「写真を楽しむ生活」のページ頭です

写真を楽しむ生活

写真が好きなすべての人に役立つ情報クリップ。写真展情報は"日本最強"!

カテゴリ ‘おかだの光画部トーク/おかだよういち’ のアーカイブ

おかだよういち


2月から8回、数か月に渡って技術的な小難しい話を続けてきましたので、この辺で旬な話題を。と言うことで、今回は先月28日に発売になったばかりで話題のiPadと、写真を絡めた話をしてみましょう。


と、その前に更に新鮮な、日本時間今朝早くにWWDCで発表になったばかりのiPhone4に関して、カメラまわりのことを書いておきます。


この連載でも、いままで何度もiPhoneのカメラ&カメラアプリのことに触れています。その中では「iPhoneのカメラはしょぼいのでそれを逆手に取って、他の高性能なカメラでは撮れない感じのトイカメラ風に撮るのを楽しみましょう」と書いていましたが、今回発表されたばかりのiPhone4のカメラはかなり進化していますよ。


・5 megapixel sensor
・backside illuminated sensor
・1.75μm size pixels
・5x digital zome
・tap to focus
・LED flash
・720p at 30fps HD video recording


と、ジョブズ氏のプレゼンにあります。まず、5メガピクセルで、しかも裏面照射のセンサーになりました。裏面照射CMOSセンサーは、ソニーやリコーの最新デジカメ等に採用され始めたもので、通常のものと比べると暗い場所に強く、高感度でもノイズの少ない写真が撮れるのが特徴です。
http://bit.ly/5hnimq


コンパクトデジカメや、日本の携帯電話のカメラは、センサーが小さいにもかかわらず解像度を上げることに力を入れているので、800万画素とか1,000万画素とかが主流です。iPhone4のカメラは、同じサイズのセンサーで実用に必要充分な500万画素に抑えることで、光を取り込むひとつひとつの画素を1.75μmと大きくできるので、より暗い場所に強いということになります。早く実機で試し撮りしてみたくなりますよね!


その他にも、LEDのフラッシュも付いたり、指で触った所でピントが合ったり、720pのHD動画が撮れて、しかもその場で編集してすぐにネットにアップして共有できるなど、嬉しい機能がてんこ盛りです。もともとGPSは搭載されていますので、写真や動画にジオタグを付けるのはお手のものですし、これ以上のコンパクトデジカメは他にないんじゃないかなと思える新型iPhoneです。
http://www.apple.com/jp/iphone/


そんなiPhone4が今月24日発売ですよ! iPad発売から1か月経ってないのに。


そのiPad、先月28日に発売され、一般のニュースやワイドショーなどでも紹介されるなど、一部のギークだけでなく、普段あまりデジタルガジェットに興味を持たない人達までiPadの話題をするほどです。わたしも予約できなかったにもかかわらず、ちょうど出張で東京にいたので28日当日ソフトバンク表参道店でうまく手にいれることが出来ました。


iPadにはカメラが付いていませんので、単体では写真で遊ぶことはできませんが、別売りのiPad Camera Connection Kitを使って、デジカメで撮った写真を取り込めば一気に用途が広がります。
http://store.apple.com/jp/product/MC531ZM/A


SDカード用とUSB用と2種類ありますので、SDであればそのまま挿し、一眼レフなどCFカードのカメラはメモリリーダーを使うか、カメラを直接USBで繋ぎます。
http://flic.kr/p/88pdtE


すると、メモリカードに入っている写真のサムネイル画像が表示されます。
http://flic.kr/p/88z2M7


凄いのはJpeg画像だけでなく、RAWで撮ったものもちゃんと読み込んで、サムネイル画像が見られるとこです。
http://flic.kr/p/88vMYH ←一番下の最期の画像


ただし、注意が必要なのは、JpegもRAWもiPadで閲覧する写真はiPad用に最適化された画像で、実画像ではありません。ですから、等倍に拡大してピントのチェックとかの用途では使えません。あくまで構図やライティングのチェックなどに限られますが、今までクライアントさんやモデルさんと、カメラ背面の小さな液晶を見るために頭を寄せ合ってチェックしていたことを思うと、iPadで画像のチェックが出来るのは画期的です。


画像チェック以外にも、JpegやRAWデータがそのまま読み込まれるので、メモリの予備がない場合のデータの避難場所として、簡易的なフォトストーレッジにも使えそうです。


