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カテゴリ ‘デジアナ逆十字固め…/上原ゼンジ’ のアーカイブ

上原ゼンジ


今年私が一番つぶやいた言葉は「宙」らしい。そうか、Twitterでも「宙玉、宙玉」とつぶやいていたんだな。「そらたま」という言葉を思いついてまだ一年経ってないんだけど、自分にとってはかなり大きな展開のあった年だった。


このメルマガで私の文章を読んでくれてる方はご存知のことと思うが、私がいろんな写真の実験をやることになったのは、姉妹メルマガ「デジクリ」のせいだ。「せいだ」っていうことはないな、「おかげだ」に訂正。カラーマネージメントネタの後、いろんな写真に関するアイディアを実行してみるという企画を考えて、書かせてもらうようになった。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/13_/


ただ、問題は連載のスパンが1週間だったということ。1週間なんてすぐに経ってしまうので、次から次へとネタを出していくうちに、なんかそれが専門のようになっていった。ある編集者が「実験写真家」という肩書きを考えてくれたので、最近はずっとそれで通している。


私はもともといろんなことをやっているから、「何をやっているのか?」と面と向かって問われると言葉に窮することがある。しかし「実験写真家」と言っておかば、相手は不審に思いつつもスルーしてくれるのだ。これは便利な肩書きだ。以前の私は、分からなかればそれでいい! というような態度だったが、最近は少しサービスをするようにしている。


名刺も分かりやすいものにした。片面を10個に分割して、宙玉レンズや蛇腹レンズなどの写真を入れて、「こんな写真を撮ってるんですよ」という説明ができるようにした。これはすごく便利。どんな写真を撮っているのかと問われても、写真なしで説明するのはなかなか難しいけど、小さいながらも写真があれば、簡単に分かって貰える。これがあればiPadもいらない。


それから、パーティーなんかでは、宙玉レンズの現物を持っていくようにした。カメラを首から下げておけば、「さっきから気になってたんですけど」などと言って相手から声をかけて貰える。初対面の人にこちらから声をかけていくなんていうことは、ほぼしないタイプの人間なのでこれはありがたい。スイッチさえ入れてくれれば、動作はするんだよ。


プロフィールもニッコリ笑った写真をホームページに出すようにした。営業が出来ない人間なので、せめてホームページを訪れた人に「悪いヤツじゃないんだよ」ということをアピールするための作戦だ。自分が依頼する立場だったら、訳の分からない、おっかなそうな人に連絡取るのはためらうもんな。


●ワークショップがきっかけとなった


宙玉レンズが形になっていったのは、ワークショップがきっかけになっている。自分では面白いと思って、ほかの人達にも広めたかったのだが、工作をするという部分でハードルがあるらしく、著作や雑誌でも紹介をしたが、反応はいまいちだった。


そこでワークショップなどの機会に、参加者に体験してもらうようにした。最初は、hanaさんとデイズフォト通信が主催する撮影会「目で歩く」で使ってもらった。この時はリコーのGX200を借りてきて、GXに合うように自分で手作りした宙玉レンズを持っていった。


参加者の反応は良かったんだけど、問題は特定の機種でしか使えないということ。たまたま直径50mmの紙管がGXのアダプターにぴったりあったこと。GXの最短撮影距離は約1センチと短く、クローズアップ撮影が必要な宙玉レンズには最適だったので、GX200を使ったわけだが、やっぱりいろんな機種で使えるようにしたい。そこで考えついたのが、チップスターの空き箱を使った工作だ。


チップスターの空き箱なら、安く簡単に入手することができる。そこで今度はチップスターにぴったり合うような宙玉レンズを加工業者に依頼して作って貰うことにした。自分で作るとあまりき
れいに出来ないし、面倒だからだ。4月から始めたワークショップ用にとりあえず10個発注してみた。


そして、今度は一眼レフカメラを対象に宙玉を装着できるようにした。ワークショップをやってみて良かったと思ったのは、いろんなカメラやレンズを持っている人が集まったということ。やってみると問題点が出てくるのだが、それをクリアしていけば、さらに広がりが出てくる。つまりいろんなカメラに対応できるようになっていったのだ。


