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「写真」ということば ──「写真」の語源について


笠井 享


はじめに


「写真」ということばは、西洋からフォトグラフィ(Photography)が伝来したときに訳されて命名されたと思っている方々が、一般の方々のみならず写真家や評論家などの専門家にも多くいるのだが、それは大きな誤解である。


1990年代後半から「写真」なる言葉が気になりだして、少しずつ調べるようになった。2006〜2008年頃には、ネット上のいくつか投稿欄などに考察を書き連ねたのだが断片的であった。Facebookを始めたのが2011年だったのだが、その時点で、少し整理してノートとして公開した。以下は、その論考とその後の追記である。


最初のことば ── ダゲリヨティープ


最初のフォトグラフィ=「ダゲレオタイプ」の発明が、1839年(=天保九年:徳川家慶の頃)で、そのわずか10年後の1849年(=嘉永二年:徳川家慶の頃)には、日本に伝来した。長崎経由で薩摩藩(=藩主:島津斉彬の頃)に納品されている。この時この技術は、翻訳することなく『ダゲリヨティープ』とカタカナで記されている文献が残っている。


それよりもはるか前、1700年代半ば、杉田玄白のころには、西洋事情を紹介した書物の中に、『箱の内に硝子の鏡を仕掛け、山水人物をうつし描ける器、かの地にて写真鏡とよべるものあり。』(カメラ・オブスキューラの紹介:
http://bonryu.com/atelier_bonryu/PH_Salon_1.4.html


つまり、フォトグラフィが発明される何百年も前から「写真(鏡)」という日本語(というか漢文)は存在していた。実は、写真ということばは、中国の明帝の時代(1300年代〜)の漢書の中に残っているそうで、おそらく言葉そのものは、もっと古く、もしかすると紀元前から中国にて使われていたかもしれない。ここまで戻ると私も専門外で調査する方法さえ知らない。


「写真」とは似顔絵を意味した


このフォトグラフィ以前の写真とは、(王様や身分の高い)人物の姿をそっくりに描くことを指している。日本でも天皇の写真のことをかつては「御真影」と言ったが、この単語の「真」は人の姿を言い表している。つまり「写真」とは、「真=姿」を「写」したものであり、フォトグラフィ以外でも、水墨画や浮世絵や他の絵図でも肖像画は「写真」だった。


この時代の人物を描いた絵図の裏書きには、「ダレソレの写真」という記載が多々見受けられる。「写真」という言葉は明治時代中期までこの意味でも使われていたようだ。


いろいろな翻訳


さて、伝来した「ダゲリヨティープ」は、その後10年ほどかけて研究された。日本人自身の手によってまともに写った(=まともに現像処理まで成功した)のは1857年(=安政四年:徳川家定の頃)である。そして、このころは、まだフォトグラフィは写真とは訳されておらず、「印影」「直写影」「留影」「撮景」などの言葉が文献に見受けられる。


1862年(=文久二年:徳川家茂の頃)に、長崎の上野彦馬が肖像写真スタジオをオープンしたが、店舗の看板に「一等写真師:上野彦馬」と表記した。同じ時期、江戸の勘定奉行の川路聖謨が記した文献でも「写真鏡」という単語が登場する。


よって、「フォトグラフィ」は、日本伝来当初から約15年くらいの間に、いろいろな呼ばれ方をしたが、結局、定着した最初の言葉としては「写真」だったのであろう。ただし、上野彦馬がここで「写真師」と自称したのも、肖像フォトグラファーという意味ではなく、(光学・化学的手段を使う)肖像画家というほどの意味だったのかも知れない。


時代が求めたもの


何しろ、幕末のこの時代、数多くの武士たちが維新の戦争に行った。彼らはこぞって自分の姿をフォトグラフィに残そうとしたにちがいない。多くは下級武士であり、肖像画を描いてもらうほどの録はなかったはずだ。


