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野郎3人カメラ旅の巻 その2


齋藤 浩


昨年11月に片岡氏、マニュエル君、そしてオレの3人で歩いた尾道カメラ旅は、片岡氏からマニュエルへの友情の証としてプレゼントされたニコンFが実はぶっ壊れていたという、笑っちゃうくらい悲劇的な結末を迎えていた。


※第116回「野郎3人カメラ旅の巻」参照
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20121129140300.html


そんなFも完璧にオーバーホールされて、マニュエルの元へ帰ってきた。というわけで同じ行程でリベンジするぜ! のかけ声のもと、12月のある日、我々は再び尾道へと降り立ったのである。


ホテルに荷物を預け、身軽になったところでまずは腹ごしらえだ。『天ぷらラーメン』なる不思議なものを食す。確かに旨かったが、スープがもう少し熱くてもよいのではないか、などと語り合う間もなく、カメラ片手に被写体の宝庫・尾道の町へと繰り出す野郎3人。


今回はまずフェリーに乗り、向島をざっと散策してみることにした。対岸まで約3分の船旅、料金は100円。
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前回は見るだけで乗れなかったこともあり、片岡氏、マニュエル君ともに大はしゃぎである。川と錯覚するほど狭い尾道水道だが、渡った先の町並みの印象はこちら側とまるで異なる。このへんが尾道の面白いところ。
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この日の機材はBessa T。オレをマニュアルカメラ沼にハマらせた張本人? 張本機である。丈夫で確実なだけでなく、ライカと同規格のVMマウントを採用しているため、ライカMマウントレンズはもちろん、アダプターを使えば世界中の物凄い数のレンズの描写を楽しむことができる。


露出計と距離計を搭載した、いたってシンプルな機械式カメラだが、ファインダーが内蔵されておらず、レンズにあわせて外付けファインダーを交換する。


これがまた変形合体ロボで遊んでいるようで楽しい。レンズ交換の度にカメラそのもののフォルムが変わるのだ。ちなみにこの日のレンズはキヤノン100mmf3.5、フォクトレンダーのノクトンクラシック40mmf1.4、ウルトロン28mmf1.9。


いつもオレが自分に課しているルールに『一度交換したレンズを二度使ってはならない』というのがある。


今から日没まで100mm、40mm、28mmの順番で撮っていき、たとえ望遠向きの被写体が28mmで撮っているときに現れても、そのときは28mmの画角で工夫するのだ。これがまた思わぬ写真が撮れて楽しい。


この日は晴れ時々雪! の予報が出ていたが、まさか雪なんてねえ、なんて話してたらホントに降ってきた! 青空なのに。


向島を散歩。商店街を歩くと、ナイスな牛乳箱を発見。早速撮影すると、片岡氏とマニュエルもカメラを構える。うーむ、アホっぽくていいぞ。50年以上前のキヤノンのレンズで真剣な2人の姿を激写。
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そして脇の小径を入ると、そこはもう不思議ゾーンだ。狭い路地。凝縮された空間に小さな階段や風情のある板塀が続く。
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こういう場所に来ると広角レンズを装着したくなるが、そんな気持ちをぐぐっと抑えて、望遠100mmのファインダーをのぞくと、なんとも面白いパターンを発見。
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尾道の路地は起伏が激しく、水はけや滑り止めのための工夫がそこここに見られる。当然これらは規格品ではなく、その場所の状況に合わせて名もなき職人らが工夫したものだ。


ここ尾道は、詠み人知らずな“機能する芸術”の宝庫なのである。


さらに歩くと鋭くとんがったコンクリート建築を発見。「すごい! とんがってるナー」マニュエル君も大喜び。
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雪はいつのまにかやんでいた。再度フェリーにて本州側に戻ったところで40mmレンズにつけかえるオレ。そして一行は前回行けなかった久保小学校方面へと向かった。