●宙玉レンズでの撮影法


撮影に関しても、いろんな人からヒントを貰っている。私が宙玉を始めた頃は、望遠系のマクロを使っていた。さらに手持ちで接写をすることが多かったので、絞りは浅くピントが合うのは一点であとはボケボケだった。透明球の輪郭もはっきりしていなかったけど、それが当たり前と思っていた。


しかし、いろんな人が撮影を始めると、球の輪郭をハッキリさせたいという人が出てきた。あんまり絞りこむと、球の接着面やフィルター部分の汚れなども写ってしまうので、美しくなくなってしまうのだが、球が浮かんでいる感じ、というのはボケている場合よりも面白い。


一方、絞り込むと宙玉の持ち味である周囲のボケがくっきりしてきてしまい、つまらない。そこで、ある程度球の輪郭をはっきりさせつつ、周囲のボケを損なわない、という絞り値を見つけるというのが、ポイントになってくる。


あるいは、球の内側の絵柄は面白いんだけど、外側が無地だったりするとつまらないので、球の内と外とで、絵柄や配色などのバランスを考えてみると面白い。最初はただ、宙に浮かんだような絵に喜んでいたけど、突き詰めていけば、まだまだ面白そうなことはできそうだ。


●宙玉写真のコミュニティー


宙玉写真のコミュニティーを作ってみた。flickrとフォト蔵だ。まだ人が集まっていないので、ぜひ参加して写真をアップしてみて欲しい。flickrの方は海外の人達ばかりだから、やりとりがちょっと面倒だけど、世界中の人たちに宙玉レンズを広めるというのが現在の野望だ。


flickr Soratama
http://www.flickr.com/groups/soratama/


フォト蔵 宙玉人[そらたまんちゅ]
http://photozou.jp/community/show/2896


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara
Soratama─宙玉レンズの専門サイト
http://www.soratama.org/

上原ゼンジ


iPhoneに宙玉レンズをくっつけられないだろうか? ということは、以前から考えていた。実際に宙玉レンズをiPhoneの前にかざして撮影をしてみると、なんとかいけそうな感じだ。ただし、きちんと撮影するためには、宙玉レンズとiPhoneの間に凸レンズを一枚入れないといけない。それと固定の方法はどうすればいいだろう?


宙玉レンズというのは、透明球に映る世界にピントを合わせるので、近接撮影ができることが条件となる。だから、マクロレンズ、クローズアップレンズ、接写リングといったものを利用するか、元々最短撮影距離が短いということが重要だ。また、装着するためにフィルター用のネジを利用しているので、このネジがないコンパクトカメラや携帯電話の類いだと、別の取り付け方法を考えないといけない。


どうしようかなー、などと気をかけつつも、なかなか時間がとれずに放置していたのだが、ついに工作に着手。iPhoneによる宙玉ムービーの撮影に成功した。すっごいクールな映像(ホントか?)が撮影できたので、ぜひご覧ください!
http://www.youtube.com/watch?v=a3TauvL_VrQ


ポイントはパンをした時の映像の動き方だ。この宙玉レンズでは、球の内側と外側で天地逆さまになって見えるのだが、パンをさせると内側と外側で逆の動きになる。たとえば、内側が右に流れていけば、外側は左に流れていく。上下方向にパンした場合、やはり内側が上に流れれば、外側は下、という感じで像は動く。これはけっこう不思議な感じだ。


私はスチルが専門だから、面白いと思いつつ映像作品は作って来なかったんだけど、すでにPVで使われたりしている。Lily.さんの「気づいてよ…I Love You」のミュージックビデオがそれ。さすがプロですね。効果的に使用されてました。


TwitCastingで「宙玉iPhone部」


この「宙玉レンズ for iPhone」は例によって、チップスターの空き箱を使った手作り品だけど、工作キットを作って欲しいというリクエストを、たった今TwitCastingで受けてしまった。昼飯を食い終わってTwitterを見ていたら、KEN3TVがツイキャスをやっているところに遭遇。しかも、ちょうど私の宙玉レンズの紹介をしていた。


先日、オライリー・ジャパン主催の「Make:Tokyo Meeting 06」に半日だけ出展してきたのだが、その時KEN3TVが見に来てくれ、iPhoneで撮影していったムービーを使いながらライブで紹介してくれていたのだ。KEN3TVがMTMに来てくれたのは、私が前日に「MTMにゲリラ出展! 東京工業大学生協食堂で待つ」というツイートをしたから。そして、それが初対面だった。


