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写真を楽しむ生活

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おかだよういち


先日、テレビの情報番組で料理写真を美味しそうに撮る、撮影Tipsをやっていました。料理作りが趣味の若い主婦が、作った料理をブログに載せる写真を撮るんだけど、全然美味しそうに撮れないので、プロから美味しそうに撮れるコツを教えてもらうという企画。


その中のTipsのひとつに、「逆光で撮ると美味しそうに撮れます」というのがありました。写真を知っている人間からすれば「当たり前だ」と思いますが、スタジオの局アナMCと、ゲストのコメンテーターや芸人さん達がそろって「えぇ〜! 逆光はダメなんじゃないですか?!」「逆光は普通避けますよね!」みたいな反応をしてたのを見て「そうか! 多くの人は間違った学習をしてしまってるかも」と思い、今回は逆光をテーマにしてみます。


「逆光は勝利!」は、この連載のタイトルにある光画部の由来『究極超人あ〜る』8巻の、「これが基本だ」の回に出てくるセリフです。光画部を舞台にした学園コメディであるこの漫画で唯一、写真のうんちくが出てくるこのエピソードです。
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まず「逆光って何?」と言う説明をします。被写体の正面、カメラの背後方向からの光のことを「順光」といいます。逆に、被写体の背後、カメラのレンズに向かってくる光のことを「逆光」といいます。


料理写真に限らず、逆光というシチュエーションは被写体を美しく見せたり、カッコよくしたり、ドラマチックに演出したり出来ます。


では、なぜ多くの人は「逆光はダメ」「逆光は避ける」と刷込まれてしまっているのでしょうか。失敗写真の代表的なものに、「手ぶれ」「ピンぼけ」「逆光で被写体真っ暗」が挙げられます。多分それは、多くの人が逆光の失敗写真の経験を積み重ねてしまったからではないかと思います。


普段写真を撮る習慣のなかった多くの人が、写真を撮る時のシチュエーションはたいてい観光地での記念撮影などで、カメラも売店で売っているレンズ付きフィルムとか。それでは露出補正も出来ませんから、逆光で撮った集合写真や記念スナップなどは、背景に露出が合って人物の顔は真っ黒でがっかり。そういう経験をした人がデジカメを使い始めているので、逆光は避けてしまうのでしょう。


最近では、コンパクトデジカメに顔認識機能が付いていて性能も良くなっているので、顔にピントが合うだけでなく、露出も顔が適正になるように設定されています。そんなカメラの場合、人間を撮る時はそれほど逆光の心配はしなくてもよくなりましたが、人物以外(料理、虫やペットなど)はその限りではありません。


No.33で解説した露出の仕組みについてや、No.34〜35の露出補正のことを知っていれば、被写体の露出値に合わせて+に露出補正すれば良いことは理解できると思います。露出の回の復習になりますが、カメラの露出計は、白いもの(明るいもの)をグレーになるように露出を出します。逆光で被写体を撮る場合、被写体が白や明るくなくても、背景が極度に明るいのでそれにつられて明るい背景をグレーになるように露出の値を出します。


すると、ただでさえ背景より暗い被写体が、もっと暗く写ってしまいます。結果、そのまま撮ると背景はちゃんと写ってるけど、人物は真っ暗な失敗写真になってしまうのです。


逆光の場合の撮影は、暗くなってしまう被写体を明るくしてやればいいのです。被写体を明るくする方法はいくつかあります。


●被写体に露出を合わせる──スポット測光が使えるカメラでしたら、背景の明るさにつられないようにピンポイントで被写体を測ると、被写体が暗くならない露出値が出ます(背景と被写体の
輝度差が大きい場合、被写体に露出を合わせると背景は真っ白に写り、せっかくの風景が写らなくなります)。


●レフ板を使う──被写体の背後からの光を反射させて被写体に当てます。コンパクトに折りたためて、持ち運びに便利なモノが色々なサイズで売っていますし、白い厚紙やPOPボード+アルミホイルなどで、使いやすいサイズで自作してもいいでしょう。100均とかで材料買えば数百円で作れます。
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●フラッシュを使う──フラッシュは暗い場所や夜だけ使うものではありません。逆光時に暗くなる被写体の明るさを補うためにフラッシュを使うことを「日中シンクロ」「デーライトシンクロ」と言います。被写体も背景も両方適正露出で写す場合に有効です(でもちょっと難しいので、またの機会にじっくりご説明します)。


