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写真を楽しむ生活

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カテゴリ ‘コラム’ のアーカイブ

所幸則 Tokoro Yukinori


NYPH(ニューヨークフォトフェスティバル)に行ってきた。US行きは6回目だが、NYは3度目になる。JFK空港はわりと小さいので嫌いではない。問題は入国審査が長く厳重でしつこいことぐらい。


行きのフライトは朝の便だったので成田に泊まる。早起きが苦手なのに、朝5時に起きて成田に向かうとろくなことがないからだ。今回は自費なので何の気兼ねもない。芸術を理解しないクライアントだと、東京から成田なのになぜ前泊しなければならないのかという。たくさんの機材を抱え、今から違う国で写真を撮りに行くというプレッシャーを理解できないのだろう。


実際、午後便の方がぼくも嬉しいのだけれど、安く行こうと思えば思う程、こういうケースが出てくる。それで数万安くなるのだから、仕事のときの前泊1万弱ぐらい大目に見て欲しいものだ。


NYへのフライトは行きがだいたい12時間で、帰りが13時間ちょっと……結構長い。それと時差が同じくらいなので、同じ日の同じ時間にNYに到着する。


[ところ]にとっては、NYとハワイ行きのが時差がとてもキツくて、日本に帰ってから暫く体調が悪い。まあ、それは諦めて機内で映画を4本見られるんだと思いながら乗ることにしている。


さて今回は、[ところ]が参加している写真のプロジェクト「東京画」にとって、初の海外出展となった「New York Photo Festival 2012」のためのNYだ。5つの章立てによってキュレーションされた26名/53点の「東京画」は、5月16日のプレスを対象としたヴェルニサージュには250名を超えるメディアとVIPが出席とのことで、[ところ]もオープニングパーティに間に合うように行くことになったのだ。


パーティは大盛況で、来場者も非常に多かった。[ところ]も初体験だったプレスツアーとかいうのがあり、何10人もプレスがまわって来たりするのだ。5月20日までの4日間の一般会期に1000人を超える来場者を迎え、大きな評価を得て終了したのだけれど、NYPH ’12は5月31日まで会期延長を決め、さらに「東京画 meets NYPH 2012」展は6月8日までの期間、作品展示が延長されることになった。これは異例なことである。
http://nyph.at/news/the-new-york-photo-festival-has-been-extended/


世界中の写真関係者が購読するメールマガジン「La Lettre de la Photographie」では各章を個別の記事として紹介し、16日のオープニングの様子も大きく報じています。
http://lalettredelaphotographie.com/search?q=tokyo-ga
5つ目の最後の2ページが[ところ]の作品です。


さて、時間を巻き戻してみよう。JFKから宿泊先のBrooklynのホテルまでタクシーで30分ぐらい。羽田空港から東京って考えるとイメージは近いかな。チェックインの時間までまだ間があるので、荷物を預けて会場の場所を確認のために歩いて行った。旅行代理店の話では10分かからないとのこと。


[ところ]はそういうところが慎重なので、場所を把握しなきゃきがすまない。ちょっと迷ったけれども無事に着いた。迷わなければ7〜8分というところだ。意外だったのが、道を聞いた相手がみなやさしく教えてくれたことだ。マンハッタンでも、ブルックリンでもそうだった。日本でも外国人をこわがらず対応できる人が増えたように思う。いいことだ。まあ、欧米の場合、堂々と間違って教えてくれる人が多いのだけれど。


会場に到着してみるとほぼ準備は出来上がっていて、あとはオープニングパーティを待つだけの様子。いったんホテルに帰って、シャワーを浴びて再び会場に向かった。既にすごい人で埋め尽くされていた。


いまさらながら、語学が堪能だったらいいなあと痛感した。英語を話せない[ところ]は壁の花(?)だから。それでも何人かとはコミュニケーションをとることが出来た。親切な友人たちに感謝したい。初日は夕方からだけで250人ぐらいだろうか、盛況であった。


[ところ]はいままでNYではマンハッタンにしか泊まったことがなかった。橋を渡ればすぐにブルックリン。最近はかなり素敵なお店が増えてきているエリアなのである。かわいい風船付き看板が目についた。思わず入りたくなるけど、[ところ]は一人で食事に入るのが苦手なので、また次回のお楽しみとする。


