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写真を楽しむ生活

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カテゴリ ‘コラム’ のアーカイブ

上原ゼンジ


7月に立ち上げたWEB上のギャラリー「bitgallery」に新しいコンテンツが加わった。第一弾が私の「Vibrating World」と伊藤紀之さんの「Cloudly Cat」で、ブレ写真とボケ写真だったから、工作系とか、アブストラクト系で攻めるのかと思っていた人もいたみたいだけど、違いました。
http://bitgallery.info/


今回加わったのは、西村陽一郎「青い花」と山崎弘義「DIARY」の2本。「青い花」は2007年に四谷の「Roonee 247 Photograpy」で観た西村さんの作品展で感動したんだけど、大勢の人に観て欲しいと思い、お願いして掲載させていただいた。


作品自体はフォトグラムという技法を使っているのだが、フィルムが介在せず、一点物のオリジナル作品で、すでに売れてしまったものもある。いちおうデジタルカメラで複写した画像があるとのことだったので、今回はそのデータを元に構成した。


元は大判のプリントで、花の花粉が金平糖のような形で目視できるような、緻密な描写だった。さすがにその金平糖の再現まではできないが、西村さんの作品の持つ、緻密で繊細な雰囲気は味わうことができると思う。


山崎さんは「FOTO SESSION ’86」という写真のグループで、森山大道さんに一緒に写真を見ていただいた仲間。元々はストリートスナップが専門だったが、お母さんが認知症になられて以降、写真が自由に撮れなくなってしまった時期があった。そんな時にお母さんのポートレイトと自宅の庭を撮影するということを日課とし、撮りためたのが「DIARY」という作品だ。


それまでの山崎さんの写真とはまるで違うコンセプトの写真だが、やはり写真展で拝見した時に、何か力強さのようなものを感じた。写真自体はひじょうに静かな写真なんだけど……。カメラ雑誌に掲載されたり、新聞で紹介されたりということはあったものの、私としては、もう少し評価されてもいいんじゃないか、という思いがあった。そこで、山崎さんに声をかけ、私のギャラリーで公開させて貰うことになったというわけだ。


まだ「bitgallery」には作品は4本しかないけど、なんとなく私のやろうとしていることが、分かってもらえるようになってきたんじゃないかと思う。第三弾、第四弾のネタもあるので、少しずつ形にしていきたいと思っている。


・ゼンラボ「森の撮影会」の報告


先日は森林公園でゼンラボの撮影会をやってきた。森林公園というのは、東武東上線で池袋から、1時間ほど行ったところにある、国営の大きな自然公園だ。キノコ、落ち葉、シダ、コケなどを撮りに行きませんかと、Twitterなどで声をかけ、集まった参加者とともに撮影を行ってきた。


私はなぜか、森の中で見かける植物というか、苔類、菌類、昆虫などに惹かれ、写真を撮っている。まあ、メジャーな分野とは言えないが、撮ってみたら意外にイケますぜ、という感じで声をかけさせて貰ったというわけだ。参加者は特に森の専門家という人はおらず、ちょっと興味があり、どんなもんだろう、と思って参加したという感じだった。


森林公園の南口から入園すると、すぐに雑木林がある。そこで、さあ皆さん撮影してみましょう、という感じで始めたんだけど、最初はなかなかキノコなどは眼に入ってこない。けっこう慣れが必要なのだ。だから蜘蛛の巣に霧吹きで水滴を吹きつける、といったオプションもこなしながらの撮影会となった。


私が持っていったカメラはニコンのD5000。レンズはカールツァイス ディスタゴン T* 2.8/25とAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8GEDの2本だった。D5000というのは、液晶画面が可動式になっていて、上から覗きながら撮影できるというのがポイント。地面にカメラを置いてキノコなどを低い所から撮るのに最適なのだ。そしてレンズの方は、ピントが合っているところはキリッと締まるんだけど、ボケ味もなかなか良し、というところが気に入って使っている2本だ。


その他の必須アイテムは膝あてと虫除けスプレー。けっこう膝まづいて撮影することが多いから、膝あては重要。こんな時期に蚊なんかいるんですか? という人がいたけど、10月だというのに、蚊はたっぷりいました。私はほとんど刺されなかったんだけど、集中して刺されている人がいて、ちょっとかわいそうだった。この刺されやすい人と刺されにくい人の差はなんなんだろう。O型の人が刺されやすいとか聞くけど、本当に血液型と因果関係はあるのか?


