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写真を楽しむ生活

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齋藤 浩


前にも何度か尾道の話を書いたが、また書くことにする。


私は自分の生まれた場所や育ったところにはこれといって執着がない。そのかわり、なのかどうなのか…、この広島県尾道市というところには並々ならぬ思い入れがあるのだ。


あえて恥ずかしい言葉で表現するのであれば、心のふるさととでも申しましょうか。この町には「オレの好きな曲がり角」や「オレの好きな電柱」、そして「オレの好きな階段」がたくさんあるのだ。


しかもどれもが飾らずに美しく、ここに住む人たちの暮らしと密接な関係にある。同じ坂道でも、朝と夕方ではまるで表情が違う。同じ路地でも、行きと帰りとでは別の場所のような錯覚を覚える。あくまでも普通の暮らしの中での風景がこんなにも絵になってしまう町を、私は他に知らない。


住みたいと思わなくもないけど、住む資格はまだない。なので、足しげく通って尾道の素晴らしさを少しでも多くの人に知ってもらおうと思う今日この頃なのだ。この『足しげく通うこと』を、私は里帰りと呼称する。


年に何度か里帰りをしたいのだが、「ただなんとなく」では周囲が納得してくれるはずもない。正当な理由もなくふらりといなくなることは、家族やスタッフからの信用に傷がつく。まあすでに傷はけっこうある訳だが、これ以上増やしたくない。さて、どうしたものか…。


で、思いついたのが、「理由なんて作ればいいじゃん!」。という訳で、いままで撮った尾道の写真をまとめて個展を開催します。場所及び日時未定。で、その写真を使って観光ポスターを作りませんか? と尾道にプレゼンに行き、めでたく採用されたとして、で、それがADC賞かなんかとっちゃったら最高ー! と妄想は膨らむ。


つまり、『個展及び自主プレのための撮影』ってことだ。あ、なんかちゃんとした理由っぽいじゃん。


と安心な僕らは旅に出ようぜとばかり1月某日朝、のぞみ17号にて尾道へと向かったのであった。途中雪のため10分遅れて福山に到着。在来線に乗り換えたら進行方向左側の窓際を確保する。東尾道駅を出て造船所のクレーンが見えてくると、もはや身も心も帰郷モードだ。


大きなカーブに沿って遠くに見えていたクレーンが徐々に近づいてくる。進水式前の巨大な貨物船の横をかすめ、煉瓦造りの変電所を抜けたところで海!という絶妙な演出。まるで映画だ。尾道大橋を越え、瓦屋根の家並みが見えてくると列車はゆっくりと減速し、尾道駅へ到着する。8ヶ月ぶりだ。懐かしいなあ。


荷物をホテルに預け、身軽になったところで尾道ラーメンを食す。あったまったところで撮影開始だ。今回の撮影で自分に課した条件は、『ツァイスで撮ってフィルムに残す』だ。


2年前のカールツァイスレンズとの衝撃的な出会い以来、重度のツァイス患者となってしまった私だが、実はまだ一度もツァイスレンズを通して尾道を記録していない。また、レンジファインダーカメラでのフィルム撮影もしていない。最近やっと納得のいく、フィルムとスキャニングとPC上での現像処理の流れが見えてきたので、この度晴れて趣味全開モードでの撮影がかなった訳です。


この日のカメラはツァイス イコン。ライカMマウント互換のZMマウントを採用した究極の趣味カメラだ。レンズは21mmと35mm、50mm。天気は曇り…というか、この白くてふわふわした粉はひょとして雪ですか?? 寒さは熱い郷土愛でなんとかなる! 天気もきっと晴れてくるはずだ! そんなことを思いつつ、坂と階段の路地が待つ山の手へと向かったのだった。


階段
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ここは何度も撮影してるんだけど、今回もやはり撮ってしまった。美しく、歩きがいのある良い階段だ。ツァイスで撮ると立体感がより強調され、石段を踏んだときの感触や、死角になってる塀の向こう側も見えてしまうような気がする私はやはり重度のツァイス病か。


さらに路地の向こうにも階段。
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とにかく一歩進むごとに景色が変わる。しかもドラマチックに。以前彫刻の先生に「立体物は4方向から見たうち、少なくとも3方向から見て面白くなければいかん」と言われたことがあったが、ここ尾道は人が入り込めるサイズの巨大な彫刻なのではないかと思わせるほどの“無作為の美”がそこにある。