実際、会場以外だと大抵はマンハッタンにいた。[ところ]の撮影には向いてるからと、前の2回ともマンハッタンだったからなのだけれど。もう少し時間があるときにブルックリンにも撮影ポイントを探してみたい。充分撮り甲斐のある街だと思う。


ブルックリンの致命的なマイナスポイント。なんと、マンハッタンのイエローキャブはブルックリンに行ってくれないのだ。そういえば、TVドラマのセックス&シティで言ってた。「ブルックリンはNYじゃないのよ!」って。彼女もマンハッタンからブルックリンに引っ越したとたん、タクシーで帰れなくて怒っていたっけ。気持ちはよくわかった。


結局、初めて地下鉄に乗って帰ったのだが、それもいい経験であった。もっと滞在したいのだけれど、飛行機の都合で今回は4泊が限度であった。ちょっと残念な気持ちのまま、日本へ。機会があるのなら、ブルックリンは[ところ]も一度は住んでみたい街である。


所幸則「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」


http://cosmos-akasaka.sub.jp/?p=2503
http://tokoroyukinori.com/
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)日月休
会場:Niiyama’s Gallery and sales Salon(東京都港区)
ただいま初のヌード作品展開催中。最終日は僕も行きます。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

上原ゼンジ


以前にもちょっと書かせてもらったことがあるが、尾仲浩二さんが「デイズフォト通信」で連載していたエッセイが、「極・私家版 あの頃、東京で・・」(matatabi文庫)としてまとまった。私家版とあるが、実際に編集やレイアウトなどの作業もすべて尾仲さん自身が行った限定発売の本だ。


内容は、尾仲さんが写真をやるために東京に出てきた1980年から、最初の写真集である「背高あわだち草」を出版した1991年までのことを回想した自伝的エッセイ。東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)の森山大道ゼミに通い、CAMPのメンバーとなり、ギャラリー街道を立ち上げた頃の話がまとまっている。


私が尾仲さんと初めてあったのは1986年のこと。FOTO SESSIONという写真のグループに参加し、月に一度森山大道さんに写真を見ていただいた。その時に森山さんの助手のような感じで付き合ってくれたのが、尾仲さんや山内道雄さんだった。尾仲さんは26才、私は24才、森山さんが47才の頃の話だ。ということは、私もあの頃の森山さんの年をいつの間にか越していたということか。


FOTO SESSIONではアジトと呼ばれるアパートを借り、昼間は畳の上に写真を並べて写真を見ていただき、夕方から夜半にかけてはその場で飲み会。そんな場で、森山さんや諸先輩から話を聞きながら、写真のコアな部分に触れていった。


現在、尾仲さんは街道塾を開講し後進の指導にあたっているが、その街道塾の卒業生にリサーチしたところ、酔っぱらうとけっこう無茶なことを言っているらしい。これを聞いて、当時森山さんが酔っぱらってみんなに無茶なことを言っていたのことを思い出した。こんなところで、森山さんの流儀が今も継承されていたというわけだ。


たとえば、ある先輩は森山さんからバイトをするなと言われた。写真家が別の仕事をするなということだ。しかし、これは職業的にカメラマンで食って行けというわけではない。じゃあどうやって食っていいけばいいんだ、と誰しも思うのだが、まあそれくらいの気概を持てとか、覚悟をしろと言われていたのかと思う。


尾仲さんの本の中には、「自分の写真を撮る時間を確保するのにこれは大切なことだ。雑誌などの仕事は、事前の打ち合わせや、原稿の受け渡しなどで、ひと仕事でも数日とられるだろうし、何よりそのために編集者やデザイナーに付き合っていると、本物のカメラマンになってしまいそうだから敬遠した」という一文がある。職業的に写真を撮るのではなく、写真家として自分の写真を撮り続けるために選んだ生き方ということだろう。


翻って自分のことを考えてみれば、やはり写真を撮る時間を確保したいために会社を辞めたのだが、食っていくことに費やす時間が多く、どうにも中途半端に生きてきてしまったものだと思う。


ただ、あまり突っ走り過ぎてもどこかで息切れしてしまうし、何事か成したい人はそれぞれが自分にあった方法を見つけて、継続していくことが重要だと思う。まあ進むべき道を誤っていれば、継続も無駄になってしまう場合もあるから、気をつけなければいけないのだが……。