あとは、レフ板やディフューザーの類いもあると便利。森の中は薄暗いので、光をレフ板で補ったり、木漏れ日を和らげるのにはディフューザーも役に立つ。ただし、森の中を歩きまわるわけだから、なるべく荷物は少なくするということも重要なポイントだ。


4時間ばかりの撮影会だったけど、最後の方はみんなキノコを発見する能力が身についてきたようだった。なかなかいいフォルムのキノコも見つけることが出来たし、まあ良かったんじゃないでしょうか。目標は、お伽話に出てきそうな毒キノコと出会うことなんだけど、それはまた今度のお楽しみ!


◇森で収穫した写真
http://zenji.jugem.jp/?eid=59


◇「上原ゼンジの写真教室」受講生募集中!
http://nadar.jp/tokyo/workshop_style355/uehara.html


見たことのない写真を撮ってみよう「上原ゼンジの写真教室」生徒募集中。さまざまなスタイルの技法を試しながら、写真の基礎知識を学び、自分なりの写真を撮るための写真講座です。
対象:写真を撮り始めたけど、何をどう撮っていいのか分からない人。写真の幅を広げてみたい人。デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼を持っている人が対象です。
会場:style355(NADAR/渋谷355)


◇「万華鏡カメラ」を作ってみよう 〜眼の前の光景をすべて万華鏡のパターンに(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/20101022_401179.html


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
http://www.zenji.info/
http://twitter.com/Zenji_Uehara

所幸則 Tokoro Yukinori


モントリオールに二度目の撮影に向かう。前回雨の日が多く、晴れの日の写真が少ないので、晴れた日ももう少し撮ろうというのが[ところ]の意図だ。


はからずも一番安いモントリオール行きのチケットをとったら、今回はNY経由だった。ただの偶然ではあるが少しもったいないので、NYは自費で宿泊代を出して数日泊まることにした。前回はトロントに行ってからモントリオールに入ったが、今回はNYからということになった。


前回のトロント入りは、カナダの都市モントリオールを撮るにおいて、カナダの都市のなかでモントリオールしか知らずしてモントリオールがどういう街かわかるものだろうか? という[ところ]の頭を整理して、納得させるものだった。そして、トロントはカナダのリトルNYと呼ばれているという話もあったので、本物のNYと撮り比べたいという思いもあった。


もっともNYは初めてというわけではないのだけれども。[ところ]は16年前に、武田真治くんがフェミ男と呼ばれたころに撮影をしにいったことがあるのだ。あの時は真冬だったし、人を撮るフォトグラファーであり、今のように街を撮る写真家でもなかったので、カッコいい街だということは覚えていても、街自体はちゃんと見ていないだろうし、16年もたてば随分と違う街になっている可能性もあるので、もう初めてといってもいいと思う[ところ]です。


以前のNYはタクシーには気をつけようとか、地下鉄はできるだけ乗らない方がいいといわれていたけれど、もう地下鉄はみんなの足として使えるようになったという話だし、タクシーもかなり改善されたと聞いてけれど、やっぱりタクシーの方はまだまだ油断しちゃいけない。


チップ入れても16ドルだった場合16ドル渡せば問題ないけれど、細かいのがない場合20ドル紙幣とか渡すと、チップ多めにくれたんですね? って感じでしらを切られやすい。当然流暢な英語なら問題はないんだけどね。[ところ]はそれで結構ストレスが溜まりました。みなさん気をつけてね。あ、地下鉄がみんな使ってると言っても、日本だってスリぐらいはいるのだから、そういうのは当然気をつけてね。


印象としては、トロントがリトルNYというのはイメージとしてはわかる気がするけれど、リトルリトルと2回つけたほうがいいんじゃないかなと[ところ]が思うぐらい、それぐらいスケールが違う。


