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おかだよういち


GWのお休みがあったので、しばらく間が空いてしまいました。前回予告した通り、今回は露出補正について説明します。では、少し露出についてのおさらいから。


カメラに内蔵されている露出計は、どんな明るさの被写体でもすべて、反射率18%のグレーとして値を出しています。だから、画面全体が真っ白な被写体を撮影すると、見た目よりも暗く写りますし、画面全体が黒い被写体を撮影すると、見た目の印象より明るく写ります。


前回の「露出ってなんだ?」ではその辺の難しい感じのことを書いてますので、わからなくなっちゃった人は復習してみてください。ではここから露出補正について……。


カメラ自身は、その被写体が白いものなのか黒いものなのかは知らないですから、露出計で計測した数値に対して人間が判断して調整してやる必要があります。それが露出補正です。


デジタル一眼レフやコンパクトデジカメには、もちろん露出補正機能が付いています。最近では、携帯電話のカメラでも付いているものが多くなってきたようです(トイカメラやiPhoneデフォルトのカメラなど、露出補正機能が付いていないものもあります)。


多くの場合、┼/─と印字されたボタンを押しながらダイヤルを回すことで補正をします。┼の方向に回すと明るさが増し、─方向に回すと暗くなります。


┼に(明るく)補正するということは、具体的に何をするのかというと、今出ている露出値よりも明るくするわけですから、より多く光を取り込む必要があります。絞りを変えずに明るくしようとすると、シャッターを開ける時間をより長くすればいいですし、シャッターを変えない場合は、絞りをもっと開ければ光量は増えます。


例えば、絞りF5.6・シャッタースピード250の露出値で┼1(1段明るく)補正する場合、絞りをF5.6→F4にするか、シャッタースピードを250→125にします。


ここで注意しなければいけないのは、光を多く取り込むために、シャッタースピードを遅くするとブレる可能性がより大きくなりますし、絞りを開けるとより被写界深度が浅くなります。実際にプラス補正する時は、手ぶれやピントに注意が必要です。


次は逆の─に(暗く)補正する場合を考えてみましょう。露出計が出した露出値よりも暗くするわけですから、取り込む光を少なくします。絞りで調節する場合はより穴を小さく、つまり絞り込めばいいですし、シャッターで調節する場合は、より速いシャッターを切ればいいわけです。


例えば先程と同様の、絞りF5.6・シャッタースピード250の露出値で─1(1段暗く)補正すると、絞りF5.6→F8またはシャッタースピード250→500になります。


マニュアルモードであれば、絞りかシャッタースピードを撮影者が自分で調節して補正するのですが、絞り優先やシャッタースピード優先モードなどの場合は、┼/─と表示された露出補正ボタンとダイヤル操作で、モードに応じてカメラが絞りかシャッタースピードを調節してくれます。


コンパクトデジカメや携帯カメラのように、液晶モニタに被写体を映して撮影するカメラの場合は、補正量に応じてモニタに映る画像も明るくなったり暗くなったりしますから、イメージがつかみやすいはずです。


難しく感じるのは一眼レフで、ファインダ内ではレンズを通った光をそのまま見ています(生の光がそのまま目に届いています)。当然ですが、補正設定したところで数字が変わるだけで、実際に見ているものの明るさが変化しません。液晶やファインダー内に表示される情報の、露出目盛りのゲージに補正量が表示されますので、それを見ながら補正します。


露出補正の説明だけで、まるまる一冊本が出ているくらいなので、なかなかこの程度の説明では理解しにくいと思います。露出計の特性や測光モードなど、露出補正に欠かせない内容がまだまだありますので、次回も露出補正の説明が続きます。


○WCAN 2010 Photograph Workshop


ここでひとつお知らせをさせてください。来週末、5月22日(土)名古屋で「WCAN 2010 Photograph Workshop」というワークショップを開催します。会場は、名古屋駅からすぐ近くの愛知県産業労働センター ウインクあいち。


