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写真を楽しむ生活

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おかだよういち


写真は、レンズを通った光がセンサーやフィルムに当たって、像を描くことで写ります。その光の量を調節することを「露出」と言います。露出は「絞り」と「シャッター」の2種類の機構で調節され、絞りはレンズを通過する光量を調節し、シャッターはその光をセンサーに当てる時間を調節します。この異なるふたつの要素で光を操ることにより、写真はとても奥が深く幅広い表現が可能になります。


前回・前々回と「絞り」についてご説明してきましたが、今回はもう一方の「シャッター」について見てみましょう。


「絞り」はレンズから入ってくる光の量を調整していましたが、「シャッター」はその光がセンサーに当たる時間を調整します。露出時間1秒を基準に、半分、更に半分…と変化させます。


詳しく見てみましょう。1秒→1/2秒→1/4秒→1/8秒→1/16秒→1/32秒→1/64秒→1/128秒→1/256秒→1/512秒→1/1024秒→1/2048秒→1/4096秒→1/8192秒
この露出時間の分母の数字を、近似値でわかりやすい数字に置き換えたのがシャッタースピードで、カメラの液晶やダイヤルなどに表示されます。たとえば1/32秒だと30、1/512秒だと500。
http://flic.kr/p/7GKBH5
http://flic.kr/p/7GKBLo


たまにシャッタースピード1/125秒とか言う人や、雑誌や本の記事をみかけることもありますが、上記の通り、125(128)分の1秒は露出時間で単位は秒ですが、シャッタースピードは125で単位はありません。


センサーに光が当たる直前に幕があり、その幕がスリットになっています。スリットの幅を調節することで、光を通す時間を調節しています。古いフィルム時代のカメラを使用しての、説明用の動画がありますのでご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=__0RtuqHxkE


この動画では、スリットは横に走っていますが、現行のカメラはほとんど縦に走り、速いシャッタースピードが設定できるようになっています。


では、シャッターで光がセンサーに当たる時間を変化させることによって、どんな表現ができるでしょうか。


http://flic.kr/p/7GL4C5
http://flic.kr/p/7GL4vo
http://flic.kr/p/7GL4yA
同じシチュエーションでも、シャッタースピードを変えることで時間を止めたり、逆に動きや躍動感を表現したりできます。


http://flic.kr/p/7GG8rg
http://flic.kr/p/7GG8nH
シャッターが開いている間に被写体を追うことで、スピード感を表現できます。流し撮りという方法です。スポーツ写真、特にモータースポーツの撮影などでよく見られます。


http://flic.kr/p/7GLnyA
仕事をしている人などを撮影する場合なども、シャッタースピードを調整することで、早く動いている部分がブレるので一生懸命さが表現できます。


http://flic.kr/p/7GGrVF
花火が開いている間シャッターを開けて光の軌跡を撮ったもの。


http://flic.kr/p/7GLnHd
月光で撮った夜桜。街灯もなく真っ暗な状態で、満月の光で長時間露光(30秒〜数分)、シャッターを開けっ放しにして撮影しました。


実際の撮影現場は怖いくらい真っ暗でしたが、月あかりでもきれいな桜が撮れました。このように、肉眼では見ることのできない非日常の世界も、シャッタースピードを調整することで表現できます。


このように、シャッタースピードを変えることで
→一生懸命な感じを表現できる
→スピード感を表現できる
→瞬間を止めることができる
→時間や風・水の流れを表現できる
→肉眼では見られない非日常が撮れる
といった表現が可能です。


「絞り」がボケをコントロールしたのに対し、「シャッター」ではブレをコントロールします。


注意点は“手ぶれ”。
http://flic.kr/p/7GGKTr


最近のカメラは手ぶれ写真を量産しないように、手ぶれ補正機能が付いていたり、自動で高感度になったりとか対策はされていますが、シャッタースピードを遅くした場合は、手ぶれに注意が必要です。三脚を使うのがベストですが、無理な場合は、何かを台にしたり体をあずけて固定したりするなどすれば抑えられます。


もう一つは“被写体ブレ”
http://flic.kr/p/7GGKQ2
いくら三脚を使って手ブレを防いでも、遅いシャッタースピードで被写体が速く動くとブレてしまいます。こういう場合は、ISO感度を上げるなど極力速いシャッターが切れるような設定にしましょう。