オレは一応ガイドなので、日没までの時間配分を考えた上でコース設定してるのに、2人はそんなこと気にしちゃいねえ。目に入るもの全てが面白いもんだからじっくり撮りまくる。なのでぜんぜん進まねえ。困ったもんだ。
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2人を待つ間に撮った掲示板。貼り方にもリズムがあって興味深い。無作為の法則美ってやつ?
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そして久保小到着。アールデコな門柱が相変わらず美しい。なにやら金賞受賞したようだ。おめでとう!
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そして隣り合う尾道東高校との間の道をゆく。
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ここには何度も来てるけど、午後の日差しが煉瓦の壁に落ちて最高に美しいのだ。「このアールがたまらんでしょ」「いいねー」「うわー、すごくイイ!」ここでも異様にはしゃぐ野郎3人。


さらに坂道を登っていくと、小さな神社がある。
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神社から尾道の町を狙うマニュエル。足長くていいなー。ここは狛犬のかわりに狛猿がいてけっこうカワイイのだけれど、今回は撮ってなかった! ご紹介できず残念。


さらに坂を登る。途中、ミニマルアートと化したカーブミラーを発見。錆と木の柱との対比が絶妙。
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さらに細い坂を登ってゆく。素知らぬ顔をして猫が通り過ぎる。
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坂道は階段になり、階段は坂道と交差する。階段の形状自体もどんどん独自性をおびてくる。
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そして振り向くと、この景色。だから尾道散歩はやめられないんだよなー。季節によっても時間によっても、常に異なる表情を見られるのが素晴らしい。
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それにしてもこの日、この時間にこの場所でこの景色を見ることができたことの幸せってやつを反芻してしまう昨今である。


陽は傾きはじめるとそのスピードを加速させる。ISO100のフィルムで余裕だったのが、あっという間に手持ちがキツくなる。オレは何本目かのネオパンSSを撮り切ったところでトライXに詰め替え、レンズも28mmに交換したのだった。


と、突然片岡氏が叫んだ。「あ、カメラ壊れた」。愛用のツァイス・イコンが巻き上げもできず、シャッターも切れなくなったという。彼はこうなるとだだっ子のようにわがままになり、「もうダメだ」とか「おしまいだ、やれやれ」などと自暴自棄な言葉を発する。


触らせてもらうと、確かに巻き上げもできずシャッターも切れない。とはいえ、ツァイスブランドの最新AE機がそうそう壊れるもんじゃない。たぶん電子シャッター機なので、電池が切れたのではなかろうか。


てな言葉で片岡氏をなだめつつ、電池が売ってそうな店を探しに街中へ戻りはじめた。片岡氏の自暴自棄な言葉の頻度が増えてくる。言ってる本人も気になってるらしく、ときどき我に返って「齋藤くんの言うように、電池かもしれないね」なんてにこにこしながら言ってるけど顔は青ざめている。面白いなあ。


線路を越え、迷路のような繁華街をさまよっていると、なんと路地の先に、カメラ屋を発見。都合の良すぎる展開である。「ごめんくださーい」。店に入ると尾道弁の頑固そうな御主人が出てきた。こういう店は信用できる。


実はかくかくしかじかで、と言って片岡氏、カメラを御主人に渡す。「うん、確かにシャッターが下りんようじゃのう。どれ、電池かもしれん」。電池室から電池を抜き、テスターで計測してみると「おや、電池は大丈夫のようじゃのう。おかしいのう。どれ、新品の電池を入れてみよう。…動かんのう。おかしいのう…」。


御主人、しばらくカメラをいじくる。
すると「あっ」
一同、一斉に御主人に注目する。


「こりゃあ、フィルム一本撮り切って巻き戻してないだけじゃないかな」。実にマヌケな結末である。よく見たらフィルムカウンターが36を越えていた。一同赤面しつつ下を向く。こんな基本的なことに3人とも気づかなかったとは!