WCAN(ダブキャン)とは“Web Creators Association Nagoya”の略で、普段はWebにまつわる内容のセミナーを中心に開催しています。Webのコンテンツとしても写真や撮影を勉強は大切なので、Webデザイナーやディレクターを対象に写真やカメラ、撮影の基礎のレクチャーから、実際に参加者も撮影しながら学ぶ感じでワークショップを考えています。Webに関係なくとも、写真の勉強がしたい人なら誰でも大丈夫ですので、もし興味がある方がいらっしゃいましたら、是非下記サイトからご参加ください。


イベント概要
http://2010.wcan.jp/photograph/event/
セッション内容
http://2010.wcan.jp/photograph/session.html


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


iPad、Adobe CS5、自動車税と、5月末は各所にいっぱい税金を納めないといけないようで大変ですね。皆さんはもう予約しました?

おかだよういち


Googleで「露出」を検索するとエッチなサイトが出てきちゃいますが、もちろんその露出ではなく、写真用語の「露出(exposure)」です。露出とは、銀塩カメラだとフィルム、デジカメだとセンサーを光にさらすことですから、写真を撮ることそのものですね。露出しなければ写真は撮れません。


前回までお話した、絞りとシャッターとISO感度、この3つをコントロールして露出値を設定します。露出値(Exposure Value)は、絞り値(Aperture Value)とシャッタースピード(Time Value)を足した、Ev=Av+Tvで表し、同じ露出でも、様々な絞りとシャッターの組み合わせで撮影することができます。


人間が目で見ている絵と、同じような明るさの写真になるように設定したものを「適正露出」と言います。適正露出は、必ずこれでなければダメと決まっているわけではないので、撮影者がこれが適正だと思えば適正なのですが、一般的に、黒い部分がまったくなく極端に真っ白に写ってしまっている写真(光を必要以上にたくさん取り込んだ写真)は露出オーバー(単に「オーバー」とも)、逆に光が足りなくて全体に黒く写ってしまっている写真は、露出アンダー(単に「アンダー」とも)で露出失敗の写真になります。


白い部分のディテールがなくなってしまっている状態を「白とび」、黒い部分のディテールがなくなっている状態を「黒つぶれ」と言います。


ちなみに、撮影者が意図的にオーバー目に撮ったり、アンダー目に撮ってみたりすることもあります。露出オーバー目に、全体が白っぽい感じで撮影したものを「ハイキー」、逆にアンダー目に、全体を黒っぽく撮影したものを「ローキー」と言います。


Flickrで「High Key」と「Low Key」で検索すると、様々なグループや写真がヒットしますので、どんな感じの写真か見てみると参考になると思います。あくまで露出を失敗した結果そうなっちゃったのではなく、ハイキー、またはローキーに撮影するために、その露出に設定して撮った写真だと思って下さい(ほんとは失敗したのに、後から「これはハイキーで表現したかったらかオーバーで撮ったんだよ」とごまかしても誰も怒りませんから……)。
http://www.flickr.com/search/groups/?w=all&q=High+key
http://www.flickr.com/search/groups/?w=all&q=Low+key


話を、露出オーバー・アンダーに戻します。カンで適当に露出を設定したのではなく、ちゃんとカメラが自動で設定してくれている絞りとシャッターの値で撮っているのに、なぜオーバーやアンダーのような露出失敗写真が撮れてしまうのでしょうか?


こんな経験はないですか? 携帯のカメラや、iPhoneのカメラなどは特にそうだと思いますが、日中の屋外などで明るい被写体にカメラを向けた時、本当はもっと明るい写真になって欲しいのに、極端に暗く写ってしまったこと。


また、黒い服や夜景など、黒い部分が多いものを撮った時、黒い部分まで目で見た時よりかなり明るく白っぽく写ってしまったこと。更に、同じ場所で同じ時間に同じ被写体を何枚も撮っている時、ちょっとカメラの角度や位置が変わるだけで、全然明るさが違う写真が撮れてしまったこと。


コンデジやデジタル一眼でもそんなことがあるはずです。思ったような明るさで撮れずに困りますよね。何故でしょうか? カメラ内蔵の露出計が壊れている? カメラを制御しているコンピュータの性能が悪い?