ホテルはブロードウェイにあり、広くもなく綺麗でもないけれど28,000円なのでかなりホテル代は高いなー。3泊しかしないので、中心部から外れたとこに泊まってたら、NYを味わえないで終る可能性もあるので仕方ない。


とにかくいろんなところに行く気持ちはまったくない。3泊だから、ホテルの回りを歩いて街の空気を掴むのが目的。写真を撮りまくってもクレームがつくのか? 睨まれるのか? それをまず確かめなければいけない。気になるのは、NYの中心過ぎて世界中の観光客がほとんどといってもいいけれど、それが障害になるのか? というところも気になるところだ。


しかし、そこに働く人はNYの人だ。そして世界中の人が住むのもNYという街の特徴だから、特に違和感はなかった。タイムズスクエアー、渋谷でいうとハチ公前とかアルタ前みたいなものだけど、それでもいい写真にしてみせなきゃいけないな〜って気持ちでいたしね。


さてしばらく撮影をしたあと、デリで買ったブリトーのようなものを食べてその日は就寝。まずくはなかった。次の日はNYに住んでいる友人の友人に、NYスタイルのステーキハウスででかいTボーンステーキを食べに連れていってもらう。2ポンドぐらいの量だったようだが、2人でぺろりと食べてしまった。


じつは[ところ]が6割は食べていた。なるほど、こういう肉なら大量に食える。日本の上位ランクの肉質のステーキは300g以上は飽きてしまうけれど、その倍は食べたことになる。別の食べ物と言ってもいいかもしれない、肉のうまみ、脂身のうまみとよく言われているけれど、本当に納得した。


その日は食事をした後、散歩しながらブライアントパークに行ってゆっくりした。と言っても、写真を撮りながらだけれども。欧米人は本当に日光浴が好きですね。芝生の上は水着姿の人でいっぱい。写真を撮っていてもまったく文句を言われなかった。


回りには木が多く、木陰で好きな飲物やクッキーやアイス、ホットドッグなどをほおばったりして楽しそうだった。公園の周りには安価で(スタバより)お手軽なスタンドがたくさんあって便利、これは暫く滞在したいかも。今度はもっとゆっくり来ようと誓った[ところ]です。


モントリオールに行く途中の経由地であるNY滞在もあと一日、とりあえずタイムズスクエアー回り1kmの周囲だけで撮影をしていたが、一箇所だけどうしても行きたいところがあってタクシーに乗った。


到着したそこは、グッゲンハイム美術館。セントラルパークのすぐ横にある。16年前NYに来たときは時間がなくて、メトロポリタンとMOMAまでしかいけなかった。


グッゲンハイムは、フランク・ロイド・ライトという[ところ]が大好きな建築家が作った美術館。やっぱり素晴らしかった、来てよかった。ホールに進んで上を見上げたとき、螺旋状のループを登って行った一番上から下を見下ろしたとき、本当に美しい。 


ちょうど彫刻と写真をテーマにした写真展を開催していたので、[ところ]もいつかここで個展をしてみたいと切実に思った。相当な数の作品がいるだろうなあ、あっ、もちろん外見も素晴らしかったよ、晴れていたので余計白い螺旋の建築物が青空に映えて眩しかった。建築物それ自体が芸術作品といえるものなので、これを撮ってもなあ、と思いながらつい撮ってしまった。だけどかっこいいNY One Secondになった。かなり嬉しい。


その後ソーホーやNYの原宿っぽい所にも、NYに住んでいる友人の友人に連れていってもらった。これでNYをなんとなく把握したような気もするが、次回は10日以上は滞在したいと思う。


翌朝、早い便でモントリオールに飛んだ。モントリオール空港から市内のホテルに行く場合、どのホテルでもタクシー料金は均一だ。明朗会計で助かる。円高の時期の計算だと3,000円しない。 ホテルは前回よりランクを下げたせいか、部屋が狭いのがちょっと。だけど、フロントにいつも何人かの人もいるし活気がある感じ。信号を渡ればそこには大きなスーパーマーケットがあるし、逆の方向に5分歩くとチャイナタウン。その一角に[ところ]のお気に入りのベトナム料理屋がある。確実に美味しい定番のフォーがある。500円ぐらい。


