えば、広角にできるという話を聞き、何度か広角化への道を模索していたのだがなかなか思うようにいかず、頭から血の滲むような努力を重ねた結果、ついに35mm換算で35mmぐらいの画角になった。レンズに関する知識に乏しく、ただファインダーを覗きながら、レンズを取っ換え引っ換えするだけの力技だったので、まあ良くできたものだと思う。


ただし、今までは小さなプラスチックレンズを一枚使っていただけだったのが、大きめのガラスレンズを二枚プラスしたので、レンズは重くなり、紙製の蛇腹はダヨーンと伸びて、情けない姿になってしまった。かなり笑えるレンズになったが、別に笑えるレンズを作ろうとしていたわけではない。私はただ広角にしたかったのだ。


でも試し撮りをしてみたら、なかなかいい感じの描写になった。ここで言ういい感じというのは、ダメダメでいい感じということ。トイカメラやトイレンズはたくさんあるけど、ここまでダメダメ、かつ個性的な描写なのは見たことがない。このダメさ加減はトイカメラでもPhotshopでも無理。そんな描写のレンズが作れてしまうというのが、この工作の醍醐味だ。


プリントしたり、WEBにアップしたりという過程では、必ずPhotoshopを使うけど、あとからPhotoshopでいじり倒すというのは、あまり面白くないし面倒くさい。Photoshopで何でもできてしまうから、あえてPhotoshopではできないようなアナログ表現を模索する、というのが私のやろうとしていることなんだろうな。


◇デジカメWatchへの記事へのリンク
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20110516_445566.html


◇早くも工作した人がいます/the Things give Pleasure
http://quack-quack.at.webry.info/201105/article_8.html


・関西電塾 上原ゼンジの実験写真術


関西電塾主催で「上原ゼンジの実験写真術」という講演があります。美学校で赤瀬川原平さんに習い、本の雑誌社で編集者として働き、森山大道さんに写真を見ていただき、実験的な写真を撮るようになった過程をお話ししたいと思います。宙玉レンズや万華鏡カメラ、トイ蛇腹レンズなどを持っていきますので、興味がある方はぜひお越しください。


http://i-digital.jp/kansai_denjuku/02/01-1/
http://www.2055.tv/irie/img/2011_05.pdf
日時:5月28日(土)受付 13:00〜
会場:株式会社2055(東大阪市中新開2-8-8 TEL.072-963-2055)
会費:一般5,000円、電塾/APA/JPS/WA各会員3,000円、
学生1,000円


・Facebookページも作ってみた


「上原ゼンジ写真実験室」のFacebookページを作ってみました。「いいね!」ボタンをクリックすると、ウォールの更新情報が表示されるようになります。
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上原ゼンジ


私が原発に関心を持ったのは、1987年に刊行された「危険な話」(広瀬隆)によってだ。ベストセラーになった本なので読まれた方も多いと思うが、原発の危険を説いた本で、読んだ当時は大変な衝撃を受けた。いつ日本の原発がメルトダウンしてもおかしくない、といった内容に「エライこっちゃ」と思った。


その後、テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」で原発推進派と反対派が意見を戦わせるといった回が何度かあったが、興味深く討論を聞いていたことを覚えている。「危険な話」がきっかけだったので、最初はもちろん自分も反原発の立場で番組を視聴していた。原発を推進する頭が良くて弁の立つ科学者や政治家のことを、憎ったらしく思いながら見ていた記憶がある。


ただ、回を追うごとにそういった気持ちはすこしずつ変化していった。反対派の中には、まず反対ありきで、情報を曲げたり、非科学的なことを言ったり、エキセントリックであったり、という人がけっこういて、少しずつ気持ちが萎えていった。


いっぽう推進派の中にも、理知的で信じられそうな人もいたので、単純に「原発=悪」とは思えなくなっていった。積極的に付き合いたいとは思わないけど、仕方がないのかなあ、というふうに気持ちは変わっていった。


そして番組はいつも意見が平行線のまま終了となり、後味の悪さだけが残った。まず推進ありきで、都合のいい情報ばかり流すのではなく、かと言って反対ありきで話を誇張したりするのでもなく、バランスがとれた意見が聞いてみたいと思っていたが、そういった意見は残念ながら出てこなかった。そして、私は「原発で作った悪い電気」(by渡辺和博)を消費しながら、今まで生きてきた。