記録としての写真は、全体に正面から光が当たり色や形がはっきり写る順光で撮影する方が良いかもしれませんが、何かを表現する写真の場合は、インパクトがありより個性的な絵になる逆光の方が魅力的です。


例えば、人物撮影の場合、順光で撮ると正面から光が当たるので影が気になる写真になってしまいます。特に女性ポートレートでは、鼻の下にできる影や首にできる顎の影が美しくありません。逆光で撮ると、不自然な汚い影が出ないので、ポートレートはむしろ逆光で撮る場合が多いのです。


料理などの場合も、逆光で撮ると輪郭が際立ち立体感が出て、背景からの光が表面をキラキラさせて(「シズル感」と言います)より美味しそうに写ります。


風景も、シルエットをダイナミックに表現したり、花や葉の背景からの透過光を美しく表現したりと、逆光の写真はひと味違うアーティスティックな絵になります。まさに「逆光は勝利!」


今まで「逆光はよくない」と誤解していた人は、次の撮影時に逆光で積極的に撮ってみましょう。今までとは違う写真が撮れるはずです。では最後に、HDDの中にあった撮影データのストックから逆光のものを何点かアップしましたので、参考にしてください。


ヘンリー(猫)
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LOMOで撮った赤穂御崎の夕景
http://flic.kr/p/8cfjZr
龍野城の桜
http://flic.kr/p/8ciFjy
御津町の新舞子海岸
http://flic.kr/p/8cfkDa
砥峰高原のススキ
http://flic.kr/p/8cfkX6
紅葉
http://flic.kr/p/8cfm4T
阪神高速神戸線西行き
http://flic.kr/p/8cfmck


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/
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iPhone4の発表から2週間。先週ソフトバンクで無事予約しましたが、色んな情報を見ると予約してても24日の発売日当日に手に入るかどうかは微妙なようです。既に当日分を手に入れるために表参道では列ができ始めているそうですよ。

おかだよういち


2月から8回、数か月に渡って技術的な小難しい話を続けてきましたので、この辺で旬な話題を。と言うことで、今回は先月28日に発売になったばかりで話題のiPadと、写真を絡めた話をしてみましょう。


と、その前に更に新鮮な、日本時間今朝早くにWWDCで発表になったばかりのiPhone4に関して、カメラまわりのことを書いておきます。


この連載でも、いままで何度もiPhoneのカメラ&カメラアプリのことに触れています。その中では「iPhoneのカメラはしょぼいのでそれを逆手に取って、他の高性能なカメラでは撮れない感じのトイカメラ風に撮るのを楽しみましょう」と書いていましたが、今回発表されたばかりのiPhone4のカメラはかなり進化していますよ。


・5 megapixel sensor
・backside illuminated sensor
・1.75μm size pixels
・5x digital zome
・tap to focus
・LED flash
・720p at 30fps HD video recording


と、ジョブズ氏のプレゼンにあります。まず、5メガピクセルで、しかも裏面照射のセンサーになりました。裏面照射CMOSセンサーは、ソニーやリコーの最新デジカメ等に採用され始めたもので、通常のものと比べると暗い場所に強く、高感度でもノイズの少ない写真が撮れるのが特徴です。
http://bit.ly/5hnimq


コンパクトデジカメや、日本の携帯電話のカメラは、センサーが小さいにもかかわらず解像度を上げることに力を入れているので、800万画素とか1,000万画素とかが主流です。iPhone4のカメラは、同じサイズのセンサーで実用に必要充分な500万画素に抑えることで、光を取り込むひとつひとつの画素を1.75μmと大きくできるので、より暗い場所に強いということになります。早く実機で試し撮りしてみたくなりますよね!