今年2度目のモントリオールなので地下鉄も把握してるから、路線図なしでモントリオールで一番おいしいベーグル屋さんまで行ける。一個50円から60円で10種類くらいあるんだけど、地下鉄代金がちょっと高いので、少ししか買わないと結局高くつくので、ベーグル屋さんでは8個まとめ買い。NYやボストンのベーグルと違い、わりと軽いのが特徴でぺろっと食べてしまう。一日目は軽く旧市街と新市街を散策、天気が悪い。雨時々曇りという感じだ。


前回、新市街に行ったときに一瞬晴れて夢中でシャッターを切ったので、今回は旧市街をメインに撮ろうと思っていた。とりあえず初日はベーグルと、近くのスーパーで買ったチーズとチキンのグリル(?)で夕食。これがまた、たまらないぐらいうまい。前回まずくて懲りたものは避けてあるので、今回はほとんどまずいものにあたらなかった。


それ以後も毎日雨の日が続く。それも結構な雨量なので少し参った。ベトナム料理屋には二日目にフォーを食べに行ったが、顔を憶えられているようで笑顔で挨拶されて、メニューもいつものとは違うものを頼んだのに、なぜかいつもの定番フォーが出てきた。違うと主張したら相手が恐縮していた。今回は合計3回食べに行った。こういう時にアジア人でよかったなと思う。欧米に行って大抵の大きな街にはベトナム料理屋があって、ハズレはあまりないからだ。


5日目になってもほとんど雨、だいぶ参ってきた。撮りたいポイントはもうほぼ決まってきたのに、せめて薄曇りぐらいにはなってくれないと。もう帰る日が近い。というか明日だ。


とうとう帰国日の朝、ようやく晴れた。フライトが午後ゆっくりだったので、9時頃から旧市街を回る。やっと旧市街を晴れた日に撮ることができた。いいのがなんとか何カットか撮れた。だけど天候だけは思うようにいかないから、一週間以上滞在するのが希望なんだ。


まあ滞在が長いということイコールお金がいるってことだけど。無事13時ぐらいまで撮って空港へ向かう。途中で思いついて、タクシーの中からもずっと写真を撮ってたりする。


それの成果は、ぜひ今開催中の個展でみてください。


所幸則写真展「写真における新しい取り組み」時間の流れへの考察


http://www.tosei-sha.jp/gallery.html
http://www.tokoroyukinori.com/
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)
会場:ギャラリー冬青(東京都中野区)


所幸則写真展「失われて行く渋谷、失われてしまった渋谷」渋谷@BAR AMRTA 時間の流れへの考察、喪失感。


http://www.amrta.co.jp/index_02.htm
http://www.tokoroyukinori.com/
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)
会場:BAR AMRTA(東京都港区)


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

齋藤 浩


治ったー! 直ったー! というべきか。ぶっ壊れたオリンパス・ペンSが修理から戻ってきたのです。


このカメラは私の“初めてカメラ”でして、幼稚園の頃から父に借りて使っていた。数年前実家に帰った際発見し、久々に使ってみたところ、ファインダーはぼやけているし、シャッターも錆びていたけど一応しっかり写る。


ネガフィルムで撮影すると、なんともいえないレトロな写真が撮れる。21世紀の東京も、昭和っぽく写るのだ。後から気づいたのだが、昭和っぽく写る理由は単にレンズがかびてただけのことだったが。ハーフサイズ版(通常の35ミリ版の半分のサイズ)だから、36枚撮りで72枚も撮れる。それゆえデジカメ感覚でバシャバシャいける。それはそれは楽しいカメラなのだ。


さて、冬のある日。私は風邪をひいて熱を出してしまい、もうろうとしながら窓の外を見ると、なんと外は雪ではないか! これは是非ともペンで記録せねば!と思い立ってあわてて外に飛び出したところ、何をどうしたことかうっかり手がすべって大切なペンをコンクリートの地面に落っことしてしまったのです。