それでも片岡氏はとにかく安心したらしく、もう最高の笑顔である。子供みたいだなー。いやいやお恥ずかしい、とか言いつつ予備の電池を購入する。オレもやっと落ち着いて店内を見渡す。


するとどうだ、国産のフィルムカメラ中堅機クラスの名機がけっこう揃ってるじゃないか! と思えば色モノ系もけっこうある! あれに見えるはPENTAXオート110! その隣はハーフサイズの名機キヤノンダイヤル35!


しかもこのダイヤル35、かなり美しい。御主人におそるおそる値段を聞いてみると「これはシャッターが切れんから500円でいいよ」とのこと。即買いである。旅から帰った翌日に、馴染みのカメラ修理店へ持ち込んだのは言うまでもない。


安心したところで空を見上げると、もう星がでている。今日もよく歩いた。某喫茶店であったかいチャイを飲んだ後ホテルで荷物整理をし、一行は反省会と称する飲み会へと夜の街へ繰り出すのであった。(その2の2へつづく)


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

私の[視考]した[京都のありさまへの私自身の解釈]


──写真展「京都 洛苑考─花(さくら)のころ」について


笠井 享


京都に住み始めて25年になります。初めの10年ほどは、この地の写真的光景があまりにも完成度が高くて、「ベタな光景だなぁ〜」と、とまどうばかりでした。


それは、その光景が寺社なら古来から造園師たちが、公園や河川敷では古都の景観維持のために、そして街並みもまたそれなりに「京都らしいたたずまい」としてデザイン設計され、完成されているからだと思うのです。


ある光景に出くわしてレンズを向けファインダーを覗いても、高名な画家の描いた絵を複写しているかのようなもので、撮影以前に完成度の高い作品がそこにあるように感じてしまい、写真としての創作意欲が萎えてしまうという、今ひとつ燃え上がらないことがたびたびでした。


しかし、それでもここ5〜6年ほどは京都という「予定調和的光景」を見ながらも、こういう視方・こういう解釈で別仕立ての作品にもできるぞと「視考」することができるようになってきました。


すると、今まで見向きもしなかった、いや敢えて避けてきた「景勝・観光都市」としての京都の光景を探して散策するのが楽しくなり、特に「さくらのころ」「もみじのころ」「まつり」など、確立されたイメージとしての京都らしさがあふれているほど、がぜんファイトが湧き撮影行動の密度が高まってきたのです。今回の「京都 洛苑考」は、私の「視考」した「京都のありさまへの私自身の解釈」と考えています。


そして、2006年以降2012年までの6年間の、デジタルカメラによる京都市(一部、京都市近郊)で撮影し、ラフに選出した700カットの作品群から、春の、とりわけ「花(=桜)のころ」だけに集約厳選した30カットについて、京都という楽園、つまり「洛苑」への私なりの解釈を、「花(さくら)のころ」なるサブタイトルを設けて個展にすることにしました。


ちなみに、私の写真創作への原動力は、私の視覚の記憶棚にあるいろんなシーンへのすでに確立されたというか、すでに既成となっているような「イメージ」とは異なる解釈をして、「新説」や「亜説」を写真的に展開することにあります。なので、特段のテーマを定めて、何かを取材し続けるというわけではありません。


出かけるときはいつもカメラを携えていて、肉眼で視るのとカメラで撮るのにあまり差を感じないような気軽な撮影方法でもあり、特別な手段を取り入れることはほとんどありません。


私に見えている眼前の光景が、私にとって新発見であれば、それがスナップ写真風であっても、あるいは、風景、ポートレートであってもぜんぜん構いません。何でもありなのです。