その他にも、LEDのフラッシュも付いたり、指で触った所でピントが合ったり、720pのHD動画が撮れて、しかもその場で編集してすぐにネットにアップして共有できるなど、嬉しい機能がてんこ盛りです。もともとGPSは搭載されていますので、写真や動画にジオタグを付けるのはお手のものですし、これ以上のコンパクトデジカメは他にないんじゃないかなと思える新型iPhoneです。
http://www.apple.com/jp/iphone/


そんなiPhone4が今月24日発売ですよ! iPad発売から1か月経ってないのに。


そのiPad、先月28日に発売され、一般のニュースやワイドショーなどでも紹介されるなど、一部のギークだけでなく、普段あまりデジタルガジェットに興味を持たない人達までiPadの話題をするほどです。わたしも予約できなかったにもかかわらず、ちょうど出張で東京にいたので28日当日ソフトバンク表参道店でうまく手にいれることが出来ました。


iPadにはカメラが付いていませんので、単体では写真で遊ぶことはできませんが、別売りのiPad Camera Connection Kitを使って、デジカメで撮った写真を取り込めば一気に用途が広がります。
http://store.apple.com/jp/product/MC531ZM/A


SDカード用とUSB用と2種類ありますので、SDであればそのまま挿し、一眼レフなどCFカードのカメラはメモリリーダーを使うか、カメラを直接USBで繋ぎます。
http://flic.kr/p/88pdtE


すると、メモリカードに入っている写真のサムネイル画像が表示されます。
http://flic.kr/p/88z2M7


凄いのはJpeg画像だけでなく、RAWで撮ったものもちゃんと読み込んで、サムネイル画像が見られるとこです。
http://flic.kr/p/88vMYH ←一番下の最期の画像


ただし、注意が必要なのは、JpegもRAWもiPadで閲覧する写真はiPad用に最適化された画像で、実画像ではありません。ですから、等倍に拡大してピントのチェックとかの用途では使えません。あくまで構図やライティングのチェックなどに限られますが、今までクライアントさんやモデルさんと、カメラ背面の小さな液晶を見るために頭を寄せ合ってチェックしていたことを思うと、iPadで画像のチェックが出来るのは画期的です。


画像チェック以外にも、JpegやRAWデータがそのまま読み込まれるので、メモリの予備がない場合のデータの避難場所として、簡易的なフォトストーレッジにも使えそうです。


一回の撮影で32GBのカードを何枚も使うような強者には、本格的な専用のストーレッジをお勧めしますが、普通の撮影なら32GBまたは64GBのiPadでも充分事足りるのではないでしょうか。


iPadで写真を見るのはとても楽しくて、クライアントやモデルさんに見せる場合、とてもインパクトありますから喜ばれます。


写真はアルバムやイベントごとに束になっていて、指二本で写真をつかんで広げると、実際に重なった写真が広がるギミックで直感的に操作できます。
http://flic.kr/p/88pGGj


そして、ボタンをタップするだけで、エフェクトと音楽が付いたステキなスライドショーが始まります。作品ポートフォリオを人にプレゼンするのに強力な武器になりますよ!
http://flic.kr/p/88zeuU


まだまだ発売直後ということもあり、写真編集アプリなど定番という感じのものは出揃っていませんが、RAWデータを読み込めるということもありますし、今後RAWデータを現像するようなアプリも出てくるかもしれません。新しいiPhone4とうまく連携するようなアプリも期待できますし、今後も目が離せないですね。またアプリに関しては面白いものを発見したら、追って紹介しようと思っています。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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またiPhone4の行列が出来るのでしょうか? とにかく3Gを丸2年使ったので、速攻新しいのに買い替えたいです。

上原ゼンジ


先日は、「Make:Tokyo Meeting 05」(MTM05)に参加してきた。オライリー・ジャパン主催の工作イベントで、日本中から工作や手作りが好きな人達が集まってくるという楽しい催しだ。電子工作の割合が多いが、最近は手芸関係も増えてきているし、自転車、飛行機、楽器など、本当にいろんなものが出展されていて面白い。ただし、今回は自分も出展側に回ってしまったので、他の人の展示があまり見れなかったのが、ちょっと残念。


