●樋口明雄の短編集「標高二八〇〇米」を読む(徳間書店、2011)。「問題小説」に掲載された七本と書き下ろし一本をまとめたものだ。南アルプス北岳山頂(標高3193メートル)にいたSF作家・滝川と息子ら6人の登山客は、下山するに従い異様な事態に気がつく。世界中から人間だけが消えた。その現象の境界は標高2800メートルにあるらしい。親子と2人の女子大生は、恐怖と不安をかかえながらゴーストタウンの東京へ向けて車を走らせる。という、現象の原因が語られない上、何の解決もない不条理なホラーが表題作だ。それなりに恐ろしいが、それだけかい、投げ出したままじゃないか、という気もする。
「モーレン小屋」「屍山」「霧が晴れたら」は山が舞台、「最終電車」「夜よりも暗い影」は都市が舞台、ホラーというよりSFか、それぞれが結末を予想できないストーリー構成がうまいと思う。「渓にて」はほかの作品とは違う味わいで、人里離れたログハウスで暮らす男が、隣人の絵描きと二人で渓流釣りする一日を静かに描く。やがて、アメリカと中国が始めた核戦争で地球は死にかけていることが分かる。
彼らにとって最後の日である。それなのに、「人類が最初に核エネルギーを見つけたときから、終末までのカウントダウンが始まっていた」「人間という存在そのものが、地球にとって招かれざる存在だった」なんて、事態の説明とはいえ使い古した理屈を言いあっているのは、大切な日にふさわしくない。
「標高二八〇〇米」に続きがあった。「リセット」という最後の一話。希望のない世界で4人はどう生きどう死んだのか。生き残りだという阿久津と名乗る男が登場する。原発の技術職だったという。もしかしたらあの話か、と思ったらその通りだった。最後の舞台はFで始まる原子力施設で、すべてはここから始まったという。「リセット」は2011年7月号掲載だから、3.11の影響をもろに受けている。こういう時代に作家として何ができるのか、筆者の答えがこの作品である。
SF作家と阿久津との会話から、人類が一瞬にして消滅した理由が明かされる。標高2800メートル以上にいた者が消滅から逃がれられたわけも一応説明される。また阿久津の正体もわかる。それはSFでよく使われる手であり、驚くほどのことではない。
ここでまた、「渓にて」で語られたのと同じ、人類という愚者の過ちについての会話が続く。筆者の原発に対する憤りはわかるが、この続編「リセット」はないほうがよかったような気がする。偶然だろうが、発表時期にかかわらず、全体に3.11の影を引きずった作品集になっていた。(柴田)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198632863/dgcrcom-22/
標高二八〇〇米
http://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=215550668518412&id=163820137024799
樋口明雄facebook発言
●地震。各地で地震が相次いでいるが、大阪はしばらく揺れていなかった。近畿だと和歌山ではあった。そろそろ大きいものが来るんじゃないかと危ぶんでいたら、兵庫県淡路島で6弱、大阪市内は震度4。そろそろ起きなきゃな〜と考えていたら、私や家人のiPhoneやらiPadやらから緊急地震警報音が一斉に鳴り響く。これらがとても怖く、震えが止まらなかった。
『ゆれくるコール』では、アドオンで予測地点を三カ所設定しているため、その各々の場所での通知が来る。7秒後、3秒後、今。『防災速報』からも地震速報。バイブにしていたのに警告音が鳴ったのは、どちらのアプリのおかげなんだろう? iPhone自体の緊急速報メールなのかもしれない。
アプリはインストールするだけでは鳴らない。予測地点を設定する。そして不具合が出た時のために、複数のアプリを入れる方が良い。鳴り響いて怖くはなるけど、心の準備が出来るだけでも助かる。緊急速報系の設定を見直そう。(hammer.mule)
http://support.rcsc.co.jp/support/support_iphone.html
ゆれくるコール for iPhone
http://support.rcsc.co.jp/support/support_android.html
ゆれくるコール for Android
https://itunes.apple.com/jp/app/yurekurukoru/id398954883?mt=8
アドオンで優先配信・複数地点予測にしている
http://emg.yahoo.co.jp/promo/apps/
防災速報アプリ。こっちはGPSを利用した現在地の通知もしてくれる。出張の多い人に。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.twiple.android.quake&hl=ja
なまず速報 β
http://mb.softbank.jp/mb/service/urgent_news/
緊急速報メール。Softbank
http://www.au.kddi.com/mobile/anti-disaster/kinkyu-sokuho/
緊急速報メール。au
http://www.nttdocomo.co.jp/service/safety/areamail/
緊急速報「エリアメール」。ドコモ
http://emobile.jp/service/kinkyumail.html
緊急速報メール。イー・モバイル