大丈夫。カメラは壊れてないです。人間は、被写体が白いものなのか、黒いものなのか見れば分りますが、カメラはそれが何なのか分りません。ただある基準のもとにその光を測っているだけです。その基準というのは、一番明るい白から一番暗い黒のちょうど真ん中の、反射率が18%のグレーです。


なぜ一番明るい反射率100%の白と、一番暗い反射率0%の黒の中間が、50%じゃなくて18%なの? って思いますよね?


反射率100%が一番明るい白。半分の明るさが50%、その半分の光が25%、そのまた半分が12%、その半分が6%、その半分の3%でほぼ真っ黒になります。この6段階のちょうど中間ということは、反射率25%と12%の中間で反射率が18%となります。


100%(真っ白)
50%(白っぽいグレー)
25%(明るめのグレー)
12%(暗めのグレー)
6%(黒っぽいグレー)
3%(ほぼ黒)
の真ん中のグレーということです。


この反射率18%という基準になるグレーは、グレーカードとしてカメラ用品店で購入できます。また、レフ版などの片面が18%グレーになっているものもあります。
http://www.yodobashi.com/ec/category/index.html?word=グレーカード


カメラの露出計はTTL(Through the Lens)測光という方式で、レンズを通ってきた光を測っています。つまり光源(太陽であったり電灯であったり)から放たれた光が、被写体に反射してレンズに届いた光の量を測っています。


その被写体が白なのか黒なのかカメラには分りませんから、被写体がすべて反射率18%のグレーとした時にどれぐらいの光なのかを測って、値を出しているのです。白いものも、黒いものも(明るいものも、暗いものも)すべてグレーとしています。


そのため、白いものを撮ったのに暗く写るし、黒いものを撮ったのに明るく写ってしまいます。また、同じものを撮っていても、カメラの位置や角度によって、背景の明るい電気や暗い部分が変わることによって露出が変化して、撮る度に明るさが違う写真になってしまうことがあります。


コンデジなど、初心者が失敗しないようにカメラのコンピュータが色々と判断してモードを決めて適切な状態にセッティングして撮ってくれるので、その辺すべてカメラ任せでいいような時代になってきましたが、撮影者がコントロールするカメラでは、18%グレーを基準に露出計が出してきた値に対して、それがその基準より白いものなのか、黒い物なのか(明るいものなのか、暗いものなのか)を撮影者が補正してやる必要があります。


これが露出補正。次回はこの露出補正について説明します。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


姫路城が平成の大修理に入り、今後5年間は全体を覆う修理用の建物で囲われてしまいます。今回でしばらく見納めの「姫路城と桜」の風景を見ようと連日もの凄い数の観光客で賑わっていましたよ。
http://flic.kr/p/7QZiQn
http://flic.kr/p/7R3z9A

上原ゼンジ


初めて本の編集をしたのは「沢野ひとしの片手間仕事」という画集だった。当時(1983年)私は大学3年で本の雑誌社に助っ人として出入りしていたのだが、交換広告の担当をしていて、多少写植の知識があったことから、学生ながらに編集担当になったのだった(写植と言っても分からん人が多いかな?)。


当時の「本の雑誌」は、椎名誠、目黒考二の二人で作っていたのだが、単行本の担当は椎名さんだった。しかし、椎名さんはデビュー以来、執筆の仕事が増えてきて、とても単行本の編集までする余裕はなかった。群ようこも在籍していた時代だが、群さんも事務仕事に忙殺されていたので、やはり無理。ということで、助っ人の私が担当することになった。


しかし、今考えてみれば、社内で編集できなければ、外注するというのが普通なんじゃないだろうか。そしてレイアウトはデザイナーの仕事。まあ、コストを安く抑えたいという思惑はあったにせよ、よく素人の学生にやらせたものだなあと思う(笑)