一方、私にとって「再生」は、紙へのプリントが大前提で、プリントとしての完成度を高め、こだわり抜いたファインプリントを作り続けて来たと自負しています。


撮影後の画像処理過程では、原画の光と影による演出を尊重しつつも、階調再現や色再現に対しては、私自身の解釈で納得のゆくまで画像処理を繰り返すスタイルです。


場合によっては、初期に出力したプリントを手元に置いて、半年くらいの時間をかけて細部の補正を繰り返して完成へと導くということもあります。


と言っても、デジタル特有の処理である絵像の一部を消す、移動する、その他のフィルタ処理などの「光学的結像情報の改変」はしないように自らに制限を与えています。あくまでストレートショットをそのままで、プリントとしては美しいキメの細かいオブジェを作り上げています。


今回の写真展の作品はは、撮影場所は主として京都市。景勝地やその近辺をモチーフとしています。カメラは、ライカMデジタルとキヤノンEOSデジタルシリーズを使いました。


先にも述べましたが、スナップショットや風景写真など、過去に撮りためてきた作品群から「桜の咲く時期」のものだけを30点の写真展です。


プリントは、ファインアート用コットン用紙ハーネミューレ社の「PhotoRag 188」を使い、半切〜大全紙程度の大きさにプリントした作品を展示予定です。


どうぞ、「洛苑京都」の花のころの美しい光景と、プリントとしての美をご高覧・ご批評ください。


◎インクジェットファインアートプリント
笠井享写真展「京都 洛苑考──花(さくら)のころ」



3月 7日(木)〜3月13日(水)キヤノンギャラリー銀座
3月21日(木)〜3月27日(水)キヤノンギャラリー梅田
4月18日(木)〜4月30日(火)キヤノンギャラリー福岡
5月14日(火)〜5月19日(日)ギャリエ・ヤマシタ2号館(京都市中京区)


【かさいあきら】bonjour_ia@infoarts.jp


1990年代にデジタル画像処理の各種解説書などを執筆し、94年に設立した自社インフォーツ株式会社にて、デジタル写真関連メーカーの製品開発支援/大手印刷需用社内のコンピュータ化/フォトアルバムサービスシステムの開発などのコンサルタント事業を展開して来た。


現在では、一般撮影も積極的にこなしているが、中でも自作品をていねいにインクジェットプリンターを活用してファインアートプリントに仕上げる創作活動にウエイトを置いている。

岡田陽一


2013年最初の「光画部トーク」です。本年もよろしくお願いいたします。年が明けたと思ったらもう半月過ぎてしまいました。この調子だと今年もあっという間に過ぎ去っていきそうですね。


2008年の10月にスタートした「光画部トーク」も5年目になります。もうすぐ100回です。写真や撮影のことに関しては、これからカメラを買って写真や撮影の勉強をしてみようと思っている初心者の人向けに、もう一度ベーシックな事からおさらいする内容を考えています。


ブログなどと違って、メルマガの文章だけでカメラのことを解りやすく説明・解説するのってなかなか難しいのですが、がんばってみます。


また、カメラや写真のことだけじゃなく、Web関連や、それに関わるイベント、また個人的に興味のある内容など、「光画部」に縛られすぎることなく、もう少し幅を広げた内容でお届けしたいと思います。


それでは、今回は先週発表された[CSS Niteベスト・セッション2012]に関するご報告から。2012年の一年間、全国で計65回のイベントが開催され、のべ6,919名の方が参加したCSSNite。全部で227セッションが行われた中から、岡田の担当したセッションがベスト10入りしました。
http://cssnite.jp/archives/best-session2012.html


2012年3月24日、ベルサール神保町で開催されたCSS Nite LP, Disk22「Webデザインで使うPhotoshop」での「素材写真の撮影時に気をつけておくべき7個のポイント」というタイトルでお話したものです。


「Webデザインで使うPhotoshop」というテーマにもかかわらず、Photoshopの話をほとんどせずに、素材写真の撮影時に気をつけておくと良いことを7つに絞ってお話しました。


その理由は、失敗した素材写真を修正するためにPhotoshopで時間を費やすのではなく、本来もっとクリエイティブな作業につかう方が良いからです。撮影時に少しだけ周囲に気を配ることで、後から余分な作業をしなくて済むことがいっぱいあるのです。


では、改めてその時に話した内容を復習してみましょう。


1◎撮影時に要らないものは消す!