●「背高あわだち草」から21年


尾仲さんの初めての写真集「背高あわだち草」が、蒼穹舎から刊行されたのは1991年。この時の制作費は蒼穹舎の大田通貴さんと、尾仲さんが折半したのだということを、この本によって初めて知った。出版社とはいっても、大田さんが自分の好きな写真集を出版するために作った会社で、二人にとって制作費の捻出は大変なことだったと思う。


その後、尾仲さんは自分の写真集を着実にまとめてきた。そして
現在までに11冊の写真集が刊行されている。もちろん、すべてが
自費出版というわけではないが、今回の本にしても「人がやって
くれなきゃ自分でやる」という態度が一貫していて格好いい。


あらためて尾仲さんのバイオグラフィーを眺めていると、写真の
王道を歩んできたのではないかという印象を持った。なんか、こ
れからでも尾仲さんを見習いたいと思わされた一冊だ。


◇「極・私家版 あの頃、東京で・・」
B6判、モノクロ、108ページ、限定500部
定価1000円
http://www.onakakoji.com/2012/04/21/極-私家版-あの頃-東京で/


◇尾仲浩二写真展「I’m full オナカイッパイ」
こちらも尾仲色たっぷりの写真展。会期中にはトークショーやライブなども行われる。
会期:6月1日(金)から17日(日)までの金・土・日、13時〜19時
会場:そら塾(東京都台東区根岸3-13-25)
http://www.onakakoji.com/2012/05/22/i-m-full-オナカイッパイ/


【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com 
http://twitter.com/Zenji_Uehara
上原ゼンジのWEBサイト
http://www.zenji.info/
Soratama – 宙玉レンズの専門サイト
http://www.soratama.org/
上原ゼンジ写真実験室のFacebookページ
https://www.facebook.com/zenlabo

岡田陽一


昨日、2012年5月21日(月)の朝、日食見ましたか? 東京、横浜、名古屋、大阪など、人口の多い太平洋側の地域を食の中心が通ったので、月が太陽を隠し、周囲に輪ができる金環日食が観測されました。またそれ以外の多くの地域でも、太陽の大部分が欠ける部分日食が観測されました。


金環日食の詳しい内容や映像については、昨日のニュースやワイドショーなどでもいっぱい放送されていたようなので、ここでは、わたしが神戸で体験したレポートを記しておきますね。


わたしの住む、兵庫県の西端の相生市では、金環日食が観られるエリアから若干外れていましたので、神戸まで行って観ることにしました。


数日前からの天気予報で、当日朝はどうも全国的に天気が良くないと聞いてたのですが、たとえ雨でも曇っていても、それはそれで、その状況を楽しもうと思いスタンバイ。


家から、神戸までは約1時間ちょっと。欠け始めるのが6時17分だったので、4時半に起きて準備して5時に出発しました。目指すは神戸のハーバーランド。
http://flic.kr/p/c2TL6N


道中のラジオでは曇って観えないと言っていたのですが、相生から神戸へ東に向かって走る車のフロントガラスは朝陽が眩しくて、バイザーを下ろすほどしっかり晴れてました。


「これならばっちりかも!」と期待しつつも、神戸で金環日食が始まる7時半ころにちゃんと晴れてるかどうかが一番大事なので、雲がかからないように心に念じつつ、順調に神戸に向かいました。


ハーバーランドに到着して、駐車場に止めて東の空を見ると、先ほどまであんなに晴れて眩しかった太陽が雲に隠れているじゃないですか。
http://flic.kr/p/c3eP37


しかも、厚い雲が南から北へ流れてる状態。6時17分を過ぎてこの状態がしばらく続いたので、日食の最初の方、欠け始めは観ることができませんでした。あと1時間程で金環日食。せめてそれまでにはこの雲が通り過ぎて欲しい。


風が結構強くて、太陽を覆っていた雲も、かなりのスピードで北へと流れていたので少し期待がもてました。その南にはもう厚い雲はなく、晴れ間も見えていました。


カメラを三脚にセッティングしたり、レンズにNDフィルタを取り付けたり、周辺の様子を観察したりしていると、20〜30分程で雲が通りすぎて、欠けた太陽が顔をみせました。
http://flic.kr/p/c3eQ19