私は「宙玉レンズ」や「蛇腹レンズ」を持って参加したのだが、隣りではカミさんがマトリョミンの展示も行っていた。マトリョミンはマトリョーシカの中にテルミンが入った楽器だけど、さすがMTMの会場ということで、中の電子部品を見せて欲しいというリクエストがけっこうあったようだ。中身はカミさんが作っているわけではなく、外身をペイントしてるだけなんだけどね。神田敏晶さんからも取材を受けてました。


こういうブースに立っても、あまり愛想のいい応対はできないんだけど、まあカメラを持っているので、「ちょっと覗いてみますか?」という感じで、カメラを渡してファインダーを覗いてもらえれば、後はなんとか説明をすることもできた。


「宙玉レンズ」や「蛇腹レンズ」でピントが合うというだけで、けっこう感動してくれる人も多かったので、こちらも嬉しかった。私は写真を撮る場合にマニュアルでピント合わせをする機会がいまだに多いけれど、初めてマニュアルで合わせたという人も多かったようで、それが私にとっては新鮮な驚きだった。まあ、レンズのデフォルトは今やオートだもんね(だいぶ前からかw)。


蛇腹レンズというのは、オモチャの双眼鏡などをバラして取り出したレンズを一枚だけ使って撮影するための自作レンズだ。ピントを合わせるためには蛇腹を伸ばしたり、引っ込めたりする。この伸ばしたり、引っ込めたりでピントが変わることが不思議だったみたいだけど、ようするにこの距離の変化でピントを調整するわけだ。カメラの仕組みを理解するには、なかなかいいオモチャだと思う。アオリやシフトまで出来ちゃうしね。


ブースでは「蛇腹の折り方ワークショップ」というのもやった。蛇腹を折ってみたいという人の隣りに座って、折り方をお教えした。さすがに「Make:」イベントに参加しているだけあって、皆さん器用に折っておられた。早速、工作の成果を報告してくれた方もいる。シグマDP-1に装着された姿がなかなかかっこいいんだけど、これはインチキですね(笑)


・ブログに「MTM05」の写真をアップ
http://zenji.jugem.jp/?eid=46


「宙玉レンズ」を製品化してみた


「宙玉レンズ」というのは、この連載でずうっと紹介していた透明球レンズを使った写真のこと。自分でも呼び方が確定していなくて「ビー玉レンズ」とかいろいろ言っていたんだけど、宙に浮かぶ玉の中に光景が映るので、「宙玉レンズ」(そらたまれんず)という名称に統一することにした。


4月からやっている「ゼンラボ・ワークショップ」の中で、受講生のみんなにもチャレンジしてもらおうと思ったんだけど、透明のアクリル板に穴をあけてアクリル球を接着する、という作業はちょっと工作の難易度が高い。そこで、その部分の工作だけをアクリル関係の業者に依頼することにした。


ただ、なるべく安く済ませたいということで、「チップスター」の円筒形の空き箱を利用して工作をすることにした。そして、その工作の方法はYouTubeにも公開した。「ギズモード」なんかで紹介してもらったおかげで、アクセス数はぐんぐん伸びてゆき、今チェックしてみたら、8,000人以上の人が見てくれたようだ。これってなんだか凄いことだよな。


前から参加を決めていた「MTM05」でも、この「宙玉レンズ」を見てもらおうと思い、新たに業者に発注して持ち込んでみた。そしてブースで、その透明の部品だけを売ってみたんだけど、自分でも作ってみたい、という人が沢山現れた。今まで、自分では面白いと思ってたんだけど、今ひとつ広がりが出なかったのが、レンズ部分の細工が出来たことにより、かなり工作の敷居が低くなったようだ。


そして、iPadの発売日に余っていたレンズをネットで販売してみたところ、3時間ほどで完売。どうやら、お金がなくてiPadを買えない人たちが、みんなこちらの方に流れてきたらしい。まあ、「宙玉レンズ」の方が相当安いからな。私の作戦勝ちということかな。


というわけで、現在は追加を業者に発注して待っているところ。でも、ネットで「宙玉レンズ」を検索してみると「欲しい、欲しい」と言って、身悶えしている人がかなりいるようだ。6月4日から予約販売を開始するんだけど、どうなることでしょうか? 入荷したら、家族みんなで梱包して出荷するからね。申し訳ありませんが、しばしお待ちを!