ツイキャスではその場で「宙玉iPhone部」とか出来ちゃうし、なんだか不思議な世の中になったものだ。まあ、せっかく盛り上がってくれたから、なるべく早く試作品を作ってみたいと思う。
http://ken3tv.com/


●「Soratama – 宙玉レンズの専門サイト」を公開


懸案だった宙玉レンズの専門サイトがようやくできあがった。「Soratama – 宙玉レンズの専門サイト」だ。いずれ世界制覇したいと思って「www.soratama.org」というドメインを取得していたのだ。これからは「Sushi」や「Kawaii」とともに「Soratama」もワールドワイドな言葉になっていくことでしょう。
http://www.soratama.org/


まだコンテンツはあまり多くないが、いろんなカメラでの宙玉レンズの装着法を事例として紹介している。おすすめはリコーのGRに宙玉レンズを着ける方法。今まではチップスターの空き箱を使う方法を紹介してきたが、ここではラバーフードを使う方法をまとめた。HOYAマルチレンズフード(49mm径)に70mm径の宙玉を着けるとピッタリとはまるのだ。


「チップスターじゃ、ちょっと……」と思っていた人は、ちょっと見てみてください。なかなかかっこいいですよ。ただ、このカメラの場合は最短撮影距離が約1cmと短く、かなり寄って撮影できるのが大きなポイント。どんなカメラでもいいというわけではない。あと同じようなことができそうなのは、ニコンCOOLPIX P7000、キヤノン PowerShot G12あたり。寄れるカメラをお持ちの方はぜひ試してみてください。


宙玉サイトでは、コンパクトデジカメに取り付ける方法も紹介している。コンデジの場合は、フィルター用のネジが切っていないため取り付けが難しかったのだが、透明ゴムを使って取り付ける方法を思いついた。透明ゴムと言っても実際はポリウレタン製。ビーズに通して使うもので、手芸品店などのビーズ売り場で購入可能。これもぜひ試してみて欲しい。


今後はもっと事例を増やしたり、他の人の宙玉写真をいっぱい掲載したりして、内容を充実させてゆきたいと思っている。もし、面白い工作ができたり、写真がとれたら、ぜひご協力ください!


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara

上原ゼンジ


7月に立ち上げたWEB上のギャラリー「bitgallery」に新しいコンテンツが加わった。第一弾が私の「Vibrating World」と伊藤紀之さんの「Cloudly Cat」で、ブレ写真とボケ写真だったから、工作系とか、アブストラクト系で攻めるのかと思っていた人もいたみたいだけど、違いました。
http://bitgallery.info/


今回加わったのは、西村陽一郎「青い花」と山崎弘義「DIARY」の2本。「青い花」は2007年に四谷の「Roonee 247 Photograpy」で観た西村さんの作品展で感動したんだけど、大勢の人に観て欲しいと思い、お願いして掲載させていただいた。


作品自体はフォトグラムという技法を使っているのだが、フィルムが介在せず、一点物のオリジナル作品で、すでに売れてしまったものもある。いちおうデジタルカメラで複写した画像があるとのことだったので、今回はそのデータを元に構成した。


元は大判のプリントで、花の花粉が金平糖のような形で目視できるような、緻密な描写だった。さすがにその金平糖の再現まではできないが、西村さんの作品の持つ、緻密で繊細な雰囲気は味わうことができると思う。


山崎さんは「FOTO SESSION ’86」という写真のグループで、森山大道さんに一緒に写真を見ていただいた仲間。元々はストリートスナップが専門だったが、お母さんが認知症になられて以降、写真が自由に撮れなくなってしまった時期があった。そんな時にお母さんのポートレイトと自宅の庭を撮影するということを日課とし、撮りためたのが「DIARY」という作品だ。


それまでの山崎さんの写真とはまるで違うコンセプトの写真だが、やはり写真展で拝見した時に、何か力強さのようなものを感じた。写真自体はひじょうに静かな写真なんだけど……。カメラ雑誌に掲載されたり、新聞で紹介されたりということはあったものの、私としては、もう少し評価されてもいいんじゃないか、という思いがあった。そこで、山崎さんに声をかけ、私のギャラリーで公開させて貰うことになったというわけだ。