カメラを落としたことは、後にも先にもこれっきり。まさか人生でカメラを落とす日がくるとはね。病気なんだから素直に寝てればいいものを。ああ、取り返しのつかないことをしてしまった…。カメラを見ると、ちょうど底面後側の角が2カ所へこんでいる。



機械的には問題なく作動はするようだが、落としたときに歪んだ影響か光が漏れてしまうらしく、中途半端にギラギラした露出オーバーっぽいへんちくりんな写真が撮れてしまう。


という訳で、熱出した日を境にペン熱は冷め、一応修理をしてくれる店は探し出したものの持って行く気力もなくし、底面のへこみを見ると人生そのものが嫌になって死にたくなるので、防湿庫の奥深くに見えないようにしまっちゃったのでした。


それから幾年かの歳月が過ぎ、先日カメラの整理をしていると、おお、あのときぶっ壊したペンが。心の傷もだいぶ癒えてきたので再度修理してくれそうな店を調べたところ、2つ隣の駅前に良さそうな店があるではないか!


という訳で『Tカメラサービス』に持ち込んでみた。駅を降りて商店街を進み、神社を左手にみながらさらに歩く。ほんとにこの道でいいの? と少し不安になりかけた頃、黄色い看板が見えてきた。


店内を見ると、1960〜70年代のものを中心に三方の壁がカメラで埋め尽くされている。すげえ! 引き戸を開け、店内に入ると初老の男性が「今日は、どうされましたか」的なことを聞く。おお、まるで小児科の先生のようだ。


「あのー。ぼくの大切なオリンパス・ペンが〜」
「ああ、ペンね、見せてごらんなさい。ほほう、きれいに使ってるねえ」
「ところが間抜けなことに落っことしてしまったのです」
「ほほう、なるほど。ショック品、と。」
“先生”は必要事項をカルテに書き込みながら細部をチェックしているようだ。


そして、まるで「お薬は一応5日分出しておきますので、とくに手洗い、うがいを忘れずにね」とでも言うがごとく「2週間くらいで直ると思いますよ、では、こちらに連絡先を書いてくださいね。たぶん1万5,000円くらいかな」と仰った。残念なことに保険は効かない。


ふと横を見ると、そこにもオリンパス・ペンSが値札付きで置かれている。しかも人気のf2.8バージョンが1万3,800円。どうやらここでは修理を終えたカメラの販売もしているらしい。「あ、それね。修理済みですから安心ですよ。しかもここまで状態のいいペンはなかなかないですね」“先生”は言う。


うーむ、修理するよりも安く手に入るのか。しかもオレのはf3.5だからなー。買った方が安いというのはなんとも…と一瞬戸惑ったものの、脳裏に幼少の頃のペンとの思い出が走馬灯のように浮かんでは消え浮かんでは消え…。買いたい気持ちをぐぐっと抑えて「いや、修理をお願いします」。「ふふふ、みなさんそうおっしゃいますよ」。そうなんだよね。いわゆる愛着ってやつだ。デジカメにはこういうのってなかなかないですね。


8日後『Tカメラサービス』から電話があり、修理ができたという。意外に早かった。さっそく受け取りに隣の隣の駅まで向かった。“先生”からペンSを受け取り、ファインダーを覗くと「うわっ」と思わず声が出ちゃうほどクリア。ペンのファインダーってこんなに見やすかったんだ。心なしか持った感じも若々しい。ちゃんと動くなら底面のへこみも気にならない、わけでもないが、まあいい。


“先生”から修理項目の詳細を聞く。「モルトプレーン、張り替えました。レンズとファインダーは清掃してあります。シャッターも点検済みです。その他の部品もできる限り調整しました」とのこと。


うーん、満足だ。凹みの跡はそのまんまだけど、歪みも直ったことだしきっとスゲー美しい写真が撮れるに違いない! とはいえ、ああ、これで凹みさえなければな…。と思った私の目に、再びアレが目に入ってきた。修理済みのオリンパス・ペンf2.8「1万3800円」である。こいつのフタをそのまま付け替えれば…!