やった! とにかく、はやる気持ちのまま撮った一枚目がこの写真です。
http://flic.kr/p/c2Ta3w


あんまり上手に撮れない……。とにかく通常は使うことなどほぼない、太陽撮影用のND100000という真っ黒なフィルタを付けての撮影なので、太陽以外は何も見えない。そして、レンズ越しでも太陽って意外に小さいし、早く動く(三脚で固定してるので、どんどんファインダ内で中心からズレていく)。


太陽が明るく写りすぎるので、かなりアンダーに露出補正をして、ここからは定期的にシャッターを切る。連続して見ると、月と太陽の動きがよくわかる。


周囲にはわたしの他にも、何人か日食グラスを使って見てる人や、カメラで太陽を狙ってる人たちがちらほら居ました。港の広々とした場所だったので、もっと大勢が見に来るのかと思っていましたが、両手で数えられるほど。世間はあまり興味なかったのかな?


不思議に感じたのは、それでも10数人が全員同じ方向の空を日食グラスやNDフィルタ越しに見ているのに、何事もないかのように、まっすぐ前だけを見てウォーキングしたり、犬の散歩をしている人たち。


この世紀の天体ショーの真っ最中に、まるで別世界に居るかのような人たちを見て、「人それぞれで面白いなぁ」って感じました。


さて、金環日食の始まる7時半が近づいてくると、辺りが変な暗さになってきました。普通に青空とハーバーランドの景色なのですが、影がうすいというかエッジがやわらかいというか。


Photoshopなどで使う色補正で言うと、輝度を下げて、彩度を50%くらい落とした状態くらいの感じを受けました。赤いポートタワーも、なんだかくすんだ感じ。


そして肌に感じる太陽のあたたかさというか、辺り全体が一瞬でひやっと感じるほど、気温も下がった気がしました。でもこの感じは、カメラが勝手に補正してしまうので、あまり写真では表現できないですね。
http://flic.kr/p/c2TJbQ


さて、神戸から観た金環日食、食の最大の頃の写真がこれです。
http://flic.kr/p/c2TpkW


神戸では金環日食に入ってぬけるまでの時間は2分程度でした。この2分間は、ファインダー越しにずっと見ていると、月と太陽の動きがとてもよくわかる、すごく幻想的な時間でした。


宇宙のスケール感というか、太陽と月、実際には全く大きさが違う2つの星が、たまたま地球からの位置関係で見かけ上ほぼ同じに見えるという、驚異的な偶然と、太陽と月と地球の軌道が見事に一致した瞬間を見ている偶然を感じながら、あっという間の2分間がすぎて金環日食が終わりました。
http://flic.kr/p/c2TpkW


その後、日食終了の8時50分ごろまでを見届けて、数年前から楽しみにしていた世紀の天体ショーイベントが終わりました。
http://flic.kr/p/c2TDn7


月曜の早朝だったので仕方なかったことですが、惜しむらくはこの神秘的な風景を、ひとりぼっちで見ていたことですね。


【岡田陽一/Web&DTP デザイナー+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > <twitter:http://twitter.com/okada41 >
今月から、いろいろな変化にともない名前の表記も漢字になりました。

所幸則 Tokoro Yukinori


さて、ゴールデンウィークのとある日に、小さな娘をつれてKaekkoというイベントに行って来た。「Kaekko」とは「替えっこ」のことで、いらない玩具を持って行きそれを子供達がてきとーに(というと語弊があるが、そうとしか思えない)「替えっこポイント」にかえて、他のみんなが持って来た玩具のなかで欲しいものがあれば、それをポイントと引き換えにもらえるというものだ。


[ところ]はまあ有意義なことかもしれないとは思ったし、子供達が玩具の山の中からいろんな物を発見するのもなんかよさそうで、おおむね肯定的である。でも、運営する人は大変そうだなと単純に思った。


書きたかったのはこのイベント自体ではない。このイベントに妻がスタッフで参加していて、ちょっと暇な時に何枚かシャッターを切っておいてくれるとうれしいなとか言うものだから……。こういう写真を撮るのが所幸則という写真家ではないと思うけれども、何枚かシャッターを切ってみた。


うむ、やっぱり何を撮らしても良い写真が撮れてしまう。やっぱり天賦の才というのはあるんだなあ……と[ところ]は勝手に満足していたのだけれど、最後にワークショップもやっていたので、こういうのも撮っておこうかとシャッターを切ろうとした瞬間、「うちの娘を写さないでください!」と一人のおばさまが目の前を遮った。


[ところ]は目が点になった。うーん、その子のアップを撮ろうとしたわけでもなく、斜め後ろぐらいの角度で小さく入っているに過ぎないんだけど。こんなあからさまな拒絶を、自分自身が受けたのは生まれて初めてだった。


そういえば、イベントを撮ってくれるといいなと言われたときも、できれば後ろ姿が多いと嬉しいと一言あったことを思い出した。イベントの記録的広報誌ですら、そんなに気を使ってるのか!! 何なんだこの国は、というか先進諸国みなそうなのか?


