●川口マーン惠美「住んでみたドイツ、8勝2敗で日本の勝ち」を読む(講談社アルファ新書、2013)。ドイツに30年住んでいる筆者による日独比較論である。ドイツというと、なんとなく高潔で勤勉で科学技術高いの先進国というイメージがあり、かなり一方的に好きな国のひとつだった。「次があったらまた組もうぜ。イタリアは抜きにして」と言いたい国だった。3.11までは。日本にいたドイツ人はクモの子を散らすように出国し、大使館も大阪に移動。遠く離れたドイツだけが大仰な放射能パニックを発症、ひどい日本報道をしていたのを見て、今まで買い被っていたんだと思った。
この本は10の具体的事例について日独の優劣を判定し、10勝2敗で日本が勝つという誇らしい内容である、というのはウソ。あれこれ比較してみて、やはり日本のほうが断然優れていると判断したというものだ。読み終えて身びいき過ぎる勝敗だと思うが、筆者は日本の広報活動の稚拙さを嘆き、日本政府は情報戦とまではいわないが、事実を広めるくらいの仕事をして欲しいと思っているので、アピール下手で奥ゆかしい日本人のためにこのタイトルにしたという。筆者が傍観者として眺めるふたつの国、その違いがじつにおもしろい。
日本はドイツを反面教師として学ぶことが多い。まず大いに難航している「脱原発」プロジェクトである。GDPを下げずにエネルギー転換ができるのかという壮大な実験であるが、10年後に原発の分を自然エネルギーで代替することは、間違いなく不可能である。「脱原発」という決定に大いなる誇りを持つあまり、バラ色ではない現実面に目を瞑ってきたツケが回って来て、国の将来が迷走を始めている。日本はこれに習ってはだめだ。あのスポットライト症候群の無責任老人の妄言を、正論できっちり抑え込まなくてはなるまい。
また、外国からの大量の単純労働者の流入についても学べる。ドイツは過去にそれで失敗し、賃金崩壊で失業が増加し、社会不安を招いた。いままたEU圏というしがらみ中でその愚を繰り返そうとしている。日本はこれに習ってはだめだ。独自に、計画的に、冷静に外国人対策を考えるべきだ。自民党が唱えていた「1000万人移民計画」なんて愚の骨頂、狂気の沙汰である。
最初の章は尖閣諸島を訪問するエピソードで、どういうことかなと思っていたら、話は領土に関するドイツと日本の対応の違いに展開した。「確かなことは、領土問題というのは実効支配をした者が勝つということだ。そして、実効支配にはそれを裏付ける軍事力が必要だということ。これだけは、いろいろな歴史が証明している」と正論が続く。日独お楽しみアレコレ比較、なんて軽い内容の本ではない。硬いけどさらっ読めて面白い本だった。ところで我が家は「9勝1敗で妻の勝ち」だな、各分野で。とくに口論では圧倒的に。(柴田)
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「住んでみたドイツ、8勝2敗で日本の勝ち」
●続き。また歩くと、月桂樹の葉の冠を貸与しての撮影会が行われていた。民間企業が無料で撮影してくれて、後から注文できるというもの。達成感のない私は、あまり喜びがなく、月桂樹の冠なんて恥ずかしくて被れないわと目を背けた。完走目的だから達成はしているはずなんだけど。「なぜベストを尽くさないのか!」(上田次郎/トリック)
次の場所では、ナンバーカードにパンチ穴があけられ、これまたボランティアのおばあさんに、ニコニコしながら、おめでとうと言われながらメダルを首にかけてもらう。ほんと嬉しいなぁ、これ。フルでは美女らがかけてくれるらしいよ、ノンアルコールビールがもらえるらしいよ(伝聞)。
で、順路に沿ってバナナをもらい、預けていた荷物をもらい、終了。荷物をもらった後は、え、もう開放? 閉会式とかないもんなぁと。しんどくないし、気持ちはまだマラソン引きずってるし、興奮状態で、御堂筋へ戻る。続く。(hammer.mule)