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カテゴリ ‘デジアナ逆十字固め…/上原ゼンジ’ のアーカイブ

上原ゼンジ


●一番ウケたのは透明球レンズ


hanaさんとデイズフォト通信企画のシリーズ撮影会「眼であるく」のゲストに呼ばれ、15名の参加者とともに、善福寺川緑地で撮影をしてきた。


この撮影会はまだ始まったばかりで、hanaさん案内のもと、ゲスト写真家とともに、お散歩しながら撮影を行うのだが、第一回目のゲストが小林紀晴さん、第二回目が私、そして第三回目が大和田良さん、と続いてゆき、同じ場所をそれぞれの写真家がどのように切り取って行くのかを、一緒に体験していくというのが一つのコンセプトとなっている。


私の場合は自分がどう撮るのか、ということよりも、参加者になるべく満足して欲しい、という気持ちが強かったので、参加者が使うための透明球レンズなどを工作して撮影会に臨んだ。


15人分の工作をするのはさすがにしんどいので、3つのパターンをチェンジしながら試してみるというスタイルにした。3つのパターンというのは、透明球レンズと、歪みガラス、そして意図的な手ぶれ写真だ。


透明球レンズは6つ工作したのだが、今回新たに開発したのは、以下のような工作法。


1)透明プラ板に電動ドリルで穴を開け、リーマで穴を広げる。この方法だといろんな大きさの透明球に対応できる。


2)プラ板の穴のところに強力な接着剤をつけて、透明アクリル球を接着。さらに紙管に接着。


3)最後に可愛いマスキングテープを巻いて完成。このテープは別に必要ではないんだけど、カメラ女子に媚びを売ってみました(笑)


一番ウケたのは透明球レンズだった。私が撮っている写真を見て「なんか面白そうだな」とは思っても、自分で工作するとなると、ちょっと面倒だ。しかし、実際に撮影をしてみると「もっと撮ってみたい」と思わせる体験だったようだ。デジタルカメラを使ってはいるけど、やっていることはアナログなので、そんなプリミティブな体験が新鮮なんじゃないだろうか。


◇完成品はコチラ
http://zenji.jugem.jp/?eid=23


歪みガラスというのは、ガラス容器のフタや皿など通して撮影し、世の中を歪ませてしまう手法。今回用意したのは、フタや皿は新宿ミロードの雑貨店「ナチュラルキッチン」で購入した。消費税込みで105円だけど、けっこう楽しめる。一眼レフの場合は、手作りの琉球ガラスの皿なんかが面白い。


意図的な手ぶれというのは、シャッタースピードを遅くして、わざとブレさせて撮影する方法。撮影会の当日はすごく天気が良くて、シャッタースピードを遅くしようとすると露出オーバーになってしまい、参加者の手応えはいまいちだった模様。


そんな中、私は一人でNDフィルタを使って光量を落としながら撮影をしていました。皆さんゴメンナサイ(笑)。NDフィルタを使わなくても、車の遮光フィルムやカラーセロファンなんかを使っても光量を落とすことは可能。たとえば、赤セロファンと青セロファンを重ねたらどうなるか? なんていうことを試してみても面白いと思う。


手ぶれに関してはあまり面白さを伝えられなかったんだけど、実は本人としてはあらためて可能性を感じた。最近は輪ゴムで一眼レフを吊り下げてビヨンビヨンさせていたけれど、これだと適確なフレーミングができない(当たり前だ)。そこで、もうちょっと手元でカメラを震わせるような装置を開発できないものかと思いついた。


細いゴムで蜘蛛の巣のようなものを作って、そこにカメラを取り付けるとか、弾力性のある薄いラバー生地にカメラをくっつけるといったようなイメージだ。そんなゴム製のネットや生地はないものかとネット検索していた時に、ふと思いついたのがコンドームだ。コンドームの先っちょをカットして、そこからレンズを出してみたらどうだろうか? 薄くて弾力性があって。うん、イケル、イケル。


なんてえことを思いついたけど、これはカメラ女子から総スカンを食いそうだから止めておくことにしよう(何カメラ女子を意識してんだよ>オレ)


「ゼンラボ」始めます


4月から、1年間12回のワークショップ「上原ゼンジ写真実験室」(通称ゼンラボ)を開講します。トイレンズや透明球レンズの工作をしたり、撮影会をしたりしながら、自分なりの写真が撮れるようになることを目的とします。そして最終的には写真集を作る(お金をかけないで)というところまでやりたい。