他にもFlickrなどで“shutterspeed”で検索してみると、さまざまなブレや非日常を表現した写真を見ることができます。一度じっくり見てみると参考になりますよ。
http://www.flickr.com/search/?w=all&q=shutterspeed&m=text


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


先日、かなり久しぶりに姫路城の天守閣まで見学に行ってきました。桜の季節が終わると、本格的に平成の大修理が始まるので姫路城に囲いが出来てしまいます。観るなら今のうちですよー。

上原ゼンジ


●一番ウケたのは透明球レンズ


hanaさんとデイズフォト通信企画のシリーズ撮影会「眼であるく」のゲストに呼ばれ、15名の参加者とともに、善福寺川緑地で撮影をしてきた。


この撮影会はまだ始まったばかりで、hanaさん案内のもと、ゲスト写真家とともに、お散歩しながら撮影を行うのだが、第一回目のゲストが小林紀晴さん、第二回目が私、そして第三回目が大和田良さん、と続いてゆき、同じ場所をそれぞれの写真家がどのように切り取って行くのかを、一緒に体験していくというのが一つのコンセプトとなっている。


私の場合は自分がどう撮るのか、ということよりも、参加者になるべく満足して欲しい、という気持ちが強かったので、参加者が使うための透明球レンズなどを工作して撮影会に臨んだ。


15人分の工作をするのはさすがにしんどいので、3つのパターンをチェンジしながら試してみるというスタイルにした。3つのパターンというのは、透明球レンズと、歪みガラス、そして意図的な手ぶれ写真だ。


透明球レンズは6つ工作したのだが、今回新たに開発したのは、以下のような工作法。


1)透明プラ板に電動ドリルで穴を開け、リーマで穴を広げる。この方法だといろんな大きさの透明球に対応できる。


2)プラ板の穴のところに強力な接着剤をつけて、透明アクリル球を接着。さらに紙管に接着。


3)最後に可愛いマスキングテープを巻いて完成。このテープは別に必要ではないんだけど、カメラ女子に媚びを売ってみました(笑)


一番ウケたのは透明球レンズだった。私が撮っている写真を見て「なんか面白そうだな」とは思っても、自分で工作するとなると、ちょっと面倒だ。しかし、実際に撮影をしてみると「もっと撮ってみたい」と思わせる体験だったようだ。デジタルカメラを使ってはいるけど、やっていることはアナログなので、そんなプリミティブな体験が新鮮なんじゃないだろうか。


◇完成品はコチラ
http://zenji.jugem.jp/?eid=23


歪みガラスというのは、ガラス容器のフタや皿など通して撮影し、世の中を歪ませてしまう手法。今回用意したのは、フタや皿は新宿ミロードの雑貨店「ナチュラルキッチン」で購入した。消費税込みで105円だけど、けっこう楽しめる。一眼レフの場合は、手作りの琉球ガラスの皿なんかが面白い。


意図的な手ぶれというのは、シャッタースピードを遅くして、わざとブレさせて撮影する方法。撮影会の当日はすごく天気が良くて、シャッタースピードを遅くしようとすると露出オーバーになってしまい、参加者の手応えはいまいちだった模様。


そんな中、私は一人でNDフィルタを使って光量を落としながら撮影をしていました。皆さんゴメンナサイ(笑)。NDフィルタを使わなくても、車の遮光フィルムやカラーセロファンなんかを使っても光量を落とすことは可能。たとえば、赤セロファンと青セロファンを重ねたらどうなるか? なんていうことを試してみても面白いと思う。


手ぶれに関してはあまり面白さを伝えられなかったんだけど、実は本人としてはあらためて可能性を感じた。最近は輪ゴムで一眼レフを吊り下げてビヨンビヨンさせていたけれど、これだと適確なフレーミングができない(当たり前だ)。そこで、もうちょっと手元でカメラを震わせるような装置を開発できないものかと思いついた。


細いゴムで蜘蛛の巣のようなものを作って、そこにカメラを取り付けるとか、弾力性のある薄いラバー生地にカメラをくっつけるといったようなイメージだ。そんなゴム製のネットや生地はないものかとネット検索していた時に、ふと思いついたのがコンドームだ。コンドームの先っちょをカットして、そこからレンズを出してみたらどうだろうか? 薄くて弾力性があって。うん、イケル、イケル。