結局誘惑には勝てず、2台になったオリンパス・ペンSとともに家路についたのであった。



ちなみにこのオリンパス・ペンSというカメラは、フィルムの装填の際、蓋を開くのではなく蓋(=裏蓋底面一体型の部品)を外すのだ。



なので、同じカメラであれば差し替えが可能なはずなのだ。で、家に帰り早速蓋を交換してみたら、おお、ぴったり。これでなにもかも元通りだ。なのだが、しばらく眺めているとどうも違和感を感じてしまう。


事情を知らない第三者が客観的に見るのであれば、まったく以て美しいオリンパス・ペンSである。しかし、落っことして修理に出して蓋を交換した張本人から見れば、やはり他人のパンツ、しかも中古のパンツをはいてるようで無性に気持ち悪い。


結局蓋は元通りに戻した。これはこれでまあ良しとする。カメラも直ったので心にもゆとりができたのであろうか。フィルムも用意したことだし、明日から早速撮影してみようと思う。うーん、楽しみだー。つづく。


と、本題は次回へ持ち越す訳ですが、もう少し語らせてください。この商品はソニー・ウォークマンやホンダ・スーパーカブと並んで賞賛される『日本の独創的工業製品』なのであります。


何がスゴイかといえば、ハーフサイズというアイデアの下、一切妥協のない優れたレンズと、工夫をこらし極限まで小さくシンプルにまとめあげたメカニズム─これらを高次元でバランスさせ、なおかつ低価格で販売可能にした設計がスゴイのだ。


それまで、どうしても舶来品をありがたく思ってしまっていた日本人はもちろん、世界中にメイド・イン・ジャパンというブランド(だと思う!)を信頼させた功績はとてつもなく大きい。設計とデザインは当時入社したての新人・米谷美久氏。やはり“伝説”になる商品からは作り手の顔がきちんと見えるのだ。


昨日、デロンギのコーヒーメーカーが突然壊れた。いつものように水を入れたらいきなり下から漏れてきて、床中水浸しだ。買ってから一年ちょっと。その前には、ハーマンミラーのアーロンチェアの軸が、突然ボキッという音とともに折れた。これも買ってから一年くらい。


普通に使っていてこれだ。ブランドはいずれも一流だが、どちらもメイド・イン・チャイナ。別に中国の悪口を言うつもりはないけど、一流ブランドならどこで製造しようが一定のクオリティはクリアしてもらいたいところ。メイド・イン・ジャパンだって、この信頼がいつまで続くか不安になる。


「不良品は新品と交換すればいい」という考えがあるのであれば、それは作り手の思想として問題だ。ここらで我々はオリンパス・ペンの伝説から、『メイド・イン・ジャパン』を築き上げた姿勢と情熱を学び直すべきかもしれない。


オススメの本を紹介します。
朝日ソノラマ刊 米谷美久著「オリンパス・ペン」の挑戦(絶版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4257120363/dgcrcom-22/


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

おかだよういち


週末にリコーのコンパクトデジカメCX4を購入しました(購入と言っても、ヨドバシカメラのポイントが貯まっていたので、全額ポイントでゲットだったのですが……)
http://www.ricoh.co.jp/dc/cx/cx4/



さすがに昨日の今日で、まだ写真らしい写真は何も撮っていないので、お見せできるサンプルはまだないのですが、それはまた事あるごとにご紹介するとして、今回はまずCX4のファーストインプレッションを書いてみます。


ニコンは木村拓哉、キヤノンはオダギリジョー、オリンパスは浅田真央、ソニーは北川景子と、コンシューマー機のコンパクトデジカメの広告やCMには、各社人気タレントを起用して大々的にプロモーションをしています。


しかし、リコーは今までそんなにテレビではCMをやってないので、カメラ好きではない普通の人にとってはあまり聞かないカメラメーカーかもしれません。そのリコーも、この秋から向井理を起用してCX4のCMをオンエアするそうですから、目に耳にする機会が増えそうです。


パッケージはいたってシンプル。CX4と書かれたダンボール箱の中には、プラスチックや発泡スチロールなどの梱包材などは全く入ってなくて、ダンボール紙だけで仕切られています。
http://flic.kr/p/8L8GaX