以前、広島市の中区でなんとなくカメラを手に散歩していたら、近所のおばさまに「カメラ持ってなにしてんの!」とか言われたことがあったのだった。今時は携帯電話にもカメラが付いている。そんなことを言われた日にゃ、カメラ付き携帯持ってる人みんなに毒づいたらどうだ? と[ところ]は思ったのだけれども。


何なのだろうか。スナップが撮りにくい時代になりつつあるという話はよく聞いていた。いわゆる肖像権の問題、個人情報保護にたいする過敏さ。例えば、ニューヨーク辺りの街角をニュース映像を流す時には顔をぼかしたり、国によってはモザイクかけたりと大変な話である。


ほんの6?7年前にイタリアあたりで写真を撮っていたら、わざわざポーズをとるじじい、いや失敬、おじさまがやたらと多かったのに。世界はどんどんいびつな方向に向かっているのだろうか。


そりゃあ、確かに数年前日本で名を上げたある写真家は、人の油断した変なおもしろ顔をやたらと撮って、そのおもしろさを武器にしていたが、[ところ]が被写体ならあんなふうな写真を友人同士ならまだしも、世界中にバラまかれたらいやだなとは思うけれど。目くじらをたてるほどでもないかな。


自分が体験したこのイベントは、公的団体もからんでいるだけに、クレームがついたらいやなんだろうということはなんとなくわかる。そして、別の話を思い出した。渋谷をスナップショットで表現してる人が言う。


「個展をやりたいのですが、あのメーカー系サロンはスナップでは審査が通りにくいんです。別のメーカー系サロンは大丈夫らしいので、そっちに作品を提出してみようと思っています」


これを聞いて[ところ]は唖然とした。カメラメーカーが写真文化を守ろうとしないでどうするんだよ。[ところ]には信じられない。木村伊兵衛も泣くよなあ。みんなが好きなブレッソンもドアノーも、きっと泣く。もっとも、スナップといっていた有名なキスシーンの写真は、やらせだったらしいからどうでもいいが。


写真文化を愛する写真機材メーカーのベテラン達が、定年を迎えてどんどん退職していき、たんに有名な一流企業だからそのメーカーに入った、という人間が中心になってきたから、お金儲けは上手くなっても文化は大事にしないってことなのだろうか? こんな状況に戦いを挑む人はいないのか? いや、スナップを閉め出してるのはまだ一部のメーカーだけかもしれない。もう少し様子をみていよう。


所幸則「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」


http://cosmos-akasaka.sub.jp/?p=2503
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)日月休
会場:Niiyama’s Gallery and sales Salon(東京都港区)


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 http://tokoroyukinori.seesaa.net/
所幸則公式サイト  http://tokoroyukinori.com/

所幸則 Tokoro Yukinori


さて、[ところ]は「東京画」でのNYフォトフェスティバルの準備したり、上海からやって来ているキュレーターに「個園─中日現代美術交流展」に展示するための作品を渡したり、Niiyama’s Gallery and Sales Salonでのヌード作品の個展の準備にかかったり、所塾生との交流会をしたり、盛りだくさんすぎる日々を過ごしている。


もちろん[ところ]のプリント作業がもっとも時間がかかるので、時間をちゃんと確保していたのだが、こういう時に限ってハードディスクが妙な雰囲気になった。これがトラブル第一弾だった。


[ところ]は6台あるHDのうち、2台が認識しなくなって困っている。いや、困っているどころではない、恐怖に支配されているのだ。写真家にとって、いまやデータが命になってしまった。


今月は物入りなのでちょっと苦しい懐事情でもある。月末にはガツンとお金が入ってくるはずなので、それからHDを買いたいところではあるが、この恐怖には勝てない。というか、データの保護が最優先課題であるので仕方がない。