なんてえことを思いついたけど、これはカメラ女子から総スカンを食いそうだから止めておくことにしよう(何カメラ女子を意識してんだよ>オレ)


「ゼンラボ」始めます


4月から、1年間12回のワークショップ「上原ゼンジ写真実験室」(通称ゼンラボ)を開講します。トイレンズや透明球レンズの工作をしたり、撮影会をしたりしながら、自分なりの写真が撮れるようになることを目的とします。そして最終的には写真集を作る(お金をかけないで)というところまでやりたい。


詳細はホームページをご覧ください。少人数限定なので、今すぐお申し込みください!
http://www.zenji.info/workshop/announce.html


●電子書籍の話


前回原稿を書いた「電子書籍で印税生活?」に関してですが、電子書籍化してみようと思っていたのは、「デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房」という本でした。残念ながら絶版になってしまったため、電子書籍として復活できないだろうか、と思ったわけです。


元々はデジクリで連載したコンテンツだし、「問題ないですよね」という意味で、版元の方に勝手に電子書籍化しても構わないかお伺いを立ててみたところ、「ちょっと待ったー」がかかりました。何か契約上の問題でもあるんだろうか? なんていうことを考えながら、版権を管理されている方と打ち合わせをしたんだけど、それは「うちから電子書籍として出版しないか」というお話だったのだ。


すでにレイアウトも始めていたし、ちょっと迷ったんだけど、今回はこの申し入れを受けることにした。まあ、どちらで出すにしても、そんなにたくさん売れるとも思えない。ただ、欲しいという人が現れた時に、著者としては、簡単に読めるような手段を用意しておきたかったのだ。


打ち合わせが進むうちに、iPhoneアプリにしたらどうか、とか、いろいろと面白そうなアイディアも出てきた。これはこれで面白そうな展開になってきたので、またレポートさせて頂きます。そして、絶版になったコンテンツを持っている著者は、きちんと整理して、電子書籍としての復活の道を探ってみてはどうだろうか、と思った次第だ。


◇「その向こうに」
デイズフォト通信のWEBギャラリーに、歪みガラスや輪ゴムカメラで撮影したモノクロ写真「その向こうに」をアップ。「こんな風に写るんだ!」というのを見てみてください。
http://www.daysphotopress.com/


◇hanaさんの写真展「目であるく─端境─」開催中!
http://hana-photography.com/


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
◇Twitter
http://twitter.com/Zenji_Uehara

おかだよういち


前回は「絞り」についての基本的な説明をしました。非常に奥が深いサブジェクトなので、今回も引き続き「絞り」についてもう少し続けます。


絞りの数字は1.4、2、2.8、4、5.6……と1.4の倍数になります。という説明をしましたが、「あれ? 私のカメラ、もっと違う数字が表示されるよ。3.2とか3.5とか6.3とか7.1とか何これ?」
http://flic.kr/p/7DcBTD


確かにこの中途半端な数字だけ見ると、かなりややこしい感じがします。


電子制御される前の機械式のカメラは、シャッターも絞りも一段
階刻みで露出を調節していました。レンズの周りの絞り値の表示
も、1.4→2→2.8→4….と表示されています。これは光量が半分
→その半分→更にその半分….と一段分ずつ変化することを示し
ています。


最近のカメラはコンピュータで制御されているために、絞りの調
整やシャッターの開いている時間が極めて正確にコントロールで
きるようになり、機械式の時よりも細かく設定できるようになっ
ています。機種によって設定できる項目に若干違いはありますが、
1/2段刻みか1/3段刻み(または両方)で露出を制御できるように
なっています。


ということで、先程の中途半端な絞り値の数字は、この1/3段刻みで表示されたものなのです。あくまで基本は1.4→2→2.8→4→5.6→8→11→16→22→32で、デジカメはその間の絞り値が1/3、または1/2刻みで設定できるようになっています。


http://goo.gl/6k5q
こちらに表にしてみました。赤の部分が通常の一段刻みの絞り値の数字。オレンジが1/3刻み。黄色が1/2刻みです。


「絞りはボケをコントロールする」と前回お話しました。絞り値の設定(レンズを通る光の太さを調節)することによって、被写界深度が変化します。絞りを開いた状態(太い光がレンズから入ってくる状態)では絞り値の数字は小さく、フォーカスを合わせたその場所にしかピントが合わず、他はボケた状態になります。