物事はなんでも見た目から! ということで、ノーマルの状態だと普通にどこにでもあるコンデジなので、ちょっぴり高級感とオリジナル感をプラスする為に、CX4用の革張りキット(1,700円)を取り寄せて貼ってみました。
http://amzn.to/bk4gBT


こちらが革張りキットを貼る前のオリジナル。
http://flic.kr/p/8KZdh2


そしてこちらが貼った後。
http://flic.kr/p/8L3gNd


ちょっとだけ高級感がプラスされ、オリジナルよりも更に格好良くなった気がします。見た目だけでなく、革ででこぼこ状になってるので、手にしっくりと持ちやすくなりグリップ感が増した気がします。両面テープを剥がして、ボディのラインに合わせてピタリと貼るだけなので簡単です。


だいたいの場合、付属のストラップは貧相なので自分で好みのストラップを買って付けるのですが、わたしは首からはいつもiPhoneをぶら下げているので、コンデジの場合はリストストラップを付けて手首に通して使います。


手首に通した状態で、ふとiPhoneや携帯を使いたい時にストラップが手から抜け落ちないように、手に通した状態で輪の部分を絞っておきたいものです。が、今までなかなかそういうストラップがなかったので、GX100にはWiiリモコン用のストラップを着けていました。手を通した後に留め具で輪っかを絞っておけば、カメラから手を放しても落下することなく安心です。そんなカメラ用のストラップを発見したので、CX4にはそれを付けました。


OP/TECH USAの「CAM STRAP-QD」というもので1,500円。
http://optechusa.com/cam-strap-qd.html


他社のコンパクトデジカメ、特に薄型カードサイズのものと比べると大きく感じるかもしれません。GX100と比べると、見た目大きさはあまり変わらない感じがします。
http://flic.kr/p/8L9AJB


ですが、GX100のようなレンズのでっぱりがないので、見た目より実際に持ってみると小さいですし、鞄にもコンパクトに入ります。操作系もGX100とほぼ同じで、自分がよく使う機能(露出補正やホワイトバランスやISO感度設定など)は、ADJボタンやFnボタンに割り当てて使いやすいようにカスタマイズ出来るので、戸
惑うこともなさそうです。


リコーのコンデジは、なんと言ってもレンズ先から1cmまで寄れるマクロ撮影が魅力。その他、CX4はアーティスティックな写真が撮れる「クリエイティブ撮影モード」や、手持ちでも夜景がきれいに撮れる「夜景マルチショット」など楽しそうな機能満載な
ので、常に持ち歩いていっぱい撮って順次紹介しますね。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/
okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


昨年、No.24で秋の被写体のことをいろいろ書きましたが、今年も先日、近所の秋桜畑に行ってあたり一面のコスモスを撮ってきました。
http://flic.kr/p/8KfgHD
http://flic.kr/p/8KfhLv
http://flic.kr/p/8KimEA

おかだよういち


新製品てんこ盛りの秋、みなさんはカタログを収集して見比べたり、じっくり内容読んだり、スペックチェックしたりしますか?


最近は製品の特設サイトや、テクニカルライターによるレビュー記事、一般のユーザーの口コミサイトなどWeb上での情報も豊富なので、それらの情報だけでわかった気になって済ませてしまっていませんか?


わたしは実際に店頭に行ってカタログを集めるのが昔から好きで、実際に買う予定のない機種のものまでゲットしてしまいます。そして、カタログ見ながらあれこれ想像したり比べたり。店頭に実機があれば、自分で手に持ってみた感触や操作感、シャッターを切った時の音や気持よさなども確認してみたりします。量販店や専門店にはいろんなメーカーの各モデルが実際に手に取って比べられるので、Webで他人の感想だけに頼ることなく、多くの生の情報が得られます。


たぶん、このカタログ見ながらあれこれ思いにふけっているひとときが一番楽しい時間なんじゃないかと思うのですがどうでしょうか?