背景にゴミ箱が置いてあったり、要らないものなのに気付かないでそのまま撮ってしまって、素材として使う時に「これ消さなきゃ!」ということも多いのではないでしょうか。


最近ではPhotoshopも高機能で自動でコンテンツに応じるような消し方もできるので、割りと簡単に考えがちですが、ちゃんと消そうとすると結構時間も労力もかかるものです。


撮影時に画面の四隅にまでしっかり気を配って、要らないものが画面に入っている場合は、その場で移動させたり片付けたりして、画面から消した状態で撮影しましょう。


2◎同じ位置でたくさん撮っておく


会社や店舗の外観の撮影の時など、周辺を歩いている人とか動いている車とか、邪魔なものが色々と写ってしまいます。昔なら、NDフィルターを利用して光量を減らし昼間に長時間露光することで、動いているものが写らないような方法を使っていましたが、今では同じ位置でたくさん撮っておけば、Photoshopのコマンドひとつで簡単に消すことができます。方法に関しては動画をご参照ください。
http://youtu.be/fXGmIg_R_M4


3◎先を読みながら撮る


プロのフォトグラファーと普通の人の違いは? と聞かれると、わたしはこう答えます。「一般の人は、あ! いい瞬間! と思った時に撮るけど、プロは次のこういうタイミングでいい瞬間が来ると、先を読んで撮る」


その一瞬の違いが、写真に現れてくるのかなぁって思っています。被写体をじっくりと観察してみると、色々と見えてきますので、ベストな瞬間が来るのを待つことができます。


4◎イメージ用の撮影なのか、説明用の撮影なのかを明確に


例えば食べ物の商品撮影などでは、美味しそうに、食べたくなるような雰囲気を伝えるイメージの撮影なのか、または、どんな素材を使っているのか、大きさや量はどれくらいなのかなど、説明に使用するものとは、まったく違う写真になります。何に使うものなのか、意図をしっかりと把握して撮影に望みましょう。


5◎素材撮影の場合、完璧な構図はNG


どこもトリミングする余地がないような、完璧に構図を作った写真は、素材としてはとても使いにくいものです。デザインで使う写真の場合、構図は後からデザインに合わせてトリミングしたり、文字を配置したりするのを前提で、余白を多く取ってスキのある構図で撮りましょう。


6◎RAWで撮る


とにかくRAWで撮っておけば、後から現像するときに劣化なく露出やホワイトバランス、レンズの歪みなども調節できます。色にシビアな商品撮影などは、特にRAWで撮っておくことをおすすめします。


7◎ホワイトバランスを合わせる


とはいえ、データ量の問題や後から現像する時間コストのことも考えると、すべてRAWで撮ることが出来ない場合もあります。


そんな時は、とにかくホワイトバランスをしっかりと合わせてから撮りましょう。レンズの先に取り付けてホワイトバランスセットするようなグッズも各社から色々と販売されていますし、その場で用意できる白いコピー用紙を使ってホワイトバランスをセットするだけでも、オートで撮影するのとはずいぶん違うものです。


以上、簡単に7つのポイントを紹介してみました。これらを押さえておくだけで、後から面倒な修正が必要なくなると思います。


[CSS Niteベスト・セッション2012]に関してはブログにも感想を書いていますので、そちらもご覧ください。
http://fuwhat.com/blog/entry-179.html


それでは、2013年も光画部トークをよろしくお願いいたします!