編集担当になった私は、椎名さんから渡された沢野さんのイラスト(段ボール箱3箱分)を毎日毎日眺め、取捨選択し、分類し、構成していった。他の画集を多少参考にしてみたりはしたが、あまり役には立たない。仕方なく、現物を机の上に広げ、順番や配置を変えてみながら、自分の中でしっくりとくる構成を考えていくしかなかった。


考えると言っても論理的に考えるわけではなく、直感的、感覚的に脳ミソを使うわけだ。なんかこの脳ミソの使い方が私には心地よく、けっこうはまってしまった。その後、椎名誠、群ようこ、青山南、佐野洋子といった方達のエッセイ集の編集も担当させてもらったが、文章を編集する場合と画集を編集する場合とでは、脳ミソの使う部分がちょっと違う。


エッセイ集の場合も、同じように単行本に掲載する文章を選んだり、順番を考えたり、章立てをしたりという作業はするのだが、こちらはやはり理屈で考える。一方、画集の場合は「うーん、なぜとは言えないけど、なんかコッチ」という作業を繰り返していくわけだ。


これは写真集の場合も一緒。写真集としては椎名さんの「海を見にいく」「小さなやわらかい午後」、佐藤秀明「ガクの冒険」なんかを担当したけど、使う脳ミソの部分は画集の場合と似ている。基本は感覚的に選ぶしかないわけだが、「なんとなく」選ぶ段階から、「これっきゃないでしょう!」という確信的段階に至るまで、ああでもない、こうでもないと手を動かしていくのが写真の編集で、その過程が自分にとって面白いのだ。


森山大道の写真選び


「本の雑誌」の助っ人だった私は、大学卒業とともに本の雑誌社の正社員となったが、在職中に「FOTO SESSION’86」という写真のグループに参加した。月に一度、中野坂上に借りたアジトと呼ばれるアパートに集まり、森山大道さんに写真を見ていただいた。森山さんはみんなの写真を丁寧にすべて見てくれるのだが、畳の上に置かれた写真をパパっと選んで、並べて見せる所作がカッコよかった。


それらの写真はメンバーが一カ月の間に撮影し、ネガからプリントするコマを選び、プリントしたものの中から、さらにいいと思ったものを持ってきているはずだ。その写真をさらに森山さんのフィルターを通して、再構成していく作業を見ながら、写真を学んでいった。


森山さんが一貫して言っていたのは「とにかくたくさん撮りなさい」ということだった。いっぱい撮ったら、いっぱいセレクトもしなければならないわけで、ただ撮るだけではなく、当然きっちりとプリントをし、セレクトを行うということも含んでの言葉だ。


セレクトをする段階では、撮影者としての自分とはちょっと離れて、第三者的、編集者的な視点から自分の写真を見るということも重要だ。そのためにはやっぱりいっぱい撮って、いっぱい捨てるということが習慣付いていた方がいい。遠くまで撮りに行って大変だったとか、金がかかったとかいうことは写真の良し悪しには関係ない。そういう気持ちの部分を切り捨て、大胆にチョイスしなければならない。


ハードディスクがぶっ飛んだらまた撮ればいい、ぐらいに自分の写真に対してクールでいたいもんだと思っている。まあ、ハードディスクがクラッシュしたら泣くけどさ(笑)


WEB上に写真集を作る


最近は、ブログや写真共有サイトで、自分の写真を簡単に公開できる世の中になってきた。すごく便利だから私も利用している。もちろん、自分なりにセレクトした写真をアップするわけだが、写真が溜まってきたら、さらにセレクトをし、順番を考えてみたりという編集作業をしてみることも重要だと思う。


写真集を自費出版するとなったら大変だが、無料でWEB上に写真集が作れるサイトなんかもあるから、そういうものをどんどん利用していけばいいと思う。私もBCCKSに写真集を作ってみた。


「紫陽花図譜」BCCKS
http://bccks.jp/#B32208,P0


56点の写真で構成されているのだが、写真はすべて紫陽花ばかり。どんな順番で編集すべきかちょっと悩んだが、まず、写真が与える印象から「10代」「20代」「30代」といった年代別に分類してみた。そして、若い蕾から、枯れていくまでという感じで流れを作っていった。まあ、いきなりドライフラワーのような紫陽花を見せられるよりは、入っていきやすいんじゃないだろうか。


