●毎朝の一番の楽しみは読売新聞の「編集手帳」を読むことだ。集合ポストから新聞を取り出し、わが部屋に戻るまでの10数秒さえ待ちきれず、読みながら歩く。食卓でフジパン本仕込みを食べながらじっくり読む。この看板コラムを11年も書いているのが、当代随一の名文家・竹内政明氏である。「『編集手帳』の文章術」(文春新書、2013)は、この名人が文字数の制限されたコラムの執筆で、苦労しながら体得した独自の文章術を公開したものである。
文章の書き方については、かつて向井敏「文章読本」にものすごく感動したものの、すっかり内容を忘れ(嗚呼、読み返さなくては)、最近では野口悠紀雄「『超』文章法」こそ最高のノウハウ書であると断定したものの、すっかり内容を忘れ(嗚呼、読み返さなくては)、なのであった。今度こそ竹内政明スタイルを盗み取ろうと読み始めたら、たちまち付箋だらけだ。小学生の「辞書引き学習」みたいだ。笑ってためになる、まさに前代未聞の文章読本である。
まずは「私の『文章十戒』」で恐れ入る。文章を書くときに自分に言い聞かせているルールのご披露、これはすばらしい。コラム書きを目指すわけではないが、これはすごく役に立つ。文章の「構成」についてもそうだ。また、筆者にとっての「出入り禁止」の言葉たち。嫌いな言葉や虫酸の走る言い回しを並べている。ただし言葉狩りにあらず。
<……する機会があった/ちょっと待って欲しい/……と言っても過言ではない/就活/意気投合した/こだわる/売り/定番/なあに/合掌。/立ち上げる/説明責任/上から目線/アイデンティティ/ぱくつく/癒し/絆> どこがどういけないのか、それぞれの罪状が書き出されていて、まったくその通りだと思う。
手垢がついた陳腐な言い回しの東の横綱は「ちょっと待って欲しい」、西の横綱は「ここに一枚の写真がある」ではないかという。これ、今も朝日新聞でよく使われているような気がする。格言やことわざが使われていたら出来の悪いコラムだと見当をつけて、まず外れはないらしい。これも朝日新聞に……。付録に「うまい表現」「気の利いた言い回し」コレクション。人生で一度は使いたい表現がいくつか。こことは別の章にあった感動的な表現、「妻を憎んで、人妻を憎まず。」うまい、うま過ぎる。(柴田)
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「編集手帳」の文章術
●大阪マラソンのチャレンジランに申し込んだ。去年は落選。今年はどうなるか? 6月上旬に結果が届く。
大阪マラソン公式アプリのバナーを見た。『ハシログ』。橋下さんの何か? と素で思ってしまった。いえいえ、走る、でした。トレーニングを記録するためのアプリ。走行マップ・記録・計測・FacebookとTwitter連携に加え、今走っている距離がわかる音声読み上げ機能があるんだって。距離に応じたアドバイスまであるらしい。もちろん無料。(hammer.mule)
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サイドナビの下に「ハシログ」バナー
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ハシログ