ネコのある風景
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尾道の猫は旨い魚を食ってよく運動しているから健康的だ。しかしこれは一輪車の方のネコである。さりげなく立てかけてあるだけなのに、なんとも風流に感じるのは郷土愛故か。これで陽がさしてきたら、グレイのバックと鮮やかな青とのコントラストが明快になり、また違った表情を見せてくれるに違いない。


塀と屋根
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ここ尾道では急坂に貼り付くようにして家が建ち並んでいるため、一階の高さに隣の家の屋根がある。決して作為では生まれ得ないこの面構成! もはや芸術の域である。


塀と消火器の箱
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この壁だって、わざとこんな色彩に仕上げたわけでは決してなのに、こうして切り取るとリズミカルな抽象画になってしまう。経年芸術とでも言おうか。剥がれ落ちたであろう「消火器」のラベルのあった部分だけが彩度が高いが、そこがまた絶妙なアクセントとなっている。


墓石地平線
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青空が出てきた。ふと振り返ると瓦屋根の向こうはお墓である。尾道のいいところは家と寺と墓地が隣り合っている点。こうしていても、おじいちゃんやおばあちゃんが見守ってくれているような気がする。死をタブーとして見えなくする傾向は、死への恐怖を助長する。日常と死が共存しているここ尾道では、お墓はぜんぜんコワくないのだ。



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塀と屋根が直線的に交わって突き放した構成になると思うと、有機的なドロバチの巣(?)が抑えに入る。こういうことに気づけるような、ゆったりした日常がいい。



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松の内も過ぎようとしているのに、蝉の抜け殻が! 生と死とか、時間の流れとか、いろいろと考えてしまう。さすが時をかける町、尾道。


細道
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一見して道とは気づかない道が、尾道にはたくさんある。とりあえず行ってみると、意外な景色に繋がったりする。当然すれ違いなんかできないから、向こうから人が来た場合、どちらかが戻って道をゆずることになる。こういったちょっとしたコミュニケーションが旅の思い出として心に残るのだ。


紅白
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細道を行くと階段があり、上っていくと学問の神様が。お正月仕様の紅白の幕がことのほか鮮やかだった。


階段
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実はここ、あの有名日本映画の名シーンの撮影地なのだ。あの男女が入れ替わってしまった階段も、視点を変えるとこうなる。


眺め
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神社からの眺望。以前ほどではないとはいえ、まだまだ瓦屋根の街並といえよう。遠くに山陽本線、その先が海。旅はまだ始まったばかりだ。


などと12点も写真を紹介してしまった。撮影はまだまだ続くので、この話もまだまだ続く。文句が来ない限り、しばらくは尾道ネタで引っ張るかもしれないが、ここはひとつ、好きなことを書かせていだだくことにする。それではみなさん、次回またお会いしましょう。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

おかだよういち


2011年最初の光画部トークは久々に、最近よく使っているiPhoneのカメラアプリのご紹介です。iPhone4になってからデフォルトのカメラアプリが劇的に良くなったので、3Gの頃ほどカメラアプリの必要性を感じなくなりました。


しかし、何も設定することができないシンプルな仕様なので、シチュエーションによっては物足りなく感じることも出てきました。そんな時にデフォルトのカメラアプリを補強するアプリ2つです。今のところ完全に置き換わってはいませんので、状況に応じて補助的に使うようにしています。


AccuSmart Camera(230円)


http://itunes.apple.com/jp/app/accusmart-camera/id407441936?mt=8
http://www.noritsu.info/iphoneapp/ascamera.html


年末までリリース記念で無料だったのですが、今は230円になっています。でも、その価値は充分にあるのでオススメです。


iPhoneで写真を撮るメリットの一つは、撮ったその場でTwitterや写真共有サイトで仲間と共有できること。撮って仲間に見せたいものとして多いのは料理じゃないでしょうか。


デフォルトカメラアプリも悪くはないのですが、光源が蛍光灯や電球だとホワイトバランスが調整できないので、全体が青緑被りだったりオレンジ被りだったりして、美味しそうに写りません。


このAccuSmart Cameraアプリは、「AccuSmart(tm)」という写真の自然な美しさを再現するNORITSUオリジナルの補正技術で、料理の写真を美味しそうに自動補正してくれます。試しに撮ったサンプルを見比べてみてください。