逆に、絞り値の数字を大きくして穴を小さく(光を細くした状態)では、広範囲にピントが合って見えます。これは、目が悪い人が目を細めて見ようとしたり、モザイクの映像を目を細めて見るとなんだかちゃんと見える気がするのと似ています。


ただ、この被写界深度はレンズによって大きく異なります。広角レンズと望遠レンズでは、同じ絞り値に設定してもピントが合って見える範囲は違いますので、どの値であれば○m〜□mと決まっているわけではありません。


広角レンズほど、広範囲にピントが合って見えますし、望遠レンズほど、ボケる量が大きくなります。多くの一眼レフカメラは、レンズの横辺りのボディにプレビューボタンが付いています。そのボタンを押している間、ファインダーの見え方が暗くなり(実際に絞りが効いている状態になり)実際の見え方が確認できます。


では最後に、絞り優先でボケ具合を意識した写真を撮る場合の注意点を3つ。


1)どこにもピントが合ってない写真になる


F1.4など、絞りを開けて被写界深度を浅く、一点にだけピントが合うような写真を撮りたい場合、ほんとにピンポイントでしかピントが合わないため、少し位置がずれるだけで、どこにもピントが合っていない写真になってしまいます。
http://flic.kr/p/7DersV


手持ちの場合は、どんなにしっかり踏ん張っていても、息を止めていても、若干ゆらゆら動いてしまうものなので注意が必要です。特に花など撮影する場合は、少し風が吹いて花が揺れるとピントが合う場所が動いてしまいます。また、マクロレンズで接写をする場合も同様、かなりピント合わせが難しくなります。自分と被写体と両方が揺れているとかなりの確率でピントが合わないので、面倒でも極力三脚を使った方がいいでしょう。


2)周辺光量低下に注意


画面の外側が若干暗く写ってしまうことです。最近トイカメラが流行っていて、トンネル効果を狙ってわざと画面の周囲を暗くする画像処理をしたりしますが、これはトイカメラのレンズがそもそも性能が悪く、画面全体で均一に光が届かないために起こっている現象です。
http://flic.kr/p/7Diedw


一眼レフカメラのレンズでも、絞りを開けた状態で広角レンズになるほど、周辺光量の低下が目立つ場合があります。多くの場合、1〜2段絞ってレンズの中心を使ってやることで、画面全面均一な光量の写真が撮れます。


3)主題を明確に


被写界深度が浅い状態で、どこにピントを合わせるかで、表現したい内容が変わってきます。サンプルの七五三のワンシーンでは、本人にピントを合わせるのか、巫女さんに合わせるのかで意味が違ってきます。
http://flic.kr/p/7DerCr


構図に関してはまた別の機会にしますが、写真はボケを利用することで平面に3次元の奥行きまで表現できますので、ピントを合わせる場所とぼかす場所を上手く使い分けると表現の幅がひろがります。


以上、2回にわたって絞りの解説をしましたが、なんとなく理解していただけたでしょうか? あまり難しく考えず、「Fの値を小さくすると背景はボケて、Fの値を大きくすると全体にピントが合う」程度を覚えておくだけでも最初は充分だと思います。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


AppleからAperture 3が発売されました。最初に発売されたVer.1の時は52,000円もしたのに、3は機能も大幅に進化して19,800円。絞りの解説中にタイムリーでした。

おかだよういち


先日、専門学校のWebデザイン学科の生徒さんに、写真とカメラの基礎的な授業をしました。3時間ほどの限られた時間では、奥の深い写真の内容が全部伝えられるはずもなく、基本的なことに終始したのですが、それでもカメラを扱う上で当たり前だと思っていることがあまり知られていなかったようで、生徒さんからは新鮮な反応がありました。


最近のカメラは非常に賢いので、とにかく写真の知識のない初心者でも極力失敗しないように、カメラが自動で露出やピントなどを調節してくれます。普通に撮るだけなら、あまり難しいことは考えずに被写体にレンズを向けてシャッターを押すだけで、そこそこの写真を撮ることができます。