まだ「bitgallery」には作品は4本しかないけど、なんとなく私のやろうとしていることが、分かってもらえるようになってきたんじゃないかと思う。第三弾、第四弾のネタもあるので、少しずつ形にしていきたいと思っている。


・ゼンラボ「森の撮影会」の報告


先日は森林公園でゼンラボの撮影会をやってきた。森林公園というのは、東武東上線で池袋から、1時間ほど行ったところにある、国営の大きな自然公園だ。キノコ、落ち葉、シダ、コケなどを撮りに行きませんかと、Twitterなどで声をかけ、集まった参加者とともに撮影を行ってきた。


私はなぜか、森の中で見かける植物というか、苔類、菌類、昆虫などに惹かれ、写真を撮っている。まあ、メジャーな分野とは言えないが、撮ってみたら意外にイケますぜ、という感じで声をかけさせて貰ったというわけだ。参加者は特に森の専門家という人はおらず、ちょっと興味があり、どんなもんだろう、と思って参加したという感じだった。


森林公園の南口から入園すると、すぐに雑木林がある。そこで、さあ皆さん撮影してみましょう、という感じで始めたんだけど、最初はなかなかキノコなどは眼に入ってこない。けっこう慣れが必要なのだ。だから蜘蛛の巣に霧吹きで水滴を吹きつける、といったオプションもこなしながらの撮影会となった。


私が持っていったカメラはニコンのD5000。レンズはカールツァイス ディスタゴン T* 2.8/25とAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8GEDの2本だった。D5000というのは、液晶画面が可動式になっていて、上から覗きながら撮影できるというのがポイント。地面にカメラを置いてキノコなどを低い所から撮るのに最適なのだ。そしてレンズの方は、ピントが合っているところはキリッと締まるんだけど、ボケ味もなかなか良し、というところが気に入って使っている2本だ。


その他の必須アイテムは膝あてと虫除けスプレー。けっこう膝まづいて撮影することが多いから、膝あては重要。こんな時期に蚊なんかいるんですか? という人がいたけど、10月だというのに、蚊はたっぷりいました。私はほとんど刺されなかったんだけど、集中して刺されている人がいて、ちょっとかわいそうだった。この刺されやすい人と刺されにくい人の差はなんなんだろう。O型の人が刺されやすいとか聞くけど、本当に血液型と因果関係はあるのか?


あとは、レフ板やディフューザーの類いもあると便利。森の中は薄暗いので、光をレフ板で補ったり、木漏れ日を和らげるのにはディフューザーも役に立つ。ただし、森の中を歩きまわるわけだから、なるべく荷物は少なくするということも重要なポイントだ。


4時間ばかりの撮影会だったけど、最後の方はみんなキノコを発見する能力が身についてきたようだった。なかなかいいフォルムのキノコも見つけることが出来たし、まあ良かったんじゃないでしょうか。目標は、お伽話に出てきそうな毒キノコと出会うことなんだけど、それはまた今度のお楽しみ!


◇森で収穫した写真
http://zenji.jugem.jp/?eid=59


◇「上原ゼンジの写真教室」受講生募集中!
http://nadar.jp/tokyo/workshop_style355/uehara.html


見たことのない写真を撮ってみよう「上原ゼンジの写真教室」生徒募集中。さまざまなスタイルの技法を試しながら、写真の基礎知識を学び、自分なりの写真を撮るための写真講座です。
対象:写真を撮り始めたけど、何をどう撮っていいのか分からない人。写真の幅を広げてみたい人。デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼を持っている人が対象です。
会場:style355(NADAR/渋谷355)


◇「万華鏡カメラ」を作ってみよう 〜眼の前の光景をすべて万華鏡のパターンに(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20101022_401179.html


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
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上原ゼンジ


相次いでテレビからの出演依頼が来た。一つは「ぶらり途中下車の旅」で、もう一つは「王様のブランチ」。どちらもふだんあまり観ることはないけど、よく知ってる番組だから、なんか変な気分だ。テレビで自分のツラを晒す恥ずかしさはあるが、個人商店だから、宣伝になるならと引き受けることにした。


「ぶらり途中下車の旅」というのは、毎回違った旅人が鉄道を使って旅をしながら、沿線の紹介をするという番組だ。旅人としてパッと思いつくのは、やっぱり阿藤快だな。でも、本物の阿藤快が目の前に現れたら、どう絡めばよいのでしょうか?