1.AccuSmart Camera
2.デフォルトカメラアプリ(ノーマル)
3.デフォルトカメラアプリ(HDR)
の順になっています。


a.白いご飯
1.http://flic.kr/p/9aRARV
2.http://flic.kr/p/9aUJeW
3.http://flic.kr/p/9aUJoE


b.カレー
1.http://flic.kr/p/9aRz72
2.http://flic.kr/p/9aRzb4
3.http://flic.kr/p/9aUGE5


c.お刺身
1.http://flic.kr/p/9aUHcm
2.http://flic.kr/p/9aUHhm
3.http://flic.kr/p/9aRA62


d.お肉
1.http://flic.kr/p/9aUHvj
2.http://flic.kr/p/9aRAfB
3.http://flic.kr/p/9aRAjH


e.ケーキ
1.http://flic.kr/p/9aUGKG
2.http://flic.kr/p/9aUGRb
3.http://flic.kr/p/9aRzLK


デフォルトのカメラアプリで撮ったものよりも、くすみがなくなり色味が鮮やかでホワイトバランスも補正がかかっていて、どれも美味しそうに写っていますよね。


インターフェースが独特なので、操作方法に最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、小さな画面内で素早く設定を変更できるように考えられているので、慣れるとむしろ使いやすいと思います。
http://flic.kr/p/9aSch6


「料理」モード以外にも「スタンダード」「美肌」「夜景」と切替えられます。アスペクト比も1:1スクエアや、一眼レフ風の3:2、オリジナルと同じ4:3、横長の16:9と、4種類切替え可能です。
http://flic.kr/p/9aScdR


問題点は、位置情報をはじめすべてのEXIF情報が保存されないということです。バージョンアップでその点が修正されれば、完璧なカメラアプリになると思います。


HDR Fusion(115円)


http://itunes.apple.com/jp/app/hdr-fusion/id410004158?mt=8
http://www.cogitap.com/hdrfusion/instructions.htm


フィルムやイメージセンサーは人間の目(脳)よりダイナミックレンジが狭いので、人間が記憶している風景よりも明るい部分が飛んでしまったり、暗い部分が潰れてしまったりします。だから、「思った(記憶に残る)より上手く撮れてない」感じがしてしまいます。


HDR(ハイダイナミックレンジ)合成というのは、同じ位置で露出を変えて撮影した数枚のいいところを使って合成する手法で、より記憶に近い風景に近づけたり、さらにアーティスティックな幻想的な写真に昇華させたりします。


HDRをFlickrやGoogleのイメージ検索すると色々素敵なサンプルが出てきます。
http://goo.gl/NgkbY
http://www.flickr.com/search/?q=HDR&w=all


iPhoneのデフォルトカメラアプリも、設定をONにしておくと自動でHDR写真を作ります。このHDR Fusionは、どの部分の露出を測っているのかが視覚的に解りますし、自動ではなく自分が好きなところの露出を測るように設定できます。
http://flic.kr/p/9aWXMj


サンプルを撮ってみたので、デフォルトのカメラアプリとの違いを比べてみてください。


1.HDR Fusion
2.露出計測キャプチャ
3.デフォルトカメラアプリ(ノーマル)
4.デフォルトカメラアプリ(HDR)


f.雪景色
1.http://flic.kr/p/9aWYr9
2.http://flic.kr/p/9aWYu9
3.http://flic.kr/p/9aTQX6
4.http://flic.kr/p/9aWYEA


g.山陽道
1.http://flic.kr/p/9aWY7E
2.http://flic.kr/p/9aWY4N
3.http://flic.kr/p/9aTQiP
4.http://flic.kr/p/9aWY1L


h.城崎温泉
1.http://flic.kr/p/9aTQMB
2.http://flic.kr/p/9aTQGz
3.http://flic.kr/p/9aWYb3
4.http://flic.kr/p/9aWYeq


デフォルトアプリのHDRよりも、更にダイナミックレンジが広がった感じです。HDRは使いどころが難しく、下手するとただコントラストが弱くメリハリのないネムイだけの写真になってしまうので、どんなシチュエーションで撮ればいい作品になるのか、練習と経験が必要だと思います。


iPhoneのカメラアプリに少し不満を感じ初めている人は、試してみる価値大のアプリふたつ。数百円でまったく新しいデジカメが手に入った感覚はいいですね!