BCCKSは2年ほど前から始まった、WEB上に本や雑誌のようなものを作るサービスだが、リアルな紙の書籍の雰囲気を出すために、バックに本当の紙を撮影したものを敷いたり、ページめくり機能を付けたりと、様々な工夫が凝らされている。また、用意されたデザインの雛形がいいのが魅力。


ただ、やってみて感じたのは、ちょっと広告が目立過ぎということだ。まあ、広告が入る代わりに無料で使わせてあげますよ、ということだから仕方ないんだけど、写真集で流れを考えて構成しているのに、突如見開きの広告が入ってくるというのは、違和感がある。もう少し目立たないように、できないのかな?


今度始めるワークショップでも、こういったWEB上の写真集やギャラリー機能をうまく利用できないものかと考えている。ただ撮りっぱなしではなく、第三者的に自分の写真を眺めるための手段として面白いし、活動をワークショップ内だけに閉じ込めず、オープンにしていきたいと思っているからだ。WEBで写真をちょこっと見せるのではなく、ちゃんと見せる方法を模索していきたいと思っている。


「ゼン・ラボ」ワークショップ受講生募集中!


上原ゼンジ写真実験室のワークショップは4月10日開講ですが、まだ若干名の余裕があります。一年間というのは長過ぎという意見があり、半年全6回に変更しました。迷っていた人は、今すぐ申込むといいですよ!
http://www.zenji.info/workshop/announce.html


【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
◇Twitter
http://twitter.com/Zenji_Uehara

おかだよういち


被写体の明るさである「露出値」を決定するには、絞りを調節する「F値」とシャッターを調節する「シャッタースピード」を組み合わせで表現することを前回説明しました。F値もシャッタースピードも、バラバラに勝手に決められるわけではなく、F値を希望の数値に決めれば、それに対応したシャッタースピードになりますし、逆にシャッタースピードを決めれば、それに対応したF値になります。


室内や夜など暗い場所での撮影は、絞りを開けて(F値をF1.4などできるだけ小さな数字に設定して)シャッターも長い時間開けて、光をたくさん取り込んでやる必要があります。


しかし、設定上、絞りを開けるとピントが一点にしか合わなくなり、長時間シャッターを開けると手ぶれや被写体ブレの問題が出てきます。暗い場所では、ストロボを使ったり三脚を使ったりしないとピンぼけしたりブレたりしてしまうのですが、場所やシチュエーションによっては、それらが使えないこともあります。


では、ストロボや三脚が使えない場所ではどうするか。センサーを少ない光でも感知するように敏感にします。別の言い方をすると、少ない光をセンサーで増幅します。これがISO感度です。


ISO感度とは写真フィルムの感度を表す指標で、1987年に国際標準化機構によって策定されました。それまでは、米国標準規格(ASA)で決められたASAスピードという表示でしたから、古いフィルムカメラや古いフィルムのパッケージには、ASA100とかASA400と表記されていました。


ISO100を基準に200→400→800→1600と倍々で光に敏感になります。これも絞りやシャッターと同様、一段ずつの変化で光が半分→また半分→そのまた半分というように、ISO感度の数字が倍々で大きくなるにつれ、半分の光で撮れるようになります。


例えば、ISO100で、
絞りF8・シャッタースピード125で設定出来る場合、
ISO200に設定を変えると、
絞りF8・シャッタースピード250。または
絞りF11・シャッタースピード125。
ISO400に設定を変えると、
絞りF8・シャッタースピード500。または
絞りF16・シャッタースピード125
で撮影できます。