一番初めの打ち合わせの時に、興味を持って聞いたのも、旅人は誰なのかということ。でも、出演する人には事前に教えてくれないのです。一応の段取りはあるんだけど、初めて出会うリアクションを重視したいということで、余計な情報は入れないというシステムになっているらしい。


ただ、私の場合、写真を撮っているところに声をかけられるワケで、「何を撮ってるんですか?」とか声をかけられた時に、(わあ、やっぱ阿藤快だ!)とか、(川合俊一デケーっ!)とか、心の中でビックリしながらも、平静を装って普通に受け答えをしなければならない。最初の出会いで失敗したら、取り返しのつかないことになってしまうが、大丈夫なのだろうか?


撮影は立川の昭和記念公園で行われた。宙玉レンズで撮影するんだったら、コスモス畑なんかを撮ったら面白いと、こちらからリクエストをしたのだ。コスモスはまだ満開ではなかったけど、一応絵になりそうな場所を選んでロケの開始。コスモス畑の中をタレントさんが歩いてきて、他のアマチュアカメラマンなんかにも声をかけつつ、私の所へやってくるという段取りだ。でも、それだったら、途中で誰だか分かっちゃうじゃん! せっかく隠してたのに。


私は一人コスモス畑に取り残され、ロケ隊が現れるのを待った。そして写真を撮りながらロケ隊の方をチラ見していると、チューリップハットをかぶったおじさんが目に入った。やっぱり阿藤快?それとも田山涼成? しかし、そのチューリップハットのおじさんは関係のない人で、本命は元巨人の宮本和知さんだった。「となりのマエストロ」の時は高田延彦だったし、なんかスポーツ選手に縁があるのだろうか。


撮影当日の暑さには閉口したけど、まああまりアガリもせずに会話できたんじゃないかな。こっちはカメラの操作をしなくちゃいけないし、ムービーで撮影しやすいようにするにはどうすればいいだろう? なんていうことを考えていると、テンパっている暇もない。あとムービーというのは、シャッター音がないから、あんまり撮られてる感じがしないんだな。


だからスチールの場合もまったくシャッター音がしなくなったら、撮影時に相手に与えるプレッシャーというのも変わるはずだ。人物撮影の場合、撮られ慣れてる人はシャッターを切るたびにポーズを変えたりできるけど、カメラの前だとすごく緊張してしまい、顔が強ばってしまうこともある。遠くない将来、カメラからシャッター音が消えたら、人物撮影もちょっと変わるんだろうな。


・はしのえみの腕に感嘆


「王様のブランチ」で私が登場するのは、はしのえみさん扮する姫様のコーナーだ。この番組は基本的に関東ローカルだから、地方では知らない人も多いみたいだけど、はしのさんの姫キャラは14年もやってるらしいし、「BOSS贅沢微糖」のコマーシャルなんかにも出てるから、認知度は高いんじゃないだろうか。


姫様はお付きの女の子二人とトリオで登場するが、姫様とも事前の打ち合わせはなく、私が一人待つ部屋へカメラとともに突然現れ、それが初めてのご対面となる。白衣を着た私を見て、何をする人だろうと想像を巡らし、最後に私が「実験写真家の上原です」と名乗ることになる。カメラを前に「実験写真家の上原です」と名乗ることには抵抗があったが、まあしょうがない、文句を言わず、この演出に従うことにした。


ただ、基本的には細かい演出はなく、はしのさんとお付きの女の子にレポートは任されていた。テレビを見ていて特に感じたことはなかったけど、はしのさんの芸人としての能力はひじょうに高いね。お会いして強く感じました。常人には、台本もなしにあんな風に喋ったり、リアクションしたりということはできないよ。お付きの女の子二人も(福井仁美さんと茜ゆりかさん)頑張ってた。素晴らしいトリオだと思います。