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】


というわけで年始の挨拶にはもう遅いですが2011年も光画部トークをよろしくお願いいたします。
< http://s-style-arts.com/ > < mailto:okada@s-style-arts.com >
<twitter:http://twitter.com/okada41 >

おかだよういち


2010年も残すところあと4日。わたしの体内時計というか感覚は、まだ10月でもいいくらいで、年末という気がしないので困りものなのですが、世間もすっかり年末モードになってきたところで、2010年の出来事を光画部トーク的にふりかえってみます。


第5位●Twitter
http://twitter.com/
今年はとにかくあちこちでTwitterという言葉をよく聞きました。テレビやラジオでタレントや芸人さん、キャスターの人達もTwitter使うようになり、番組で話題にしたり番組自体がTwitterと連動する企画だったりで、インターネット関連の仕事をしている人だけでなく、一般の人が普通に使うインフラになった年だったように思います。


Twitter上でCM出演が決まったり、有名人のツイートが翌日ワイドショーで取り上げられたり、実在しないはずのアニメキャラと会話したり、海外でテロリストに拉致されたジャーナリストの安否を本人のツイートで確認したりなど、とにかく特別むずかしいことをすることなく、自分の端末にどんどん一次情報がやってきます。


新聞やニュース番組で流れる情報は、既に何10時間も前にもっと詳しくリアルタイムで知っているわけで、情報の経路が大きく変化したのではないでしょうか。友人の夕食情報から国家を揺るがす重大ニュースまで、同じタイムライン上にどんどん流れてくるわけですから、情報を受取る時の取捨選択、情報をツイートする時の空気の読み方と、個々のリテラシーが重要なソーシャルメディアです。


第4位●radiko
http://radiko.jp/


パソコンやスマートフォンで、今やってるラジオが聴けるサービス(まだ関東圏で関東の放送、関西圏で関西の放送のみで、他の地域では残念ながら提供されていません)。


電波ではなくインターネットを使って配信しているので、若干のタイムラグがありますがほぼリアルタイム。なにより放送しているスタジオのすぐ隣で聴いているかのような高音質なので、AM放送がCDになった感じです。


わたしは小学生の頃からラジオが大好きで、早朝から夜中までずっとMBS1179毎日放送ラジオを聴いていましたから、radikoの開始で日々の生活がとても快適になりました。


今までは室内で雑音がひどかったので、窓際にラジオを置いて聴
こえにくくなる度に微妙に位置を調整したりしてたのが嘘のよう
です。また、パソコンでそのまま高音質な録音をするのも簡単。
今まで小さな携帯ラジオを持って外出していたのも、iPhoneで済
むようになりました。


そして、地域に密着したラジオがTwitterでリスナーと情報交換しながら放送するようになってきたので、定時の交通情報や天気情報よりも、よりリアルタイムで生の情報を届けるという進化した放送が始まっています。


第3位●iPad
http://www.apple.com/jp/ipad/


10月に新しいMacBook Airが発売されたので、注目はそちらに移ってしまった感は否めませんが、それでもiPadは一般ニュースでも2010年の大きな話題になりました。


iPadをきっかけに、電子書籍にも注目が集まりました。電子出版元年と言われるように、国内外を問わず出版社や新聞社、作家が実験的にコンテンツを提供するようになりました。その他、通信会社やアップル以外のメーカーも業界の枠を超えて、合同で新しい会社を立ち上げたり電子書籍端末を発売しました。


それだけiPadは世間に影響を与えたのですが、わたし的にはiPadを買ってからはよほどの作業でない限り、重いノートPCを持って外出することがなくなりました。先日iOS4.2にアップグレードしてからは更に快適になり、原稿を書いたり資料をまとめたりなど、仕事でも使えるようになっています。


第2位●iPhone4
http://www.apple.com/jp/iphone/


2年間使ったiPhone 3Gを機種変更してiPhone4に。田舎のメリットが活きて、並ばずに予約して発売日にゲットできました。さすがに2年間フルに使い切った3Gは、ホームボタンもバカになっていてなかなか反応しないし、落としたこともないのに背面はコネクタ部分からひびがあるなど年季が入っていました。