他の国では、登場したフォトグラフィを宗教や政治のプロパガンダとして活用すること、あるいは、画家やその他の芸術家のツールのひとつとして活用することが主であったが、日本は、維新の最中にあって、少しだけ事情が違ったようだ。


ちなみに、中国ではフォトグラフィは「照片」と訳されている。台湾はここ十数年の期間で、「照片」から「写真」へとフォトグラフィの表記が変化しているそうだ。主として日本文化の、とりわけ若者に人気の日本のタレントの「×××写真集」(×××はタレントの名前)が影響を与えているとのことである。


◎追記 その1


私は、若い頃6年間ほど海外に住んでいた。職業は写真や印刷に関連する業界だったので、周辺には写真家や評論家もいた。


そこではフォトグラフィはフォトグラフィであり、Taking truth(真実を写す)とか、あるいは、もう少し哲学的にTaking essential(本質を写す)というような、日本の写真のような概念でフォトグラフィを語るシーンに一度も出くわしたことはない。


フォト(=光)・グラフィ(=絵図)はフォトグラフィなのであり他意はないのである。ダゲレオタイプの発明の一年後、英国ではタルボットが別の方式の写真を発明したが、彼は、その技術をフォトジェニック・ドローイング(=光的描画とでも訳しておきます)と呼んだ。ここでも「まことを写す」という概念はない。


油絵がオイルペインティングと呼ばれるのと同じ延長に、フォトジェニックドローイングやフォトグラフィということばの展開がある。フォトの代わりにライト(光)を使って、ライトペインティングでもぜんぜん構わないわけだ。


日本でフォトグラフィが写真と呼ばれるようになったのは、不幸なことなのかもしれない。「写真が写すのは真実」などという大それたものではなく、単純な「光学的事象」だけであり、その写っている事象に撮影者が意図を託すのが写真的表現なのである。その状態をもって、真実を写すと解釈するのは飛躍しすぎのはず。そもそも「真実」と「光学的事象」の間の違いについて誰もきっちりと語り、定義していない。


フォトグラフィが写真と呼ばれるのではなく、最初から「光画」とか、「写影」・「写景」とか呼ばれていたら、誰も「まことを写す」などとは考えず、あるいは、縛られずに、光学的事象の描写能力を借りて、撮影者の意図を表現すること、自由奔放に自分が視た世界・光景を表現することだけに集中できたのに〜と思う。


ところで、明治末期から大正中期に、写真と俳句を重合するような表現や方法論が流行った時期がある。俳句は、その五七五の句の裏にたいへん奥行きや広がりのある光景を表現できる。


写真で「真実を写す」というとき、日本人は、写真に俳句的な表現力を期待しているのかもしれない。すなわち、写っているものごとの向こう側にある、写っていないけれども、読み手が写っていると感じることのできることがら、それが真実なんだと〜。


同じ文化、同じ風土、同じ民族、同じ言語、同じ価値観を持つ日本人だからこその写真の見方かもしれない。


◎追記 その2


「真実の真」という意味において「まことを写す」というように写真を解釈し始めたのは、写真批評・写真論が盛んになった大正時代ではないか? と、私は仮説をたてている。この説の探索は芸術史や写真史の研究者のよい研究テーマかもしれない。


「写真」は、そのことばがフォトグラフィのことを指し示すようになったころは、既述のように別の意味でも写真という元祖のことばがあったわけだから、多くの人々にとっては「精密描写似顔絵」という程度の意味合いだったのであろう。


そもそも、フォト+グラフィであるから「照図」とか「光画」と訳されていれば、写真は真を写すという解釈を土台にした、表現範囲の狭い日本の写真の傾向は生まれなかったのかもしれない。それほどまでに、写真ということばは日本写真界にある意味、悪しき影響を与えてきたとも言えそうだ。


欧米のフォトグラフィック表現へのおおらかさや寛大さ、ゼラチンシルバープリントなどを絵画同様に敬ってくれる文化などは、フォトグラフィなることばが、真を写すというような呪縛に捕らわれていないからだと思うのは私だけなのだろうか。