・宙玉レンズの販売について
http://www.zenji.info/cn21/pg243.html


◇カラーマネージメントセミナー参加者募集中!
「色のトラブルを回避する! カラーマネージメントの最低限の知識とワークフロー」
日時:6月18日(金)19:00〜21:00
会場:喫茶室ルノアール新宿3丁目ビックスビル店マイスペース
参加費:3,000円(消費税込み)
http://www.zenji.info/cn25/pg237.html


◇上原ゼンジ写真展「手ぶれ増幅装置、その他の実験」
会期:6月25日(金)〜27日(日)の3日間 13:00〜19:00
会場:GALLERY街道リぼん(東京都杉並区成田東5-23-2 いわとうアパートメント2F TEL.050-3023-4582)
http://www.zenji.info/news/ribbon.html
http://kaido-ribbon.com/


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
◇Twitter
http://twitter.com/Zenji_Uehara

上原ゼンジ


パソコンで画像を取り扱っていると、微妙な色の違いに気がつくことがある。同じファイルを開いているのに、アプリケーションによって色が違う! というような場合だ。まあ、どうでもいいような些細な違いだったりするんだけど、私はそのあたりにズブズブと潜り込み、しつこく調べてしまっているというわけだ。


色が変わってしまう原因はたくさんあって、特定することはなかなか難しいのだが、大きく分ければ、次のようなケースが挙げられると思う。


【その1】
同じファイルなのに、モニタによって表示される色が違う。これは当たり前と言えば当たり前の話なのだが、モニタごとに「R」(赤)、「G」(緑)、「B」(青)の原色が違うので、そのRGB値の組み合わせで表現される画像の色も違ってしまう。それぞれのモニタがその表示の美しさや色の鮮やかさなどを売りにしているが、高級モニタも安物モニタも同じに見えてしまってはメーカーも困ってしまう。


ただし、モニタによって色の見え方がバラバラというのも問題で、プリンタや印刷物との色合わせも困難になる。そこで、考案されたのがカラーマネージメントシステムで、モニタやプリンタの色を測定し、測色的に一致させようという仕組みだ。このシステムはWindowsやMac OSなどに搭載されていて、ユーザーがあまり意識せずに、色合わせができるようになっている。


【その2】
このカラーマネージメントシステムはICCプロファイルを用いた方法が一般的で、互換性も保たれている。ただし、WindowsとMacとPhotoshopでは、その計算機であるCMMがそれぞれ違うので、その部分での微妙な違いがある。それから、画面表示する際のレンダリング方法(「知覚的」とか「相対的な色域を維持」)とかが違っていたりもするので、そこからも差が生まれる。ただし、見比べてみると「ああ、確かに違うね」というようなレベルなので、そんなに大騒ぎするような差ではない。


【その3】
データにプロファイルが埋め込まれていないことによる違い。これが一番重要な問題。カラーマネージメントの基本は、まず元データがあり、それを出力するデバイスであるモニタやプリンタや印刷機に合わせて色変換をすることだ。つまり、元データのプロファイルと変換先のデバイスのプロファイルが必要になるのだが、元データにプロファイルがなければ、取りあえず汎用的なプロファイルで代用することになる。取りあえずのプロファイルが、OSやアプリケーションによって違うために、見た目の色も変わってしまうというわけだ。


Macの場合、この基準のプロファイルは、その昔Apple RGBだった。当時のマッキントッシュの13インチのモニタを基準に考えられたカラースペースだ。その後、一般RGBが基準となり、現在のMac OS 10.6ではsRGBが基準となっている。


sRGBはマイクロソフト社とヒューレット・パッカード社が考案したカラースペースで、IECにより標準化され、現在ではデジタルカメラやプリンタでのデファクトスタンダードともなっている。一般RGBとsRGBの色域はかなり近いが、ガンマ値が1.8と2.2という違いがある。この違いは明るさの違いとなって表示される。