なので、カメラを買っていっぱい撮影している人でも、結構知らないことが多いかもしれません。ということで、今回からはちょっと初心に返って、知っておいたら撮影がもっと楽しくなる(かもしれない……)カメラと写真の基礎の基礎です。


写真は、レンズを通った光がセンサーやフィルムに当たって像を描くことで写ります。その光の量を調節することを露出と言います。露出は「絞り」と「シャッター」の2種類の機構で調節され、絞りはレンズを通過する光量を調節し、シャッターはその光をセンサーに当てる時間を調節します。この異なるふたつの要素で光を操ることで、写真はとても奥が深く幅広い表現が可能になるのです。


まず今回は[絞り]について見てみましょう。絞りは、レンズを通過する光の束を太くしたり細くしたりすることで光量を調節します。以前、CSS Niteでプレゼンした時の説明で使ったビデオを見ると、わかりやすいと思います。
http://goo.gl/UQrP


最近のレンズは、カメラのダイヤルで設定した値をレンズに送って写す瞬間だけ絞りが動くようになっているものが多く、ビデオにあるように手動で絞りを調節できるものは少なくなってきましたが、仕組みは同じです。


英語では「Aperture」というので、カメラには絞り(Aperture)値(Value)の意味で Av と表記されていることが多いです。カメラで絞り値(Av)を自由に設定するモードを「絞り優先」と言います。
http://flic.kr/p/7zXHP8


絞りの値はF値で表し、レンズの焦点距離÷通過する光束の直径=F値となります。光の量が半分になるということは、光束の面積が半分ですから、F値は√2倍(約1.4倍)となります。写真の露出は、光の量を2倍・4倍または半分・1/4と変化させるので、絞りの数字は1.4、2、2.8、4、5.6……と1.4の倍数になります。


半端な数字なのでむずかしく感じるかもしれませんが、1.4→2、2→2.8、2.8→4など数字が1.4倍になると面積が半分、光量も半分になります。数字が小さいほど絞りは開いていて、光が通る穴の面積が広い状態。逆に数字が大きくなるほど、光が入る穴が小さくなります。


さて、このレンズを通過する光の束の太さを調節することで光量を変えるのですが、これで何ができるのでしょうか。


F1.4で撮ったものとF16で撮ったものの比較。
http://flic.kr/p/7A2NfQ
http://flic.kr/p/7zY2mg


F2.8とF32の比較
http://flic.kr/p/7zY1H6
http://flic.kr/p/7A2Mpy


F1.4やF2.8など、絞りを開けて撮ったものは背景のピントはぼやけていますが、F16やF32など、絞りの穴を小さくして撮ったものは背景の葉っぱにもピントが合っています。このように、絞りはボケ具合をコントロールできます。


ピントを合わせた位置の前後にも、ピントが合ったように見える範囲があり、これを被写界深度(Depth of field)と言います。
http://flic.kr/p/7zXEzi


レンズには(全てにではありませんが……)この被写界深度の目盛が付いていて、ピントを合わせた位置を中心に遠近にF値の数字が表示されています。上記のサンプルだと、例えば3メートルの位置でピントを合わせ、F16で撮影した場合、一番外側に書かれてある16の数字を見ると、約2メートル〜10メートルの範囲でピントが合って見えることが読み取れます。


Avモード(絞り優先モード)で撮影すれば、自分で自由に絞りを設定し、背景や前景のボケ具合、つまり被写界深度の調節が可能です。それによって、被写体にだけピントが合った写真や、逆にすべてにピントが合ったパンフォーカスの写真を撮ることができます。


http://flic.kr/p/7zXDPT
http://flic.kr/p/7A2qjo
http://flic.kr/p/7A2qu5
http://flic.kr/p/7zXE9t
http://flic.kr/p/7A2qDS
絞りを開けて、被写界深度を浅く、背景をボカして被写体を目立つように撮った例。煩雑な背景をボカして、被写体だけに注目させたい場合など、アーティスティックな表現や、雰囲気ある写真を撮りたい場合は、F値の数字を小さくします。


http://flic.kr/p/7zXEtR
http://flic.kr/p/7zXEg8
http://flic.kr/p/7zXEjX
絞りを絞って、被写界深度を深く、全体にピントが合うように撮った例。風景写真や観光地での記念撮影など、人物もバックの景色もピントが合ってる写真を撮りたい場合は、F値の数字を大きくします。


このように、絞りを設定することで
→奥行き感を表現できる
→空気感・雰囲気を表現できる
→主題に注目させる
→見せたくない物を省く
→パンフォーカスにできる
などの表現が可能になります。


一眼レフカメラや高めのコンデジであれば、この絞りを調節出来ますので、持っている人は色々設定を変えて撮り比べてみると、体感できてよく理解できると思います。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


iPadが発表され、3月末には買えるそうですね。人に写真を見せるデバイスとしてもかなりインパクトありそうなので、速攻ポチりそうです!