一方で、デジタル写真は? というと、その登場によって、「真を写す」という呪縛から解放するという効果が生まれている。何しろ、ダイアルひとつで、ファンタジックアートやらデイドリーム、ラフモノクロームなどなど、「マコト」の向こう側にある心象光景を写す(いやこの場合は「映す」か?)能力を得たのである。


このへんのこと、すなわち、フォトグラフィとデジタルフォトグラフィの比較表言論については、またのチャンスに論じてみたいものである。


◎追記 その3


「写真」の語源について、その後、文献をあたっていると、下記の写真論の中に、似たような記述があることを発見した。


「日本芸術写真史:浮世絵からデジカメまで」西村智弘著、美学出版、2008年10月発行 ISBN978-4-902078-16-9 3,150円(3,000円+税)
http://nishimuratomohiro.web.fc2.com/nihongeijutu.html


470ページ余の大作。「写真」なる言葉に関する関連ページは各所にある。特に、54ページの記述は、同様のアプローチで私の「写真」ということばへの考察を補完してくださっている部分だ(多少、見解は違うようだが)。


写真前夜からデジカメ登場までの180年余について、かなり深く述べている。技術論や道具論ではなく表現論を基盤にしていて、私の好きな切り口だ。


「写真的思考」飯沢耕太郎著、河出ブックス、2009年発行
ISBN978-4-309-62408-2、¥1200
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309624082/


この本では、第二章の第二節で、「『写真』と『フォトグラフィ』」と題してフォトグラフィが日本に伝来したころの、日本語としての呼び名についての考察などは、私が教科書として参照している写真史の各書の同じベースであるが故に、ほぼ同じ展開といなっている。


特にフォトグラフィ渡来以前の「写真」という言葉が当時(江戸時代中期)にどのような意味づけ・位置づけであったかについて司馬江漢(しばこうかんの「西洋画談」を引用して述べているあたりはたいへん興味深い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/司馬江漢


◎追記 その4


この考察を私が私的に展開しはじめたのは、1990年代初頭であった。というのも、当時私は玄光社の季刊Mook「SUPER DESIGNING」誌のレギュラーライターであって、その記事中で「デジタル写真」に対比する形で、いわゆる銀塩写真感光材料を使った従来からの写真手法を、「銀塩写真」と呼んで区分けする必要が生じたからだ。


「銀塩」という言葉は、「銀塩写真」と呼ぶ時期より少し早い時代から技術用語として存在しているのだが、「デジタル写真」に対して「銀塩写真」と呼ぶようにしたのは私自身だと自認していて、そこにはそれなりの理由がある。


そのことについては、また別の機会に述べるとして、かくして「デジタル写真」と呼ぶときに「写真」という言葉をこのまま使ってゆくべきなのかどうかを、私なりに考察しはじめ、結果として、そもそもフォトグラフィとは似ても似つかぬ訳語としての「写真」の語源が気になってしまった。


同誌はまもなく休刊したのだが、私自身は「写真」なる「怪語」を調べはじめて今日にいたっている。


【かさいあきら】bonjour_ia@infoarts.jp


1990年代にデジタル画像処理の各種解説書などを執筆し、94年に設立したインフォーツ株式会社にて、デジタル写真関連メーカーの製品開発支援/大手印刷需用社内のコンピュータ化/フォトアルバムサービスシステムの開発などのコンサルタント事業を展開して来た。


現在では、一般撮影も積極的にこなしているが、中でも自作品をていねいにインクジェットプリンターを活用して、ファインアートプリントに仕上げる創作活動にウエイトを置いている。


また、つい最近に「笠井アキラのデジタル写真塾」を京都市にて展開しはじめた。現在はテストラン的な活動だが、今秋からはプリントを仕上げて作家的作品作りをめざす、写真家向けの本格的ワークショップなどを計画している。

■おかだの光画部トーク
花火の撮影は難しい! 