一回の撮影で32GBのカードを何枚も使うような強者には、本格的な専用のストーレッジをお勧めしますが、普通の撮影なら32GBまたは64GBのiPadでも充分事足りるのではないでしょうか。


iPadで写真を見るのはとても楽しくて、クライアントやモデルさんに見せる場合、とてもインパクトありますから喜ばれます。


写真はアルバムやイベントごとに束になっていて、指二本で写真をつかんで広げると、実際に重なった写真が広がるギミックで直感的に操作できます。
http://flic.kr/p/88pGGj


そして、ボタンをタップするだけで、エフェクトと音楽が付いたステキなスライドショーが始まります。作品ポートフォリオを人にプレゼンするのに強力な武器になりますよ!
http://flic.kr/p/88zeuU


まだまだ発売直後ということもあり、写真編集アプリなど定番という感じのものは出揃っていませんが、RAWデータを読み込めるということもありますし、今後RAWデータを現像するようなアプリも出てくるかもしれません。新しいiPhone4とうまく連携するようなアプリも期待できますし、今後も目が離せないですね。またアプリに関しては面白いものを発見したら、追って紹介しようと思っています。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/
okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


またiPhone4の行列が出来るのでしょうか? とにかく3Gを丸2年使ったので、速攻新しいのに買い替えたいです。

おかだよういち


露出補正の話の続きです。同じ場所(同じライティング・明るさ)で、白い物と黒い物をオートで撮ってみると解りやすいと思います。白は白くなくちょっと暗く写っていますよね? そして黒は黒くなくちょっと明るく写っているはずです。


デスクの周りの物を撮ってみました。まずキーボードをカメラ任せの露出で。
http://flic.kr/p/84EMuU
白であるはずのキーがグレーに写り実際よりも暗くなっています。+補正して撮ると、本来の被写体の輝度になります。
http://flic.kr/p/84BGii


黒いものはどうでしょう。黒いペンタブレットの上にiPhoneを置いて撮ってみました。
http://flic.kr/p/84ELBh
本来の黒ではなくかなり明るめに写ってしまいました。─補正してみると、見た目の印象に近づきました。
http://flic.kr/p/84EM7o


図にしてみました。
http://flic.kr/p/84B3Qt


一番上のAは被写体です。カメラで自動露出で撮ると、すべてBの反射率18%のグレーに写ります。カメラは被写体にはね返ってくる光量を測っていますが、被写体自体が白いものなのか黒いものなのか判断できません。


そこで、出ている露出の値を元に人間が判断し、白いものであればプラスに、黒いものであればマイナスに露出を修正して、元の被写体の輝度に合わせるのです。これが露出補正です。


絞りやシャッターや露出の考え方と同様、補正に関しても1段→2段と言うように光量を2倍→4倍または半分→4分の1と変化させます。1段刻みでは変化が大きすぎるので、1段を細かく1/3段刻みや1/2段刻みに設定で調節できるようになっています。


液晶に表示されている露出ゲージや、
http://flic.kr/p/84FZ4f
ファインダ内の情報にも露出ゲージが表示されますので、
http://flic.kr/p/84FYVu


┼何段、─何段と自分が補正したい値だけ、ゲージが動くようにダイヤルを回して設定します(Nikonは昔から左が┼で右に─。他のメーカーは数学のグラフ同様左が─で右が┼になっているはず。機種を変えて撮影する場合は注意が必要です)。


図にあるように、真っ白な部分を測ってその部分を真っ白に再現したければ、┼3補正すればよいのですが、全体が真っ白ではなくが、被写体の一部分が真っ白の場合どう測ればよいでしょうか?


カメラには測光モードという機能があります。スポット測光・中央部重点測光・多分割測光の3つ。
http://flic.kr/p/84EeUu
サンプル写真では、真ん中の多分割測光に設定されています。上が中央部重点測光、下がスポット測光。


最近のカメラは賢くなってきていて、多分割測光がデフォルトに設定されているはずです。この測光モードは、カメラに内蔵されているコンピュータに様々な経験値がインプットされていて、画面を何分割かした面をそれぞれ別々に計測して、カメラがデータと照合して露出の値を出していますので、多くの場合これで問題なく、誰が撮ってもほぼ失敗しないように設定されています。


しかし、正確な露出補正をしようとした場合、この測り方では少し困ります。画面全体を測ってカメラが計算した値を出しているので、正確にどの部分の値なのか人間が判断しにくいからです。そこで、スポット測光や中央部重点測光など、自分が測りたい部分をピンポイントで測れるモードを使って、白い部分を測り、その露出値からプラス○段補正するとか、黒い部分を測りマイナス○段補正するなど判断すればより正確に露出補正ができます。