新しいiPhone4は、なによりカメラが良くなった。日々のスナップはiPhone4だけで充分で、望遠で遠くの被写体を撮りたいとか、もの凄く寄ったマクロで撮りたいなど特別なことでもない限り、コンパクトデジカメも要らなくなりました。3Gではしょぼい性能のカメラを逆手に取って、色んなフィルタが使えるようなカメラアプリをインストールしてトイカメラとして使っていましたが、iPhone4はデフォルトのカメラアプリが今のところ一番です。


うちの家&仕事部屋では電波が殆ど入いらなかったので、2年間iPhoneでは通話の用途で使うことがなかったのですが、先日ソフトバンクから送られてきたフェムトセル
http://mb.softbank.jp/mb/special/network/home_antenna_ft/
を設置し、晴れて電波表示全開になりiPhoneでも電話として使えるようになりました。


第1位●はやぶさ


そして2010年、今年一番感動し涙したのは「はやぶさ」帰還という出来事でした。これは、先に挙げた事柄がすべて関係してきます。何年か前なら、このはやぶさのニュースもテレビや新聞で、ただ事実を知るだけだったのかもしれません。でも、今年は違いました。6月13日、いつものようにGoogleにアクセスするとロゴがはやぶさになっていました。
http://s-style-arts.tumblr.com/post/690793263/google-co-jp-hayabusa10-hp-gif


ロゴをクリックすると、はやぶさについての検索結果が出てきて、深夜地球に戻って来ることを知り、USTREAMでオーストラリアから生中継される映像を観ながらTwitterで多くの人と感動を共有し涙しました。


その感動のツイートの内容をいつもradikoで聴いている早朝の番組のパーソナリティ「朝からてんコモリ!」
http://www.mbs1179.com/ko/
の子守さんに放送で取り上げて頂いて、番組のリスナーにも感動の輪が広がりました。USTREAMで現地からの中継を観ながら、JAXAのはやぶさスタッフによるTwitterアカウントをフォローして逐時状況確認していたのですが、
http://twilog.org/Hayabusa_JAXA/date-100613
大気圏に突入して燃え尽きた時の、「みんな、ただいま!!」というツイートと、それに対する多くの人の「おかえり!」や「お疲れさま。」のリプライの嵐は今思い出しても泣けてきます。
http://twitter.com/#!/Hayabusa_JAXA/status/16073255726


大気圏に突入する前に、JAXAのスタッフが「最後に地球の姿を見せてあげよう」と、はやぶさに地球の写真を撮らせたのがこの画像です。
http://twitpic.com/1wh78q
それらの出来事を擬人化してマンガにした人もいました。
http://drawr.net/show.php?id=1478887
そしてJAXAのはやぶさ関係者からのメッセージ「約束」という記事を読んで号泣してしまいました。
http://hayabusa.jaxa.jp/message/message_042.html
今思い出しながら書いててもちょっとうるうるきてしまいます。


最後にちょっとだけ光画部トークっぽい話。朝日新聞のカメラマン、東山さんが現地のオーストラリア、ウーメラ砂漠でとても美しくも切ない、はやぶさが満天の夜空に燃え尽きた写真を撮られていました。
http://www.asahi.com/science/gallery/100614_hayabusa/111_starryhayabusa.html


ご本人のブログに大きく掲載されていましたので、そちらもあわせてご紹介しておきます。
http://www.itaime.com/itaime/2010/06/post-5273.html


この写真は朝日新聞フォトアーカイブでプリントを注文できるそうです。料金はキャビネ版で1,050円〜全紙10,500円。
http://photoarchives.asahi.com/items/expand/?expand=P100615000049


ただ、通常は新聞紙面に掲載されたイメージでプリントが仕上がってくるのでかなりコントラストが高く、作者のサイトにあるものとはずいぶん印象が違ってしまうので、作者の注意書きにあるようにプリントを注文する際に「jpgの生データそのままで、コントラストをつけないように」とオーダーすると良いとのことです。はやぶさ&天文ファンの方は大きく伸ばした写真をフレームに入れて飾ってみてはいかがでしょうか。いつでも感動がよみがえります。


ということで、涙あり感動ありで2010年もいろんな出来事がありましたが、皆さんはどんな年だったでしょうか。来年もカメラのこと、撮影のこと、アプリのこと、その他いろいろなガジェットのことなど楽しい話題がいっぱいあるといいのになぁと願いながら、今年最後の回を締めたいと思います。2010年光画部トークを読んでくださってありがとうございました。良いお年を!