岡田陽一


毎年5月の終わりのこの時期に、自宅のある兵庫県相生市では恒例の「ペーロン祭」が開催され、前夜祭として港で「海上花火大会」が盛大に行われます。
http://www.city.aioi.lg.jp/site/pe-ron/


毎年、仕事や何かのイベントとかぶるので、なかなかじっくり観に行けないのですが、今年は時間があったので、打上げ一時間程前に会場に行ってみました。


大きな花火大会としては、早い時期に開催される相生市の会場花火大会。観客エリアと、打上げる場所が比較的近いので、打上げる音と開く音が腹に響き、すぐ頭上で視界一面に大きく閃光が弾けるのが大迫力!


しかし、写真やビデオにおさめようとすると、近すぎて逆に難しい。広角レンズを付けていてもなかなか画角に入りきらない感じでした。


打上げ花火というと、夏! という感じで、これからの数か月間、あちこちで開催されると思います。この夏、花火を撮ってみようという方に、今回は打上げ花火の撮り方について解説してみます。


まず、難しいことを考えず無難に撮るなら、花火モードが付いているコンデジを選ぶのがよいと考えます。例えばキヤノンのPowerShotの機能で「シーンモード」の中に「打上げ花火」というのがあります。
http://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/sx600hs/feature-mode.html


このモードにするだけで、適切な設定になるのでお手軽でしょう。


花火モードがあるコンデジで撮らない場合は、基本的には、絞り・シャッタースピード、フォーカス共にマニュアルに設定できるカメラが必要なので、一眼レフか、ミラーレス一眼がよいでしょう。


よくオリンピックや球場などの、メモリアルなシーンをテレビで見ていると、観客席でピカピカとフラッシュが焚かれています。見ている分にはキラキラしていてきれいなのですが、こういう場所でフラッシュを焚いてもまず意味がありません。被写体が遠すぎて、小さなカメラのフラッシュは、光が届かないからです。


花火の会場でも、同じくフラッシュをONにしている人がたまにいますが、きっと設定がオートになっていて、暗いところで勝手にフラッシュが光っているのでしょう。


花火はそれ自体明るいので、フラッシュを使う必要はないですから、設定でオフにしておきましょう。


最近の花火は、単発で打上げず、スターマイン(速射連発花火)というド迫力のものが多く、明るすぎて露出がオーバーになってしまいます。


https://flic.kr/p/nsK7SA
(明るすぎた失敗例)


絞りを絞って(Fの数字を大きく)設定します。シャッタースピードはできればバルブ(開けっ放し)で、レリーズを使って撮影するのがいいでしょう。バルブにできない機種やレリーズがない場合は、4秒〜15秒くらいのスローシャッターで、タイミングを見ながらということになります。


ピントも、オートフォーカスにしていると、せっかくのシャッターチャンスでフォーカスが迷ってピントが合わないことがあるので、マニュアルフォーカスに設定して、あらかじめ遠くにピントが合うようにしておきましょう。


https://flic.kr/p/nKcxsA
(ピントが外れてしまった失敗例)


数秒以上シャッターを開けるので、三脚は必須です。ブレないようにしっかりとした三脚を使いましょう。ただし、会場は多くの人で混雑しますので、周囲の人の迷惑にならないように。


タイトルに「花火の撮影は難しい!」と書きましたが、それはカメラの設定以外の要因が大きなウエイトを占めるからなのです。一朝一夕ではなかなかうまくいきません。


ちゃんと思い通りに撮ろうと思ったら、入念な下調べと準備が必要です。それは各地で開催される花火大会によっても、それぞれ違ってくるでしょうから、何年も同じ花火大会に通ってチャレンジして、自分なりのノウハウを積み重ねることになります。


会場のどの位置がいいアングルで撮れるのかは、実際に何度か経験してみないとわからないかもしれません。打上場所が会場からすぐ近くだと、画角的に入りきらない場合もありますから、少し離れた小高い丘なども撮影スポットとして候補に入るかもしれません。