スポット測光と中央部重点測光の違いは、スポットの方がよりピンポイントで計測し、中央部重点測光の方が画面中心部の平均値になります。被写体によって使い分けるとよいでしょう(機種によっては、スポット測光は選択中のフォーカスセンサーの部分を測ることもできます)。


正確に測ったものを正確に補正するだけが撮影ではありません。時には、実際の印象よりも暗めにしたり明るめにしたりした方がよい被写体や、シチュエーションもありますよね。例えば、料理の写真や女性のポートレートなどは、実物より明るめに撮る設定に(+補正)しておいた方がより美味しそうに見えたり、肌がよりきれいに写り喜ばれます。


カメラの露出計と測光モードと露出ゲージをうまく使うと、狙った場所が計測できて思い通りの量を補正できるので、何に使うのか知らないままカメラを使っていた人は、一度カメラの説明書をしっかり読みこんで、露出補正にチャレンジしてみましょう!


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


22日土曜日、名古屋で写真・撮影のワークショップをしてきました。10時から17時まででしたが、あっという間に時間が過ぎて、奥の深い写真の世界のほんの一部分しか伝えられなかった気がします。また機会があれば撮影会とかもやってみたいですね。
http://2010.wcan.jp/photograph/report/entry-309.html

おかだよういち


GWのお休みがあったので、しばらく間が空いてしまいました。前回予告した通り、今回は露出補正について説明します。では、少し露出についてのおさらいから。


カメラに内蔵されている露出計は、どんな明るさの被写体でもすべて、反射率18%のグレーとして値を出しています。だから、画面全体が真っ白な被写体を撮影すると、見た目よりも暗く写りますし、画面全体が黒い被写体を撮影すると、見た目の印象より明るく写ります。


前回の「露出ってなんだ?」ではその辺の難しい感じのことを書いてますので、わからなくなっちゃった人は復習してみてください。ではここから露出補正について……。


カメラ自身は、その被写体が白いものなのか黒いものなのかは知らないですから、露出計で計測した数値に対して人間が判断して調整してやる必要があります。それが露出補正です。


デジタル一眼レフやコンパクトデジカメには、もちろん露出補正機能が付いています。最近では、携帯電話のカメラでも付いているものが多くなってきたようです(トイカメラやiPhoneデフォルトのカメラなど、露出補正機能が付いていないものもあります)。


多くの場合、┼/─と印字されたボタンを押しながらダイヤルを回すことで補正をします。┼の方向に回すと明るさが増し、─方向に回すと暗くなります。


┼に(明るく)補正するということは、具体的に何をするのかというと、今出ている露出値よりも明るくするわけですから、より多く光を取り込む必要があります。絞りを変えずに明るくしようとすると、シャッターを開ける時間をより長くすればいいですし、シャッターを変えない場合は、絞りをもっと開ければ光量は増えます。


例えば、絞りF5.6・シャッタースピード250の露出値で┼1(1段明るく)補正する場合、絞りをF5.6→F4にするか、シャッタースピードを250→125にします。


ここで注意しなければいけないのは、光を多く取り込むために、シャッタースピードを遅くするとブレる可能性がより大きくなりますし、絞りを開けるとより被写界深度が浅くなります。実際にプラス補正する時は、手ぶれやピントに注意が必要です。


次は逆の─に(暗く)補正する場合を考えてみましょう。露出計が出した露出値よりも暗くするわけですから、取り込む光を少なくします。絞りで調節する場合はより穴を小さく、つまり絞り込めばいいですし、シャッターで調節する場合は、より速いシャッターを切ればいいわけです。


例えば先程と同様の、絞りF5.6・シャッタースピード250の露出値で─1(1段暗く)補正すると、絞りF5.6→F8またはシャッタースピード250→500になります。


マニュアルモードであれば、絞りかシャッタースピードを撮影者が自分で調節して補正するのですが、絞り優先やシャッタースピード優先モードなどの場合は、┼/─と表示された露出補正ボタンとダイヤル操作で、モードに応じてカメラが絞りかシャッタースピードを調節してくれます。


コンパクトデジカメや携帯カメラのように、液晶モニタに被写体を映して撮影するカメラの場合は、補正量に応じてモニタに映る画像も明るくなったり暗くなったりしますから、イメージがつかみやすいはずです。