詳細はホームページをご覧ください。少人数限定なので、今すぐお申し込みください!
http://www.zenji.info/workshop/announce.html


●電子書籍の話


前回原稿を書いた「電子書籍で印税生活?」に関してですが、電子書籍化してみようと思っていたのは、「デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房」という本でした。残念ながら絶版になってしまったため、電子書籍として復活できないだろうか、と思ったわけです。


元々はデジクリで連載したコンテンツだし、「問題ないですよね」という意味で、版元の方に勝手に電子書籍化しても構わないかお伺いを立ててみたところ、「ちょっと待ったー」がかかりました。何か契約上の問題でもあるんだろうか? なんていうことを考えながら、版権を管理されている方と打ち合わせをしたんだけど、それは「うちから電子書籍として出版しないか」というお話だったのだ。


すでにレイアウトも始めていたし、ちょっと迷ったんだけど、今回はこの申し入れを受けることにした。まあ、どちらで出すにしても、そんなにたくさん売れるとも思えない。ただ、欲しいという人が現れた時に、著者としては、簡単に読めるような手段を用意しておきたかったのだ。


打ち合わせが進むうちに、iPhoneアプリにしたらどうか、とか、いろいろと面白そうなアイディアも出てきた。これはこれで面白そうな展開になってきたので、またレポートさせて頂きます。そして、絶版になったコンテンツを持っている著者は、きちんと整理して、電子書籍としての復活の道を探ってみてはどうだろうか、と思った次第だ。


◇「その向こうに」
デイズフォト通信のWEBギャラリーに、歪みガラスや輪ゴムカメラで撮影したモノクロ写真「その向こうに」をアップ。「こんな風に写るんだ!」というのを見てみてください。
http://www.daysphotopress.com/


◇hanaさんの写真展「目であるく─端境─」開催中!
http://hana-photography.com/


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
◇Twitter
http://twitter.com/Zenji_Uehara

上原ゼンジ


蛇腹レンズの作り方の動画を、YouTubeにアップしてみた。元々蛇腹の設計図(PDF)は公開していたのだが、うまく折れなかったという人がいたので、動画で説明をしてみたというわけだ。折り始めの部分が分からないと、なかなか次のステップに進むことができないらしい。たぶんこの動画を見れば分かるはずなので、別にレンズを作る必要がない方も、意味なく蛇腹を折ってみていただきたいと思う。人生が豊かになりますよ。


動画の撮影はデジカメで行った。全部自分でやっているから、録画ボタンを押してから、そそくさと椅子に座って撮影開始、終わったらまたカメラの所まで行って録画停止、というのを繰り返しながら作った。座る位置が悪くてちゃんと画面の真ん中に収まっていなかったりするのだが、なんどもやり直すのは面倒だし、折り方が分かればいいんだから、と自分に言い訳しながら、あまり手間はかけずに気軽に作った。


この「手間をかけずに気軽に」というのは自分にとってすごく重要で、凝りだしたらどんどん突っ走って行ってしまうので、最初から距離を置いておかないと大変なことになってしまうのだ。だから、ギャンブルにも、ゲームにも、flashにも、CGにも近づかないようにしている。そうじゃないと破産したり、廃人のようにゲームをやり続けたりする可能性があるからだ。


でもまあ、なんとなく動画の編集はできている。いつもは紙媒体で写真とキャプションにより解説をしているわけだが、同じコンテンツを使って動画にすることもできる。ただ、写真とキャプションを時間によって切り替えていけばいいのだから。動画の場合、縦横の比率が一定なので、誌面上でレイアウトすることを考えれば楽と言えば楽。


それにしても、個人で動画のコンテンツを作って簡単に公開できるようになったんだから、世の中も変わったものだ。しかもそんなことを自分がやるなんて。でも蛇腹の折り方を伝える方法を考えた場合、動画が一番簡単だし分かりやすそうだ。


今回気を使ったのは、指毛を剃ること。そんなに体毛は濃い方じゃないんだけど、手元をアップにするとちょっと目立つ。そこでカミソリを使って剃ってみたんだけど、手の甲を二か所ほど傷つけてしまった。赤い傷でかえって目立つようになってしまったので、今度はファンデーションで傷を隠す。手間をかけずにと言ったわりには手間がかかってるか(笑)。今度は剃毛じゃなくて、脱色にするべきか?