実際に事前にロケハンしたり、Googleマップなどで自分なりのポイントを探るのも楽しいでしょう。


そうしたとしても、最終的には当日の風向きや天候などに左右されるので、運と忍耐が必要ですし、1〜2時間の中でプログラムはどんどん進行されますから、ベストシーンを撮るチャンスはそう多くはありません。


無風に近いと、溜まった煙が白く光って、花火の邪魔をしてしまいます。


https://flic.kr/p/nK4731
(煙できれいに撮れない失敗例)


適度に煙が流れる風があるとベストですが、これは自分でどうにかなるものではないので運ですね。


何枚か良さそうなものをピックアップしてみました。


https://flic.kr/p/nsKAzP
https://flic.kr/p/nsKkN7
https://flic.kr/p/nJWJoR
https://flic.kr/p/nKeMEa


ということで、来年はもう少し準備を整えて臨みたいと思います。


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
okada@fuwhat.com <Twitter:http://twitter.com/okada41>


6月13日(金)にa-blog cms全国ツアー 2014 神戸編として「ゼロからはじめるa-blog cms」を開催します。


神戸周辺のWebディレクターさん、プランナーさん、企業のWeb担当者の方など、CMSを採用検討、提案する立場の方や、デザイナー、コーダーの制作側のみなさん、是非ご参加ください。こちらのFacebookイベントページで参加お願いいたします。
https://www.facebook.com/events/1387185051569551/

おかだの光画部トーク
Lightroom mobile を使ってみた


岡田陽一


先日リリースされたAdobeのLightroom mobileを早速ダウンロードして使ってみました。今回はそのインプレッションです。


Adobe Lightroom mobile(無料)
http://bit.ly/1r47Dlz


現在はiPad版のみですが、今後時期は未定ながらiPhoneやAndroid版もリリースされるそうです。


iPad版はAppストアから無料でダウンロードできますが、使用するには「Creative Cloud通常版」または「Creative Cloud – Photoshop写真家向け特別プラン」のサブスクリプションが必要です。


普段から制作のお仕事でAdobe製品を使っている方は、既にCreative Cloudの人も多いと思いますので、Lightroomをダウンロードすればすぐに使用できます。


まだ、Creative Cloudを使っていない写真をたくさん撮る人は、期間限定の「Photoshop 写真家向けプログラム」がいいかもしれません。PhotoshopとLightroomが月980円で使用できるプランです。
http://adobe.ly/1r4bjUu


Lightroom使ったことないけど、とりあえずお金をかけずに使ってみたい。という方は、30日間体験版をダウンロードして試してみるのがよいでしょう。
http://adobe.ly/1r48Idg


Lightroom mobileの説明の前に、まずLightroomとはどんなソフトなのかを知っておく必要があります。


Lightroomは、おそらくプロで写真を撮ってる人にはなくてはならないソフトじゃないかと思います。プロだけでなく、普段から写真をたくさん撮る人、いろんな種類のカメラ(一眼レフやミラーレス、コンデジやiPhoneなど)複数のカメラを使って撮った写真がハードディスクの中にいっぱいたまっている人にとっても、とても重宝するはずです。


RAWで撮った写真を現像するソフトだと思っている人が多いと思いますが、それだけの用途ではありません。RAWだけでなく、JPEG画像も柔軟に調整できますし、現像・画像調整に使用するだけでなく、むしろ、デジカメで膨大に撮りためる写真や動画データの管理に使えば使うほど、威力を発揮するソフトです。


写真データの管理の仕方は、ひとそれぞれのワークフローがあると思いますので、今回は触れませんが、またの機会に解説しようと思います。


それでは、iPadのLightroom mobileについて……。


iPadのAppストアからダウンロードしてインストールします。
https://flic.kr/p/nfMian


最新版にアップデートしたデスクトップ版のLightroomを起動すると、左上に「Lightroom mobileをはじめる前に」と表示されています。
https://flic.kr/p/nfMGH4