難しく感じるのは一眼レフで、ファインダ内ではレンズを通った光をそのまま見ています(生の光がそのまま目に届いています)。当然ですが、補正設定したところで数字が変わるだけで、実際に見ているものの明るさが変化しません。液晶やファインダー内に表示される情報の、露出目盛りのゲージに補正量が表示されますので、それを見ながら補正します。


露出補正の説明だけで、まるまる一冊本が出ているくらいなので、なかなかこの程度の説明では理解しにくいと思います。露出計の特性や測光モードなど、露出補正に欠かせない内容がまだまだありますので、次回も露出補正の説明が続きます。


○WCAN 2010 Photograph Workshop


ここでひとつお知らせをさせてください。来週末、5月22日(土)名古屋で「WCAN 2010 Photograph Workshop」というワークショップを開催します。会場は、名古屋駅からすぐ近くの愛知県産業労働センター ウインクあいち。


WCAN(ダブキャン)とは“Web Creators Association Nagoya”の略で、普段はWebにまつわる内容のセミナーを中心に開催しています。Webのコンテンツとしても写真や撮影を勉強は大切なので、Webデザイナーやディレクターを対象に写真やカメラ、撮影の基礎のレクチャーから、実際に参加者も撮影しながら学ぶ感じでワークショップを考えています。Webに関係なくとも、写真の勉強がしたい人なら誰でも大丈夫ですので、もし興味がある方がいらっしゃいましたら、是非下記サイトからご参加ください。


イベント概要
http://2010.wcan.jp/photograph/event/
セッション内容
http://2010.wcan.jp/photograph/session.html


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


iPad、Adobe CS5、自動車税と、5月末は各所にいっぱい税金を納めないといけないようで大変ですね。皆さんはもう予約しました?

おかだよういち


Googleで「露出」を検索するとエッチなサイトが出てきちゃいますが、もちろんその露出ではなく、写真用語の「露出(exposure)」です。露出とは、銀塩カメラだとフィルム、デジカメだとセンサーを光にさらすことですから、写真を撮ることそのものですね。露出しなければ写真は撮れません。


前回までお話した、絞りとシャッターとISO感度、この3つをコントロールして露出値を設定します。露出値(Exposure Value)は、絞り値(Aperture Value)とシャッタースピード(Time Value)を足した、Ev=Av+Tvで表し、同じ露出でも、様々な絞りとシャッターの組み合わせで撮影することができます。


人間が目で見ている絵と、同じような明るさの写真になるように設定したものを「適正露出」と言います。適正露出は、必ずこれでなければダメと決まっているわけではないので、撮影者がこれが適正だと思えば適正なのですが、一般的に、黒い部分がまったくなく極端に真っ白に写ってしまっている写真(光を必要以上にたくさん取り込んだ写真)は露出オーバー(単に「オーバー」とも)、逆に光が足りなくて全体に黒く写ってしまっている写真は、露出アンダー(単に「アンダー」とも)で露出失敗の写真になります。


白い部分のディテールがなくなってしまっている状態を「白とび」、黒い部分のディテールがなくなっている状態を「黒つぶれ」と言います。


ちなみに、撮影者が意図的にオーバー目に撮ったり、アンダー目に撮ってみたりすることもあります。露出オーバー目に、全体が白っぽい感じで撮影したものを「ハイキー」、逆にアンダー目に、全体を黒っぽく撮影したものを「ローキー」と言います。


Flickrで「High Key」と「Low Key」で検索すると、様々なグループや写真がヒットしますので、どんな感じの写真か見てみると参考になると思います。あくまで露出を失敗した結果そうなっちゃったのではなく、ハイキー、またはローキーに撮影するために、その露出に設定して撮った写真だと思って下さい(ほんとは失敗したのに、後から「これはハイキーで表現したかったらかオーバーで撮ったんだよ」とごまかしても誰も怒りませんから……)。
http://www.flickr.com/search/groups/?w=all&q=High+key
http://www.flickr.com/search/groups/?w=all&q=Low+key


話を、露出オーバー・アンダーに戻します。カンで適当に露出を設定したのではなく、ちゃんとカメラが自動で設定してくれている絞りとシャッターの値で撮っているのに、なぜオーバーやアンダーのような露出失敗写真が撮れてしまうのでしょうか?