つまり、ISO感度を一段分上げると、絞りを一段分絞る(あるいはシャッターを一段分速く)することができます。


フィルムを使っていた頃と比較して、デジカメを使うようになって最もメリットを感じることのひとつが、いつでも自由にISO感度を変化できることだと思います。


フィルムでも、無駄を気にしなければ一枚毎でも交換すればいいですが、あまり現実的ではありません。普通は24枚や36枚の1ロール毎にフィルムを交換するわけですから、晴れた屋外と暗い室内を出たり入ったりして取る場合は困ります。ブライダルの撮影などは、感度の違うフィルムを入れたカメラを何台も用意したりしました。


デジタルになった今は、その場その場でショット毎にISO感度の設定を変えられるので、枚数に縛られることなく、明るい場所から暗い場所まで自由に移動して撮影できます。


最近ではセンサーもどんどん開発が進み、ニコン D3sなどはISO 102400相当という、とてつもなく高感度なものも出てきました。
http://bit.ly/dBYbM6


ここまでくると、ほんのかすかな光でも捉えることが出来るので、フィルムでは撮ることができなかった世界を写すことができます。


フィルムの時代は、絞りとシャッターの2つを変化させて露出を決めていましたが、デジタルになってからは、このISO感度というもうひとつの要素も加えて柔軟に設定を決められるようになっています。


例えば、PENTAXのデジタル一眼レフには、絞り優先(Av)・シャッター優先(Tv)と従来のモードに加えて感度優先(Sv)モードと、シャッター&絞り優先(TAv)モードと、デジカメならではの見馴れない設定モードが搭載されています。
http://flic.kr/p/7zXHP8


感度優先(Sv)モードは、感度を随時自由に調節して、絞りとシャッターが自動で追従するモード。シャッター&絞り優先(TAv)モードは、使用したい絞りとシャッタースピードに合わせて、ISO感度が自動で設定されるモード。


最近のコンパクトデジカメでも、ISO感度をオートで設定しておくと、カメラが明るさに応じ自動で感度を決めてくれたりします。


暗いところでも撮影できて便利なISO感度の設定ですが、高感度にすることで問題も出てきます。ノイズが出て画質が悪くなってしまうのです。これはフィルムもセンサーも同じように、高感度になるほどノイズが目立って画像がざらついて汚く見えてきます。


フィルムでは、光を感じる粒子が小さい程きめ細かくきれいな画質になります。この粒子が大きくなる程、少ない光量で反応しますが、粒子が大きいので画面もその分荒くなります。


デジカメのセンサーも少ない光を電気的に増幅させるので、高感度になればなるほど、ノイズが目立ってきます。デジカメ本体にはこのノイズをなくすための高感度ノイズリダクションなどの設定が付いていたり、Lightroomなどのソフトにもノイズ軽減の設定項目が付いています。
http://www.adobe.com/jp/joc/pslr/pslr3_beta2/


しかし、それらの機能でノイズを軽減させ多少目立たなくさせることは出来ても、完全になくしてまるでISO100で撮ったかのようには、残念ながらできません。なので、やみくもに高感度に設定すれば良いわけではなく、可能な限り低い設定にしておいた方がいい画質になります。


いま日進月歩でセンサーの開発が進んでいますので、高感度でもノイズが少なくきれいに撮れるカメラが、これからどんどん出てくるはずです。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


桜もちらほら開花しているみたいですが、昨日はまさかの雪。しかも吹雪いてました。この時期にこの寒さどうなっちゃってるんでしょうか。

おかだよういち


絞りとシャッターの話を、数回にわたってしてきました。レンズから入ってくる光を「絞り」と「シャッター」ふたつの機構で調節して像を描く。絞りとシャッターは互いに鎖で繋がれた関係になっていて、バラバラに決めることはできません。


絞りを開けて光をたくさん取り込めば、シャッターを速くして光がセンサー(フィルム)に当たる時間を短くしないといけないですし、逆に絞りの穴を小さく絞り込んで光の量を少なくすれば、そのぶんシャッターを遅くして光を長い時間取り込まなくてはいけません。


もう一方のシャッターを中心に考えるとどうでしょう。速いシャッターだと一瞬しか光があたらないので、その分絞りを開けてたくさん光を取り込むことになります。逆にシャッターを長い時間開けておいた場合、その分絞りの穴を小さくして光を少なくする必要があります。