理屈ではなく、気持ちを優先させたい


今回、福島原発で事故に起きたからといって、原発反対派の人達から「ほーら、言ったでしょ」とは言われたくないし、今すぐ原発を全廃せよなどという意見にはまったく乗れない。鉄道や病院に電気が供給されなくなったら大問題だし、いちいちパソコンの電源を落とさなければならない計画停電は大きな負担だ。


しかし、今回の事故で学んだことを活かせば、より原発の安全性は高まるなどと言って、今までと同じように原発を使おうという意見がけっこうあるということにも疑問を感じる。原発はもういいから、他のエネルギーに変えていこうよ。時間がかかるかもしれないけど、そこに集中していけば道は開けるはず。


誰でも原発や放射能は嫌でしょ。だったら理屈ではなく、その「原発やだよ」という気持ちに従って、方針を決定してもいいはず。現状を考えれば原発に頼らざるを得ない、なんて無理に自分を納得させようとする必要はない。


「原発は安全である」というのが嘘だったように、「原発に代わるエネルギーはない」というのも不確かなことだと思う。嫌な原発を使い続けて、心の健康を失っていくよりも、新しいエネルギーの開発に心踊らせたい。まあ、オレが開発できるわけでもないんだけど……。


写真を提供します


被災地の人達の役に立つようなことができない私は、ここ最近春の花の撮影をしていた。まだ、花の美しさに心をシンクロさせることができない人達もたくさんいるだろうし、私の写真を見て、心を癒してくださいなんていう脳天気なことも言えない。でも何枚か気に入った写真が撮れた。


この春に撮影した写真は、できることなら復興支援に関わるビジュアル要素として、役立ててもらいたいと思っている。あるいはポストカードにして売上げを寄付するとかいうことでも構いません。無償で提供しますので、何かアイディアが浮かんだ方はご連絡下さい。


◇桜を宙玉レンズで撮影
桜玉と名付けた。
http://www.soratama.org/gallery/sakura.html


◇宙玉ギャラリーのバリエーションが増えました
私以外の人が撮った宙玉写真もアップ
http://www.soratama.org/gallery/soratama.html


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上原ゼンジ


昨年の暮れに京都に撮影に行ってきた。京都は物心がついた頃にいた場所で、小学2年の時に開催された大阪万博の年まで住んでいた。父親の仕事の関係で引越しが多く、生まれてから中学の2年までで7回の引越しを経験した。だから「ふるさとはどちらですか?」なんていうことを聞かれてもちょっと困るのだが、五十路を迎えんとする今、懐かしく思い起こされるのは、京都山科の田舎の風景だ。


デジタルカメラマガジンの「PENと歩くふるさと。」という企画で「ふるさとの写真を撮ってきてください」と言われた時に「行きたい!」と思ったのは、その京都だ。万博の年からだから、もう40年も行っていない。最近は大阪に行く機会が増えてきていたので、休眠していた関西細胞が再び活動を始めていた。そして、ちょうど京都への想いが募っていたところだったのだ。


ただ、関西に対してはちょっと複雑な思いもある。それは京都弁を捨てて東京者になってしまったからだ。まだ言葉のどこかに関西のイントネーションが残っているらしいのだが、ちゃんとした京都弁で喋る自信はない。関西のお笑いと粉もんを愛しているが、ちょっと負い目があるのだ。


京都で住んでいたのは、山科の御陵(みささぎ)という所。滋賀県大津と京都の間に位置し、琵琶湖から京都に水を引くための人工的な水路である疎水が流れている。そして私はその疎水のすぐそばに住んでいた。御陵というのは、天智天皇のお墓のことで、砂利が敷き詰められた参道が続く神聖な場所だ。私はその神聖な場所を毎日横切って小学校に通っていた。


当時は路面電車が御陵の住人の交通手段だったが、それが今は地下鉄に変わっていた。路面電車が消えたことは情報として知ってはいたが、目の当たりにするとがっかりだ。ふだんは何も感じない地下鉄の駅に、何か寒々しいものを感じた。


脈絡なく思い出したが、ロバのパン屋というのもあったなあ。パン屋さんがロバに馬車を牽かせてやってくるんだけど、馬車には木の引き出しがあり、その引き出しを開けると中に蒸しパンが入っているのだ。ロバパンのテーマソングが流れると小銭を握りしめて買いに走った思い出がある。でも、今ネットで検索して調べてみたら、あればロバではなく、ポニーだったらしい。ずうっとロバだと信じてたのに……。


