●「立川談志自伝 狂気ありて」を読む(亜紀書房、2012)。この本で叩かれたら怪我しそうなものすごく丈夫なハードカバー。鈴木成一デザイン室の装幀が美しい。巻頭の高座の写真がすばらしい。本文中に写真も多く、上品な組版で読みやすい。「この作品は、2009年8月〜2010年9月に執筆され、ご遺族の校訂を経て刊行の運びとなりました」と奥付の前のページに編集部の告知がある。筆者は2011年11月21日に亡くなった。「立川談志の想い出という名の未練を書き残しておく。能書きは長いがそういうことだ。」と前書きの最後にある。
「本を書く理由は『整理』ともいえる。人間誰しもそうであろうと思うが、当然くる人生の終焉に対する己が身の『整理』、これであろう。」という覚悟で「毎度のことながら、資料も見ずに記憶だけで書いている。早い話が面倒臭いからだ。喋ったほうが楽ではあるが、それでは駄目なのだ。」と、深夜、腰痛に耐えながら思いつくままに原稿用紙の升目を埋めていったようだ。見返しに黒バックで金色でその原稿が印刷されている。
この人の記憶力が尋常ではない。人の名前を思い出せなくなるのが老化を実感する初めだが、談志は多くの芸人の芸名はもちろん本名まで、いつどこで演じていたか、ネタはなにかまで記憶にあるようだ。他人のネタや当時の歌なども容易に再現できるという。芸人ばかりではない。その人脈の広さにも驚く。
だから、出て来る記憶を延々と書き綴っただけの本。理屈っぽくなく、淡々と記述しているが、ここでは異常な記憶以外には芸を見せていない。談志の娘の若い頃の文章が挿入されていて、そっちのほうがうまいくらいだ。最後の章は「エゴの塊のような気狂いが老いた」で、声帯のガンを患い話芸が成立しなくなるさまを描く。本人は言わないが無念であろう。300ページ近いが、2時間もあれば読める。わたしは談志に思い入れはないから、丁寧な作りのわりに内容はスゴイとは言わないが、ファンにはたまらない”最後の”談志本だ。 (柴田)
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●後記で何度も書いていたスポーツジム行かなきゃ、を実現した。仕事の谷間で、今日しかないわと準備。2年は行っていなかったと思う。今月末に切れる招待券を家人に渡し、ついてきてもらうというヘタレぶりを発揮。きっかけがないとなかなか行けない。チェックイン・アウト方法すら忘れてたわ。カウンターでは、久しぶりだという話をし、家人がビジターなので利用説明を一緒に聞く。
以前はバレエに行っていて、ジムの利用はなかった。個人記録用紙は作ったかなぁ、どうだったかなぁと棚を探す。そこからか! もちろん無くて、家人とともに作ってもらう。目標を聞かれたのだが具体的な数字は言えず、「体力をつけたい、やせたい」とだけ書いた。体力が衰えていて、仕事もなかなかはかどらない。あともう少し、詰めをもうちょっと、という手前でしんどくなってやめてしまう。外出も億劫。
1m以上ある、小さな冷蔵庫ぐらいの大きさの測定計に乗る。体脂肪やら筋肉量、水分量やらがパーツごとに出てきて、それを元に説明をしてくれる。体のバランス、基礎代謝、どこの筋肉が衰えているかとか。で、それを元に練習メニューを組み立ててくれた。マシン類を使うのは初めてで、自分の苦手としているところ、得意としているところがわかって良かった。特に脚力、腹筋はあきれるほど衰えてたよ。まわりの人たちはストイックにこなしていて、年配の方でもスタイル良かったな〜。
初回だったのでインストラクターが横についてくれ、細かな指導を入れてもらえたんだけど、次回からはそれはなかなかできないだろうな。膝が中に入るから傷めやすいとか、ひじが脇から離れると効果的な筋トレができないとか、肩甲骨を開いたままでとか、そういうチェックはありがたかった。通って、体力つけて、もう一踏ん張りできるようになりたい。 (hammer.mule)