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.com/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


大阪中之島のリーガロイヤルホテルの前あたりに巨大なアヒルちゃんが浮いています。じっと見てると自然と笑顔になって幸せな気持ちになりますよ。
http://flic.kr/p/91XsHL
http://flic.kr/p/91UkUH
http://flic.kr/p/91UkuM

上原ゼンジ


今年私が一番つぶやいた言葉は「宙」らしい。そうか、Twitterでも「宙玉、宙玉」とつぶやいていたんだな。「そらたま」という言葉を思いついてまだ一年経ってないんだけど、自分にとってはかなり大きな展開のあった年だった。


このメルマガで私の文章を読んでくれてる方はご存知のことと思うが、私がいろんな写真の実験をやることになったのは、姉妹メルマガ「デジクリ」のせいだ。「せいだ」っていうことはないな、「おかげだ」に訂正。カラーマネージメントネタの後、いろんな写真に関するアイディアを実行してみるという企画を考えて、書かせてもらうようになった。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/13_/


ただ、問題は連載のスパンが1週間だったということ。1週間なんてすぐに経ってしまうので、次から次へとネタを出していくうちに、なんかそれが専門のようになっていった。ある編集者が「実験写真家」という肩書きを考えてくれたので、最近はずっとそれで通している。


私はもともといろんなことをやっているから、「何をやっているのか?」と面と向かって問われると言葉に窮することがある。しかし「実験写真家」と言っておかば、相手は不審に思いつつもスルーしてくれるのだ。これは便利な肩書きだ。以前の私は、分からなかればそれでいい! というような態度だったが、最近は少しサービスをするようにしている。


名刺も分かりやすいものにした。片面を10個に分割して、宙玉レンズや蛇腹レンズなどの写真を入れて、「こんな写真を撮ってるんですよ」という説明ができるようにした。これはすごく便利。どんな写真を撮っているのかと問われても、写真なしで説明するのはなかなか難しいけど、小さいながらも写真があれば、簡単に分かって貰える。これがあればiPadもいらない。


それから、パーティーなんかでは、宙玉レンズの現物を持っていくようにした。カメラを首から下げておけば、「さっきから気になってたんですけど」などと言って相手から声をかけて貰える。初対面の人にこちらから声をかけていくなんていうことは、ほぼしないタイプの人間なのでこれはありがたい。スイッチさえ入れてくれれば、動作はするんだよ。


プロフィールもニッコリ笑った写真をホームページに出すようにした。営業が出来ない人間なので、せめてホームページを訪れた人に「悪いヤツじゃないんだよ」ということをアピールするための作戦だ。自分が依頼する立場だったら、訳の分からない、おっかなそうな人に連絡取るのはためらうもんな。


●ワークショップがきっかけとなった


宙玉レンズが形になっていったのは、ワークショップがきっかけになっている。自分では面白いと思って、ほかの人達にも広めたかったのだが、工作をするという部分でハードルがあるらしく、著作や雑誌でも紹介をしたが、反応はいまいちだった。


そこでワークショップなどの機会に、参加者に体験してもらうようにした。最初は、hanaさんとデイズフォト通信が主催する撮影会「目で歩く」で使ってもらった。この時はリコーのGX200を借りてきて、GXに合うように自分で手作りした宙玉レンズを持っていった。


参加者の反応は良かったんだけど、問題は特定の機種でしか使えないということ。たまたま直径50mmの紙管がGXのアダプターにぴったりあったこと。GXの最短撮影距離は約1センチと短く、クローズアップ撮影が必要な宙玉レンズには最適だったので、GX200を使ったわけだが、やっぱりいろんな機種で使えるようにしたい。そこで考えついたのが、チップスターの空き箱を使った工作だ。


チップスターの空き箱なら、安く簡単に入手することができる。そこで今度はチップスターにぴったり合うような宙玉レンズを加工業者に依頼して作って貰うことにした。自分で作るとあまりき
れいに出来ないし、面倒だからだ。4月から始めたワークショップ用にとりあえず10個発注してみた。


そして、今度は一眼レフカメラを対象に宙玉を装着できるようにした。ワークショップをやってみて良かったと思ったのは、いろんなカメラやレンズを持っている人が集まったということ。やってみると問題点が出てくるのだが、それをクリアしていけば、さらに広がりが出てくる。つまりいろんなカメラに対応できるようになっていったのだ。