蛇腹レンズに関しては、以下のURLから設計図がダウンロードできるようになっている。ニコンの一眼レフとマイクロフォーサーズでは使えたから、キヤノンでもペンタックスでも使えると思う。写りに関しては、自分で調達したレンズに依存する。安物のプラスチックレンズであればトイカメラのような写りになるし、ちゃんとした光学レンズであれば、品のある描写にもなる。


この蛇腹レンズを作ってから、しばらく経つけれど、安く工作できるし、ピント合わせもそんなに難しくないし、描写も悪くない。蛇腹を折るというハードルがあったが、やってみるとそんなに難しくないので、動画を見てぜひチャレンジしてみてください。


・YouTubeのチャンネル
http://www.youtube.com/kitsch999
・設計図のPDF
http://www.zenji.info/bellows/bellows.html


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
http://www.zenji.info/


デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60
著者:
アマゾンレビュー
欲しいものリストに
上原ゼンジの新刊(共著)
「デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60」(翔泳社刊)
上原ゼンジ/桃井一至/荻窪圭
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798120626/maminka-22/


Twitterというのも始めてみた。hanaさんに勧められて、登録してみたんだけど、まだ様子がよく分からん。とりあえず、お知らせ的に使おうと思っている。
http://twitter.com/Zenji_Uehara

上原ゼンジ


◎飯村昭彦「芸術状物質の謎」


以前、写真展などを紹介したことがある、飯村昭彦さんの写真集が刊行の運びとなった。タイトルは「芸術状物質の謎」、サブタイトルは「あの男が煙突から降りてきた」だ。もともと飯村さんの写真のファンだったのだが、私の本を出してくれた雷鳥社の担当編集者に紹介して、ようやく世に送り出せることになった。ウレシイ!


サブタイトルを見れば、分かる人には分かると思うが、赤瀬川原平著「超芸術トマソン」の表紙ともなった写真を撮影した人物で、煙突から降りてきた後、地味〜に撮ってきた写真が今回まとまったということだ。


分からない人のために説明しておくと、銭湯の浴場や脱衣所部分が壊され、空き地に煙突だけが立っているという物件が、当時六本木にあった。飯村さんはその煙突に登り、支えもなしにてっぺんに立って、一脚に付けた魚眼レンズで自分の姿と周りの景色を写しこんだのだ。


その恐怖の写真はコチラ。
http://www.zenji.info/profile/iimura/iimura.html


さて、地味〜に何を撮影していたのかと言えば、やはり超芸術トマソンや、トマソンの分類からちょっと外れた芸術状物質だ。トマソンというのは、建築物に付着した使い道のない物件のことで、
窓のないヒサシや、昇ったはいいけど、降りるしかない無用階段などの物件のことを指す。


そして芸術状物質というのは、芸術家が意識的に造り上げたものではなく、名も知れぬ民が意図せず造ってしまったんだけど、芸術にしか見えないような物件のことを指す。被写体となっているのは街の中にある鉄柱や壁や立て札や自転車等々。


何度も何度も違う色のペンキを塗り重ね、それが剥がれたり、剥がされたり、風雨に晒され腐食したりしながら、いつの間にか抽象絵画のようになってしまったものだ。


こういう剥がれたペイントや錆びたようなもんが好きな人というのは、世界中にいて、フリッカーでグループを作っていたりするけれど、飯村さんのスタンスは独特だ。まず、芸術(物件)ありきなので、飯村さん自身が主張をして物件を手篭めにするような撮り方ではない。あくまで冷静に作品を複写するようなスタンスなのだ。


だからと言って突き放すのではなく、きちんと作品と対峙し、大判のカメラを使ってじっくりと撮影する。たとえば、新宿の大ガードの側の鉄柱の後ろに黒いバックペーパーを垂らし、ライティングをしてかっちりと写す。その撮影風景を想像すると笑ってしまうが、写真自体は物件のディテールが緻密に描写されていて美しい。


今まで何度も写真は見せて貰ってたんだけど、本になってテキストを読みながら鑑賞してみると新たな発見があってなかなか面白い。梱包芸術のような物件やインスタレーションのような物件なども収録されていて、芸術とは何か? 写真とは何か? なんていうことを考えるためのヒントもいろいろあって楽しめる。なかなかいい本が出来ました。もうそろそろ書店に並ぶはずなので、ぜひ手にとって見てください。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844135317/dgcrcom-22/