こんな経験はないですか? 携帯のカメラや、iPhoneのカメラなどは特にそうだと思いますが、日中の屋外などで明るい被写体にカメラを向けた時、本当はもっと明るい写真になって欲しいのに、極端に暗く写ってしまったこと。


また、黒い服や夜景など、黒い部分が多いものを撮った時、黒い部分まで目で見た時よりかなり明るく白っぽく写ってしまったこと。更に、同じ場所で同じ時間に同じ被写体を何枚も撮っている時、ちょっとカメラの角度や位置が変わるだけで、全然明るさが違う写真が撮れてしまったこと。


コンデジやデジタル一眼でもそんなことがあるはずです。思ったような明るさで撮れずに困りますよね。何故でしょうか? カメラ内蔵の露出計が壊れている? カメラを制御しているコンピュータの性能が悪い?


大丈夫。カメラは壊れてないです。人間は、被写体が白いものなのか、黒いものなのか見れば分りますが、カメラはそれが何なのか分りません。ただある基準のもとにその光を測っているだけです。その基準というのは、一番明るい白から一番暗い黒のちょうど真ん中の、反射率が18%のグレーです。


なぜ一番明るい反射率100%の白と、一番暗い反射率0%の黒の中間が、50%じゃなくて18%なの? って思いますよね?


反射率100%が一番明るい白。半分の明るさが50%、その半分の光が25%、そのまた半分が12%、その半分が6%、その半分の3%でほぼ真っ黒になります。この6段階のちょうど中間ということは、反射率25%と12%の中間で反射率が18%となります。


100%(真っ白)
50%(白っぽいグレー)
25%(明るめのグレー)
12%(暗めのグレー)
6%(黒っぽいグレー)
3%(ほぼ黒)
の真ん中のグレーということです。


この反射率18%という基準になるグレーは、グレーカードとしてカメラ用品店で購入できます。また、レフ版などの片面が18%グレーになっているものもあります。
http://www.yodobashi.com/ec/category/index.html?word=グレーカード


カメラの露出計はTTL(Through the Lens)測光という方式で、レンズを通ってきた光を測っています。つまり光源(太陽であったり電灯であったり)から放たれた光が、被写体に反射してレンズに届いた光の量を測っています。


その被写体が白なのか黒なのかカメラには分りませんから、被写体がすべて反射率18%のグレーとした時にどれぐらいの光なのかを測って、値を出しているのです。白いものも、黒いものも(明るいものも、暗いものも)すべてグレーとしています。


そのため、白いものを撮ったのに暗く写るし、黒いものを撮ったのに明るく写ってしまいます。また、同じものを撮っていても、カメラの位置や角度によって、背景の明るい電気や暗い部分が変わることによって露出が変化して、撮る度に明るさが違う写真になってしまうことがあります。


コンデジなど、初心者が失敗しないようにカメラのコンピュータが色々と判断してモードを決めて適切な状態にセッティングして撮ってくれるので、その辺すべてカメラ任せでいいような時代になってきましたが、撮影者がコントロールするカメラでは、18%グレーを基準に露出計が出してきた値に対して、それがその基準より白いものなのか、黒い物なのか(明るいものなのか、暗いものなのか)を撮影者が補正してやる必要があります。


これが露出補正。次回はこの露出補正について説明します。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


姫路城が平成の大修理に入り、今後5年間は全体を覆う修理用の建物で囲われてしまいます。今回でしばらく見納めの「姫路城と桜」の風景を見ようと連日もの凄い数の観光客で賑わっていましたよ。
http://flic.kr/p/7QZiQn
http://flic.kr/p/7R3z9A

おかだよういち


被写体の明るさである「露出値」を決定するには、絞りを調節する「F値」とシャッターを調節する「シャッタースピード」を組み合わせで表現することを前回説明しました。F値もシャッタースピードも、バラバラに勝手に決められるわけではなく、F値を希望の数値に決めれば、それに対応したシャッタースピードになりますし、逆にシャッタースピードを決めれば、それに対応したF値になります。


室内や夜など暗い場所での撮影は、絞りを開けて(F値をF1.4などできるだけ小さな数字に設定して)シャッターも長い時間開けて、光をたくさん取り込んでやる必要があります。


しかし、設定上、絞りを開けるとピントが一点にしか合わなくなり、長時間シャッターを開けると手ぶれや被写体ブレの問題が出てきます。暗い場所では、ストロボを使ったり三脚を使ったりしないとピンぼけしたりブレたりしてしまうのですが、場所やシチュエーションによっては、それらが使えないこともあります。


では、ストロボや三脚が使えない場所ではどうするか。センサーを少ない光でも感知するように敏感にします。別の言い方をすると、少ない光をセンサーで増幅します。これがISO感度です。