●宙玉レンズでの撮影法


撮影に関しても、いろんな人からヒントを貰っている。私が宙玉を始めた頃は、望遠系のマクロを使っていた。さらに手持ちで接写をすることが多かったので、絞りは浅くピントが合うのは一点であとはボケボケだった。透明球の輪郭もはっきりしていなかったけど、それが当たり前と思っていた。


しかし、いろんな人が撮影を始めると、球の輪郭をハッキリさせたいという人が出てきた。あんまり絞りこむと、球の接着面やフィルター部分の汚れなども写ってしまうので、美しくなくなってしまうのだが、球が浮かんでいる感じ、というのはボケている場合よりも面白い。


一方、絞り込むと宙玉の持ち味である周囲のボケがくっきりしてきてしまい、つまらない。そこで、ある程度球の輪郭をはっきりさせつつ、周囲のボケを損なわない、という絞り値を見つけるというのが、ポイントになってくる。


あるいは、球の内側の絵柄は面白いんだけど、外側が無地だったりするとつまらないので、球の内と外とで、絵柄や配色などのバランスを考えてみると面白い。最初はただ、宙に浮かんだような絵に喜んでいたけど、突き詰めていけば、まだまだ面白そうなことはできそうだ。


●宙玉写真のコミュニティー


宙玉写真のコミュニティーを作ってみた。flickrとフォト蔵だ。まだ人が集まっていないので、ぜひ参加して写真をアップしてみて欲しい。flickrの方は海外の人達ばかりだから、やりとりがちょっと面倒だけど、世界中の人たちに宙玉レンズを広めるというのが現在の野望だ。


flickr Soratama
http://www.flickr.com/groups/soratama/


フォト蔵 宙玉人[そらたまんちゅ]
http://photozou.jp/community/show/2896


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara
Soratama─宙玉レンズの専門サイト
http://www.soratama.org/

所幸則 Tokoro Yukinori


ファインアートフォトグラファーって大変。こう書くと、なんが大変なんだろうとみんな思うかもしれない。いや、むしろ今の日本の状況を考えると、このテキストを読んでる人達から、俺達だって大変なんだぞ! と怒られそうです。すいません! [ところ]はとりあえずあやまっておきます。


2008年秋に個展「渋谷1 Second瞬間と永遠」を渋谷で開催して以来、ファインアートで生きていこうと頑張って活動している。しかし、日本ではファインアートフォトの市場はまだ狭く小さい。そこで、欧米やアジアなどにもアピールしようと考えfacebookも始めた。facebookのことは以前も書きました。


現在フレンド数3,090人、ファンページは1,959人。
国別内訳をざっくり書くと
アメリカ:400
フランス:300
イタリア:150
スペイン:150
イギリス:100


その他は各20〜80で、日本、アルゼンチン、ドイツ、メキシコ、ポルトガル、トルコ、カナダ、ベルギー、タイ、ギリシャ、スイス、コロンビア、インドネシア、マレーシア、ブラジル…………そして世界中からメッセージが届く。


今、これを書いている間に、スイスのギャラリーからの難解な英文が来ている。フランス語エリア在住の人のメールの中には、英語のスペルミスも多く、それにともなうストレスも多い。


個展の打診もあれば、オリジナルプリントの値段の問い合わせ、プリントを是非見たいから送ってくれというギャラリーからの依頼もある。だけど、みんな国民性に違いもあるから、対応はひととおりではすまない。


コミュニケーションが上手くいかず何度もやりとりしたり、熱烈なメッセージがあったかと思うと、一か月近くなにも返事がなかったりした例もある。英語をはじめイタリア語、フランス語、スペイン語が話せれば、電話してコミュニケーションを取れるからかなりストレスが減ると思うんだけど、語学に強くない[ところ]は本当に大変。世界中からメールが来るのは、じっさい嬉しいことなんだけどね。


「PARADOX -上海1second-” 所幸則 SoloExhibition」も、個展にこぎつけるまでも本当に大変だった。この分野に専門の日本人が間に入っていてくれたにもかかわらず。中国では時間の流れるスピードも違えば、優先順位も考え方もぜんぜん違った。
http://www.tokoroyukinori.com/exhibition/PARADOX_ShangHai_1second/