●既視感と違和感


様変わりしてしまった御陵駅の周辺には、懐かしさ中枢を刺激するものは何もなかったが、「ごりょうさん」(近所の人達は天智天皇陵のことをこう呼んでいた)にはさすがに見覚えがあった。ただ子供の頃の印象とはかなり違っていた。まず、どこまでも続くかのように思えた参道はかなり短く、全体にコンパクトに感じた。そして大きな問題は厳かな感じが薄れていたこと。


参道に敷いてあった砂利はアスファルトになり、参道の脇の木はかなり伐採されていた。私のイメージでは鬱蒼とした林のせいで辺りは薄暗く、ちょっと怖いような場所だった。たぶん結界の役割を果たしていたと思うのだが、その木を切ってしまったせいで、結界が崩れてしまった。せめて宮内庁が管理している場所は聖域として残しておいて欲しいものだ。


私が暮らしていた保険会社の社宅は当時のまま残っていたのだが、ここもイメージと違ってかなりコンパクトだった。まあ、当時と比べて身長は1.5倍ぐらいになっているわけだから、あの頃の世界が小さく見えても当たり前のことだ。もし、チェ・ホンマンの視線に立ったら、世の中は大分変わって見えるはずだ。かつて住んでいた場所に対し、経験したことがないぐらいの違和感を感じたのだが、これは40年という歳月のせいなんだろうな。たまに来ていたら、どんどん記憶を修正していたことだろう。


その他、強い既視感を覚えたのは、家の周りを囲っていた金網。別になんていうことのない金網なんだけど、よくこの金網を登ったから記憶していたようだ。「わあ、この金網覚えてるー」ということで一応写真撮ってきたんだけど、読者にはよく分からないだろうからボツにした。私がいくら懐かしがっても、金網に共感は得られないだろう。


個人的な郷愁が他者と共有できるのかは良く分からない。でもふだん写真を撮っているなかにも、たぶん郷愁のようなものを感じてシャッターを切っていることも多いのだと思う。それは今回の京都行で感じた。旅写真を撮る人は多いから、あえてそこに参入する気はなかったんだけど、新たなテーマとして、もう少し突き詰めてみたいと思わされたのだった。


●PEN Liteで撮影


撮影には、オリンパスのPEN Lite E-PL1とE-PL2だけを持っていった。普通泊まりがけでじっくり撮ろうという場合は一眼レフを持っていくので、マイクロフォーサーズ機だけで勝負というのは新鮮な体験だった。何が新鮮だったかと言えば、まずその重さ。一眼レフだったら交換レンズも含めて、かなりの重量になってしまうから、気分的にもまるで違う。


一番始めにファインダーなしで液晶画面オンリーのカメラが登場した時には、「そんなもんで写真が撮れるか!」と思ったけど、もう大分慣れた。ピントはファインダーで確実に合わせたいし、カメラを構えた時の不安定な格好が嫌だったけど、ピントは合うし、ブレもしない。オールマイティーとは言わないけど、シャッター半押しのフォーカスロックで何の問題もない。


となってくると、液晶のメリットというのも出てくる。画面を拡大して細部の確認をしたり、実際よりも明るく表示させることもできる。カメラに顔をくっつける必要がないから、アングルの自由度は上がる。写真を撮ってる感が薄れるので、コソッと撮りたい時に向いている。これだったら写真を撮っていて不審に思われることもないだろう、って本人が思ってるだけかもしれないけど。


自分自身、一眼レフじゃなきゃダメ、という意識がどこかにあったんだけど、マイクロフォーサーズ機での撮影はすごく楽しかった。身軽で余計なことを考えずに撮影できる分だけ撮影に集中できるし、素直な写真が撮れるような気がする。またPENクンを持ってどこかに行ってみたいものだ。


◇デジタルカメラマガジン2月号
京都の写真はデジタルカメラマガジンの最新号に掲載して貰った。2ページ、4点ですが、後ろの方のページに載っているので、ぜひ御覧ください。寺社仏閣は一切写っていない、「どこが京都やねん」という写真です。


◇PENで万華鏡写真
PEN Liteで万華鏡写真を撮影。パンケーキレンズ(M.ZUIKO DIGITAL 17mm)はレンズ径が小さいから、万華鏡写真に向いてる。フォーカスもオートなので、すごく楽。
http://bit.ly/fOYulK


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