Photoshopの場合も、基準となるカラースペースはsRGBがデフォルトとなっているが、印刷向けにはAdobe RGBが推奨されている。sRGBでは印刷物の色再現域のすべてがカバーできていないので、いくら補正しても出せない色があるからだ。


画像に正しいプロファイルが埋め込まれていれば、WindowsでもMacでもPhotoshopでも同じように再現される。しかし、プロファイルが埋め込まれていないと、それぞれの基準のプロファイルが割り当てられてしまうため、見た目は変わってしまうというわけだ。


プロファイルの埋込みが重要


プロファイルが埋め込まれていない場合に、単純に初期設定のプロファイルが割り当てられるだけなら、ある意味仕方がないが、デジカメデータか? CGデータか? なんていうことも色には関係してくる。


デジカメの撮影データには、基本的にプロファイルは埋め込まれていない。その代わり、デジカメのデータの中には、撮影した日時とか、機種名とかシャッタースピードだとかが記録された、Exif情報が記録されている。そしてその中には、カラースペースの情報もあるのだが、Exifの基本はsRGB。もしもsRGB以外を使う場合には、「Uncalibrated」と記録するのが約束事になっている。


つまり、このExifタグを参照すれば、カラースペースが分かる。一見プロファイルが埋め込まれているように見えても、ただExif情報を参照しているだけ、というケースがあるので注意。またRAWデータの場合はJPEGなどに書き出す際に、アプリケーションがプロファイルを埋め込む。


たとえば、Mac OS 10.6のプレビューでファイルを展開した場合、
(1)プロファイルが埋め込まれていればプロファイル優先
(2)プロファイルがなくてExif情報があれば、そのタグを参照
(3)プロファイルもExif情報もなければ、モニタプロファイル
を参照となる。


最後の(3)のケースは、カラーマネージメントされていない状態を表す。モニタプロファイルからモニタプロファイルへの変換だから、色変換せずに出力する、素の状態のイメージ。たとえばカラーマネージメントがサポートされていない、CGアプリで作成したデータを展開するような場合がそれに当たる。単純に基準のプロファイルを指定しているというわけではないのだ。


なんかややこしくて嫌になりますね。でもトラブルが起きる場合というのは、正しいプロファイルが埋め込まれていない時。だから、きちんとプロファイルが埋め込まれた状態で運用していれば問題はない。


これからは、WEBブラウザや電子書籍用のデバイスやシステムが、カラーマネージメントに対応していくことが予想されます。iPhone OSも次期バージョンからICCプロファイルをサポートするとのこと。つまり、iPadもカラマネが効くようになる。まあ、そういった流れを見据えて、きちんと色変換を行いプロファイルを埋め込んでおくというワークフローを確立しておくべきでしょう。


デバイスによる色の違いも、今後はさらに広がっていくことでしょう。ただし、その差を埋めるのがカラーマネージメントの技術。別に夢のような技術とは言わないけど、かなり実用的な技術ではあります。


◇カラーマネージメントセミナー
今後不定期で「カラーマネージメント&レタッチ」セミナーをやります。第一回は6月18日(金)。カラーマネージメントの基礎知識的な話、とりあえず知っておくべき最低限の設定。印刷、WEB、電子書籍での運用法、などについてお話します。こんなことをやって欲しいとか、◯曜日だったら出席しやすい、といったリクエストがあれば、メールください。


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com


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http://www.zenji.info/
・ゼンラボ通信
http://www.zenji.info/cn23/pg162.html
・Twitter
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おかだよういち


露出補正の話の続きです。同じ場所(同じライティング・明るさ)で、白い物と黒い物をオートで撮ってみると解りやすいと思います。白は白くなくちょっと暗く写っていますよね? そして黒は黒くなくちょっと明るく写っているはずです。


デスクの周りの物を撮ってみました。まずキーボードをカメラ任せの露出で。
http://flic.kr/p/84EMuU
白であるはずのキーがグレーに写り実際よりも暗くなっています。+補正して撮ると、本来の被写体の輝度になります。
http://flic.kr/p/84BGii