環境設定の「Lightroom mobile」のタブでAdobe IDを入力しサインインします。
https://flic.kr/p/nfPJAQ


iPadで使いたい写真を入れる「コレクション」を作成。その時にLightroom mobileと同期にチェックを入れておきます。
https://flic.kr/p/ndJUzr


iPadで使いたい写真を、先ほど作ったコレクションに入れるとCloudにデータがアップロードされます。
https://flic.kr/p/nfPJx3


この時アップロードされるデータは、元のRAW画像ではなく、長辺2048pixelに縮小されたJPEGプレビューデータのようです。


Lightroomは、トリミングや色調補正、レタッチなどいかなる処理も、オリジナルの画像データを変更するのではなく「何を変更したか」というパラメータだけが記録されます。そして、元の画像データにその処理を加えたものを書き出して新たな画像を生成するので、撮影した元データはずっと元の状態です。


Web制作者が、PhotoshopデータからWeb用の画像をPNGやJPEGやGIFなどでWeb用に書き出すのと似ています。


iPadのLightroom mobileを起動して、Adobe IDを入力しサインインすると、先ほどLightroom側で選択した画像が同期されiPadで表示されます。
https://flic.kr/p/ndJFnz
https://flic.kr/p/ndJLT5
https://flic.kr/p/ndLpyh


逆にiPadのカメラロールにある写真を同期することもできます。iPad側で新規コレクションを作り、写真を選択すると同期が始まります。
https://flic.kr/p/ndLt1b
https://flic.kr/p/ndLwTG
https://flic.kr/p/ndLudX


では、Macから同期したRAW画像をiPadで色調整してみましょう。そのままだと少しくすんだ感じの写真を、夏っぽくコントラストを高くして、色を鮮やかにしました。
https://flic.kr/p/ndLJ6b
https://flic.kr/p/ndLG2B


もう1パターン。今度はiPad側にあったカレーのJPEG画像を調整してみます。
https://flic.kr/p/ndLVrx


撮ったままの写真は、ごはんの部分が白く飛んでしまっているので、この部分のディテールがでるように、ハイライト部分を調整します。ごはん粒の陰影が確認できるようになりました。
https://flic.kr/p/nfPJCc


iPadでの調整が終わると、同期されてMac側にも同じものが表示されます。
https://flic.kr/p/nfQemg


iPadでRAWやJPEGが簡易的ではありますがLightroomの画像調整ができるのは素敵なことなのですが、まだまだ調整項目がMac側のものよりも少ないですし、そもそもiPadは個体によってかなり画面の色が違いますから、現状では、それを元にどこまで調整可能なのかということもありますが、あくまでざっくりとシミュレーションするくらいは使えそうです。


出たばかりのiPad版Lightroom mobile、今後どんどん進化していくと、撮影後のワークフローが大きく変わるかもしれない可能性を秘めたアプリです。今後も注目して折にふれてご紹介していきます。


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
okada@fuwhat.com <Twitter:http://twitter.com/okada41>


今週は水曜日から土曜日まで久しぶりに東京出張の予定ですが、昼間と朝晩の気温の差が大きいので着ていくものに悩みます。ちょうどオバマ大統領訪日と重なるようなので、あちこち不便な気がします。

■おかだの光画部トーク
キヤノンのスマホアプリ


岡田陽一


写真の仕事をするようになってから、フィルムの頃もデジカメになってからも、一眼レフカメラはずっとニコンを使ってきたし、なんだかんだで人にもニコンをオススメしてきました。


そんなわたしが、今、気になってるカメラがキヤノンEOS70D。昨年夏頃に発売した機種のキヤノンでは中堅の機種です。
http://cweb.canon.jp/eos/special/70d/index.html


実は、小学4年生の頃にお年玉などでたくわえた貯金をはたいて買った、初めてカメラがキヤノンA1だったので、http://flic.kr/p/kTD5Ee別にキヤノンを毛嫌いしていたわけではなく、1995年頃仕事で使うカメラとして、Nikon F4sを買ったので、それ以来あれこれと増えたレンズの資産を活用できるニコンを、デジカメになってもずっと使っています。