撮影は「写真の学校」の教室で行ったんだけど、宙玉レンズや手ブレ増幅装置を使って撮りっこをしたり、万華鏡写真をiPhoneで撮ったりといったことをしてきた。面白かったのは、手ブレ増幅装置に対抗して、はしのさんが動き出したり、大きなバネに取り付けたカメラを使って、はしのさんがセルフポートレートを撮ったりした場面かな。これは私もオンエアが楽しみ。


・スチールにもムービーにも適したカメラ


ロケ隊は家の方にもやってきて、カメラやレンズのブツ撮りなどもしていった。スチールとの違いは、カメラをパンさせたり、ズーミングしたり、フォーカスを移動させたりといったあたりだ。最近スチールカメラマンにムービーも一緒に撮ってくれという依頼が増えてきているようだが、動画と静止画の撮影は、まったく違う技術だと思う。


900万円するというビデオカメラをちょっと持たせてもらったけど、これは重さが8kgもあるらしい。しょうがなくこんな重さになってるんだろうけど、重さのおかげで安定するというのもあるし、一眼レフできれいに動画が撮れるっていっても、ムービーを撮りながらのフォーカス移動やズーミングがムービーカメラのようにスムーズにできるわけではない。


とはいうものの、WEBなどでもムービーで撮ることが当たり前の世の中になってくれば、スチールカメラマンへのムービーの依頼はますます増えることだろう。今ある一眼レフカメラというのは、フィルムを撮像素子に置き換えただけで、見た目のスタイルは銀塩時代とまるで変わりがない。早くムービーもスチールも自在に撮れる、今までに見たことがなかったようなカメラが出現しないものかと思うけど、それはいつぐらいになるのだろうか?


◇テレビ放映予定
「ぶらり途中下車の旅」(日本テレビ系列、BS日テレ)
10月2日(土)朝9:30〜10:30


「王様のブランチ」(TBS系列及びBS-TBS)
10月2日(土)午後1:15ぐらいから、姫様のコーナー


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara

上原ゼンジ


「PHOTOGRAPHERS SUMMIT 7」に参加してきたので、今回はそのご報告。フォトグラファーズ・サミットとは、写真家が生み出した写真のイベントだ。メインは写真を大きなスクリーンに投影しての、写真家によるプレゼンテーション。さらに、ポートフォリオの展示なども行われる。
http://www.phsmt.net/


第1回のサミットが催されたのが、2008年5月、渋谷のアップリンクファクトリーで来場者は110人。回を重ねて、今回の渋谷のO-EASTで行われた第7回では、およそ800人の人たちが集まったようだ。写真のイベントでこんなに人が集まるというのは、けっこう凄いことだと思う。


私自身が参加するのは今回が初めて。イベントの存在自体は知っていたし、サイトを覗いてみたことはあったが、行ってみようとは思わなかった。なんか、派手でオシャレな感じのイベントに気後れがしていたのだ。自分とは関係のないイベント、という感じに捉えていた。


ところが今回、代表である写真家・山田敦士さんから連絡をいただき、プレゼンテーションをしてみないかとのお誘いを受けて、即、引き受けさせていただいた。写真に興味のある多くに人たちに、自分の写真を見て貰える機会が与えられるのはありがたいことだ。


どういう経緯で参加することになったのかと、何人かの方から尋ねられた。元々はTwitterだったそうだ。Twitter経由で私のホームページに飛び、興味を持っていただいたとのこと。私のつぶやきは1日平均1.9件なので、すごく効率が良かったですね。ろくなつぶやきをしてないし、使いこなしているとは言い難いけど、Twitterで広がりが出てくるというのは、確かなようだ。


・プレゼン用のムービーを作る


今回、プレゼンテーションをしたのは8名。私のほかには、魚住誠一、うつゆみこ、奥出和典、兵頭喜貴、水谷充、宮下マキ、渡部さとる、といった方々。各人の持ち時間は5分間で、その間に写真を投影し、自作について語り、さらに司会者からの質問などを受け、トータル7分ぐらいで次の人にバトンタッチ、という段取りだ。


5分間で自分の言いたいことをまとめて話すというのは、なかなか難しいですね。ふだんセミナー等で話す場合というのは、20分〜3時間程度。だいたい時間が合う程度のネタを用意しておき、オプションネタでつじつまを合わせるというやりかたをしている。でも、5分だったら、もたもたやってるうちに終わっちゃうし、構成をきちんと考えておかなければならない。