須田誠写真展JAPANツアー実行委員会


「音声ガイド、Makoto♪さんが一緒に見ながらすぐ横で語ってくれているように感じました。今までいろいろな写真展に行きましたが、こんなに感情移入した事は過去にありませんでした」


「あの音声ガイドの声を買いたいくらいです! 須田ワールドに浸りきりました!」


「一枚の写真と須田さんの声。ただそれだけを、体が全身で受け止めたとき、写真の中にある風が、空気が、熱が、匂いが、音が、体の中に入り込みました」


「音声ガイドをやって、家に帰ってから見た須田さんの写真集『NO TRAVEL,NO LIFE』は、写真に写っているところ以外の何かも見えるような気がしました」


2009年10月、東京都写真美術館でセバスチャン・サルガドの大写真展が行われていたとき、時を同じくして東京は秋葉原にあるギャラリーでも、ある個展が行われていた。
『須田誠個展 NO TRAVEL, NO LIFE オリジナルプリント展+』



須田誠は、写真を撮り始めて今年で15年になるが、今までいわゆるホワイトキューブでのギャラリー展をやったことがなかった。過去にギャラリーで展示した知人の話がずっと耳から離れなかったという。


「平日はお客さんなんて誰も来ないよ。だってみんな仕事があるもの。週末に友達が集まって終わり。レセプションで紙皿のポッキー食べて、紙コップでジュース飲んで終わり」全てではないが、事実そういう個展は多い。


彼は言う。「どんなにきれいな場所で、どんなに良い作品を展示しても人が見に来てくれなかったら、作品に込めたメッセージさえも伝えようがない。そんな展示だったらギャラリーでやる意味がない。だからずっとやらなかったんです」


お客さんが来ないのであれば、コピー用紙にプリントしても、プラチナムプリントだろうと、銀塩だろうが、インクジェットであろうが、照明を消していても同じである。



2009年10月20日から11月5日まで東京・秋葉原にできたgallery COEXISTで行われた、初のギャラリーでの個展『NO TRAVEL, NO LIFE オリジナルプリント展+』には、平日から来場者が絶えず、結果、二週間で延べ500人もの観客を動員した。


そのためにはいくつかの工夫が凝らされた。その中のひとつに【音声ガイド】を写真展に導入するという過去に例を見ない展示方法があった。


【音声ガイド】は、美術界には古くからあったなんでもないアイディアだ。ヘッドフォンをして解説を聞くというあれだ。


しかし、音声ガイドを正統派写真展に導入した写真展を見たことがあるだろうか。有名人の大規模な写真展ならともかく、少なくとも中小クラスの写真展では一度も見たことがない。ヘッドフォンをして、外の雑音から遮断された中で壁に飾られた写真を見ている姿。


今までありそうでなかったこの斬新な仕掛けは、予想を遥かに超えて約200人もの人が利用することとなり、多くの感動を呼び起こし、ギャラリーでの滞廊時間を飛躍的に伸ばした。


知らない人の写真展に行ったことのある人なら身に覚えがあるだろうが、滞廊時間など下手をすると5分というときさえある。一枚の写真を2秒ぐらいで見て歩くことさえままある。


そして、あの静寂の中のいたたまれない気持。ギャラリーに誰もいないもの困るが、作家の視線が背中に刺さるのも困る。「どうなんだ、俺の写真は最高だろう。ほらそこにある感想ノートがあるでしょ。カラフルなペンが沢山あるでしょ」と無言の脅迫が後頭部に迫る。


すると、ムズムズして、なぜか焦ってしまい、居づらくなって、写真が放つメッセージや、本質など見もせずに、プリントのクオリティや、レンズは何mmを使って撮っているのかなどと、芸術とはかけ離れた見方をするようになってきてしまう。