そんなわたしが、何故キヤノンEOS70Dなの? という話ですが、それが「キヤノンのスマホアプリが他よりも断然良さそうだから」という理由。


スマホとWiFiで接続して、撮影した画像をスマホで加工したりネットにアップしたりと、最近多くのデジカメメーカーで流行りの無線LAN+アプリのスマホ連携機能ですが、スマホ連携はこれだけではありません。iPhoneやiPadをリモコン&遠隔ファインダーとして使えるところにかなり魅力を感じているのです。


ブツ撮り(商品撮影)する際に、何に時間がかかるかというと、商品の配置やライティングです。三脚にカメラを固定し、背景紙を設置した舞台に商品を配置して、ライティングやレフ板をあーでもないこーでもないと少しずつ位置を変えたり、商品の角度や並べ方を変化させたり、アクセントとなる小物などをあしらったり……。


何かの配置を変える度に、カメラのファインダーを覗いて確認、また少し調整、その繰り返しです。


配置さえ決まれば、撮るのは一瞬ですから、次のシーンのセッティングをまた時間をかけて行います。とにかく、ブツ撮りはセッティングが本当に時間がかかって大変です。


更にカメラが高い位置で、踏み台に乗ってファインダーを覗いたり、首が痛くなるような角度だったりすると、もういちいちファインダーを覗いて確認するのが嫌になってきます。


そのために、USBでMacに繋いでMacでコントロールしたりするのですが、これはこれでMacを置く台や、USBケーブルの取り回しが面倒だったりします。


そこで、カメラのWiFi機能+スマホアプリの連携で、タブレットやスマホを使ってリモコン撮影がとても快適だと思うわけです。


iPad Retina画面の高精細ライブビューで、ファインダーに映る画面をそのまま、カメラから離れた商品のところで確認しながら位置を微調整できるのです。そして、そのままiPad画面内の任意の場所をタップしてピント位置を決め、露出などもiPadで調整して、シャッターも切れる。


ブツ撮りが多いと、これで超はかどるのではないかと思います。


各社スマホ用のアプリを出していて、ニコンのものもあるのですが、どうもレビューなどを見ているとキヤノンのそれとは現時点では雲泥の差なようで、これだけのためにキヤノンを買いたくなっている今日このごろです。


ニコンのカメラもレンズも凄くいいし大好きなので、是非このスマホアプリ&WiFi周りの開発にも力を入れて欲しいと願っております。


各社のiOSアプリはこちら…。


・キヤノン EOS Remote
http://cweb.canon.jp/eos/lineup/6d/wifi/eos-remote03.html
http://cweb.canon.jp/eos/software/app.html
http://bit.ly/1dHqyhc


・ニコン Wireless Mobile Utility
http://bit.ly/1dHqIFn


・SONY PlayMemories Mobile
http://bit.ly/1nzC8hA


・Panasonic Image App
http://bit.ly/1dHqRZl


それでは、最後にブツ撮りの様子の面白いムービーを見つけたのでご紹介。
・McDonaldのチーズバーガーの撮影風景
http://youtu.be/oSd0keSj2W8?t=1m4s
・雑誌表示用iPhoneの撮影風景
http://vimeo.com/5989754


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
okada@fuwhat.com <Twitter:http://twitter.com/okada41>


3月に入ったというのに、まだ雪が舞う寒い日々。次回くらいには桜のニュースが聞こえてくればいいのですが……。今年はちゃんと桜の写真も撮りに行きたいと思います。

ところのほんとのところ
ニューヨーク冬の風物詩が……


所 幸則 Tokoro Yukinori


さて、いろいろな人とのつながりができつつも、[ところ]のNY行きの本来の目的は、写真を撮ることです。まずは、NYの冬の風物詩と思われる、道路から吹き上がる蒸気(というか煙というか)です。これは20年近く前に初めてNYに行ったときの印象から来ています。当時の[ところ]は武田真治君を撮りに行った冬のNYのかっこよさに魅了されました。