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+
フォトグラファー】
okada@fuwhat.com <Twitter:http://twitter.com/okada41>


関東は大雪だったみたいですね。めったに雪景色にならない所は、せっかくの雪のシャッターチャンスです。いっぱい写真を撮ってみてください。画面の多くに雪が占めているとどうしてもアンダー(暗い感じ)に写るので+1.5〜2.0くらい露出補正しましょう。

岡田陽一



早いもので今回の光画部トークが2012年のラストになります。年今年を振り返りながら、年末年始の物欲シーズンに気になるデジカメ関連ガジェットのご紹介で締めてみます。


2012年も多くのメーカーから、さまざまな機種のデジカメがたくさん発売されました。その中でわたしが購入したのは、SONY NEX-5N。年はじめにカールツアイスのレンズと共にゲットしました。


今流行りのミラーレス一眼ですが、他社の製品と比べてセンサーサイズが大きく、一般に普及しているデジタル一眼レフに使われているセンサーサイズと同じ大きさのAPS-Cサイズ。


なので、他社のミラーレスよりもボディは大きいのですが、それでも一眼レフのサイズよりは格段に小さいので、クオリティと高性能と携帯性をすべてが揃ったカメラで気に入っています。


これにプラスして、秋にはiPhone5に機種変更。仕事以外の殆どの日常の写真は、このふたつで楽しんでいます。


iPhoneやAndroidのカメラが高性能になって、アプリでさまざまなエフェクトや画像調整などが付け加えられ、自分好みにカスタマイズできて、尚かつ、常時インターネットに繋がるカメラを持ち歩ける今、多くの人にとってはそれで充分。足りない部分を補うカメラとして、コンデジやミラーレス一眼、デジタル一眼レフの購入を検討する人が増えているようです。


各メーカーが出している製品は、スマホのような通信機器ではないですから、常時ネットには繋がっていません。今や、多くの人たちの日々の写真を楽しみ方は、撮った写真をSNSなどでその場で共有することなので、カメラだけでは何かと不便。カメラとしてもいちばん出番が多くなるのがスマホというのも頷けます。


そこでニコンはAndroid入りのコンデジを出しています。
ニコン COOLPIX S800c ¥38,100(ヨドバシ・ドット・コム)
http://bit.ly/Vya39I
http://www.nikon-image.com/products/camera/compact/coolpix/style/s800c/


無線LANに繋げば、このコンデジ単体でSNSで写真を共有できるということですが、「だったらiPhoneでよくない?」ってツッコミもあるかもしれませんね。


iPhone・Androidとデジカメが繋がってしまえば、悩みは一気に解決します。通常はお気軽にスマホのカメラで撮影し即共有すればいいですし、ここ一番の時だけデジカメで撮影してその画像をスマホに渡し、加工するなり共有するなり好きにすれば良いということです。


例えばスマホだと、センサーサイズが小さいのでどうしても暗いところは苦手です。やはりセンサーサイズが大きく、ISO感度の設定を高感度にできるカメラで撮りたいですよね。また、遠いところを大きく撮りたい場合は、デジタルズームで大きくするよりも、望遠レンズを使って光学的に大きく撮る方がクオリティもいいものになります。


そんなガジェットとして、気になるのはこちら。
PQI「Air Card」¥6,780(Amazon)
http://amzn.to/VybJ3h
http://bit.ly/VybSDE


数年前から先行して販売されているEye-Fiカードの方式と少し違っていて、更に便利になっています。このAirCardはSDカードのアダブタ部分がWi-Fiのアクセスポイントになっていて、無料のアプリからこのカードにアクセスすると写真をスマホ側に送ることができますし、PCでもブラウザでカード内の写真を見たりダウンロード可能なので、複数のデバイスで使えるのも便利です。


もうひとつ、無線LANでスマホと繋ぐガジェットとして欲しいのがこれ。
TAXAN「MeoBankSD」¥5,436(Amazon)
http://amzn.to/VuRzHD
http://www.meopad.com/products/MeoBankSD.html


こちらは、SDカードやUSBメモリーを挿せるカードリーダーに、無線LANとルーターがひとつになったもの。カメラからSDカードを取り出しこのワイヤレスカードリーダーに挿入し、無料の専用アプリからアクセスすると写真をiPhoneに移すことができます。