黒いものはどうでしょう。黒いペンタブレットの上にiPhoneを置いて撮ってみました。
http://flic.kr/p/84ELBh
本来の黒ではなくかなり明るめに写ってしまいました。─補正してみると、見た目の印象に近づきました。
http://flic.kr/p/84EM7o


図にしてみました。
http://flic.kr/p/84B3Qt


一番上のAは被写体です。カメラで自動露出で撮ると、すべてBの反射率18%のグレーに写ります。カメラは被写体にはね返ってくる光量を測っていますが、被写体自体が白いものなのか黒いものなのか判断できません。


そこで、出ている露出の値を元に人間が判断し、白いものであればプラスに、黒いものであればマイナスに露出を修正して、元の被写体の輝度に合わせるのです。これが露出補正です。


絞りやシャッターや露出の考え方と同様、補正に関しても1段→2段と言うように光量を2倍→4倍または半分→4分の1と変化させます。1段刻みでは変化が大きすぎるので、1段を細かく1/3段刻みや1/2段刻みに設定で調節できるようになっています。


液晶に表示されている露出ゲージや、
http://flic.kr/p/84FZ4f
ファインダ内の情報にも露出ゲージが表示されますので、
http://flic.kr/p/84FYVu


┼何段、─何段と自分が補正したい値だけ、ゲージが動くようにダイヤルを回して設定します(Nikonは昔から左が┼で右に─。他のメーカーは数学のグラフ同様左が─で右が┼になっているはず。機種を変えて撮影する場合は注意が必要です)。


図にあるように、真っ白な部分を測ってその部分を真っ白に再現したければ、┼3補正すればよいのですが、全体が真っ白ではなくが、被写体の一部分が真っ白の場合どう測ればよいでしょうか?


カメラには測光モードという機能があります。スポット測光・中央部重点測光・多分割測光の3つ。
http://flic.kr/p/84EeUu
サンプル写真では、真ん中の多分割測光に設定されています。上が中央部重点測光、下がスポット測光。


最近のカメラは賢くなってきていて、多分割測光がデフォルトに設定されているはずです。この測光モードは、カメラに内蔵されているコンピュータに様々な経験値がインプットされていて、画面を何分割かした面をそれぞれ別々に計測して、カメラがデータと照合して露出の値を出していますので、多くの場合これで問題なく、誰が撮ってもほぼ失敗しないように設定されています。


しかし、正確な露出補正をしようとした場合、この測り方では少し困ります。画面全体を測ってカメラが計算した値を出しているので、正確にどの部分の値なのか人間が判断しにくいからです。そこで、スポット測光や中央部重点測光など、自分が測りたい部分をピンポイントで測れるモードを使って、白い部分を測り、その露出値からプラス○段補正するとか、黒い部分を測りマイナス○段補正するなど判断すればより正確に露出補正ができます。


スポット測光と中央部重点測光の違いは、スポットの方がよりピンポイントで計測し、中央部重点測光の方が画面中心部の平均値になります。被写体によって使い分けるとよいでしょう(機種によっては、スポット測光は選択中のフォーカスセンサーの部分を測ることもできます)。


正確に測ったものを正確に補正するだけが撮影ではありません。時には、実際の印象よりも暗めにしたり明るめにしたりした方がよい被写体や、シチュエーションもありますよね。例えば、料理の写真や女性のポートレートなどは、実物より明るめに撮る設定に(+補正)しておいた方がより美味しそうに見えたり、肌がよりきれいに写り喜ばれます。


カメラの露出計と測光モードと露出ゲージをうまく使うと、狙った場所が計測できて思い通りの量を補正できるので、何に使うのか知らないままカメラを使っていた人は、一度カメラの説明書をしっかり読みこんで、露出補正にチャレンジしてみましょう!


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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22日土曜日、名古屋で写真・撮影のワークショップをしてきました。10時から17時まででしたが、あっという間に時間が過ぎて、奥の深い写真の世界のほんの一部分しか伝えられなかった気がします。また機会があれば撮影会とかもやってみたいですね。
http://2010.wcan.jp/photograph/report/entry-309.html

YouTubeで見つけました!

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