取りあえず、6TBのHDを買いデータをコピーする。これがまた時間がかかる。時間を効率よく使おうと、寝てる間にまとめて3TBほどコピーしようとしたのだが、5時間ほど経ってトイレに行くついでに覗いてみると、壊れているファイルがあったため、コピーが止まっていたりする。


どこまでコピーできたのかはっきりとしないために、結局200GBぐらいずつコピーを繰り返した。あー、もう本当に大変。


コピーがやっと5TBほど進んだので、プリントを開始できたのが3日目の昼からだった。あと2日後には個展用、NY用、なぜかこの3日の間にさっくり売れたヌード作品の、大きいサイズのプリントをやらなければならない。


頑張って4日目の朝方までには9割ほど順調にプリントをしていたのだけれど、最後の一枚という時になって、プリンターが認識しなくなった。エプソンの電話サポートを受け、いろいろいじってみたが復帰しない。


しかも、こういう時に限って大事なカメラを落下させてしまい、メーカーの人と会わないとどうにもならない。カメラを落とした[ところ]が悪いのだけれど、まさに「こういう時に限って」だらけなのだ。


それでもエプソンの人が夕方来てくれて、30分程で問題は解決した。それまでの2時間は生きた心地がしなかったので、一気にグターッとなってしまった。


昔「マーフィーの法則」というのが話題になったけれど、本当にこういう時に限って、起きて欲しくないことが起きるんだなと実感した数日間だった。だけど、こういう問題は解決するたびに達成感があるよね。


エプソンとシグマの方も、真剣に素早く問題解決してくれたし、それと3日前に名前を決めた「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」のメンバーが、いい感じのテーマを見つけそうなのでうれしい。


「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」とは、渋谷という街を個性的なアプローチで表現する写真家の集団で、主宰は[ところ]です。すでにサトウタケヒト、布施有輝、所幸則はそれぞれまったく違うアプローチで写真を撮っているが、そこへ更に違うアプローチの二人が加わった。あと二人もきっと自分のアプローチでやってくるだろう。


渋谷を個性的に撮っていると思う写真家は、ぜひ[ところ]にコンタクトして下さい。共感できたら参加してもらいたいと思っています。興味のある方は、[ところ]のHPからメールください。もしくはFacebookのメッセージでもいいですよ。


秋には第一弾の展示を、アオガエルという渋谷のちいさな電車の中で始めたいと思っています。来年の春にはもっと大きな場所でやる予定。


「東京画」は東京を描き出すプロジェクト。僕も共感し参加しているし、「東京画」が参加するNYフォトフェスティバルにも、日本選抜作家として現地に行ってきます。「東京画」はこれからますます面白い展開になって行くと思うので、とても楽しみです。


中国で最高の美術大学がある杭州のモダンアートギャラリーで、中国と日本を代表する現代美術家のグループ展が開催され、[ところ]も参加します。
「個園─中日現代美術交流展」
展覧会場:人可芸術中心 Renka Art Center(中国杭州市)
< http://www.renkeart.com/ >
期間:4月21日(土)〜5月20日(日)
日本側アーティスト:草間彌生、荒木経惟、所幸則、端聡、岡部昌生


所幸則個展「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)13:00〜18:30
土12:00〜18:00 日月火休
会場:Niiyama’s Gallery and sales Salon(東京都港区元赤坂1-5-20 ロイヤル赤坂サルーン 709 TEL.03-6447-1500)
http://cosmos-akasaka.sub.jp/


曖昧な人の記憶、現実とは実は曖昧なもの。確かにあったと思っている記憶も現実も「本当にあったように思えてしまう事」なのかもしれない。僕が現実に見て残したいと思って撮った美しいヌード作品を展示します。


◎ミュージックライフ+ 空想レコード美術館 VOL.8 THE WHO
IS ALRIGHT(iphone/ipad用デジタルフリーマガジン)
写真家所幸則が架空のTHE WHOのアルバムを作っています。[ところ]のインタヴューがとても面白いです。音楽と[ところ]と写真を絡めた切り口が斬新です。
ここで簡単な解説がみられます。
http://www.shinko-music.co.jp/musiclifeplus/
ここでダウンロードできます。
< http://itunes.apple.com/jp/app/music-life/id406608067?mt=8 >


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

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