出張先のビジネスホテルなどでは、インターネット接続が無料の部屋が多くなりましたが、たいていはWi-Fiではなく、LANケーブルを使う有線です。MacBook AirやiPad、その他携帯ゲーム機器などWi-Fiが前提のガジェットは、有線接続だと繋がらないので困るわけです。


でも、これがあればLANケーブルを繋ぎルーターになるので、各デバイスのアクセスポイントとして使える何かと便利な逸品。小さいものなので、外出時に鞄にひとつ入れておくと何かと重宝するはずです。


とここまで、iPhone・Androidとカメラを繋ぐ小物を紹介しましたが、元に戻ってSONY NEX-5Nの話。これが、一年も経たずして、5Nから5Rへと進化して、カメラ自体がスマホと繋がるようになりました。ボディだけ買い換えたい!


SONY「NEX-5R」¥72,810(Amazon)
http://amzn.to/VuX7Sq
http://www.sony.jp/ichigan/introduction/NEX-5R/


細かいところもいろいろと進化しているみたいなので、単なるマイナーチェンジではない、かなりの進化版です。


ということで、2012年は金環日蝕や金星の太陽面通過など珍しい現象も見ることができましたし、iPhone5やiPad mini、Adobe Creative Cloud、Windows8、Kindleなどいろんな興味深いガジェットもいっぱいリリースされました。


来年もこの流れはそのまま続いて、ますます面白い製品が世間を賑わすのではないかと思います。動きが速すぎて追いつくのが大変ですが、2013年もカメラやネット関連注目していきたいと思います。


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+
フォトグラファー】
okada@fuwhat.com <twitter:http://twitter.com/okada41>


個人的ないちばん大きな出来事は、やっぱり自分の会社「ふわっと」が出来たこと。その次は「CSS Nite in KOBE」を初開催できたことです。来年も変わらずよろしくお願いいたします。

上原ゼンジ


トマソンの展覧会をやることになった。といっても、来年の11月に新宿眼科画廊で行われるということだけが決まった。トマソン誕生から30年以上も経ってしまったので、中核メンバー(美学校での赤瀬川原平さんの生徒達)も齢をとり、とりあえず会期を決めてしまわないと、なかなか動けなくなってしまったのだ。


超芸術トマソンとは「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物」のことで、使わなくなり塗り込められてしまった窓の上にさびしく佇むヒサシとか、どこにも続いていない、ただ昇って降りるだけの機能しかない純粋階段などのこと。そういった物件を街を歩いて探し歩き、写真を撮り、報告書を作成するというのが我々の活動だ。


正しくは「超芸術探査本部トマソン観測センター」という。ただ自分たちで観測をするだけでなく、全国から集まる報告書を精査し、トマソンと認められた物件に認定印を押して保管しておくという大切な役割もある。


トマソンの楽しさはふたつあると思う。まず発見する楽しさ。街中を歩きまわって物件を探し出すのだが、そんなにゴロゴロしているものでもないので、美麗な物件などに出くわした時はけっこう嬉しい。そしてもうひとつの楽しさは、誰かが見つけてきた物件について、その物件はどうやってできたのか、トマソンか否か、ということをディスカッションすることだ。


この時、いかにくだらない想像力を働かせるのかということが重要。その物件の主に直接聞いてしまえば、ミもフタもない答えが返ってくるかもしれない。しかしそんな無粋なことはせず、その成り立ちを一生懸命想像するのだ。


たとえばその物件を生み出した人の人物像をプロファイリングするとか、少しずつ変化していった過程を描写してみる。真実を突き詰めるのではなく、曖昧なままにあれこれと考えを巡らせて味わう態度が重要。


赤瀬川さんが著した「超芸術トマソン」(筑摩書房)も増刷を重ねたので、トマソンを発見したという人は世の中に多いと思うが、みんなであーでもないこーでもないと論じ合った経験がある人は少ないはず。展覧会の期間中には報告会も予定しているので、ぜひ物件を見つけて参加して欲しい。