2008年秋に展「渋谷1 Second瞬間と永遠」から一年ぐらいは、日本でいくつか声がかかっただけなので、抱えていた事案は3〜4件だった。その後、2009年9月から一年近く、夢中で世界のあちこちを撮り続けていたからだろうか、いろいろなコミュニケーションエラーに気づく暇もなかった。


日本に戻るとさまざまなことが起っていて、いまその対応に追われている。相手は建設会社、グッズショップ、役所、病院、コンサルティング会社、もういままで直接話したこともない、いろいろな人間とやりとりしている。


“第一期所幸則”の時の相手は、出版社、広告代理店、いろいろな企業の広報室など。多少やり方は違ってはいても、みな同じ業界といってもいいようなもので、喋る言葉も、優先順位もだいたい同じだったので非常にシンプルだった。


今の相手は[ところ]の世界と全く違うのであった。もちろん、それを望んだのは[ところ]自身ではあるんだけれど。そして、想像した以上に評価は高くて個展の依頼もあるのだが、収入より先に支出ばかりで本当にきつい。


アートで生計をたてること自体、普通の家庭に生まれ育った人間には無理だ、そう言われていたことは知っている。かつて、土門拳は著書で貧乏人は写真を撮るなといったようなことを書いている。事実、1909年生まれの彼の時代は、カメラ自体が非常に高額だったということもあるから出た言葉だろう。お金にならないことを職業にしたら不幸だと言ってる、と学生時代の[ところ]は解釈していた。


現代を代表する写真家の一人であるロバート・フランクも、写真でお金にする気もない、というようなことを言っていたとキュレーターから聞いたことがある。彼は1924年生まれ。土門拳の時代より15年もあと、そして日本ではないアメリカだ。当時の日本よりは遥かに裕福な国アメリカでもそうなんだ。


考えてみると、日本で絵描きになる、アーティストになる、と子どもが親に夢を語っても、やはりもう少し地道に生きなさいと言われるのが圧倒的多数だと思う。


そして、それだけ大変な世界だからだろうか、経歴も詐称すれすれのようなプロフィールが少なくない。グループ展と書かずに、フランスのギャラリーで個展をやったかのような表記。


例えば、写真展「◎△◇ photoExhibition ◎△◇」GALERIE ◎ la ◎△◇(日本人が知らない街名・フランス)とかね。お金を出せば誰でも参加できる100人規模の団体展でも。日本じゃわかるはずないから、写真展のタイトルとNYという表記で自分を大きく見せたり、その手のも多い。みんな必死なんだけど、どうにかならないんだろうか。[ところ]が硬いのかな? 正直じゃない表記を見るとやるせない気持ちになってしまう。


それだけファインアートフォトグラファーとして生きるのは難しいことで、それを承知で[ところ]も頑張ってはいるんだけど。どこまでやれるかわからないが、前のめりに生きたい。いい兆しは沢山あるしね。実際きついけど……。


来年の3月には、メールのたびに必ずお天気の話から始めるギャラリストとの個展が決まった。ユナイテッドキングダム(UK)北アイルランドの首都ベルファスト。[ところ]は最初、まったく知らなかった地名なのでどうしようとか思っていた。


いろんな人から聞くと、世界でも最大級の写真の美術館があるだとか、貴重な写真のコレクションをスゴイ量もっているらしいとか、個展を望んでも手続きが大変なんだとか、これは上海のキュレーターに聞いた話だけど。しかも、会期中ベルファストに滞在したいというと、公的機関の助成金を申請して、ほとんど[ところ]に負担なくしてくれるように動いてくれたりもしている。宿泊は知り合いの家に一か月、ホームステイしていいそうだ。


イタリアとはやりとりの真っ最中、中国でも何か所かで個展の企画が進んでいる。アメリカでもそう。外国ばかりかよ、という人のために、安心してください。渋谷でも動きがあります。ハチ公の……ごめんなさい。まだ内緒です。ほんとのところはっきりしてからね!


そのかわり、ひとつニュースを! iPhoneのケースに[ところ]の渋谷シリーズが加わりました。死んだ双子の弟の作品も一つだけ出しました。とりあえず3Gと3GS用ですが、他にも色々出します。楽しみにしてくださいね。
http://designgarden.jp/tokoroyukinori/


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どちらも[ところ]の作品が好きな人はリクエストしてください。[ところ]のwebサイトリニューアル中、日英中のトリリンガルにします。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

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