今回は、「実験写真とは何か?」ということをまず話し、後半は手ブレ写真から、手ブレ増幅装置を作るまでの過程についてお話しした。写真の見せ方としては、同じ秒数で単純に写真を切り替えていくパターンと、テキストなどを加えながらムービーにしてしまうパターンが合ったが、私はiMovieを使って、細かく秒数などを調整していくことにした。


YouTubeなどに動画をアップすることもあるから、多少動画の編集もできるようになってきたけど、今回は書き出しにちょっと苦労をした。単純にiMovieから書き出すとかなり画質が劣化してしまうのだ。でっかいスクリーンに投影するわけだし、ストリーミング再生をするわけではないから、多少重くてもいいから、画質優先で書き出しをしたいのに、それがうまくできない。


結局、QuickTimeを使い、設定をいろいろ試していたら、どうにかまともに書き出せるようになったんだけど、こういった知識も今後は重要になっていくなと思った。もともと自分の写真を印刷物でまともに再現したいと思い、カラーマネージメントや製版の勉強を始めたけど、WEBや電子書籍で再現する、YouTubeやVimeoに動画でアップする、プロジェクターを使ってプレゼンをするといったケースを想定すると、それぞれの出力先にあった画像の最適化の方法を確立しておくべきだろう。


・突っ走るうつゆみこさんがステキ!


今回、プレゼンやポートフォリオで多くの写真家が参加したけど、なかなかユニークな人たちが集まっていて面白かった。いちいちリンクは張らないけど、ちょっと名前で検索してみるといいと思います。


その中で一人だけ紹介すると、うつゆみこさんのプレゼンが面白かった。実際に会場に来ていた人たちの間からも笑い声が上がり、かなりウケていたと思う。何がウケていたのかと言えば、うつさんの写真とそのキャラクターだ。また、写真を映しだす秒数が短くて、駆け足、盛りだくさん感が楽しかった。


うつさんの写真は、魚類や貝類やキノコ、人形、昆虫、臓物など、ちょっと不気味なもので構成された独特の世界だ。でもただグロい写真というわけではなく、そこには美しさとユニークさがある。作者は当然、何らかの美を感じてシャッターを押しているはずで、それは見ている側にも伝わってくる。まあ、全然受付けないという人もいるだろうけど、私はかなり好き!


なんか、うつさんが「まっしぐら」に写真を撮っている感じがして、それが凄く良かった。理屈ではなく感覚で撮っていて、そこに迷いがないということ。理屈先行で、ハートに来ない写真の反対ということだな。うつさんには、ぜひこのまま突っ走っていっていただきたい。


今回フォトグラファーズ・サミットに参加させて貰って、このイベントに関する印象はかなり変わった。司会はもちろんのこと、物販なども写真家達が行う手作りのイベントで、写真に対して真剣に考えてるな、というのが伝わってきた。個性豊かな写真家達のプレゼンも面白かったし、イベントとしては大成功といっていいんじゃないだろうか。


きっちり焼いたオリジナルプリントを見せることも大切だけど、プロジェクターを使いながら、ダイレクトに語りかけていく方式というのがいいな。プロジェクターで写真を見せること自体は珍しくはないけど、5分という限定された時間の中で、写真を伝えていくスタイルは面白いと思った。今後の発展をお祈り申し上げます、というか、また声をかけてくださいね。


・「実験写真相談会」のお知らせ


赤坂の小さなカフェの壁面に写真を飾らせて貰うことになった。でも、それだけじゃ面白くないので、「実験写真相談会」というのをやります。下記の時間帯にお店におりますので、何か聞きたいことがあればおいでください。工作法や撮影法などについてアドバイスさせていただきます。


「実験写真相談会」(赤坂港カフェ)
9月12日(日)14時〜17時30分、9月15日(水)18時〜20時
http://www.zenji.info/news/pg245.html


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara


「デジカメWatch」で『「宙玉レンズ」を作ってみよう』という原稿を書きました。本誌でも書いてきたネタのまとめですね。最新のネタもプラスされているので、ぜひごらんください。
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20100902_389833.html

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