この「絞り(F値)」と「シャッター(シャッタースピード)」で光を調節して「露出」を決定することを、簡単な数字に置き換えて、露出量をわかりやすくしたものが今回のタイトルにある“Ev=Av+Tv”で表す「アペックスシステム」です。


Avは Aperture Valueの略、つまり絞り(F値)。
Tvは Time Valueの略で、シャッタースピードのこと。
Evは Exposure Valueの略で、露出値のことです。


http://bit.ly/csTxjY
横軸のシャッタースピードTvと縦軸の絞りAvの交わった斜めの部分が露出値Ev


F値→Av:
1.4→(1) 2→(2) 2.8→(3) 4→(4) 5.6→(5) 8→(6) 11→(7) 16→(8) 22→(9) 32→(10)
シャッタースピード→Tv:
1→(0) 2→(1) 4→(2) 8→(3) 15→(4) 30→(5) 60→(6) 125→(7) 250→(8) 500→(9) 1000→(10)2000→(11)4000→(12) 8000→(13)


Evは露出値と先程説明しましたが、逆に被写体の明るさを表すこともできます。通常はISO感度100を基準にした時の被写体の明るさをEvで表します。


例えば、どこかでプロがモデルさんを撮影している時など、顔の辺りやモデルさんの周りでなにやら測っているのを目にしたことはありませんか? あれは、単体露出計で被写体の居る場所の明るさを測っているのです。


http://flic.kr/p/7KVUDG
写真の露出計ではEv=10となっています。
この場合、Av+Tv=10になればいいわけですから、
Av(1)+Tv(9)=Ev(10)でも
Av(5)+Tv(5)=Ev(10)でも
Av(9)+Tv(1)=Ev(10)でも、好きな組合わせで設定できます。


Av(1)+Tv(9)=Ev(10)だと、絞りF1.4とシャッタースピードが500
Av(5)+Tv(5)=Ev(10)だと、絞りF5.6とシャッタースピード30
Av(9)+Tv(1)=Ev(10)だと、絞りF22とシャッタースピード2
となります。


昔、カメラが自動でやってくれる前はこのF値とシャッタースピード両方を自分で決めてカメラに設定しないといけませんでした。(今で言う“マニュアルモード”、表示は「M」)


今では、絞りかシャッターのどちらかを決めて設定すれば、もう一方はカメラが自動で被写体の明るさに見合った値に合わせてくれる、“絞り優先モード”、“シャッター優先モード”や、両方を自動で合わせてくれる“プログラムモード”が付いているので、そこまで考えなっくても撮れるようになっています。コンパクトデジカメに至ってはすべてカメラ任せで、絞りなども自由に設定できない機種も少なくありません。


さて、明るい場所ではEvの値も大きくなり、より大きな数字のAvとTvの組み合わせになりますが、暗い場所だとEvの値が小さいですから、AvとTvも小さくなります。


手前から奥までピントをばっちり合わせ、かつブレないように速いシャッターを切りたい場合、絞りの穴を小さく絞って(F値を大きく)、速いシャッターを切る(シャッタースピードの数字を大きく)ことができる、とっても明るい場所でないと数字上でも無理な事がおわかりでしょうか?


光で像を描くのですから、暗いところでは色々と無理がでてくるのは当然ですよね。室内など充分な光がない時は、ストロボを使ったりいっぱいライトを灯けたりして明るくしてやらないと、ピントが浅くなったりブレたりしてしまいます。暗いところではできるだけ明るい状況をつくる。更にブレないように、できるだけ三脚を使うなどの制約がついてしまいます。


次回は、暗い場所なのにストロボも三脚も使えない状況で撮影する場合に設定する、ISO感度について説明します。


【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
http://s-style-arts.info/ okada@s-style-arts.com
<twitter:http://twitter.com/okada41>


さて、春も目前。もうすぐ桜の季節です。昨年の第11回で桜のことを書いていますので、よかったら読んで桜を撮ってみて下さい。
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20090324140200.html

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