ISO感度とは写真フィルムの感度を表す指標で、1987年に国際標準化機構によって策定されました。それまでは、米国標準規格(ASA)で決められたASAスピードという表示でしたから、古いフィルムカメラや古いフィルムのパッケージには、ASA100とかASA400と表記されていました。


ISO100を基準に200→400→800→1600と倍々で光に敏感になります。これも絞りやシャッターと同様、一段ずつの変化で光が半分→また半分→そのまた半分というように、ISO感度の数字が倍々で大きくなるにつれ、半分の光で撮れるようになります。


例えば、ISO100で、
絞りF8・シャッタースピード125で設定出来る場合、
ISO200に設定を変えると、
絞りF8・シャッタースピード250。または
絞りF11・シャッタースピード125。
ISO400に設定を変えると、
絞りF8・シャッタースピード500。または
絞りF16・シャッタースピード125
で撮影できます。


つまり、ISO感度を一段分上げると、絞りを一段分絞る(あるいはシャッターを一段分速く)することができます。


フィルムを使っていた頃と比較して、デジカメを使うようになって最もメリットを感じることのひとつが、いつでも自由にISO感度を変化できることだと思います。


フィルムでも、無駄を気にしなければ一枚毎でも交換すればいいですが、あまり現実的ではありません。普通は24枚や36枚の1ロール毎にフィルムを交換するわけですから、晴れた屋外と暗い室内を出たり入ったりして取る場合は困ります。ブライダルの撮影などは、感度の違うフィルムを入れたカメラを何台も用意したりしました。


デジタルになった今は、その場その場でショット毎にISO感度の設定を変えられるので、枚数に縛られることなく、明るい場所から暗い場所まで自由に移動して撮影できます。


最近ではセンサーもどんどん開発が進み、ニコン D3sなどはISO 102400相当という、とてつもなく高感度なものも出てきました。
http://bit.ly/dBYbM6


ここまでくると、ほんのかすかな光でも捉えることが出来るので、フィルムでは撮ることができなかった世界を写すことができます。


フィルムの時代は、絞りとシャッターの2つを変化させて露出を決めていましたが、デジタルになってからは、このISO感度というもうひとつの要素も加えて柔軟に設定を決められるようになっています。


例えば、PENTAXのデジタル一眼レフには、絞り優先(Av)・シャッター優先(Tv)と従来のモードに加えて感度優先(Sv)モードと、シャッター&絞り優先(TAv)モードと、デジカメならではの見馴れない設定モードが搭載されています。
http://flic.kr/p/7zXHP8


感度優先(Sv)モードは、感度を随時自由に調節して、絞りとシャッターが自動で追従するモード。シャッター&絞り優先(TAv)モードは、使用したい絞りとシャッタースピードに合わせて、ISO感度が自動で設定されるモード。


最近のコンパクトデジカメでも、ISO感度をオートで設定しておくと、カメラが明るさに応じ自動で感度を決めてくれたりします。


暗いところでも撮影できて便利なISO感度の設定ですが、高感度にすることで問題も出てきます。ノイズが出て画質が悪くなってしまうのです。これはフィルムもセンサーも同じように、高感度になるほどノイズが目立って画像がざらついて汚く見えてきます。


フィルムでは、光を感じる粒子が小さい程きめ細かくきれいな画質になります。この粒子が大きくなる程、少ない光量で反応しますが、粒子が大きいので画面もその分荒くなります。


デジカメのセンサーも少ない光を電気的に増幅させるので、高感度になればなるほど、ノイズが目立ってきます。デジカメ本体にはこのノイズをなくすための高感度ノイズリダクションなどの設定が付いていたり、Lightroomなどのソフトにもノイズ軽減の設定項目が付いています。
http://www.adobe.com/jp/joc/pslr/pslr3_beta2/


しかし、それらの機能でノイズを軽減させ多少目立たなくさせることは出来ても、完全になくしてまるでISO100で撮ったかのようには、残念ながらできません。なので、やみくもに高感度に設定すれば良いわけではなく、可能な限り低い設定にしておいた方がいい画質になります。


いま日進月歩でセンサーの開発が進んでいますので、高感度でもノイズが少なくきれいに撮れるカメラが、これからどんどん出てくるはずです。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


桜もちらほら開花しているみたいですが、昨日はまさかの雪。しかも吹雪いてました。この時期にこの寒さどうなっちゃってるんでしょうか。

YouTubeで見つけました!

広告
このページの上部にもどる

アクセス

いろいろな方法でアクセスできます!