ということで前回は、ニコンが新発売するデジタル一眼レフカメラD7000が気になるという内容でした。その中で「視野率100%」や「防塵・防滴」など普段聞きなれない言葉が出てきました。今回は、そのあたりの、カタログに載っているけど初心者にとってよく解ってないかもしれない言葉を詳しく説明してみましょう。


カタログは、ニコンのサイトからPDFをダウンロードできますので、忙しくて店頭に行けない人はこちらからどうぞ…。
http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/digital/d7000/



マグネシウム合金採用ボディー
堅牢性を高めるため、コンパクトなボディーの上面、背面カバーにマグネシウム合金を採用。さらにカメラボディーの各接合部には効果的なシーリングを施し、高い防滴・防塵性能を確保しています。”


と書かれています。つまり、頑丈で、中の電子部品や機械部品などはしっかり密封されているので、雨や夜露などちょっとの水滴、砂埃など細かいゴミが内部に入り込んで撮影中にトラブルが起きにくい構造に仕上げてありますよ、という意味です。


さすがに土砂降りのゲリラ豪雨の中での撮影は無理でしょうけど、ちょっとした雨や水しぶきがかかる程度なら問題なく撮影できますし、砂丘やキャンプ場や工事現場など埃っぽい場所や砂塵が舞う所などでも、スイッチ類の隙間からボディ内部に埃や細かい砂などが入り込むことはありません(レンズは別です。ズームレンズなど回転部分に入り込んでじゃりじゃりいうことはあります)。


10月29日発売なので、店頭でD90や入門機種のD3100と、このD7000をそれぞれ手に持って比べてみると実感できると思いますが、質感が全然違うはずです。下位機種は持った感じプラスチックな、どことなく安っぽい感じがしますが、マグネシウム合金採用ボディーはしっかりした頑丈な感じが手から伝わってきます。


ガラスペンタプリズム使用
視野率約100%、約0.94倍の高倍率ファインダー


この、視野率ですが、完璧な構図を追求しようとすると、とても重要になってきます。視野率100%は目で見たものがそのまま写ります。


コンパクトデジカメやミラーレス一眼など、背面の液晶を見て撮るカメラは、センサーが捉えた画像をそのまま映しているので、それがそのまま写真に写るのは当然だと思いがちですが、一眼レフカメラは違います。


一眼レフカメラはレンズを通した被写体を、センサー直前にある鏡を使って肉眼でそのまま見ています。構造上、写真に写る範囲100%を見えるようにするには難しく、コストもかかります。なので、下位機種では視野率が100%ないものが普通です。旧機種のD90は約96%、先日発売されたばかりの下位機種D3100は約95%です。ちなみにキャノンEOS60Dも約96%です。


しかし、撮影時に完璧に構図を作ってフレーミングしたのにもかかわらず写真を見ると、端っこに撮影時には見えなかったものが写っていると台無しです。後から必ずPhotoshopでトリミングするなら、多少意図しないものが写り込んでいてもさほど影響ないですが、フィルムの時代から視野率100%はプロが使うフラッグシップ機だけに搭載された、構図に完璧を求める者に必須の機能だったのです。


フィルムを暗室で手焼きしていた頃は、トリミングをせずにパーフォレーション(フィルムの両端の穴)ギリギリまでプリントするのが味が出て好きだったので、やはり構図や作品を追求すればするほど視野率100%は欲しくなるはずです。


今はデジタルでトリミングが自由で簡単なのと同時に、フィルムの時以上に画面全体を全て見る機会が多いので、中級機の価格帯でありながらこの視野率を搭載してきた本気度はかなりのものだと思います。


ということで、気になるカメラやレンズがあったら休みの日や仕事帰りに近くの量販店のカメラフロアに立ち寄って、いろいろ見て触れて試してみてはいかがでしょうか。そしてカタログを持って帰って眺めるのは楽しいですよ。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/
okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


毎晩1時間ちょっと歩いています。数週間前は、Tシャツ短パンで家を出た直後には既に汗だくでしたが、長袖ジャージでもなかなか汗が出ないくらいすっかり涼しくなりました。今日は町中甘〜い金木犀の香りが漂う中、秋を感じるウォーキングでした。

YouTubeで見つけました!

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