◎「OLYMPUS PEN」で蛇腹レンズ


最近「OLYMPUS PEN」を使って、手作りレンズ遊びをしてました。『オリンパス PEN ファンブック E-P2/E-P1対応』(インプレスジャパン)というムックで3ページほど紹介したんだけど、アップルストア銀座でのイベントに参加して、生でお話もすることになりました。持ち時間は40分ほどですが、手作りレンズを見てみたいかたはぜひご参加ください。


「もっと撮りたい!おもしろPEN Graphy講座」
http://ganref.jp/m/dcm_staff/reviews_and_diaries/diary/1001
日時:12月19日(土)
会場:Apple Store,Ginza(東京都中央区銀座3-5-12 サヱグサビル本館)
http://www.apple.com/jp/retail/ginza/


14:10〜14:50「ファンタジックラフモノクローム」
PEN Grapher:佐々木啓太 http://homepage.mac.com/st_eight/
PENのアートフィルターと「もやっとフィルター」の合わせ技が生み出すイメージを体験しましょう


15:10〜15:50「Happy Color Filter」
PEN Grapher:佐藤倫子 http://www.rin-photo.com/
色の機能と実際のフィルターを使って、PENで“色とカタチ”の表現を楽しんでみましょう


16:10〜16:50
PEN Grapher:上原ゼンジ http://www.zenji.info/
「軟焦点・キッチュレンズ」レンズを作るおもしろさと写真を撮る楽しさを両方味わえる“軟焦点レンズ”を試してみましょう


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
http://www.zenji.info/

大阪で写真展やセミナーをやります


上原ゼンジ


今月の27日(火)から大阪のギャラリー「ナダール」での写真展が始まる。去年の今頃、尾仲浩二さんが運営するギャラリー「街道」の流し台のスペースに写真を飾らせてもらったのだが、それを見たナダールのオーナーの林和美さんからお話をいただき、企画展を開いていただくことになった。ありがたいことです。


会期中にはトークショーがあり、その前日にはDTP Boosterのセミナーもある。トークショーのタイトルは「創作のネタばらしをします!」ということで、ビー玉レンズとか万華鏡だとかの現物を持ち込んで、どんなふうに撮影しているのかの、実演などしてみたいと思っている。今までひた隠しにしてきた恥ずかしい姿が生で見れます。


それから、写真をどうやって加工しているのか、といったあたりもお見せするつもりだ。人から見たら「インチキじゃん!」というようなこともあるかもしれないな。けっこう手を加えてる写真もあるから。でもオレはドキュメンタリーをやってるわけじゃあないんだから、何をやったっていいんだよ。と言っても、そんなにあざといことをやっているつもりもないけどね。


DTP Boosterのセミナーの方のタイトルは「カラーマネージメント講座─書籍ができるまでを例に」というもので、今まで私が関わってきた本や雑誌の色再現に関して、失敗例や成功例をあげながら、「何をやればいいのか?」ということについて話してみたいと思っている。印刷機本機のプロファイルまで作って運用している人というのは少ないと思うから、参考になるんじゃないかと思います。


もちろん、そんな特殊な事例ばかりじゃなくて、なるべくお金も手間もかけずに、カラーマネージメントの環境を整える方法についても、お話したいと思ってます。


●気合いを入れたプリント


写真展のために、久しぶりにまともにプリントをした。ふだんの仕事では見本プリントを出力したりすることは、ほとんどない。デジタルデータだけだったら、メールやサーバーを使って送れるけど、見本を付けたらバイク便を出動させなければならない。それに編集者とデザイナー、印刷会社間のやりとりだって、ネットを介して行われているのだから、ハードコピーの見本がうまく活用されることはほとんどないだろう。


そんなわけで、久しぶりに自分の手元で行ったプリントは楽しかった。写真では撮影も大事だけど、それと同じぐらいプリント作業も重要なものだと思う。そんな重要なことを怠っていたというのは、良くないな。プリント作業の中では、いろいろと発見もあったし、たまには、気合いを入れたプリントをすることにしよう。


今回は用紙として、「ピクトランバライタ」(コスモスインターナショナル)というペーパーを提供していただいた。バライタというと暗室で使う印画紙のことを思い出すけど、こちらはインクジェットプリンタ用のバライタ紙だ。


暗室で使っていた印画紙には、バライタ紙とRCペーパーがあった。バライタの方は「紙」でRCは「プラスチック」。バライタは乾燥が遅く、フラットに乾燥させるのが結構大変。高価ではあるけれど、トーンなどはきれいに出る。