ところが今回の須田誠の個展は、滞廊時間が最低でも一人1時間。長い人だと2時間ということがざらであった。


音声ガイドが聴ける作品は50点中15点。ガイド付き写真だけであれば正味約30分。それは他の作品にも影響を及ぼし、音声ガイドの付いている写真と、付いていないない写真の間にさえも意図しない意味が生まれてきた。すべての写真に、タイトルや国名、解説などのパネルは一切ない。


消えてなくなる音声を惜しむように二周、三周と繰り返し聞き直して見て回る人もいた。カップルなどは、一つのイアホンを片方ずつ耳に差し込み一緒に聞いたりもしていた。1時間もいれば、人は誰でもその場に馴染む。その後はどれだけいても同じなのか、椅子に座ってくつろぐ人も多かった。


そうやって、写真展ではあるのだが、ひとつの違った形の雰囲気の良い「空間」が生み出された。その温かな気持ちが流れる空間には、静かなギャラリーにありがちな、居づらさなど微塵も見当たらなかった。


来場者は会場に馴染み、それがまた写真に還り、写真を更に輝かせた。その空気が、来場者と写真を本当の意味でつなぎ、物販へとつながったのではないだろうか。用意した著書、掲載誌、ポストカードなどはのきなみ完売した。



音声ガイドは本人による書き下しで、かつ本人の声によってスタジオで録音された。写真家が声を使って表現をする。従来のようにサブ的に利用するのではなく、ひとつの表現方法として写真の一部となるよう配慮して制作した。


音声ガイドの内容は、絞りや使用フィルムや機材などという話は一切しない。誰もが目を向ける中央に写っている被写体はもちろんメインなのだが、その背景に写っている路地裏から物語はスタートする。


何も言わなければ誰も見ないであろう、写真の淵2cmに写るボケた部分が始まりだったりする。するとどうであろう、静止画であるはずの写真が動き出し、主人公が見る人に語りだす。


ノートリミングを信条とする須田誠の写真は、四隅も重要だ。中央に写るメインの被写体より背景の方が重要な要素であることも多い。しかし、写真集ならまだしも、そこまで時間をかけて見る人はそうはいない。ましてや写真展という場で。


撮影の時に四隅を見て撮るというのは、写真の教科書にも書いてあるぐらい重要な要素だが、それは写真を鑑賞するときにも実は重要なファクターになってくる。


物語は、被写体、背景、足元、四隅、そしてすべての粒子の中に隠されている、写されている。今回の音声ガイドは、それを写真に詳しくない来場者にも伝えることに成功した。


ウォークマンから聞こえる温かい須田誠の声は、単なる写真解説にはとどまらず、時には友達のように語りかけ、時には詩のように淡々と、その国の空気やライブ感を一層引き出させた。


その声は、人々が慌しい日常の中で忘れかけていた、心の奥にしまい込まれていた大切なものを思い起こさせ、作家が予想もしない化学反応を起こすことになった。


日が経つにつれ、連日多くの人が涙を流し始めたのだ。音声ガイドを体験した誰もが、「これは単なる旅写真の発表会ではない」と気がついた。そして写真展を見終わった皆が、温かく、優しく、芯のある笑顔で帰路についた。


ブログには多くの感動のコメントが掲載され、会期の後半になるほど来場者が増えていった。



2010年、そんな写真展が、JAPANツアーとして日本を巡回することになりました。あなたの街へこの写真と声をお届けに参ります。では、皆様、お会いできるのを楽しみにしております。


今後のJAPANツアーのスケジュール等はメールマガジンにて!
http://www.mag2.com/m/0000022306.html
音声ガイド
http://www.travelfreak.jp/exhibition20091020/onsei_guide.html
ブログでのレビュー
http://ameblo.jp/travelfreak/entry-10401633233.html
コメント動画
http://www.travelfreak.jp/exhibition20091020/coment.html
HP【TRAVEL FREAK】
http://www.travelfreak.jp/
ブログ【NO TRAVEL, NO LIFE】
http://ameblo.jp/travelfreak/
mixiコミュ(1761人)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2067518
取材、個展など関してはこちらまでご連絡お待ちしております。
Makoto.Suda.japan.tour2010@gmail.com

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