Facebookにとりあえずトマソンのページを作ってみた。今後、報告書の書き方や入手方法についてもまとめていきたいと思っているので、興味がある方は「いいね!」をしておいてください。


◇超芸術探査本部トマソン観測センター
https://www.facebook.com/thomasson.center


意外に多い金属鳥居


展覧会が決まり、私も久しぶりにトマソンの自主探査を行った。元々そんなにトマソン感度は高くないのだが、ほとんどトマソンと出会うことができずに疲れて帰ってきた。いちおう展覧会までに自宅周辺を中心に報告をしたいと思っているので、少しずつリハビリをしなければならない。


そんな中、トマソンではないのだがちょっと気になるものと出会った。ステンレス製の鳥居だ。銀色に輝くこの鳥居が視界に入った時は、凄い違和感をおぼえた。まあ鳥居と言えば木製がメインだよな。思い返してみれば石で出来た鳥居というのもあったかもしれない。


しかし、ステンレスだといまいち有り難みがない。前の鳥居が木製で腐ってしまったので、劣化しにくいステンレスを使ったのだろうか?
http://p.tl/Gfhf-


などと考えながら、Facebookにその写真をアップしてみたら、けっこうコメントがついた。世の中には鳥居好きがいっぱいいたのだろうか? 


二宮さんは「曾叔父でもある二宮忠八翁が建立した飛行神社も、ジュラルミンの鳥居です。かなり迫力あります(笑)」というコメントをくれた。ジュラルミンというのはステンレスよりカッコよさそうだな。飛行機の機体の素材として使われることが多いから、鳥居に使ったということのようだ。拝殿はギリシャ風だし、飛行神社侮りがたし。


◇飛行神社 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/飛行神社


よく見ると、私が発見したステンレス製鳥居もなかなかよくできている。もしかしたら、飛行神社のように何か謂われのあるものなのだろうか? などと考えていたら、今度は飯村さんがステンレス製鳥居の業者を教えてくれた。


実は現在の鳥居の素材としては、かなり一般的なもののようだ。ただし多くは赤く塗っり、御影塗装を施したりしているようだ。私が見つけた鳥居は塗装代をケチったのだろか?


◇ステンレス鳥居の色・石調について
< http://www.sankei-torii.com/color_stone/index.html >


また柴田さん(女子)は兵庫県高砂市にある鹿島神社には、高さ26メートルのチタン製大鳥居があるという情報を寄せてくれた。するとみんな、この「チタン」という響きに大興奮。男子はチタンが好きだよな。


調べてみたらこの大鳥居の動画もあった。かなりの迫力だぞ。近くの石碑にはこのチタン大鳥居の概要が書いてあるんだけど「耐久年 千五百年」だって(笑)。人類が滅亡した後も鎮座しているのでしょう。


◇街角散策「鹿島神社チタン製鳥居」(高砂市)
http://www.youtube.com/watch?v=yHOrAAStwCs


結局私が見つけた鳥居の正体は不明だ。「ご予算がないようでしたら、塗装は後からでも大丈夫ですよ。後々のことを考えたらステンレス製が絶対にお得です」と業者に説得されて、ステンレス剥き出しの鳥居ができたのだろうか? まあ、正しい解は求めていない。考える過程こそが重要だからだ。


ゼンラボ・ワークショップ「万華鏡写真の巻」


12月9日(日)に下北沢のカフェ&ギャラリー「バロンデッセ」にて万華鏡写真のワークショップを行います。詳細は以下URLを御覧ください。
http://p.tl/W2GS-


◇「こんな撮り方もあったんだ! アイディア写真術」
(インプレスジャパン)
http://www.impressjapan.jp/books/3273


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com < http://twitter.com/Zenji_Uehara >
上原ゼンジのWEBサイト
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