一方、RCの方は乾燥が速くて、取り扱いが楽。安価だけど、バライタと比べるとちょっと安っぽい感じ。使いわけとしては、バライタの方は展覧会や販売用。RCの方は取りあえずのプリントやベタ焼き用。というような認識を持っていた。でも、ちょっと調べてみたら、その認識は誤りだったことに気づいた。


まず、RCペーパーというのは、プラスチックというわけではないみたいだな。いや、確かに触った感じはプラスチックじゃなくて、紙です(笑)。紙は紙なんだけど、まずベースになる紙をポリエチレン層でサンドイッチにした上に乳剤層があるんだそうだ。だから、ベース紙まで薬品等が染み込まず、水洗や乾燥が楽だというわけ。


一方のバライタ紙の方には、ベース紙の上を硫酸バリウムの白色微結晶によるバライタ層というのがある。紙の白色度や平滑性を高めるためのものですね。ということは、印刷用紙のコーティングや、インクジェットプリンタ用紙の蛍光増白剤と同じような役割をしているということだ。ナルホド……。


今回使用したピクトランバライタの説明は以下のようなもの。


「本紙は結晶性硫酸バリウム層(バライタ層)を設けており、蛍光増白剤を使用しておりません。そのため、永遠不変に近い均一な白色を維持します。もちろんバライタ層の上にはピクトランの基本技術である最高度の高透明インク受容層を有しており、バライタの白さから暗黒の黒さまで最大限の階調性で新しい写真の世界を表現することが可能であるとともに、従来の古典技術である、銀塩バライタ紙の風合いも、そのまま感じ取ることができます」


つまり、一般的なインクジェットプリンタの用紙のように蛍光増白剤を使わずに、印画紙のバライタと同じように結晶性硫酸バリウムを使ってみました。どうですか、お客さん! ということですね。


で、使用感は悪くないですねえ。印画紙にプリントをしていた時は、RCペーパーのつるんつるんの光沢具合が気に食わなくて、バライタ紙を使っていた。RCペーパーにも半光沢や無光沢というのはあるんだけど、これもいまいち。インクジェットプリンタの場合もビカビカの光沢紙というのは、あまり好きじゃないんだけど、マット系だと色の出具合がイマイチなので、仕方なく光沢の強い紙を使っている。


まあ、風合いがありつつ、色も出る(色再現域が広い)という用紙が今までになかったわけじゃないんだけど、このピクトランバライタはなかなかいいですよ。ただ「超高級作品画質インクジェット用紙」というだけあって値段は高いです。作品としてきっちりプリントしておきたい、という場合のための用紙ですね。実際にどんな感じのプリントになるのか見てみたい人は、大阪までぜひどうぞ!


◇実験写真家 上原ゼンジの世界
http://nadar.jp/osaka/schedule/091027.html
会期:10月27日(火)〜11月8日(日)11:00〜19:00 11/2休
会場:NADAR/OSAKA(大阪市中央区南船場3-2-6 大阪農林会館B1TEL.06-6251-8108)
※トークショーは定員に達したもよう。ありがとうございます!


◇DTP Booster 008(Osaka/091030)
カラーマネージメント講座─書籍ができるまでを例に
http://www.mebic.com/konokuri4/1335.html
http://www.dtp-booster.com/vol08/
日時:10月30日(金)19:00〜20:30
会場:デジタルハリウッド大阪校 セミナールーム(大阪市北区)


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
http://www.zenji.info/

フォトセッション(正式には「FOTO SESSION ’86」)は、私が在籍した写真のグループだ。伝説の写真雑誌「写真時代」が企画した、読者参加型のイベント「写真時代倶楽部」に集まったメンバーを中心に1986年に結成された。中野富士見町にアジトと呼ばれるアパートを借り、月に一度の例会を開いて、森山大道さんに写真を見ていただいた。


アパートには現像設備も作ったので、「写真をやってみたい」と思い始めていた私は、そこで現像ができるという魅力にも惹かれて参加することにしたのだった。


フォトセッションに参加する前は、カラーポジフィルムのコダクロームで撮影していたが、参加してからはモノクロネガフィルムのTri-X400を自分でパトローネに詰めて使うようになる。これで月光の4号という印画紙にプリントするとコントラスト強い写真が焼けるのだが、みんな同じように硬くて黒い写真を焼いていた。森山大道に憧れて、ヘタな真似をしていたというわけだ。