いままで何度かNYに行ったものの、真冬に行く機会はなかったのです。そして今回は、ようやくタイミングが合ったので、憧れの蒸気を狙って探しまわったわけです。しかし、思ったよりポイントは少なく、円筒状のものから水蒸気を逃がすための工事がそこかしこで行われていました。そういった貴重な写真も撮れましたけれど、道路からの直接放出ではないのがちょっと残念でした。


そして、旅の最後の方で会ったNY在住の日本人から、意外な話を聞きました。地下鉄の温かい空気が寒い地上に上がって来て、蒸気となって道路から吹き上がる、という説を[ところ]も含め日本人は信じていたように思います。


真実はもっと驚くべき話だったのです。マンハッタン島の地下には色々なケーブルや配管があります。近くにある火力発電所からも来ています。それらの管のヒビや隙間からもれているものが、冬には水蒸気と一緒になって上昇することで、あの幻想的な冬の景観になっていたようです。


この冬の間にはほとんど工事は完了するようなので、NY名物はもう見ることはできなくなるでしょう。ボイラー室から出る水蒸気は変わらず見られますが、それは主にビルの上にあるので、道路から立ち上るのとは違う景色です。


もっとも[ところ]の視点はたまに訪れる人のものであるし、住んでる人からすれば出ない方が快適になると思います。たぶん空気もきれいになるし、道路の交差点での事故も減るでしょう。あの雰囲気がよかったなどというのは、あくまで旅人の感傷やエゴでしかないですよね。


というわけで、一番の目当てはもうほとんどなかったので、最後の一日は盟友・木村達也君と、別のポイントを探しながら効率的に撮影を進めました。運良く天気も味方をしてくれて、満足できる撮影になり、[ところ]はかなり満足しました。もう一〜二回撮影に来れば、個展ができるなというぐらいまでNYの撮影は進んでいます。もっとも、それを[ところ]が作品に仕上げるのには随分かかりそうです。その後のプリント作業もありますからね。


それと、けっこう驚いたことがありました。友人フランコの車に乗る時によく通る道で、車の窓から素敵なビルを見つけました。そこに行きたい、と木村君に言ってみたのですが、彼はそんなビルはまったく覚えがないと言うのです。


しかし、[ところ]も渋谷の街を撮り始めた頃、渋谷歴28年以上なのに、新発見だらけでした。行く場所や道は知っていても、今まで被写体としては見ていなかった物件がいくつもありました。普通はそういう目で見てないのだから、木村君の感覚は当たり前なんだなと思った次第です。


●「アートとして香川を撮り続けるフォトグラファー集団K lovers photograpers TOKYO展」
助成:一般財団法人百十四銀行学術文化振興財団


会期:3月11日(火)〜3月16日(日)11:00〜18:30
会場:gallery cosmos(東京都目黒区下目黒3-1-22 谷本ビル3階 TEL.03-3495-4218)
http://gallerycosmos.com/


所幸則の指導の下、写真に取り組んできた「フォト・ラボK」の卒業展、フォト・ラボK修了生からなるフォトグラファー集団「K lovers Photographers」の選抜作品展が行われます。


いわゆるカメラ雑誌でいうところの“うまい写真”を撮る、あるいはFacebookで「いいね!」をもらえる写真を撮るというのではなく、自分のテーマ、被写体と真摯に向かい合い、作品を紡ぎ出すという写真表現、アートとしての写真に取り組む人々の写真展です。主宰の所幸則の新作も出しています。


普段見慣れた人にとっての香川の風景も、香川を見たことがない人にとっても、フォトグラファーの目を通して表現されるとまったく異なる表情を見せます。写真表現の可能性についても、感じられる写真展になると思います。


3月11日(火)18時からのオープニングパーティには皆さんお誘い合わせの上いらしてください。お待ちしています。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

YouTubeで見つけました!

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