何を撮っていたのかと言えば、街中をふらついてのスナップ写真だ。「写真をやる」イコール「モノクロでスナップ」みたいなイメージは今でもあるが、まあ当時の私もそれをなぞっていたというわけだ。


ただ、毎月森山さんに写真を見て貰う時に「ウケたい」という願望があり、当時からちょっと変なことをやっていた。たとえば、いったんプリントした印画紙に薬品を塗って、わざとムラを作ってみたり、人工着色してみたり。人工着色自体は珍しくないが、写真に水玉模様を描いて持っていった時にはちょっとウケた。


フォトセッションでの活動を開始してしばらくすると、私は会社を辞めることを考え始めた。当時私は本の雑誌社で編集の仕事をしていたのだが、日曜日以外は自由になる時間がなく、もっと撮影やプリントに費やせる時間が欲しくなってしまった。会社を辞めてカメラマンで食って行こうとかいう話ではない。ただ、写真を撮る時間欲しかっただけだ。


1986年の4月からフォトセッションの活動が始まり、夏の終わりに退職を願い出た。引き継ぎをきちんとしていって欲しいと言われ、その年いっぱい在職した。そして年明けからフリーの身となり現在に至る、というわけだ。


○上原ゼンジのツラ


フリーとなり時間がいっぱいできた私はまず、スキンヘッドにした。それまでもいろんなヘアスタイルにしてきたのだが、丸坊主というのはやったことがなかった。不摂生な編集者生活で太ってしまった私は、丸坊主にして痩せていく過程を記録しておこうとした。


完全に剃り上げてしまう前にまず、おでこにアールを入れた。生え際を曲線に剃り上げたということですね。そんなことをやっている人は見たことがなかったので、ちょっとやってみた。そして顔に油を塗り、オールバックにして撮影した。


自分で頭をツルツルにする勇気はなかったので、曲線剃り込みが入ったまま床屋に行った。床屋のお兄ちゃんは不気味なオデコの人間を見てどう思っただろうか? けっこう時間をかけて剃り上げてもらったが、「眉毛を剃ってください」というのは止めにした。それじゃ怪し過ぎる。


家に帰ると一人で眉剃りの儀式を敢行した。それまでは尊いお坊さんのような姿だったけど、いきなり凶悪な顔つきになった。眉毛は社会との架け橋だったんだな。反社会的になりたい人は眉毛を剃ればいいんだよ。興味ある方はぜひお試しください。


ポートレイトのパターンはいろいろ考えていて、たとえば小さな発泡スチロール球を頭にいっぱい張り付けて、仏像化するというのがあった。しかし、頭に接着剤を付けた場合に、頭皮にどのような影響をおよぼすのであろうか? ということを考えるとちょっとビビってしまい、このアイデアはボツにした。いつか自毛でリアル大仏カットに挑戦してみたい。


あとは、シャッタースピードを遅くして、頭を振り回して撮影するとか、鼻の穴にチューブを差し込むとか、まあ、そういったことをいろいろと試してみた。当時の写真を少しWEBにアップしてみた。ご興味ある方はどうぞご覧下さい。


◇上原ゼンジのポートレイト集
http://www.zenji.info/profile/portrait.html


○山崎弘義さんの写真展


フォトセッションのメンバーはけっこうしつこく写真を撮り続けているけど、その中の一人、山崎弘義が現在写真展を開いている。山崎さんは路上で人間に肉薄する写真を撮ってきた。しかし、近年は認知症になったお母さんの看護で、そういった写真も撮れなくなっていたようだ。


そして、ある時から山崎さんはお母さんのポートレイトを撮り始める。お母さんを撮影した後に庭の片隅を撮影する、ということを3年の間毎日繰り返し、1149カットの写真を撮影。その中の約40点が現在展示されている。


◇山崎弘義写真展「DIARY」
http://www.upfield-gallery.jp/
会期:8月20日(木)〜9月6日(日)12:00〜19:00
会場:アップフィールドギャラリー(東京都千代田区三崎町3-10-5 原島第3ビル304 TEL.03-3265-0320)


・山崎弘義ホームページ
http://homepage3.nifty.com/hiroyama/


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com


ボケ/ブレ不思議写真術 (カメラプラス)
著者:
アマゾンレビュー
欲しいものリストに
・上原ゼンジの新刊
「ボケ/ブレ不思議写真術 カメラプラス」雷鳥社(1,575円)
http://www.zenji.info/profile/book/fushigi/fushigi.html
・上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
・上原ゼンジのブログ
http://zenji.jugem.jp/

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